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100万円、103万円、130万円…たくさんある「壁」を意識せずに働こう

パート主婦必見! 収入の「5つの壁」と、長期で最もメリットある働き方とは?

こんにちは、FPの豊田眞弓です。
今回は、主婦がパートで働く際に覚えておいてほしい収入の「5つの壁」を取り上げます。5つの壁はどのようなもので、それぞれの壁を超えると家計にどのような影響があるのかについて整理していきます。
それらを正しく理解したうえで、皆さんに一番お伝えしたい「女性も壁の存在なんて意識せずに、積極的に働いたほうがよい」と言われる理由も説明します。

5つの収入ラインにある「壁」と、超えたときの影響は?

主婦がパートで働く際には、大きく5つの「壁」とされる収入ラインがあります。働く主婦本人の税金や社会保険に影響するものと、夫の税金の控除額に影響するものに分かれます。では、表1にも整理しましたが、それぞれの壁を超えると、家計にどんな影響が出てくるのか見ていきましょう。

(1)年収100万円の壁:住民税がかかってくる

主婦の年収が100万円以下の場合、税金は一切かかりません。しかし100万円を超えると、妻の収入に対し住民税(所得割)がかかります。税率は10%で「壁」を超えた分に対してだけかかってきます。

(2)年収103万円の壁:所得税もかかってくる

年収103万円の壁を超えると所得税がかかってきます。所得税は収入が高くなるほど税率も高くなる仕組みで、課税所得195万円以下の場合は5%。これも「壁」を超えた部分だけにかかる仕組みです。

(3)年収130万円の壁(職場によっては106万円):社会保険料をみずから負担

年収130万円を超えると、夫の扶養から外れて自分で社会保険料(健康保険や厚生年金の保険料)を払うことになり、手取り額に大きく影響してきます。
なお、下記の条件にすべてあてはまる職場の場合は年収106万円以上でも社会保険に入ることになり、「106万円の壁」になるので注意しましょう。
・従業員501人以上の会社(労使合意がされた従業員501人未満の会社、地方公共団体も対象)
・勤務期間が1年以上の見込み
・週20時間以上働く場合

(4)年収150万円の壁:夫の配偶者特別控除が段階的に減り、税金が増える

妻の年収が150万円以下で、夫の年収が1,220万円(所得1,000万円)以下であれば、夫は配偶者特別控除を満額受けることができ、夫の所得税が下がります。しかし150万円を越えると、配偶者特別控除の額が徐々に減っていき、税金は増えていきます。

(5)年収201.6万円の壁:夫は配偶者特別控除を一切受けられなくなる

妻の年収が201.6万円以上になると、夫の年収が1,220万円(所得1,000万円)以下であっても、夫の所得から配偶者特別控除は一切受けられなくなります。
上記5つの壁とその影響をまとめたのが以下の表です。

表1:パート主婦の5つの壁(著者作成)

最も手取り収入が減るのが「130万円の壁」を超えたとき

以上見てきた5つの壁の中で、特に影響が大きいとされているのが「130万円(職場によっては106万円)の壁」です。妻の年収が130万円(職場によっては106万円)以上になると、自分で社会保険(健康保険、年金)に加入して保険料も負担しなくてはいけません。保険料は収入の約14%(40歳未満の場合)のため、年収が131万円だった場合、約18万3000円の負担となり、その分手取りが大きく減ってしまいます。

いっぽう、「100万円の壁」と「103万円の壁」を超えても、住民税と所得税はかかってきますが、数万円越えただけだと、税金も数千円程度で、手取りが大幅に減る心配はありません。ただ気をつけなければならないのは、夫の勤務先が配偶者手当(家族手当)を支給している場合、「103万円の壁」を越えるともらえなくなる可能性があります。多くの企業では、配偶者手当の支給条件を国の税制と同じ103万円に設定しているためです。また、夫の年収が1120万円以下の場合は特に、夫の手取りに影響してくる「150万円の壁」もやや気になります。

なお「150万円の壁」は2018年の法律改正で、夫が配偶者特別控除を受けられる妻の年収が拡大されたことにともないできたものです。この法律改正後、非常に細かい条件になっているのですが、概略がわかるように整理したものが表2です。夫の年収によっても、受けられる配偶者控除・配偶者特別控除の額も変わってきます。

表2:配偶者控除と配偶者特別控除の概要表(著者作成)

「130万円の壁」を超えて社会保険に入れば、年金にプラス

「130万円(職場によっては106万円)の壁」を超えると、社会保険料が天引きされる分、手取りが減ると前述しました。それならばと、
「夫の扶養の範囲を超えない働き方をする」
「年収100万円以下に抑えて、住民税も支払わずに済ませたい」
などと目先の損得にとらわれすぎてしまう主婦の方もいるようです。「1年」という短いスパンで考えると理解できなくはありませんが、長期的な視点で考えれば、かえってもったいないことをしているかもしれません。

なぜなら、扶養の範囲内にとどまっていれば、妻個人は基礎年金しかもらえませんが、社会保険料をみずから負担すれば、これに上乗せする形で厚生年金を受け取れ、自分の老後の年金額を増やすことができます。しかも、社会保険料は労使折半。給与から引かれた分と同額を会社が負担し、それらが将来の年金に反映されます。厚生年金は生きているかぎり受け取れる終身年金ですので、87歳と、男性より平均寿命で6歳も長生きする女性にとって、大きなメリットになります。

健康保険でも恩恵はあります。ケガや病気で長期欠勤をする場合、夫の健康保険の扶養家族として入っているだけだと、収入がカットされるだけです。しかしみずから健康保険に加入していれば、一定の条件を満たしていれば日額2,500円前後(毎月の収入が約12万円の場合)の「傷病手当金」が支給されます。

社会保険料の負担額は小さいものではありませんが、子供もある程度手が離れ、働く時間を増やせそうなら、「130万円の壁」を大きく超えるような働き方をするのはとても有効でしょう。世帯で可処分所得が増えるほど、家計はラクになるはずです。

所得税を負担するからこそ、iDeCo利用のメリットも出てくる

また「103万円の壁」についても、この壁を超えて働くからこそ、パート主婦でも個人型確定拠出年金「iDeCo」を利用するメリットが出てきます。「iDeCo」は毎月一定の金額を出して投資信託などで運用し、60歳以降に運用した資産を受け取れる制度です。「掛け金が所得控除され、税金が安くなる」といった大きなメリットがある制度ですが、これもまさに、「103万円」の壁を超え所得税を負担しているからこそ得られるものです。「iDeCo」は自力で、夫に依存しない老後資金作りに貢献してくれるでしょう。

こうした決断と努力が、妻自身、あるいは夫婦の老後にとって、いずれ大きな助けになるのではないかと思います。

参考:「いま改めて知りたいiDeCo(イデコ)のメリット・デメリット」

まとめ:「扶養の範囲内」という考え方から一歩踏み出そう

妻の働き方は扶養の範囲がいい、などと目先の損得だけを考えて行動をしてきた時代はすでに昔の話。「人生100年時代」の今は、長い長い老後に向けて、妻も夫に依存しない長期的な資産形成をすることが大事になってきます。働き方の壁にとらわれることなく、扶養の範囲内で働くことが賢い選択であるかのような思い込みを捨ててみると、見えてくるものもあるのではないでしょうか。
ぜひ、「自分らしい働き方」を見つけてほしいと思います。

豊田眞弓

豊田眞弓

FPラウンジ代表。経済誌などのライターを経て1994年より独立系FPとして活動。個人相談業務のほか講演、マネーコラムの寄稿などを行う。ライフワークとして子どもや大人の金銭・金融教育にも携わる。小田原短大非常勤講師も務める。

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