ゴールドカードよりもさらにワンランク上のサービスを備えた「プラチナカード」。かつてはカード会社から招待を受けなければ入会できず、種類も数えるほどしかなかったが、近年は各社がこぞってプラチナカード市場に参入。申し込み可能なものも増え、普通のサラリーマンでも手の届く存在となっている。ここではプラチナカードのメリットなど基礎知識とともに、初めてプラチナカードをつくる人におすすめの、年会費が安いカードを紹介する。
目次
・プラチナカードの定番サービスは「コンシェルジュ」「空港ラウンジ」「グルメサービス」
・プラチナカードは大きく分けて「格安系」「高級系」「提携系」の3種類
・初めてのプラチナカードは「格安系」がおすすめ
1.Orico Card THE PLATINUM
2.ジャックスカードプラチナ
3.セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
4.MUFGカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード
5.エポスプラチナカード
・まとめ
プラチナカードは、一般カードやゴールドカードと比べて年会費が高い代わりに、手厚いサービスをそろえている。その内容はカードによって異なるが、定番となっているものが以下の3つだ。
コンシェルジュは専用デスクに電話するだけで、会員からのリクエストに24時間年中無休で応えてくれるサービス。レストラン、ホテル、交通機関の予約をはじめ、各種チケットやギフトの手配、買い物や旅行の相談など、基本的にクレジットカードでの支払いを前提とした内容であれば、たいていのことは受け付けてくれる。カードによってはメールでのやり取りも可能だ。
空港ラウンジはフライト前の時間を落ち着いて過ごすため、フリードリンクやWi-Fiなどが用意された待合室のこと。これを無料で使えるサービスはゴールドカードでも定番だが、ゴールドカードは基本的に国内の主要空港でしか使えないのに対し、プラチナカードは世界にある数百都市の空港で利用できる。
補足すると、国内の主要空港で空港ラウンジが使えるのはクレジットカード自体に付いているサービスで、ゴールドカードもプラチナカードも変わらない。プラチナカードの場合は、さらに「プライオリティ・パス」または「ラウンジ・キー」という、空港ラウンジプログラムが提供するサービスを利用することで、海外空港のラウンジが使えるようになる。
ゴールドカード
→国内の主要空港(クレジットカードのサービス)
プラチナカード
→国内の主要空港(クレジットカードのサービス)+海外の空港(プライオリティ・パスやラウンジ・キーといった空港ラウンジプログラム)
グルメサービスは対象のレストランや料亭の指定コースを2名以上で利用すると、1名分のコース料金が無料になるというもの。対象店舗は大都市に集中しているため、地方在住者は使いにくいサービスではあるが、高級店が多く、1回の利用で2万円以上得することもある。
(1)〜(3)はプラチナカードの必須条件ではないものの、ほとんどのプラチナカードで利用できるサービスだ。これらのサービスが付帯していない場合は、年会費が何に対する金額なのか、しっかり考えたほうがいい。この3つを使う機会がないならば、それ以外のサービスに年会費の価値を見出さなければ、プラチナカードを持つ意味はない。
プラチナカードの年会費は、特別な割引が適用される場合を除けば、すべて2万円以上。中には、10万円を超えるものもある。大きく分けると格安系、高級系、提携系の3種類で、基本的に年会費の高さとサービス内容の充実度合いは比例する。
年会費2〜3万円程度で「コンシェルジュ」「空港ラウンジ」「グルメサービス」という3つの定番サービスを中心に、カードごとに多少異なる内容が加わったもの。
年会費5万円以上で、毎年数万円相当のギフトがプレゼントされたり、ホテルや航空会社の上級会員資格が得られたりするものなど、カードによってサービス内容はさまざま。
航空会社や自動車メーカーなどがカード会社と提携して発行しているもの。それぞれ提携先ならではの優待が受けられる。
プラチナカードの入会方法は「申込制」の「招待制」の2通り
また、プラチナカードには「招待制」「申込制」という2つの入会方法がある(カード会社によって異なる)。招待制の場合はカード会社からのインビテーションが必要で、そのためには原則として同じ会社の下位カードを保有し、招待にふさわしいとされる基準(非公開)を満たすまでカードを使い続けなければいけない。
一方、申込制の場合は自分で申し込めるが、当然カード会社の審査はある。ただし、格安系では20代でも申し込めるプラチナカードも多いので、過剰な心配は不要だ。
初めてプラチナカードを持つのであれば、まずは年会費が安いものを選ぼう。プラチナカードは多くのサービスを提供しているため、はじめから年会費が高いカードをつくっても、使いこなせずに宝の持ち腐れとなってしまう可能性があるからだ。もちろん、目当てのサービスが定まっているなら最初から高級系に手を出しても問題ないが、一度格安系を経験しておいたほうが、高級系のプラチナカードを持ったときに比較しやすいだろう。
特にコンシェルジュサービスは人と人とのやり取りになるため、単純な数字で比較することが難しい。「格安系も高級系も同じ」という人もいれば、「やはり高級系のほうが優れている」という人もいる。相性もあるので、実際に経験しないと良し悪しを判断できない。
では、格安系プラチナにはどんなカードがあるのか。初めてのプラチナカード選びで選択肢に入れてほしい、申込制の5枚を紹介する。格安系のためサービス内容に大きな差異はないが、注目したいのは年会費と還元率のバランス。利用金額や利用シーンに応じて還元率が変わるものが多いため、使い方次第で実質的な維持費は大きく異なる。
「プライオリティ・パス」と「ラウンジ・キー」の違いも把握しよう
また、各カードともに空港ラウンジはプライオリティ・パスかラウンジ・キーが使えるが、使い勝手は一長一短。プライオリティ・パスは世界1,200か所以上で使えるが、別途申し込み(無料)をして専用カードを持つ必要があり、定期的に更新する手間がかかる。ラウンジ・キーは世界1,000か所以上とラウンジ数では劣るが、クレジットカード自体が会員証となるため、申し込みや更新の手間が必要ない。この点も踏まえて選ぶといいだろう。
まず、比較基準としても知っておきたいのが「Orico Card THE PLATINUM」。年会費は2万円(消費税込み)で、家族カードは無料。空港ラウンジはラウンジ・キーが年6回まで無料(7回目以降は1回27ドル)。また、クレジットカード自体のサービスとしても、国内16空港および韓国の仁川国際空港、ハワイのダニエル・K・イノウエ国際空港(旧ホノルル国際空港)が何度でも無料で利用できる。
グルメサービスでは、対象レストランを2人以上で利用すると1人分が無料になる「ダイニング BY 招待日和」(Mastercardの「TASTE OF PREMIUM」の特典)が利用できるほか、カード会員向けサービス「Orico Club Off VIP」でホテルレストランが最大5割引き、大手飲食チェーンでも各種優待を受けられる特典もある。
還元率は基本1%。オリコモール経由で+1%などポイントを貯めやすい
また、ショッピング利用額に応じてオリコポイントが貯まり、基本は100円につき1P(=1円相当)の1%還元。同カードとひも付けた電子マネーのiD、QUICPay利用分はポイントが1.5倍、海外利用分も1.5倍となる。さらに誕生月の利用はポイント2倍。ポイント優待サイト「オリコモール」を経由してネットショッピングすると、ショップごとに設定された倍率のポイントに加えて、利用額の1%のポイントが特別加算される。
Orico Card THE PLATINUM
発行元/オリエントコーポレーション
国際ブランド/Mastercard
年会費/2万円(消費税込み)
空港ラウンジ/ラウンジ・キー(年6回まで無料、7回目以降は1回27ドル)
グルメ/「ダイニング BY 招待日和」など
基本ポイント還元率/1.0%
「ジャックスカードプラチナ」は年会費2万1600円(消費税込み)で、家族カードは無料。ラウンジ・キーが年6回まで無料(7回目以降は1回27ドル)なのはOrico Card THE PLATINUMと同じだが、クレジットカード自体のサービスとして使えるラウンジは国内28空港と、微妙な違いがある。
グルメサービスは、Mastercardの「TASTE OF PREMIUM」の特典である「ダイニング BY 招待日和」のほか、有名ホテルのレストランが優待価格で楽しめる「プレミアムダイニング」、飲食チェーンなどのクーポンサイト「食べタイム」のサービスが利用できる。
基本還元率1.5%。年間利用額に応じて最大2%に
ショッピング利用額に応じてジャックスのポイントであるラブリィポイントが貯まり、基本は200円につき3P(=3円相当)の1.5%還元。年間利用額に応じて次年度のポイント還元率がアップする制度があり、最大で2%還元となる(前年に300万円以上利用した場合)。さらに、年間利用額に応じて、カード利用代金に充当できる「Jデポ」が、最高で1万円分もらえる(年300万円以上利用した場合)。
ジャックスカードプラチナ
発行元/ジャックス
国際ブランド/Mastercard
年会費/2万1600円(消費税込み)
空港ラウンジ/ラウンジ・キー(年6回まで無料、7回目以降は1回27ドル)
グルメ/「ダイニング BY 招待日和」など
基本ポイント還元率/1.5〜2.0%
「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」は、ビジネスオーナー向けのプラチナカードだが、事業主でなくとも申し込み可能。年会費は2万1600円(消費税込み)で、年間200万円以上利用すると、次年度は半額の1万800円(同)となる。追加カードは1枚3,240円で、18歳以上の従業員または条件を満たす家族に発行できる。
空港ラウンジはプライオリティ・パスに別途申し込み、送られてくる専用カードを提示すると、世界1,200か所以上を何度でも無料で使える(追加カードでは申し込み不可)。国内28空港およびハワイのダニエル・K・イノウエ国際空港は、クレジットカードの提示だけで利用可能だ。
ビジネス向けということもあり、2人以上の利用で1人分が無料になるグルメサービスは使えないが、「entrée(オントレ)」のサービスが利用でき、数は少ないながらも高級レストランでの優待が受けられる。また、ビジネスやライフサポート関連の優待が充実していることも特徴だ。
年会費無料の「SAISON MILE CLUB」登録でマイル還元率1%+永久不滅ポイント0.25%!
ショッピングでは、利用額に応じて永久不滅ポイントが貯まる。基本は1,000円につき1P(=5円相当)で、還元率は0.5%。海外利用時は2倍の1%となる。また、「SAISON MILE CLUB」に申し込む(このカードの場合は年会費無料)と、ショッピング利用額に応じてJALマイルが1,000円につき10マイル(年間15万マイルが上限で、超過分は永久不滅ポイントが1,000円につき1P)+永久不滅ポイントが2,000円につき1P貯まるようになる。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
発行元/クレディセゾン
国際ブランド/AMEX
年会費/2万1600円(消費税込み)
空港ラウンジ/プライオリティ・パス
グルメ/「entrée(オントレ)」
基本ポイント還元率/0.5%(または1%のマイル+0.25%のポイント)
「MUFGカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード」は年会費2万1600円(消費税込み)で、リボ払いサービス「楽Pay」登録し、年1回以上リボ手数料を支払うと、次年度の年会費が3,000円引きの1万8600円になる。家族カードは1名無料で、2人目以降は1名につき3,240円。
海外空港ラウンジはプライオリティ・パスを別途申し込み、送られてくる専用カードを提示すると、世界1,200か所以上を何度でも無料で利用できる。プライオリティ・パスは家族会員でも申し込めるので、夫婦で海外に行きたい人などは、1枚あたりの単価を安くできるメリットがある。また、国内28空港およびハワイのダニエル・K・イノウエ国際空港に関しては、クレジットカードを提示するだけで利用可能だ。
グルメサービスでは、対象レストランを2人以上で利用すると1人分が無料になる「プラチナ・グルメセレクション」を提供。前述の招待日和と同じ会社がサービスを運営している。このほかに高級レストランでの優待が受けられる「スーペリア・エキスペリエンス」もあるが、こちらも中身は前述した「entrée」と同一で名称が違うだけである。
年間獲得ポイントの20%分がプレゼントされる特典も
ショッピング利用額に応じてグローバルポイントが貯まり、基本は1,000円につき1P(=4〜5円相当)。海外利用分に対してはポイント2倍となり、入会初年度は国内利用分も1.5倍、入会時に指定した記念月の利用分も2倍となる。また、年間50万円以上利用すると次年度のポイントは1.2倍、100万円以上利用では同1.5倍。さらに継続利用の条件などを満たすと、年間獲得ポイントに対して、最大20%のポイントがプレゼントされる特典もある。
MUFGカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード
発行元/三菱UFJニコス
国際ブランド/AMEX、1,080円の手数料で銀聯(UnionPay)も追加発行可能
年会費/2万1600円(消費税込み)
空港ラウンジ/プライオリティ・パス
グルメ/「プラチナ・グルメセレクション」、「スーペリア・エキスペリエンス」
基本ポイント還元率/0.4〜0.5%
「エポスプラチナカード」は年会費3万円(消費税込み)と、これまで紹介してきたカードと比べて高めだが、一度でも年間100万円以上利用すると、次年度以降は年会費2万円(消費税込み)となる。また、インビテーションを受けて入会した場合は初年度から年会費2万円。家族カードは発行できない。
空港ラウンジはプライオリティ・パスに別途申し込み、送られてくる専用カードを提示すると、世界1,200か所以上を何度でも無料で利用できる。国内19空港および韓国の仁川国際空港、ハワイのダニエル・K・イノウエ国際空港に関しては、クレジットカードの提示だけで利用可能だ。
グルメサービスでは、対象レストランを2人以上で利用すると1人分が無料になる「エポスプラチナカードグルメクーポン」を提供。このほかにも高級店からチェーン店まで、さまざまな飲食店での優待が用意されている。
指定した店舗でポイント還元率をアップさせるサービスも
ショッピングでは利用額に応じてエポスポイントが貯まり、基本は200円につき1P(=1円相当)の0.5%還元。「選べるポイントアップショップ」というサービスに登録した加盟店(3つまで選択可)を利用した際はポイントが最大3倍となり、誕生月の利用もポイント2倍。また、年間利用額に応じたボーナスポイントもあり、100万円以上利用した場合は2万ポイント、200万円以上なら3万ポイントと段階的にアップする。最高で10万ポイント(年1500万円以上利用した場合)となる。
エポスプラチナカード
発行元/エポスカード
国際ブランド/Visa
年会費/3万2400円(消費税込み)、年100万円以上利用で次年度以降は2万1600円(消費税込み)
空港ラウンジ/プライオリティ・パス
グルメ/「エポスプラチナカードグルメクーポン」など
基本ポイント還元率/0.5%
これまで紹介した、年会費が格安のプラチナカード5枚の特徴を比較すると、以下のようになる。
「格安系」プラチナカードのスペック比較表。年会費は消費税込み
プラチナカードは手厚いサービスが特徴だが、年会費も高額。付帯するサービスを利用する機会がないなら宝の持ち腐れとなってしまうので、まずは年会費の安いものを使ってみて、自分が本当にプラチナカードを必要としているのかを確認したほうがいい。
初めてのプラチナカードを選ぶ際は、「Orico Card THE PLATINUM」を基準に考えるといい。年間利用額次第では「ジャックスカードプラチナ」や「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」のほうが、維持費が安くなる。
また、海外空港ラウンジを年7回以上使うなら、何度使っても無料のプライオリティ・パスに登録できるカードのほうがいい。特に家族でもラウンジを使いたい場合は、家族会員も申し込める「MUFGカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード」を選んだほうが、1枚あたりのコストを抑えられる。年間利用額と利用する可能性のある空港を事前に想定しておくと、スムーズに候補が絞れるだろう。
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普段は⾳楽やエンタメ関係の仕事が多いが、2008年に当時勤めていた会社の都合でクレジットカード本を制作。以降、クレジットカード、電⼦マネー、ポイントなどに詳しくなり、各種媒体で編集・執筆を手がける。