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ノーリスクで利回り30%ってホント?

いま改めて知りたいiDeCo(イデコ)のメリット・デメリット

個人型確定拠出年金「iDeCo」(イデコ)。法律が改正されて対象者が拡大されたことで、大きな話題になっています。厚生労働省のサイトにも「老後のためにきると、イデコ」と解説されていて、文字どおり国を挙げて推進しているといっても過言ではありません。節税効果など「おトク」が盛りだくさんのイデコ。しっかり理解して、さっそく始めてみませんか?

iDeCo(イデコ)は任意で始める私的年金

人生100年時代などといわれるようになってきましたが、長い老後期間の資金をどう手当てするかは、多くの人の課題です。公的年金だけでは足りなくなる老後資金を補うための1つの方法として、国が推進しているのがイデコ。任意で申し込める私的年金の1つです。

個人型確定拠出年金は2002年から始まった仕組みで、筆者はすでに8年ほど積立投資をしています。17年1月に公務員や主婦へと対象が拡大されたのを機に、話題になりました。

iDeCo(イデコ)の概要
・積立型の個人年金
・月5,000円から積み立てられる
・運用商品は保険や定期預金など元本確保型と投資信託
・掛け金は全額所得控除、運用益も非課税
・引き出せるのは60歳以降。原則、途中解約不可

大和総研の佐川あぐり研究員によると、イデコの加入者数は2017年8月時点で62万人(下のグラフ)。対象者が拡大する前の16年12月と比べて31万人ほど増えました。ほぼ2倍になった、ということですね。

国民年金基金連合会「国民年金基金連合会業務報告書(各年度版)」、厚生労働省「確定拠出年金の施行状況」より大和総研作成

17年1月以降で新しくイデコを始めた人の内訳をこまかくみていくと、大部分が会社員や公務員です。中でも、新しく対象となった公務員以上に加入者が増えているのが、そもそもイデコの加入対象だった「企業年金がない会社員」。佐川さんは「認知度が高まったことで、加入する人が増えた」とみています。

さて、イデコは掛け金を積立投資することで老後の年金づくりをする制度ですが、掛け金は月5,000円から始められ、1,000円単位で設定できます(金額は年1回だけ変更できます)。ただし、下の表のように、個人の状況により掛け金の上限額は異なります。会社員であれば、職場で「企業型確定拠出年金(DC)」や「企業年金」に入っているかどうかで違います。

個人型確定拠出年金(イデコ)の拠出限度額は個人の状況によって大きく変わる

個人型確定拠出年金(イデコ)の拠出限度額は個人の状況によって大きく違う

イデコの最大の魅力は、税負担の軽減を受けつつ積立投資できる点です。運用商品としては、保険商品や定期預金など「元本確保型」と呼ばれる安全性の高い商品のほか、「投資信託」が用意されています。イデコのサービスを提供する金融機関を「運営管理機関」と呼びますが、運営管理機関によっては、こうした運用商品を、少ないところで2、3本程度から、多いところだと60本以上そろえているところもあります。

イデコは、掛け金をいくらにするのか、運用商品をどうするか、すでに運用中の運用商品を変更する「スイッチング」をするかなど、すべて自分で判断します。将来受け取る年金額が増えても減っても自己責任なのです。こう聞くとドキドキかもしれませんが、後述しますが、節税メリットなどもあり、やらなきゃ損! な制度でもあるのです。

運用したお金を受給できる年齢は、下の表のように、加入年齢(加入期間)で違ってきます。受け取り方は、一時金か年金かを選べます(金融機関によっては、一時金と年金の併用もできます)。遅くとも70歳までに受給開始します。加入者が亡くなった場合は、遺族が死亡一時金を受給します。

積み立てる期間(加入期間)によって受給開始年齢が違うため要注意!

積み立てる期間(加入期間)によって受給開始年齢が違うため要注意!

ノーリスクで利回り30%? iDeCo(イデコ)最大のメリットは大きな節税効果!

イデコには大きく4つのメリットがあります。最も大きなものが、掛け金が全額所得控除の対象になることです。そのため、所得税、住民税を納めている人の場合は、イデコに加入するだけで大きなおトクが生まれます。

メリット1:掛け金分のお金が節税できる

たとえば、所得税率20%のAさんが月2万円の積立をすると、住民税の10%もあわせれば、30%の税金が軽減されます。金額で見ると、年間24万円のイデコ積立で、確実に7万2000円節税できる計算です。もちろん、「元本確保型」で運用していてもメリットは受けられます。所得税率次第で異なりますが、「ノーリスクで利回り30%」といってもウソではないようです。

ケース:所得税率20%、積立2万円のAさんの場合

所得税(20%の例):20,000円×12×20%=48,000円
住民税(10%):20,000円×12×10%=24,000円  
合計年72,000円の税負担軽減!

ちなみに、厚生労働省のサイト内に「かんたん税制優遇シミュレーション」というページがありますので、自分の場合はどれくらいのメリットになるか試算してみるといいでしょう。

残念ながら、そもそも所得税や住民税を納めていない専業主婦・主夫、扶養の範囲のパート主婦・主夫はこの節税効果はありません。

メリット2:運用益も非課税で再投資

イデコは運用している間の運用益も非課税です。金融商品を運用すると、通常なら運用益に課税されますが(源泉分離課税20.315%)、これが非課税で再投資されるのもメリットです。

たとえば、月23,000円を積み立て、年利回り3%で運用できたと仮定すると、30年間で約1,340万円になります(節税効果やコストは考慮せず)。もしもイデコでなく一般の金融商品で積み立てていて、毎年利益に20%課税(復興増税は考慮せず)されて再投資されたとして、年利回り2.4%(税引き後)の運用ができた場合は、約1,211万円になります。この差を比べると、手元に残る資金は30年間で約130万円も違ってきます。これは決して小さくありません。

イデコに似た仕組みとして、2018年1月に始まる「つみたてNISA」という制度があります。イデコ同様、運用益が非課税になるメリットがある一方、イデコのような積立金の税額控除はありません。(関連記事:いよいよスタート! 「つみたてNISA」の仕組みと賢い使い方とは?

メリット3:実は、運用コストも低い!

イデコで扱われている投資信託の場合、購入手数料なしで、信託報酬という保有している間にかかる運用手数料も低めに設定されています。たとえば、まったく同じ投資信託でも、イデコで投資をしたときと、普通に金融機関で買って投資をした場合では、かかるコストが違うのです。この投資信託が好き、というものがある場合は、コストが低いほど利益が出やすくなっています。

メリット4:受給時も大きな控除がある

イデコは前述のとおり、年金か一時金か受け取り方法を選べます。年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となるため、受給時もおトクです。万一、途中で亡くなったときは死亡一時金として支払われます。

こうしたことから、金額やその人の状況によっては、拠出から給付まで非課税で済む場合もあります。ですから、節税効果のない専業主婦・主夫の人でも十分に始めるメリットがあるといえます。

最大のデメリットは老後のライフプランに年金額を組み込みにくいこと

一方、デメリットは3つあります。

デメリット1:将来受け取れる金額は運用次第

最大のデメリットは、将来いくら受け取れるのかは運用次第、という点です。大きく増える可能性がある一方、目減りするリスクもあり、年金額は不確実です。老後のライフプランには組み込みにくいといえます。

デメリット2:コストはゼロではない

コストが低いというメリットをお伝えしましたが、ゼロではありません。加入時、運用期間、受給時とそれぞれの時期で関わる機関などのコストがかかります(下の表を参照)。国民年金基金連合会のコストと信託銀行のコストは固定で決まっているものの、運営管理機関の手数料は異なります。中には完全無料としている運営管理機関もあります。
(関連記事:個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」 金融機関はどう選ぶ?

イデコのコストはゼロではない

イデコのコストはゼロではない

デメリット3:子どもの教育資金には使えません!

最後の1つは、原則60歳になってからしか引き出せないデメリットです。中途解約できないため、子どもの教育資金や生活費が足りないなど、切迫した状況でも取り出すことはできません。しかし、ひっくり返せば、老後資金をためやすいというメリットの裏返しともいえそうです。

iDeCo(イデコ)は50代でも積極的に始めるべき!

イデコは60歳未満の人しか積立ができないことから、積み立てられる期間が短い50代で始める人はどうすべきかという問題が残ります。セミナーなどでも一番多い質問です。

答えは簡単です。50代でも始めるべきです。50代は一般に所得が高く、所得税率も高いことから、大きな節税効果を得られるでしょう。ただし、60歳まであと1年など、積立期間があまりにも短い場合は、節税メリットがコスト割れしないか確認したほうがよいでしょう。前述の「かんたん税制優遇シミュレーション」などで試算をしたうえで、コストとの対比で検討するといいでしょう。

※本記事は、執筆者個人または執筆者が所属する団体等の見解です。

豊田眞弓

豊田眞弓

FPラウンジ代表。経済誌などのライターを経て1994年より独立系FPとして活動。個人相談業務のほか講演、マネーコラムの寄稿などを行う。ライフワークとして子どもや大人の金銭・金融教育にも携わる。小田原短大非常勤講師も務める。

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