そろそろ春の引っ越しシーズンが近づいてきたということで出番が増えてくるのが、長さを測るためのメジャーでしょう。なかでも、自立してくれる金属テープを備えたコンベックスメジャーは、高さのある窓や家具などの採寸に打ってつけ。新居選びの際には必ず携帯したいマストアイテムです。
とはいえ、普段触れる機会の少ない道具だけに、上手な使い方を把握できていない人も多いのでは。そして何より、重たいテープが勢いよく巻き戻るときの、あの「シュルシュルシュル……ガチン!」という強烈な衝撃は、慣れていないとなかなかの恐怖です。
ミドリの「スローコンベックスメジャー」は、まさにそんな不安に配慮したコンベックスです。なにせ、2022年の「キッズデザイン賞」で、「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門」賞を受賞しているほど。まさに初心者にうれしい、“怖くないコンベックス”というわけです。
コンパクトで、手の小さな女性にも使いやすい「スローコンベックスメジャー」(ミドリ)。テープの長さは2mで、幅は12.5mm
一般的なコンベックス(写真左)と、「スローコンベックスメジャー」(写真右)。比べると、とてもシンプルなデザインであることがわかります
その最大の特徴が、製品名にも入っているとおり、テープが巻き戻るスピードが「スロー」なこと。金属テープが「スル……スル……スル」とゆっくり戻ってくる、という特殊な機構を持っています。
最後も、テープがスーッと本体に吸い込まれるように入っていくので、あの衝撃をほとんど感じず、上の写真左のようなコンベックスを使っていた筆者は「えっ、なんで!?」と驚きました。そのぐらいにスローでソフトなんです。
しかも、巻き取り始めは少し早めで、最後には超ゆっくりと戻る。この巻き取り時のスピードの変化が絶妙なんです。何とも気がきいている感じで、これだけでも十分に使う価値があるコンベックスだと思います。
コンベックスは多くの場合、テープを伸ばしたまま固定するロック機能が付いています。ただ、コンベックスを握ったまま、専用のスイッチやレバーに触れてロックをかけるのは意外と慣れが必要。筆者も「急にテープが戻ってきて指を挟まれるかも?」とヒヤッとしたことがあります。
「スローコンベックスメジャー」は、内部リールとくっついているケース側面をぐっと指で押さえることで、リールの回転を止めて擬似的なロックをかけられます。一般的なコンベックスを使い慣れていない人にとっては、ただ握るだけでテープの動きを止められるほうが安心感があるのではないでしょうか。
側面を指で押さえることでテープロック。単純だけどうまいやり方かもしれません
テープの表面は、目盛りが10cmごとに黒と白に色分けされており、数字が読み取りやすくなっています。また、裏面の目盛りはタテ表記なので、高さを測るときもラクに数字が読めます。
テープ表面の目盛りは10cmごとに白と黒で交互に色分けされており、直感的に長さが把握できます
裏面の目盛りはタテ表記を採用。天井や棚の高さも測りやすくなっています
もう1つ、細かい話ですが、ボディ側面にマグネットが内蔵されているのもうれしいポイント。玄関ドアや金属製の工具ケースに貼り付けておくと、保管しやすいです。
スチール面に貼り付けて保管でき、置き場に迷いません
「スローコンベックスメジャー」は、“怖くない”というだけでなく、単に“使いやすいから”という理由で選んでも問題なさそう。2mと短めのテープは少し物足りない印象もありますが、それでも手元に1つは備えておきたい優秀なコンベックスだと思います。
最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。