冬本番、どんどん寒さが厳しくなってきました。日本って、毎年冬が来るのに、なぜ私たちは寒さに慣れないのでしょうか……。
筆者は冷え性なこともあり、冬がいちばん苦手です
今年も冷えきって凍える日々を過ごしているので、思い切って医師に相談してみよう!と、「渋谷スクランブル皮膚科」の下方院長に、「冬の冷え」対策について教えてもらいました!
下方 征(しもかた ただし)先生
「渋谷スクランブル皮膚科」院長。2004年名古屋市立大学医学部卒業。東京医科大学病院皮膚科勤務を経て2021年に「渋谷スクランブル皮膚科」を開業。複数の皮膚科専門医による総合的な皮膚の診療を行う。汗の悩みに関する治療経験多数。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。労働衛生コンサルタント。
――急に寒くなり、特に手足の冷えが気になります。冷えを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?
下方先生:冷えの原因としてまずあげられるのは、末梢の血流不全。いわゆる「冷え性」ですね。足先や指先などに血液が行かないことで冷えてしまうものです。これはお風呂に入ったり、日常的に運動をしたりすることで血流をよくすると解消できます。身体の隅々まで筋肉を動かすヨガやストレッチなども、代謝を上げる効果があるので有効ですね。さらに、朝ごはんをしっかり食べることも重要です。朝ごはんを食べない人は血圧が上がらずに血液が末梢まで行き渡らないため、冷えてしまいます。
――朝ごはんが冷え性に有効なのは驚きです!
下方先生:また、これもあまり知られていないことですが、冬の冷えには「汗対策」が有効です。
――「冷え」の対策なのに「汗」ですか……?
下方先生:はい。手足や脇に汗をかきやすい人は、冬に冷えを感じやすいのです。汗をかくとその部位は熱を奪われてしまいます。夏であれば熱を奪われても気にならないと思いますが、冬は、汗により奪われた熱で身体が冷えてしまいます。そのため、冷え対策として汗を止めることが有効なのです。
特に冬は、外出時にダウンジャケットなどの厚着をしていると思いますが、電車に乗るときには暑いと感じると思います。人の身体は敏感なので、寒暖差により発汗します。特に発汗し始める部位は脇とおでこなのですが、厚着をしている脇に特に汗をかきますよね。また、季節問わず、緊張すると人は手足に汗をかきますが、そのように、脇と手足に多く汗をかくことが多いのです。
――確かに、冬でも室内では脇汗が気になることがあります。
下方先生:私のクリニックでも汗に悩んで来院される方が多いのですが、その解消方法には、化粧品、薬、ボトックスなどがあります。どの方法を採るかはその方の自覚症状により診断します。「発汗はほとんど我慢できず、日常生活にひんぱんに支障がある」なら薬での治療を推奨しますが、「発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある」程度であれば、化粧品で解消できると判断します。
――なるほど……ほとんどの人は市販されているアイテムでの汗対策で十分かもしれません。汗対策に有効な化粧品は、どのようなものがおすすめなのでしょうか?
下方先生:冷えを改善するアイテムとして有効なのは、まずは汗を止める「制汗剤」です。特にミョウバン入りのものがいいですね。ミョウバンには制汗作用と収斂(しゅうれん/縮むこと)作用があります。また、雑菌の繁殖を防いでくれたり、臭いを抑えてくれたりする効果もあります。
脇の汗を抑える制汗剤にはスプレータイプのものが多いですが、冬にスプレータイプを使うと余計に寒さを感じやすいですから、クリームタイプやスティックタイプの製品で、かつメントールのようなスッとする成分が入っていないものがいいと思いますよ。
さらに、末梢の血流不全による冷え性に対しては、血流をよくするアイテムがおすすめです。カプサイシンやトウガラシなどの成分を使った入浴剤なども有効です。また、血行をよくすることが大切なので、マッサージクリームでマッサージをするのもおすすめです。クリーム自体には温める効果がなかったとしても、血管の流れに沿うようにしてリンパをやさしく流すことで、血行の改善が期待できます。クリームを使うことで摩擦も防げますし、角質が保護されて皮膚も健やかになりますよ。
いろいろと知らなかったこともあり、かなり勉強になりました!
ということでさっそく、下方先生に教えてもらったアイテムを選んでみました。
先生のアドバイスを元に選んだ冷え対策アイテム
まずは汗対策からです。
デオナチュレ「クリスタルストーン ワキ用 直ヌリ 制汗剤」
脇汗対策のアイテムで、フタを取るとつるんとしたせっけんのようなものが付いています。これを濡らして脇などに直接塗り込むことで、汗を抑えられるのだとか。
少し濡らして脇に塗り込みます。持ち運びやすいサイズも◎
脇用のアイテムですが、足などさまざまな場所に使えそうなのもいいですね。
適度なサイズ感と固さで塗りやすい
下方先生も推奨していたミョウバン入りなので、汗をしっかり抑えてくれるのはもちろん、ニオイを防ぐ効果や、毛穴を引き締めて汗が出にくくなる効果が期待できます!
水で濡らすので、塗る瞬間はちょっと「ひゃっ」となりますが……塗ったあとは特に「塗った感」もありません。
さらに、筆者が夏に愛用していたこちらも使用することに。これまでは夏のものだと思っていましたが、汗対策アイテムということで、冬でも使えるのではないでしょうか。
デオナチュレ「さらさらデオドラントパウダー(15g)」
パウダーをパフで身体に塗布していくのですが、夏の汗が驚くほど抑えられる(肌がさらさらのままで汗を抑え留めている感じ)のです。
付属のパフでファンデーションのように塗ると汗が抑えられます
脇や首元、胸元に塗るといい感じです
こちらも焼ミョウバンが入っているので、汗を抑えるとともにニオイを防ぐ効果があります。皮脂吸着パウダーでさらさらとした肌が長時間続いたので、冷えも防げているはず!
この2つの汗対策をしてウォーキングに挑戦しました!
右の脇と足の甲と裏全体には「クリスタルストーン」「さらさらデオドラントパウダー」を塗り、左には塗らずにその差を検証してみました。
家を出て20分ほどで左足(汗対策をしていない)はじんわりと汗をかいてきましたが、右足は汗をほとんどかいていません。蒸れたのか、左足はすこし痒みがあります。
そして30分ほど経ったころ、すーっと左足のつま先から膝下あたりまでが冷えてきている感覚がありました。いっぽうで、右足は出発時と変わらず体温が維持できています。汗対策をしたのは足の甲と裏だけなのに、膝下まで冷えが影響していたなんて……。
今回は脇汗については大きな差は見られませんでしたが、足の冷えへの大きな影響を実感しました!
続いては血行促進。トウガラシ成分入りの入浴剤を試してみました!
ヤマサキ「和漢湯 やすらぎ便り唐辛子の湯 入浴剤」
まさにトウガラシ!といった感じのパッケージ。中身も真っ赤な何かが入っていて辛そうです……。風呂が真っ赤になるのでは……?と恐る恐る浴槽に入れてみます。
風呂が真っ赤になったらちょっと怖いな……
すると、黄色っぽい色みのお風呂が完成! 真っ赤にはならなかったのでホッとして入浴しました。「やっぱトウガラシだからポカポカするぅ!」というようなことはありませんでしたが、入浴序盤から足先まで温まったのはほかの入浴剤と違う気がします(気のせいでしょうか)。
湯は赤くはならなかった……
お風呂では、発汗マッサージをしてみましょう。
常盤薬品工業「サナ SANA エステニー ホット・マッサージュ ウルトラスーパーハード」
チューブから出してみると、やわらかいグミのような触感です。
絶対に食べてはいけませんが、なんだかおいしそうです……
太ももやお腹周りなど、気になる個所に塗り込みマッサージをしていきます。
ジャリジャリとした触感がじんわりと身体を温めます
粒のジャリジャリ触感もあって、身体がじんわりと温かくなっていきます。同時に、しっかりとマッサージもできる滑らかさもあるので、気になる個所を強めにマッサージできました。普段はなかなかお風呂でマッサージはしませんからね。血行促進効果で、少し温まった気がします。
そして風呂あがりには、血行をよくする効果のあるマッサージクリームでマッサージをしてみましょう。
MOC「塗るニット ボディウォーマークリーム 150g」
「塗るニット」という名のとおり、身体を温めながらマッサージができるクリームのようです。
思ったより大量に出やすいので注意が必要です
お風呂あがりに部屋においていたクリームを塗るので、塗った瞬間冷たくて「ひっ!」となりがちですが、このクリームは塗ってもぬるく、安心感がありました。しかし、塗ってみてもそこまで温かさはなく、「すごくいい香りでしっとりするけど、身体はそこまで温まらないな……」と思っていると……!
全身にしっかり塗ってみると、驚きが……!
2〜3分後、クリームを塗ったところがまるで使い捨てカイロを当てているかというほどにホカホカ(というよりカッカ!)してきたのです!全身に塗ったのですが、特に太ももがいちばん熱を感じました。「塗るニット」というより、むしろ「塗るカイロ」!
寒い部屋でも怖いくらい熱くなってきて、その暖かさは30分ほど続きました(30分かけてゆっくりと暖かさが減っていきます)。
皮膚科医の先生による、「冬の冷えには汗対策と血行促進を意識!」と教わった今回。冬なのに「汗」に気を付ける必要があることには驚きましたが、実際に汗対策をすることで冷えを防げたことを実感しました。また、冬は意識的にアイテムを活用するなどして血行促進をしていくことが大切だなとも感じました。これからさらに寒さが厳しくなっていきます。皆さんも汗対策と血行促進を意識して、寒〜い冬を乗り越えてくださいね。
恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライター。Twitter:@KA_HO_MA