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金利の低さだけで選んでない? 住宅ローンの正しい選び方ガイド

変動、当初固定、全期間固定…住宅ローン選びで重要な「金利タイプ」、どう選んだらいい?

住宅ローンを選ぶ際、金利の低さだけで選ぼうと考えていませんか? それは長期的に見たときに危険なことかもしれません。住宅ローンを選ぶ際には、ある程度の知識が必要です。最適な住宅ローンを選ぶためにも、最低限必要な知識を身に付けた上で、わが家に合ったものはどれか自分で判断できるようになりましょう。住宅ローンは、30年、35年の長い付き合いになります。後悔のないよう選びたいものですね。

これから、住宅ローンを借りる際に必要な基礎知識を数回にわたってお伝えします。マイホームは一生で一番高い買い物。同時に、住宅ローンも一生で一番大きな借金です。「(不動産会社などの)販売業者に言われるがままローンを組んで失敗しちゃったな」とならないよう、住宅ローンの正しい選び方をきちんと身に付けてください。

第1回は、「金利タイプ」の違いを解説します。全期間固定金利型、変動金利型、固定金利期間選択型(当初固定型)それぞれの押さえておきたい特徴だけでなく、向いている人、向かない人についても整理します。住宅ローン選びに役立ててくださいね!

確認しておきたい「元利均等返済」と「元金均等返済」の違い

各金利タイプを解説する前に、まずは、住宅ローンの返済方法として元利均等返済と元金均等返済があることを頭に入れておきましょう。それぞれの支払いのイメージは下の図のようになります。

「元利均等返済」と「元金均等返済」の返済イメージ

元利均等返済は、元金分と利息分を合計した返済額が毎月一定になる返済方法です。一方、毎月元金分を同額ずつ返済し、返済額がだんだんと減っていくのが元金均等返済になります。

元利均等返済より、元金均等返済のほうが総返済額は少なくて済みますが、当初負担は元金均等返済のほうが大きくなります。住宅ローンを借りた当初は、引っ越しや家財道具の購入など、たくさんお金がかかります。家計に余力がある人は別にして、通常は元利均等返済を選択します

3つの金利タイプの特徴を知ろう

住宅ローンの金利タイプは主に「全期間固定金利型」、「変動金利型」、「固定金利期間選択型(当初固定型)」という3タイプがあり、これらの特徴を押さえないことには、住宅ローン選びは始まりません。それぞれの特徴を知って上手に利用しましょう。

全期間固定金利型

返済期間中の金利がずっと固定され、返済額も変わらないタイプです。代表的な商品が住宅金融支援機構の「フラット35」ですが、ほかにも、多くの金融機関で独自の全期間固定金利型商品を扱っています。将来の金利動向の影響を受けず、返済額も一定なので、安心感があります。ただし、金利はほかのタイプと比べると高めです。元金分と利息分の返済内訳は、下のイラストのようになります。

固定金利型住宅ローンの返済イメージ

<押さえておきたい特徴>
・返済期間中の金利も返済額も確定。途中で返済額が変わるリスクがない
・市中金利が上がっても返済額は変わらないため、家計が管理しやすい
・金利や当面の返済額は固定金利期間選択型や変動金利型より高め

変動金利型

金利の低さで人気を集めているのが変動金利型です。金利は半年ごとに見直され、市中金利が上がれば変動の影響を最も受けるタイプとなります。金利は半年ごとに変わりますが、生活者への影響に配慮して返済額の見直しは5年ごとで、しかも返済額は最大1.25倍までしか変動しないルールがあります(ソニー銀行の変動金利型は例外的に半年ごとに返済額が変わる)。

しかし、返済額が最大1.25倍までしか増えなくても、実際に支払わなければいけない金額が1.25倍までしか増えないわけではありません。そのため金利が急上昇すると、元金分の返済が進まないことに加え、支払いきれていない分の利息が「未払い利息」として残るリスクがあります。固定金利期間選択型への変更はいつでもできます。

変動金利型住宅ローンの返済イメージ

<押さえておきたい特徴>
・金利は半年に一度見直し
・返済額は5年間変わらない(⇒元金と利息の割合が変わることも)
・6年目に返済額が見直されるが、金利が上がっても返済額は最大1.25倍まで
・金利が急上昇すると返済金額の内訳がすべて利息分になったり、それでも利息分が払いきれずに「未払い利息」が発生したりする場合も
・固定金利期間選択型への切り替えがいつでもできる

固定金利期間選択型(当初固定型)

2年、3年、5年、10年、15年、20年など当初一定期間は金利が変わらないタイプ。ベースは変動金利型で、特約を付けて固定金利期間を設定しているため、固定金利期間の終了後に何も手続きをしなければ、変動金利型に戻ります。固定金利期間終了後にまた特約を付ければ所定の固定金利期間を設定できますが、その時点の金利が適用されます。

固定期間選択型(当初固定型)住宅ローンの返済イメージ

<押さえておきたい特徴>
・固定金利期間(2、3、5、10、20年など)中の金利・返済額は変わらない
・固定金利期間終了後は何もしなければ変動金利になる
・特約を付けて再度、固定金利期間を設定することもできる
・固定金利期間を再設定する際に金利が上がっていれば返済額も上がる
・返済額の上昇幅に上限がないため、返済額が大きく上がる可能性もある
・固定金利期間終了後は、固定金利選択型や変動金利型に変更できる

金利が上がるとどうなる?

金利タイプ選びは「目先の金利の低さ」だけでは選べません。長期的にお得かどうかは、今後の金利動向次第のためです。変動金利型や固定金利期間選択型は、実際に金利が変動したら総返済額も変わります。

下の表は価格.comの「住宅ローン新規借り入れ返済額シミュレーション」で試算したものです。3000万円を30年で借り入れ、元利均等返済、ボーナス払いなしで借り、繰り上げ返済もしていない場合の金利タイプ別返済総額の比較です(諸費用を含めていません)。当然ですが、今後の金利の変動によって結果が異なります。

三菱東京UFJ銀行の例。価格.com「住宅ローン新規借り入れシミュレーション」で試算

三菱東京UFJ銀行の例。価格.com「住宅ローン新規借り入れ返済額シミュレーション」で試算

金利がずっと変わらなかった場合と、5年後から3年ごとに1%上昇した場合でシミュレーションしました。これを見てもわかるように、全期間固定型は金利が変動しても総返済額に影響はありませんが、固定金利期間選択型や変動金利型は、金利の動き次第で総返済額が全期間固定金利型を上回ります。

当初の返済額で見れば変動金利型が魅力的に見えますが、今後の金利次第では全期間固定金利型が有利になることもあります。今後の金利の動きをどう読むかで選択が違ってきますが、金利が低くて今後上昇に向かう時期は、全期間固定型か固定金利期間選択型の10年以上など長めのものを選ぶのがセオリーです。

今後まだまだ金利が下がる、あるいはいまの低金利がまだ続くと見る場合や、住宅ローンの返済期間・金額が残り少ない場合に借り換えするといった状況では変動金利型や短期の固定金利期間選択型を選んでよいかもしれませんが、リスクが伴うことも理解して選びましょう。

どんな人に向く?向かない?

金利タイプを選択する際に、どんな人に向くのか、向かないのかを知っておきましょう。該当するものをチェックしてみてください。

全期間固定金利型

<向く人>
・今後、中長期的に金利が上がると予想する人
返済額が途中でアップするリスクを抱えることなく、家計を安定させたい人

<向かない人>
15年以下などで完済できそうな人
・今後、中長期的に金利が下がると予想している人

固定金利期間選択型(当初固定型)

<向く人>
返済がだいぶ進んだ後の借り換えなどで、固定金利期間の間にほぼ完済できそうな人
・固定金利期間が終わるころに金利が下降すると予想する人

<向かない人>
・今後、中長期的に金利が上がると予想している人
・固定金利期間が終わるころに教育費負担が重くなっていたり、妻が仕事を辞めるなどで住宅ローンの返済額が増えたりすると困る人

変動金利型

<向く人>
・返済がだいぶ進んだ後の借り換えなど、5〜10年で完済できる短い住宅ローンを組む人
・金利が上がっても返済に支障をきたさない経済的ゆとりがある人
・投資に慣れているなど、経済や金利を読む力に自信があって、リスクが取れる人
・とりあえず変動金利で借りて金利が上がったら固定金利期間選択型にしようと考えていて、金利をずっとウォッチする時間が今後もずっとある人

<向かない人>
・今後、中長期的に金利が上がると予想する人
・返済額が途中でアップするリスクを抱えることなく、家計を安定させたい人
・今後、教育費負担が増える、育児や親の介護で妻が仕事を辞めて収入が減るなどリスクが取りにくい家計の人
変動金利の低い金利で借りないと住宅ローンが組めない人
金利が上がって返済額が増えると住宅ローンが返せなくなるぎりぎりのローンの人

特に、変動金利型は扱いが難しい金利タイプですので、自分のライフプランを踏まえた上で慎重に検討して選びましょう。加えて、「将来の金利動向は経済分析のプロでも当てられない」ということも、しっかり頭に入れましょう。なお、変動金利型の<向かない人>の太字部分に該当する人は、そもそも身の丈を超えた住宅ローンを借りている可能性もあるので、予算から考え直す必要があることも加えておきます。

本当に自分に合った住宅ローンを選んでもらえるよう、毎回さまざまな視点で、住宅ローン選びで役立つ知識をお伝えしていきます。次回もお楽しみに!

※本記事は、執筆者個人または執筆者が所属する団体等の見解です。

豊田眞弓

豊田眞弓

FPラウンジ代表。経済誌などのライターを経て1994年より独立系FPとして活動。個人相談業務のほか講演、マネーコラムへの寄稿などを行う。ライフワークとして子どもや大人の金銭・金融教育にも携わる。

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