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金利の低さだけで選んでない? 住宅ローンの正しい選び方ガイド

住宅ローンを選ぶなら「金利引下げ」の内容を正しく理解しよう

こんにちは。前回は変動金利、当初固定金利(または固定金利期間選択型)、全期間固定金利それぞれの仕組みや違いを解説しました。今回は、住宅ローン選びの基本となる「金利引下げ」です。店頭金利と適用金利の違いなどをきちんと理解しておかないと、比較の際に混乱してしまうポイントでもあります。金利だけで判断せず、しっかり試算して比較することが大事ですよ!
(関連記事:住宅ローン選びで重要な「金利タイプ」、どう選んだらいい?

店頭金利と引下げ金利の違いは?

住宅ローンについて勉強を始めたときに、前回解説した金利タイプもわかりにくいものの1つですが、実際の金利をチェックする段階になって初めて「店頭金利」や「基準金利」、「金利引下げ」、「適用金利」といった用語を目にして混乱する人も少なくないようです。まずは、それらの言葉を整理しておきましょう。

店頭金利(基準金利)

店頭金利(基準金利)は、優良企業向けに短期間融資する際の金利である短期プライムレートや、日本の長期金利の指標となっている10年物国債などの金利動向を見ながら、各金融機関が設定する金利です。最近は金融機関によって差が出てきました。「店頭金利」「基準金利」のほか「店頭基準金利」など、呼び方が異なる場合もあります。

引下げ金利(優遇金利)

引下げ金利は、店頭金利から一定幅を引く金利引下げサービスで、「優遇金利」といういい方をする場合もあります。一定割合以上の自己資金の有無や、新規借入か借換えかなどの違い、あるいは借りる人の審査の結果によって、同じ商品であっても引下げられる金利は異なります。

大企業に勤めている場合、勤務先と提携している金融機関を利用すると、webサイトに提示されている引下げ幅よりさらに引下げられることもあります。

適用金利

実際に適用される金利は、文字どおり適用金利と呼ばれています。適用金利=店頭金利−引下げ金利です。

事例を見てみましょう。ある金融機関の2018年2月の変動金利型の店頭金利は2.475%ですが、引下げ金利は審査により▲1.7%〜▲1.85%。▲1.7%とした場合、適用金利は2.475−1.7%=0.775%となります。属性がよいと判断されれば引下げが▲1.85%となり、適用金利は0.625%まで下がります。

店頭金利と適用金利(変動金利型の店頭金利2.475%、引下げ▲1.7%の場合)

店頭金利と適用金利(変動金利型の店頭金利2.475%、引下げ▲1.7%の場合)

この金利引下げ、かつては期間限定のキャンペーンのようなものでしたが、現在はほぼ常態化しています。ただし、時々見直されるため、同じ引下げが翌月も実施される保証はありません。

なお、金利引下げは、固定金利期間選択型(固定金利期間1年、2年、3年、5年、7年、10年、15年、20年、30年など金融機関で異なる)や変動金利型のほか、全期間固定金利型にも設けられています。金融機関のwebサイトなどでは、金利引下げの「内容」を前面に出していることが多く、実際の適用金利は店頭金利のページとあわせてみて初めてわかる場合もあります。

しかも最近は、審査の結果によって金利引下げ幅が変わる金融機関も増えました。そのため、実際に審査を受けないと、最終的な適用金利がわからないケースも少なくありません。

金利引下げは「全期間一律引下げタイプ」と「当初期間引下げタイプ」の2つ

金利引下げには、大きく2つのタイプがあります。それが、「全期間一律引下げタイプ」と「当初期間引下げタイプ」です。それぞれの特徴を押さえるとともに、もっとも影響を受けやすい固定金利期間選択型で実際の例を見てみましょう。

全期間一律引下げタイプ

全期間一律引下げタイプは借入期間中、ずっと同じ引下げ幅が適用されるタイプです。固定金利期間選択型では、当初の固定金利期間中もそのあとも、店頭金利からの引下げ幅が変わりません。引下げ幅は金融機関や固定期間で異なるものの、2018年2月現在は▲1.4%〜▲1.95%などとなっています。固定金利期間が長めでも短めでも、同じ商品なら引下げ幅は同一です。

ただし、前述のように、「審査により▲1.7%〜▲1.85%」や「審査により▲1.4%〜▲1.9%」などと設定されているところが増えています。

変動金利型で全期間一律引下げタイプがある住宅ローンもあります。変動金利型は6年目に金利が見直されますが、それによって金利が変わる場合も、店頭金利からの引下げ幅は変わりません。また、変動金利は特約を付加することで、途中で固定金利期間選択型に変更することもできますが、その際の引下げ幅も同じです。

全期間一律引下げタイプの例。固定金利期間10年、全期間▲1.85%、3,000万円を期間30年で借りた場合。元利均等返済、ボーナス払いなし

全期間一律引下げタイプの例。固定金利期間10年、全期間▲1.85%、3,000万円を期間30年で借りた場合。元利均等返済、ボーナス払いなし

当初期間引下げタイプ

当初期間引下げタイプは、固定金利期間選択型のみに適用される金利引下げのタイプです。当初の固定金利期間では厚めの引下げ幅が適用されるものの、その後の引下げ幅は当初より小さくなります。引下げ幅は金融機関で異なる上、「当初期間引下げタイプ」の場合は、固定金利期間によっても変わります。

2018年2月現在、ある金融機関の固定金利期間選択型の住宅ローン金利を当初固定金利期間ごとに見ると、当初の金利引下げ幅と当初固定金利期間終了後の引下げ幅は、以下のようになっています。

2年 ▲2.35%→▲1.70%
3年 ▲2.45%→▲1.70%
5年 ▲2.40%→▲1.70%
10年 ▲2.30%→▲1.40%
15年 ▲2.45%→▲1.40%
20年 ▲2.75%→▲1.40%
30年 ▲2.85%→▲1.40%

当初期間引下げタイプの例。当初固定10年、当初引下げ▲2.2%、固定期間終了後は▲1.4%、3,000万円を期間30年で借りた場合。元利均等返済、ボーナス払いなし

当初期間引下げタイプの例。当初固定10年、当初引下げ▲2.2%、固定期間終了後は▲1.4%、3,000万円を期間30年で借りた場合。元利均等返済、ボーナス払いなし

店頭金利だけでなく、金利引下げ幅がどの程度変わるかまで把握しておかないと、住宅ローンの返済額によっては、家計への影響が大きくなる可能性もあります。

それぞれどんな人に向く?

金利タイプの選び方については前回の記事(住宅ローン選びで重要な「金利タイプ」、どう選んだらいい?)を参照いただくとして、たとえば「当初固定10年で借りる」前提で住宅ローンを絞り込んだとします。その際に、金利引下げタイプが「全期間一律引下げタイプ」と「当初期間引下げタイプ」の2つがあった場合、どのように選べばいいかを考えてみましょう。

まずは、返済期間による総返済額の差を見てみましょう。

「全期間一律引下げタイプ」と「当初期間引下げタイプ」の総返済額の違い(当初固定10年の場合。元利均等返済、ボーナス払いなし)

「全期間一律引下げタイプ」と「当初期間引下げタイプ」の総返済額の違い(当初固定10年の場合。元利均等返済、ボーナス払いなし)

試算は、当初固定10年で借りるとし、借入額は1,500万円を15年で返した場合と、3,000万円を30年で返した場合のものです。ここからいえることは、比較的短期で返済できるのであれば当初期間の優遇が大きい当初期間引下げタイプが有利になり、借入期間が長くなるほど全期間一律引下げタイプが有利になる可能性があるということです。

そのため、次のようなことがいえるでしょう。

当初期間引下げタイプが向く人
・比較的短期で借りる
・繰り上げ返済をして、当初の固定金利期間前後で完済できる
・当初の固定金利期間が終わった頃に借換えを想定している

全期間一律引下げタイプが向く人
・返済期間が長く、繰り上げ返済もあまり期待できない
・長く借りて長く返す予定
・当初、変動金利型で借り、金利が上昇し始めたら固定金利期間選択型に変える

最終的には実際の金利で試算をして判断することをお忘れなく!

本当に自分に合った住宅ローンを選べるよう、今後も住宅ローン選びで役立つ知識をお伝えしていきます。次回もお楽しみに!

豊田眞弓

豊田眞弓

FPラウンジ代表。経済誌などのライターを経て1994年より独立系FPとして活動。個人相談業務のほか講演、マネーコラムへの寄稿などを行う。ライフワークとして子どもや大人の金銭・金融教育にも携わる。

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