備える
取材ライターも、もらえるお金がたくさんありました

これは助かる♪ 資格取得から家の修繕まで。役所から「もらえる」助成・補助金ガイド

2019年10月に消費税がいよいよ10%の大台に乗ります。家計への逆風は増すばかりですが、こんなときこそ、公的な助成金や補助金など「役所からもらえるお金」をうまく活用したいところ。

そこで、社会保険労務士・FPの井戸美枝さんに、ちょっとした手続きでもらえるこれらの制度について聞きました。記事の最後では、アプリやサイトを使って探す便利な方法も紹介。必見です!

お役所からもらえるお金は種類も多く、額もバカにできません。見逃さずに利用してください

自分から言わないともらえない

国や自治体の助成金・補助金の最大の特徴は、「自分から申請しないともらえない」という点にあります。井戸さんは、次のように話します。

「国や自治体は個人が何に困っているかまではわかりません。待っていても制度のほうから寄ってきてくれないので、『どういった制度があるのか』『どうすれば使えるのか』を知っておく必要があるんです」

制度をすべて覚えるのは難しくても、ざっくりと「このような制度がある」と知っておくだけで、いざ困ったときにスムーズに申請に動くことができます。頭に入れておきたい代表的な制度をジャンル別に紹介していきましょう。

【スキルアップ系】資格取得の費用が軽減される

お得に資格が取れれば、喜びもひとしお。使わない手はありません

働く人なら気になる「スキルアップ」。このスキルアップにかかる費用が戻ってくる制度があります。

「『教育訓練給付金』というお金が用意されているんです。下記2つの制度があるので、うまく使ってほしいですね」(井戸さん)

【国の制度】一般教育訓練給付金

・退職から1年までにその講座がスタートする人か在職中の人が対象。
・簿記検定、社会保険労務士の資格取得や英会話など専門的知識や能力向上を図る講座など、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講して修了すると、入学料・受講料(最大1年分)の20%が支給される。
・10万円が上限で4,000円未満の場合は支給の対象外。退職するまでの雇用保険被保険者期間が3年以上、退職の翌日から受講開始までが1年以内、受講開始日に雇用保険の被保険者期間が3年以上の在職者、初めて給付を受ける人は被保険者期間1年以上などが要件となる。
・届け出先はハローワーク。
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_education.html

【国の制度】専門実践教育訓練給付金

・MBAや介護福祉士、キャリアコンサルタントなど、専門的・実践的な教育訓練に対する給付制度。
・事前にコンサルティングを受け、就業の目標、職業能力の開発・向上に関する事項を記したジョブカードの交付を受けた上で厚生労働大臣指定の教育訓練を受けると、受講の場合は費用の50%(上限40万〜120万円)、資格取得後1年以内に雇用されると費用の70%(上限56万〜168万円)が支給される。
・退職の翌日から受講開始までが1年以内(適用対象期間が延長されると最大20年以内)、受講開始日に雇用保険の被保険者期間が3年以上の在職者、初めて給付を受ける人は被保険者期間2年以上、前回の教育訓練給付金受給から3年以上経過などが要件となる。
・届け出先はハローワーク。
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_education.html

注意したいのは、これらの2つの制度は、雇用保険の加入者が対象になること。

「自営業やフリーランスなど雇用保険に加入していない人は支給を受けることができません。アルバイトに関しては、1週間で20時間以上の勤務実態があると加入義務があり、給与明細から雇用保険が引かれていれば使うことができます。給与明細をチェックしておきましょう」(井戸さん)

【住宅系】充実のジャンル。もれなく申請を

自分で制度を調べきれないときは、直接役所に問い合わせてみましょう

住宅に関する支出は、生活における最も大きなコストといえます。生活の根幹に関わるので、国・自治体ともに力を入れている分野です。

「たとえば『すまい給付金』や『住宅ローン減税』は、2019年10月の消費増税にともない、さらなる拡充が見込まれています」(井戸さん)

代表的な制度を見ていきましょう。

【国の制度】すまい給付金

・住宅購入時の消費税負担を緩和する制度。返済期間5年以上の住宅ローンを借り入れた、もしくは現金取得した50歳以上の人が対象で、収入が一定以下、2021年12月31日までに居住、床面積50m2以上が条件。
・取得した時期の消費税率が8%か10%かで給付額などが異なり、前者であれば給付基礎額の目安は10万〜30万円、後者だと10万〜50万円(収入額により異なる)。
・入居後、「すまい給付金事務局」に申請する。
http://sumai-kyufu.jp/

【国の制度】住宅ローン減税

・マイホームの取得やリフォーム目的で住宅ローンを利用すると、年末時点の残高に応じて所得税が軽減する。控除期間は最大10年間(2019年の消費増税にともない、13年間に延長予定)で、1年間の控除額上限は一般住宅40万円、認定住宅50万円。
・住宅ローンの返済期間10年以上、床面積50m2以上、新築または耐震機能がある築20年以内(耐火構造の場合は25年以内)の中古住宅が対象で、リフォームの場合は一定の要件あり。
・所得3000万円以下、取得から6か月以内、12月31日まで居住などの条件も。
・1年目は税務署(確定申告)へ届け出て、2年目以降は年末調整で処理される。
http://www.nta.go.jp/

【自治体の制度】耐震診断費用助成・耐震補強工事助成

・地震大国の日本では、揺れによる住宅の影響が大きく、特に、1981年5月31日以前に着工された旧耐震基準の住宅は耐震性に懸念があり、全国の自治体が耐震診断にかかる費用や補強のための費用を助成している。
・東京都世田谷区の「木造住宅の耐震化支援事業」の場合、補強費用30万円、耐震改修工事費100万円などを上限と定めている。
・届け出先は各市区町村。
※制度の有無や助成の条件、内容は各自治体によって異なります。

【自治体の制度】空き家・老朽建築物の解体助成

・全国にある空き家や老朽化した建物は防犯上や火災などに対して問題があるため、解体費用の一部を助成する制度が充実している。
・東京都大田区の「老朽建築物除去助成」では、対象となる建築物の除去費用のうち、最大100万円を助成。
・同荒川区の「老朽空家住宅除去助成事業」の場合は一定要件を満たす住宅の除去に対して、費用の2分の1の額(上限1件50万円)を助成する。
・届け出先は各市区町村。
※制度の有無や助成の条件、内容は各自治体によって異なります。

住宅関係の補助金・助成金で注意したいのは、さまざまな要件が設けられているという点。たとえば、すまい給付金や住宅ローン減税であれば「床面積50m2以上」など。

「登記簿に記載する面積は広告に記載されている面積より小さいことがあるので、取得前にしっかりと確認しておきましょう」(井戸さん)

【医療系】いざというとき、最優先で使いたい

何事も体が資本です。これらの制度をぜひ覚えておいてください

病気やケガといったトラブル、あるいは出産といった人生の一大イベントには、思わぬ出費がともないます。国民が安心して暮らせるよう、国や自治体も多くのサポートを用意しています。

【国の制度】高額療養費制度

・1か月間の医療費の自己負担分が一定額以上になると、超えた分が健康保険から給付される制度。
・健康保険の加入者で、治療を受けた人が対象。医療機関ごとに計算され、それぞれで合計が自己負担額を超えると給付対象になる。
・自己負担額は年齢と所得によって異なり、70歳未満で標準報酬月額が28万〜50万円だと「8万100円+(総医療費−26万7000円)×1%」の計算式で算出。
・会社員は勤務先を通じて健康保険組合・協会けんぽへ申請、国民健康保険加入者は市区町村に届け出をする。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html

【国の制度】出産育児一時金

・正常分娩は病気ではないため全額自己負担。その費用は平均で50万円だが、健康保険から「出産育児一時金」として、子どもひとりにつき42万円が支給される。
・妊娠4か月(85日)以上で出産、流産・死産の場合も対象になる。
・被保険者期間が1年以上で退職した日から6か月以内に出産した場合は在職中、もしくは出産時に加入している健康保険のどちらかを選ぶ。専業主婦は夫が加入する健康保険から支給される。
・医療機関または健康保険組合に届け出る。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat315/sb3080/r145

【国の制度】傷病手当金

・健康保険の加入者で、連続して3日間(待期)の後、4日目以降から休業した人が対象(医師の意見書が必要)で、最長で1年6か月、給与の3分の2程度が支給される制度。
・月収30万円の人が60日休業した場合は、およそ40万円となる。
・勤務先を通じて健康保険組合・協会けんぽに申請する。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139

病気やケガ、出産は多額の出費につながることがあります。いざというときに困らないため、これらの制度を頭に入れておきましょう。

【その他】電動自転車の購入補助!? 知っていて損のない制度一覧

各自治体がユニークな制度を用意しています

ここまでさまざまな制度に触れてきましたが、国や自治体が実施する支援策はまだまだあります。中には「こんなことにも?」というユニークな内容も。住んでいる自治体に同じような制度がないか、一度調べてみては?

【子育て・介護】

【自治体の制度】電動自転車購入補助
・対象者:電動アシスト自転車を購入した人
・もらえる額の目安:愛知県豊橋市「電動アシスト自転車購入補助金」の場合、市内店舗を対象に購入費の4分の1(上限1万5000円)
・申請先:各市区町村
※制度の有無や助成の条件、内容は各自治体によって異なります。

【自治体の制度】家族介護慰労金制度
・対象者:一定要介護者を居宅で介護している人など
・もらえる額の目安:年10万円まで
・申請先:各市区町村
※制度の有無や助成の条件、内容は各自治体によって異なります。

【自治体の制度】介護支援ボランティアポイント事業
・対象者:指定のボランティア活動を行った人
・もらえる額の目安:兵庫県姫路市「介護支援ボランティア事業」の場合、所定の研修の受講修了後、指定のボランティア活動を行った40歳以上の人に対して、実績に応じたポイントを付与。翌年に1P=100円で換金できる
・申請先:各市区町村
※制度の有無や助成の条件、内容は各自治体によって異なります。

【健康づくり】

【国の制度】ジム利用代の医療費控除
・対象者:運動療法処方箋を処方された人
・もらえる額の目安:「厚生労働大臣認定健康増進施設」のジムや医療機関型の施設などを利用後、利用料金領収書と運動療法実施証明書を確定申告の際に提出すると医療費控除の対象になる
・申請先:税務署(確定申告)

【自治体の制度】健康ポイント制度
・対象者:健康に資する行動をした人
・もらえる額の目安:神奈川県横浜市「よこはまウォーキングポイント」の場合、歩いた歩数に応じてポイントを付与。ポイントに応じて抽選で商品券などが当たる
・申請先:各市区町村
※制度の有無や助成の条件、内容は各自治体によって異なります。

【エコ】

【自治体の制度】太陽光発電システム補助金
・対象者:太陽光発電システムを設置しようとする人
・もらえる額の目安:数万〜20万円程度
・申請先:各市区町村
※制度の有無や助成の条件、内容は各自治体によって異なります。

【自治体の制度】生ごみ処理機購入助成
・対象者:家庭用生ごみ処理機を購入した人
・もらえる額の目安:東京都千代田区「家庭用生ごみ処理機購入助成制度」の場合、本体の購入費用の3分の2(上限3万円)
・申請先:各市区町村
※制度の有無や助成の条件、内容は各自治体によって異なります。

【リフォーム】

【自治体の制度】住宅リフォーム助成
・対象者:自宅に安全に長く住むためのリフォームをした人
・もらえる額の目安:東京都渋谷区「住宅簡易改修工事費助成」の場合、工事費の20%(工事費5万円以上/上限10万円)
・申請先:各市区町村
※制度の有無や助成の条件、内容は各自治体によって異なります。

【国の制度】住宅特定改修特別税額控除
・対象者:自宅をバリアフリーや省エネ改修、耐久性向上改修をした人
・もらえる額の目安:標準的な各工事費相当額×10%
・申請先:税務署(確定申告)

【自治体の制度】防犯対策助成
・対象者:防犯設備を整備した商店街や町会、自治会、マンション管理組合など
・もらえる額の目安:東京都港区「共同住宅防犯対策助成事業」の場合、費用総額の2分の1(100円未満切り捨て/上限50万円)
・申請先:各市区町村
※制度の有無や助成の条件、内容は各自治体によって異なります。

【制度の探し方】1月、4月、8月は注意して見ておこう

ここまで見てきたように、意外と多い助成金や補助金の数々。
自分が使える制度をうまく見つけるためにどうすればいいのでしょうか? 井戸さんは3つのポイントを上げます。

助成金・補助金を見つけるための3つのポイント
1. 出産、住宅購入、病気、介護など、人生の節目には必ず調べる
2. 役所のホームページや広報誌をチェックする
3. アプリやサイトで探してみる(後述)

「助成金や補助金は、住宅や健康、仕事など、国の施策を反映したものがほとんどです。その背景には、こうした制度を活用しながら、国民が自立し、健康に生きてほしいという狙いがあります。各自治体は国の意向を受けて制度を用意しますから、人生の節目や、困ったことが生じたタイミングで助成金や補助金をチェックすることをおすすめします」(井戸さん)

ただし、国や自治体はこれら支援制度のために予算を組んでいて、人気のものだと申し込みが殺到して、年度内であっても申請を打ち切ることも。

「税金関係は毎年1月、社会保険系は4月、雇用保険関連は8月に制度の改正が行われることが多く、これらのタイミングは特に注意して、情報をキャッチしてください」(井戸さん)

アプリ・サイトでも探せる

最近は、国や全国の自治体の支援制度をまとめたアプリやサイトも登場しています。役所のホームページから見つけにくい場合は、これらのサービスを使うのもいいでしょう。ここでは代表的な3つのサービスを紹介します。

マチイロ
・株式会社ホープによる、全国約600自治体の情報を集約して紹介するサービス。
・アプリをダウンロードし、性別、年齢、居住地域、さらには「健康」「住まい」など、関心のある分野を登録すると、それにマッチした自治体情報を表示してくれる。
・各地の広報誌や行政関連の情報が簡単に入手できるのも便利。
https://machiiro.town/

わたしの給付金
・家計簿サービスなどを展開する株式会社Zaimが提供する給付金情報をリサーチできるサービス。
・基本無料で使えるが、月額360円の有料会員になると家族構成や家計簿の情報から、利用できるかもしれない支援制度を自動的にピックアップしてくれる。
・サイトとアプリの両方からアクセスできる。
https://content.zaim.net/benefits

ほじょナビ
・「一般社団法人みんなでつくる良い行政サービス協会」によるウェブ・アプリのサービスで、東京都内23区の行政サービスを調べられるもの。
・無料の会員登録で年齢や性別、居住区、見たい行政サービスなどを入力すると「利用できる金銭的サポート」「利用できる住まい・生活サポート」などを抽出。
・家族の情報も登録しておくと、それぞれに合った情報も表示。登録した以外の区の情報も調べることができる。
https://www.hojonavi.jp/mypage/

「ほじょナビ」でライターが探してみた

ここまで取材してきて、実際に自分がどんな制度が使えるか気になってきました。そこで「ほじょナビ」を使って、自分が利用できる制度を調べてみることに。

アラフィフ、独身、住まいは都内城南地区の某区……と個人情報を登録し、「健康・医療」「生活・環境」など、計14ジャンルの行政サービスをすべてチェックしました。
その結果は、「利用できる金銭的サポート」が31件、「利用できる健診・予防接種」が13件、「利用できる住まい・生活サポート」が2件との結果に。意外と多い!

主なものは、

・住宅ローン減税
・すまい給付金
・投資型減税
・予防接種費用の助成
・雨水利用タンク設置助成
・建替助成制度と建替えに伴う仮住まい
・国保保健指導

といったもの。

各項目をクリックすると、対象者やサービス内容、申請窓口・問い合わせ先といった詳細も確認できるので、なるほど、これは便利です。

いざというときに使える制度を知っておくだけでも、安心感が違います。
皆さんもぜひ、自分が使える制度を一度チェックしてみてください。

※掲載情報は2018年12月20日現在

教えてくれた人
井戸美枝(いど・みえ)さん
社会保険労務士、FP。生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題が専門。「難しいことでもわかり易く」をモットーに、お金に関する複雑な情報・仕組みを生活者の立場で解説。2013年10月からは厚生労働省 社会保障審議会 企業年金部会委員も務める。兵庫県神戸市生まれ。関西大学社会学部卒業。経済エッセイストとして雑誌・新聞の連載の他、『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)など著書も多数。

大正谷成晴

大正谷成晴

フリーランスの編集・ライター。資産運用全般、ビジネス、クレジットカード、副業、医療・介護など、幅広いジャンルで取材・執筆している。企業の女性活用に関する記事執筆も多数。 著書に『決定版 1万円からはじめるFX超入門』(かんき出版)など

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