マネー連載
身近なお金の失敗談

財布を落とすこと30回! 同じ過ちを繰り返し続ける男の「再発防止策」とは?

お金で失敗した人のリアルな体験談を根掘り葉掘り聞き、その経験から得た反省や学びを語ってもらう本連載。今回お話を伺ったのは、出版社で営業として働くKさん(29歳・関東圏在住)。仕立ての良いスーツに身を包み、仕事ができそうな雰囲気だ。口も達者で営業向きに思える。しかし、Kさんには1つだけ「残念な点」がある。財布を頻繁に落としてしまうのだ。

Kさん。しっかりした青年に見えるが、財布を何度も何度も何度も落としてしまうという

Kさん。しっかりした青年に見えるが、財布を何度も何度も何度も落としてしまうという

(※人物の特定を避けるため、エピソードの一部を加工しています)

財布を落とすこと15年で30回。「もう落としたからって、いちいち焦りません」

Kさんが初めて財布を落としたのは中学生の頃。以来、すっかり「落とし癖」がついてしまい、大人になったいまもなお、やらかし続けている。

「15年間で計30回です。そのうち半分は戻ってきているので、いまの財布は15代目くらいかな。ついこないだなんて、酔っぱらった帰りの電車内で財布から携帯から、すべてスラれてしまいました」(Kさん、以下同)

財布が戻ってきたとしても紙幣が抜き取られていたり、キャッシュカードを不正利用されたりしてしまったケースは少なくない。

「これまでの“被害額”は合計30万円くらいだと思います。最もショックだったのは、高校時代に8万円を失ったとき。せっせと貯めたおこづかいでプレイステーション3を買いに行ったのですが、電気屋についたときには財布がなくて……。浮かれていたんでしょうね、道端に落としたのを気付かなかったみたいです。結局、財布は見つかったけどお金は抜かれていました。親に叱られるのがイヤで黙っていたので、警察にも届けず泣き寝入りしましたよ」

財布を落とすのは、たいてい上着のポケットに入れているとき

最も多いのは、上着のポケットに入れていて道端で落とすパターン。公衆トイレや飲食店のテーブルに置き去りにしてしまうこともしばしばだという。なぜ、同じ過ちを繰り返してしまうのか。

「ただただ、注意力が散漫なんでしょうね。もう、これは直らないと思うんです。まあ正直、財布を落としすぎて感覚がマヒしているのか、そんなに深刻に考えていないのかもしれない。落としたときの対処法はわかっているし、カードを不正利用されても金融機関に届ければお金は戻ってくる。身分証を持って消費者金融とかに行かれるとまずいけど、いまのところ、そこまで大ごとにはなっていませんからね」

「僕は財布を落とすエキスパートなので、いちいち焦りません」。そう言ってKさんは紙を見せてくれた。各鉄道会社の忘れ物センターや警視庁遺失物センター、カード会社の問い合わせ先が書いてある。

この紙がKさんの命綱だという

この紙がKさんの命綱だという

「落とす前提で生きているので、とりあえず主要な連絡先はおさえてあります。ただ、落としてもすぐには電話をかけず、まずはそれまでの動線をふりかえり、場所をある程度絞り込む。その後はなにもせず、翌日以降に然るべき機関に問い合わせます。財布を拾った人ってすぐには交番に行かず、翌日以降の空いている時間に届けることも多いので、直後に連絡しても見つからないことが多いんですよ。そもそも落とさないことが大事なんですけど、落としたときの対策は万全です」

もうひとつの悪癖「酒に酔うと、豪快に奢ってしまう」

さらに、Kさんにはお金にまつわる悪癖がもう一つある。酒に酔うと気が大きくなり、財布のひもがゆるゆるに緩んでしまうのだ。

「特に出張のときにやっちゃうんですよ。6年前に行った福岡でも、屋台でラーメンを食べていたら地元の大学生グループと意気投合して一緒に飲みに行くことになった。5人全員に奢ってしまって、なぜか2人に自転車まで買ってあげるという……。合計7万円くらい使いましたかね。ずいぶんと大盤振る舞いしちゃいました」

楽しい飲み会であればあるほど、散財という形でハメを外してしまう(写真はイメージ)

楽しい飲み会であればあるほど、散財という形でハメを外してしまう(写真はイメージ)

まるで大御所芸能人のようなエピソードである。元々お金に頓着しないタイプというが、楽しくなるとタガが外れてしまうようだ。また、こんなこともあった。

ぼったくられた翌日にまたぼったくられる

「大阪出張のとき、有名な繁華街に行ったんですよね。女の子と遊んで、帰ろうとしたら強面のおじさん3人に囲まれた。『にいちゃん、盗撮したやろ。携帯見せい!』って。やくざではないと思うんですけど、紫色のスーツ着たコテコテな感じの人です。そのまま“事務所”みたいなところに連れていかれ、2倍の料金をぼったくられました。悔しかったので、翌日別の店でリベンジしたんです。入店前にスタッフさんに事情を話したら、『そら災難やったなあ、安くしとくわ』って、2万円で遊ばせてくれた。でも、あとで調べたらそのエリアの相場って1万ちょっとらしいんです。結局、2日連続でぼったくられたわけですね」

聞くも悲惨なエピソードだが、それを話す当の本人はけろっとしている。それどころか、若干楽しそうだ。「いいネタができた」くらいにしか思っていないのかもしれない。

「酒の失敗はほかにもいろいろありますが、特に印象深いのは『靴をなくした話』かな。何軒か飲み屋をはしごして、気付いたら靴を片方しか履いてなかった。仕方がないからそのまま電車に乗ったわけです。そしたら、泥酔した知らないお姉さんが面白がって話しかけてきて、家の方向が同じだったので『タクシー代を折半して乗ろう』と。僕はタクシーに乗ってすぐ眠ってしまったんですけど、お姉さんはもっと話したかったみたいで、腹いせにもう片方の靴を窓から放り投げてしまった。両方なくなってスッキリしましたけどね(笑)」

「ちなみにお姉さんはタクシー代も持ってなくて、僕が全額払いました。それもこれも、どうしようもないエピソードですけど、まあ笑い話ですよ。接待の雑談にも困りませんしね。営業トークとして何回もこすってきたから、損した分は回収できていると思うんです」

「こうやって記事にもしていただけますしね」とKさん。ありがたいが、もう少し深刻に受け止めたほうが…

「こうやって記事にもしていただけますしね」とKさん。ありがたいが、もう少し深刻に受け止めたほうが…

正せない悪癖は「もはや不可抗力」。それでも反省は大事

そんなKさんだが、改善に努めようという気持ちはあるようだ。

「5年前に恋人ができて、もうすぐ結婚するんです。彼女と付き合い始めてからは、財布も3回しか落としていません」

3回も落としてるんかい! というツッコミをぐっと飲み込み、さらに続けてもらう。

「というのも、2回目のときにものすごく怒られて……、以降は落としたらすぐ気付くよう、財布に鈴をつけるようになりました。あとは、上着のポケットではなくかばんに財布を入れること。隠しファスナーになっていて、スリ被害を防止できるリュックも買いました。僕自身は落としても平気なんですが、さすがに彼女に申し訳ないので、改めようと努力はしています」

取材を終えて…

最後に、同じく「落とし癖」や「酒席での浪費癖」に悩む人にアドバイスはありますか? そう尋ねてみたところ、「その都度、しっかり反省することしかないでしょうね。僕も彼女にこってり絞られてからは、何か失敗するたびに日記に残し、時々省みるようにしています。少なくとも、酔って馬鹿なお金の使い方をすることはなくなりました」と、思いのほか真っ当な教訓が返ってきた。

わかっていても繰り返してしまう悪癖は、もはや「不可抗力に近い」とKさんはいう。それでも開き直らず反省を重ねること、また、万が一の際の対策を完璧に講じておくことが、損害を最小限に止める数少ない手段といえそうだ。

取材・文:榎並紀行(やじろべえ)
ツイッター: @noriyukienami
ホームページ:https://www.yajirobe.me/

※本記事は、執筆者個人または執筆者が所属する団体等の見解です。

榎並紀行

榎並紀行

雑誌やウェブコンテンツを製作する「やじろべえ」という会社で働いています。だいたい19時に帰って22時に寝ます。https://twitter.com/noriyukienami

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