備える
保険に入りっぱなし、支出を把握せず、家計を圧迫する通信費

2,000件の家計相談から見えてきた、つまずきがちなポイントと改善術

皆さん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの平野雅章です。
ファイナンシャルプランナーは、金融、保険、住宅ローン、税金など家計に関わる幅広い知識を持っています。そして、相談者の夢や目標をかなえるために、資金計画を立ててお金の面から実現をサポートする仕事。”家計のドクター“と言ってもいいかもしれません。

同じファイナンシャルプランナーでも、講師、執筆、金融商品の販売など、人によって中心となる業務はさまざまですが、私はお客様から相談を受けて、アドバイスするのを主な業務にしています。これまで2,000件以上の有料相談を受けた中で見えてきた、多くの家計がつまずくポイントと、その改善術を紹介します。

ケース1:独身時代の生命保険、医療保険に入りっぱなし

生命保険の相談に来られたAさん・Bさん夫妻は30代、子どもが2人います。夫のAさんは上場企業に勤務、妻のBさんは出産後に退職し専業主婦になりました。

夫妻とも独身時代に加入した保険と共済について、結婚後やお子さん誕生後も見直しはしてこなかったとのこと。保障額は以下の金額でした。
【死亡保障額】
Aさん(夫):300万円
Bさん(妻):800万円
【医療保障額】
Aさん:9,000円(入院1日あたり)
Bさん:1万9000円(入院1日あたり)

死亡保障額が、万が一のときの「必要保障額」に全然足りていない

最も大きな問題は、家族構成が変わったことにより、加入している保険の死亡保障額と「必要保障額」に大きな差が生まれていることです。
「必要保障額」とは、一家の大黒柱が死亡したときの遺族保障として必要な金額。一般的な必要保障額の計算方法である「積み上げ方式」では次のように計算します。
(1)遺族の総支出を計算(遺族の生活費+子どもの教育資金+住宅費など)
(2)遺族の総収入を計算(公的遺族年金+勤務先の死亡退職金+配偶者の給与+預貯金など)
(3)「遺族の総支出」−「遺族の総収入」で算出

改善術:遺族が一定額を毎月受け取れる「収入保障保険」で死亡保障を充実

必要保障額は独身の場合、ゼロかせいぜい葬式費用分になるのが一般的。結婚して最後のお子さんが生まれた時点が最も多い金額になり、相談時点でこの方法によって計算されたAさんの必要保障額は4300万円でした。

いっぽう、Bさんに万が一のことがあった場合、必要保障額はゼロでした。近くに住む親のサポートが見込め、収入と支出金額に大きな変化はないと思われるためです。Aさんは死亡保障額を大幅に増やす必要があり、逆にBさんは減らしてよいという結果になりました。Aさんの死亡保障は、万一の場合、一定額を毎月遺族が受け取れて、しかも保険料が安い「収入保障保険」を選び、保険料は2,000円台で済みました。

高額治療でも自己負担額に上限。頼れる「高額療養費制度」

次は医療保障の見直しです。公的医療保険には「高額療養費制度」と呼ばれる、同じ月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分を健康保険組合、あるいは国民健康保険で負担してくれる制度があります。自己負担限度額には収入による区分があり、3万5400円から26万円程度とかなり幅があります。
会社員で税込年収600万円の場合、自己負担限度額は9万円程度の区分になるのが一般的です。
参考:全国健康保険協会ホームページ「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」

さらに、健康保険組合によっては自己負担額をさらに減らしてくれる「付加給付」の制度を設けているところもあります。Aさんの勤務先の健康保険組合では月の自己負担限度額はわずか月2万円で、医療保障にかけすぎだったことがわかりました(ただし、入院時の食事代や、希望して個室に入院したときにかかる差額ベッド代などは全額が自己負担となります)。

改善術:かけすぎだった入院1日あたりの保障額を5,000円に削減

夫妻が加入している医療保険の保障額を減額、Bさんが加入している共済は解約し、夫妻とも保障額を入院1日あたり5,000円まで抑えました。結果として保険料を毎月8,000円以上削ることができ、収入保障保険で増えた分を合わせても保険料は合計6,000円ほど下がりました。死亡保障と医療保障が適切な金額になることでAさん・Bさんの安心感も高まりました。

ケース2:DINKSの落とし穴。支出額をほとんど把握せず

住宅購入の相談に来られたCさん・Dさん夫妻は30代。夫妻とも忙しく働いていて、子どもはいません。世帯年収は1000万円をかなり超えていて、時間に余裕がないこともあり、休日はもちろん、平日もほぼ毎日外食しています。夫妻でスポーツクラブの会員になり月2万円台の会費を支払っていますが、利用するのは月平均1回程度。夫妻ともファッションにはかなりお金をかけていて、海外旅行も年3回は行っているとのこと。

平日も毎日外食、海外旅行は年3回。ふくれ上がる食費と趣味のお金

自分たちがどのぐらいお金を使っているかほとんど把握していないので、前年の税込年収から手取りの金額をまず計算。そこから前年1年間で増えた貯蓄額(数十万円ほど)と家賃を差し引くことで、住宅費を除く支出額を算出したところ年間約690万円となりました。「海外旅行は年で150万円ぐらい使っているかな」ということだったので、月の基本的な生活費(住宅費を除く)は45万円ほどと推測されます。

この生活費を続けたまま希望価格帯の住宅を購入するという想定で、数十年先までの家計収支と、手元のお金の残高シミュレーションであるキャッシュフロー表(ライフプラン表と呼ばれることもある)を作成すると、老後生活費が大きく不足してしまいました。

改善術:家計簿アプリで支出額を「見える化」

このような相談者の特徴としてあげることができるのは、次の3点です
(1) 自分たちの支出額を把握していない
(2) 自分たちがすごくお金を使っているとは思っていない(使っている実感がない)
(3) 給与の振込口座に残ったお金を貯蓄としている(貯蓄専用の銀行口座がない)

(1)(2)の問題を解決するには、生活費が膨張している原因をより明確にし、支出を記録することで「見える化」し、支出を抑える意識を強く持ってもらう必要があります。そのために、スマートフォンの家計簿アプリを夫妻で利用してもらうことにしました。

改善術:財形貯蓄など利用し先取り貯蓄。生活費は残った範囲でやりくり

(3)に関しては、まず海外旅行費を半分にすることを前提に目標貯蓄額を設定。その金額が天引きされる、あるいは口座への給与振り込み直後に別口座に移されるよう、勤務先の財形貯蓄、個人型の確定拠出年金、ネット銀行の積立定期預金などを利用して自動化してもらいました。貯蓄を先取りし、残ったお金の範囲で生活費をやりくりする生活に変えたのです。

ケース3:通信費やマイカー維持費が家計を圧迫

教育費や老後資金が心配で相談で来られたEさん・Fさん夫妻は40代、子どもが2人います。Eさんは会社員、Fさんはパートタイマ―として働いています。子どもを中学から私立に入れることも考えたいとのことで、教育費の負担で手元のお金が少なくなる期間が長くなりそうです。そうなると、今から生活費を抑えて手元の貯蓄を厚くしておきたいのですが、生活費の中で気になったのは通信費とマイカー維持費でした。

スマホは大手キャリアと契約。夫婦の通信費は毎月3万円

通信費は3万円ほど使っていて、そのうち2万円近くは大手キャリアで契約している夫妻のスマートフォン代。固定電話も契約しています。まだ子どもにスマートフォンは持たせていませんが、近いうちに持たせることになり、さらに通信費はふくらみそうです。

たまにしか使わないマイカー維持費に年間33万円

また、マイカー維持費は、マンションの駐車場代が月に約1万6000円かかるのが大きく、ガソリン代、自動車保険料、税金などを合わせた年間コストは約33万円、平均すると毎月約2万7500円の負担で、これ以外に車検代とマイカーの購入費用もかかります。給油するのは2か月に1回とのことでそれほど使っていない状態です。

改善術:格安SIMキャリアと契約、固定電話を解約、カーシェアを利用

そこで次の3点について、夫妻に提案しました。
(1) 夫妻のスマートフォンを格安SIMキャリアに変える
(2) 固定電話を解約する
(3) マイカーの所有をやめ、カーシェアリングを利用する

これらを実行することで月の生活費を平均3万円ほど減らすことができそうですが、夫妻は「3つともやりたくない」というのが最初の反応でした。(1)(3)についてあまり知識がなく、面倒だという印象が強いようです。そこで、生活費が現状のままの場合と、生活費が月平均3万円下がった場合の2パターンのキャッシュフロー表を比較して見てもらうと、EさんもFさんも「ぜひ実行したい」という気持ちに変わりました。

月3万円削減すれば、年間で36万円、20年間では720万円の節約に

生活費が月3万円減れば、年間で36万円節約できます。今回の節約を実行するかしないかで、Fさんが60代となる約20年後には単純計算で720万円の差が出てきます。このお金を活用し、住宅ローンの繰り上げ返済ができるほか、増えた分のお金が利息や運用利益を生み出すというメリットもあるため、差はさらに広がります。そのため、Eさん・Fさん夫妻はこの3つを実行するだけで、老後資金不足が解消できるシミュレーション結果になったのです。

人生100年時代には欠かせぬ「メタボ家計のダイエット」

家計では小さな改善も生涯で考えると大きな差になります。人生100年時代ではその傾向がますます強まり、家計管理の重要性は増すばかりです。長期で相談できる、頼りになるFPを探し、継続的にチェックとアドバイスを依頼してみてはいかがでしょうか。

平野雅章

平野雅章

住宅・保険・ライフプランの不安を1回で解消する相談専門FPとして2,000件超の有料相談実績を誇る。2007年横浜FP事務所を開業、全国FP相談協会代表理事、神奈川県立産業技術短大の非常勤講師も務める。CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

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