今、ゲルインクボールペンで人気が高いものと言えば、まず三菱鉛筆の「ユニボール ワン」シリーズがあげられます。軸色、インク色ともにバリエーションが豊富で、デザインもシンプルかつスマート。何より、新開発の「ビーズパック顔料」による超クッキリした発色は、ほかの追随を許さないレベルです。
この人気シリーズに、先ごろ追加された新製品が、「ユニボール ワン P」です。低価格ながら高パフォーマンスの「ユニボール ワン」、重心バランスの改良など軸を高品質化した「ユニボール ワン F」に続いて、シリーズ第3弾となる通称「ワンP」は、一体どういったペンなのか? そのユニークさを紹介しましょう。
この「ワンP」ですが、全体的な雰囲気からクリップや口金周りといった細部まで、前モデル「ユニボール ワン F」(以下、「ワンF」)とそっくり。ただ、大きく異なるのがサイズ感です。印象としては、「ワンF」を両端からギュッと押し潰したような感じで、短く太いポテッとしたシルエットを採用しています。
ぽっちゃりボディが特徴のゲルボールペン「ユニボール ワン P」。写真左の0.38mmモデルは「みかん」や「コーヒー」など5色、写真右の0.5mmモデルは「バナナ」など3色と、おいしそうな軸色を計8色ラインアップしています
これだけサイズ感が異なるにもかかわらず、「ワンP」と「ワンF」の重心はほぼ同じあたりに位置します。
「ワンF」はグリップ内にスタビライザー(金属ウェイト)が埋め込まれているのに対し、「ワンP」はそういった工夫が施されているわけではなさそう。シンプルに、軸長と金属口金のバランスだけで、ちょうどよい重心位置になるように調整されているようです。
「ユニボール ワン」シリーズの重心位置比較
成人男性である筆者の手で握ってみると、軸後端ぎりぎりが手の端にくる感じ。これでもバランスが取れているので、見た目の寸詰まりな印象に反して、かなりしっくりと手に収まるような握り心地です。
あくまでも個人的な好みですが、「むしろ、『ワンF』よりも素直に握れて書きやすいかも」とすら感じるほどでした。
「短寸ボールペンは握りにくい」というのが今までの常識でしたが、バランスが取れているからか、意外なほどに気持ちよく握れます
たとえば、近年ユーザーが急増している小判なM5サイズ(※)のシステム手帳との組み合わせは、まさにシンデレラフィットと言えるほどのマッチ具合! 非常にコンパクトなM5手帳は、ペンを合わせて持ち歩くのが難しかったのですが、全長がほぼ同じ「ワンP」ならばピッタリとハマるはずです。
※:105×61mmのリフィルを挟むためのサイズ
「ワンP」の軸長約117mmはM5手帳の長辺にかなり近いということで、手帳好きからも注目されています。ただし、軸径がかなり太いため、ペンホルダーは多少選ぶかもしれません
また、コロンとしたサイズ感は、ジャケットのポケットやサブバッグにポイと放り込んで持ち運ぶにもちょうどよい感じ。軸の長さがじゃまになりにくく、浅めのポケットにも収まりやすいのは、携帯ペンとして大きなメリットだと思います。
面白いのは、これだけ軸が短くなっているのに、リフィルはシリーズ共通のものが使えるということ。ノックノブの後端すれすれまでリフィルを入れることで短寸化しているので、ノブの内部に回転子(ノックでペン先を出すのに必要なパーツ)を配置するという、とてもユニークな構造を採用しています。
リフィルと軸を並べると、リフィルがノックノブ内にまで詰め込まれているのがわかります
ぽちゃかわボディと書きやすさで、これからさらに人気が高まりそう
ショートボディの書き味はやや好みの分かれるところかもしれませんが、携帯性がよく、ワンインクの濃厚な発色があり、何よりぽっちゃりしたシルエットがめちゃかわいい! ということで、これからさらに人気が高まるのはほぼ間違いないでしょう。
というより、すでに店頭でも売れまくっているようなので、見つけたら即ゲットをおすすめします。
最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。