節約
カードとしての実力やいかに?

Kyashがタッチ決済対応のスタイリッシュな新カード発行! 気になる「お得度」は?

「Kyash」(キャッシュ)というプリペイドカードをご存じでしょうか? Visa加盟店での決済に使え、利用金額に応じてポイントが還元されるお得なカードです。そのKyashが、2020年4月より「Kyash Card」(キャッシュカード)という新しいカードの発行をスタートしました。「ICチップ搭載」「Visaのタッチ決済対応」など、セキュリティや使い勝手の向上が期待できるいっぽう、それまで無料だった発行手数料がかかるようになるなど気になる点もあります。本稿では、Kyash Card登場にともなうKyashのリニューアルの中身を解説しつつ、その「お得度」について考えてみたいと思います。
※本記事の価格表記は基本的に税込です。

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2020年4月から発行がスタートしたKyash Card(ネイビー)。カード番号や有効期限などは裏面にまとめて掲載され、券面デザインはスッキリした印象に

Kyashはどんなカードなのか?

まずはKyashの基本をおさらいしておきましょう。Kyashは、株式会社Kyashが2017年にローンチしたスマホアプリが原点です。「スマホで簡単にVisaカードを発行できる」というコンセプトのもと、ネットショッピングに使える「バーチャルカード」の発行がスタート。後に、リアル店舗で使える「リアルカード」の発行も始まりました。発行されるカードはプリペイドカードに該当し、事前にカードにチャージすることで決済に使える仕組みです。コンビニの店頭やATMのほか、支払い手段としてクレジットカードを登録することもでき、その際の「ポイント2重取り」ができることも話題になりました(後述)。

手前のカードが2020年4月に発行が開始された「Kyash Card」。奥側がこれまで発行されていた「リアルカード」で、Kyash Cardの登場に合わせて名称が「Kyash Card Lite」に変更されました(本文にて後述)

Kyash Cardの登場で3つのラインアップに

2020年4月に、新たに「Kyash Card」の発行が始まりました。それにともない、既存の「リアルカード」「バーチャルカード」の名称が、それぞれ「Kyash Card Lite」(キャッシュカードライト)「Kyash Card Virtual」(キャッシュカードバーチャル)に変更に。現在、Kyashには下記3つのカードが存在することになります。

▼Kyash Card
2020年4月から発行が開始された最新カード。発行手数料が900円かかるものの、機能面は最も充実。

▼Kyash Card Lite
旧「リアルカード」から名称が変更。Kyash Cardの登場にともない、還元率が1.0%から0.5%に(変更は2020年5月より)。これまで無料だった発行手数料も300円かかるようになりました。

▼Kyash Card Virtual
旧「バーチャルカード」から名称が変更。発行手数料無料。本人確認の有無で、決済の上限金額が変わります(下記、一覧表参照)。

※いずれも年会費は無料。

※1〜。※2〜

2020年5月時点の3つのKyashの比較表。※1 本人認証していない場合は5,000円。※2 本人認証していない場合は2万円

「新Kyash」の3つの変更点

ここからは、新登場のKyash Cardの変更点を詳しく見ていきます(一部、Kyash Card Lite、Kyash Card Virtualにも触れています)。

1. セキュリティの向上

既存のリアルカード(現・Kyash Card Lite)は磁気ストライプに書き込まれたカード情報を読み取って決済する仕組みでしたが、Kyash CardからICチップが搭載されるようになりました。スキミングなどカード情報が盗まれるリスクが少なからず存在する磁気型と比べ、ICチップの構造は複雑で情報を盗み出されるリスクが下がります。また、リアル店舗での決済時には4桁の暗証番号で本人認証が行われるようになります(磁気型のKyash Card Liteはサインで本人認証)。

券面デザインにも注目です。Kyash Cardは、カード番号、有効期限、セキュリティコード、所有者名がすべて裏面に掲載されるよう変更されました。これはカード利用時におけるカード情報などの「盗み見」を防ぐ目的です。2020年3月にクレジットカード大手の三井住友カードがカード裏面に情報を集約したシンプルなクレジットカードにデザインを変更して話題になりましたが、Kyash Cardのデザイン変更も最近のカードのトレンドにならった動きと言えそうです。

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Kyash Card(左)の券面にICチップが搭載。Kyash Card Lite(右・旧リアルカード)では表面に掲載されているカード番号、有効期限、名義情報も裏面に掲載されるよう変更されています

2. 利用シーンの拡大

Kyash Cardは利用できる範囲も広がりました。海外のVisa加盟店のリアル店舗でも利用できるようになったほか、下記のとおり利用限度額も引き上げられました。

▼決済一回あたりの上限金額
5万円(Kyash Card Lite) → 30万円

▼ひと月の決済金額の上限
12万円(Kyash Card Lite) → 100万円

また、これまでは累計の決済金額が100万円を超えるとカードの再発行が必要でしたが、Kyash Cardからはその上限もなくなりました(Kyash Card LiteおよびKyash Card Virtualは、引き続き100万円の利用上限に達すると再発行の必要があります。その際、Kyash Card Liteは発行手数料と同額の300円がかかります)。

ポイント還元の上限額に注意

気を付けたいのが、月12万円以上の決済はポイント還元の対象にならないことです。Kyash Cardの利用上限額は、アプリ上で簡単に設定できるので、無駄なくポイント還元を受けたい人は月12万円を上限に設定しておくといいでしょう。

ダミー

Kyashアプリの「カード設定」で、一回の決済限度額(1,000〜30万円)、月の決済限度額(0〜100万円)、オンライン決済や海外店舗での利用の可否、カードロック(カード機能の一時的な停止)などを簡単に設定可能。ポイント還元にこだわるなら、画面のように決済限度額を12万円に設定しておくといいでしょう

3. タッチ決済など非接触決済にも対応

最近日本では、クレジットカードをかざすだけで決済できる「クレジットカードのタッチ決済」が徐々に普及しています(※)。Kyash Cardもタッチ決済(Visaのタッチ決済)に対応しており、加盟店ではリーダーにかざすだけで決済が可能です。筆者もローソン、ドトールコーヒーでKyashを使ってタッチ決済を体験しましたが、スムーズに決済することができました。

※参考記事:クレカのタッチ決済が本格普及か!? 世界標準「NFC TypeA/B」規格に各社が対応
https://kakakumag.com/money/?id=15162

ダミー

ドトールコーヒーの店頭にて

〈参考〉クレジットカードのタッチ決済に対応している主な店舗
・セブン-イレブン(2020年6月より)
・マクドナルド
・ローソン
・ドトールコーヒー
・HUB(英国風パブ)
・ゼンショーグループ(すき家、はま寿司など)
・Japan Taxi
・文教堂(書店)
・TSUTAYA
・メガネストアー
※店舗によって「Visaのタッチ決済のみに対応」「クレジットカード4社のタッチ決済に対応」など、対応状況にばらつきがあります。また、一部店舗では対応していないところもあります。詳細は各社公式サイトなどをご確認ください。

Google Pay、Apple Payでも使える

KyashはGoogle Pay、Apple Payでの利用にも対応しています。Kyashを対応スマホに登録することでスマホをかざしてのスマート決済が可能です。決済できる場所はQUICPay+(クイックペイプラス)の加盟店です。もちろんカード同様にKyashポイントの還元対象となります。なお、前出の「クレジットカードのタッチ決済」はKyash Cardのみが対応していますが、Google Pay、Apple Payは3つのKyashすべてが対応しています。

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Apple PayにKyashを登録すると、QUICPay+加盟店での決済に使えます(画像はiPhone8にKyash Cardを登録した状態)

2020年5月7日時点のKyash各カードの非接触決済への対応状況

持つ価値アリ? その「お得度」を考える

最後にKyashの「お得度」について考えてみたいと思います。前出のとおり、新登場のKyash Cardのポイント還元率は1%、Kyash Card LiteとKyash Card Virtualは0.5%で、いずれもKyashの独自ポイントである「Kyashポイント」(※)が貯まります。この還元率はお得か否か? それを考える足がかりとして、Kyashの還元率と還元方法の変遷について触れたいと思います。

※Kyashポイント:Kyashでの決済終了後に還元される独自ポイント。ポイントはアプリ上で1P=1Kyash残高で交換ができ、1Kyash残高=1円相当でKyashでの決済に利用できます。

Kyashは「常時2%キャッシュバック」がウリだった

以前からのKyashユーザーはご存じだと思いますが、かつてKyashはリアルカード、バーチャルカードともに「Kyashで決済すると常時2%キャッシュバック」というインパクトの強いポイント還元サービスを打ち出していました。具体的には、利用額の2%相当の「Kyash残高」が月に1回まとめて還元されていたのです。昨今、クレジットカードを含めてカードの還元率は1%が「高還元」の基準と言えます。当時のKyashが相当お得だったことは間違いありません。

ところが、2019年10月にKyashの還元の仕組みが変更となります。それまでの「月に1回Kyash残高で還元される形」から、現行の「決済後、随時Kyashポイントで還元。ポイントを使う際はKyash残高に変換する形」に変更。それにともなって、リアルカード、バーチャルカードともに還元率が2%から1%にダウンしました。お得度が半減した形となり、既存ユーザーからは「改悪」との声も少なくありませんでした。

2019年10月以前は常時2%還元が話題でした(画像は当時の公式サイトより)

2019年10月以前は常時2%還元が話題でした(画像は当時の公式サイトより)

今回のリニューアルでの「改善」はならず

そんな、“逆風”とも言える中で行われたのが、Kyash Cardのリリースとそれにともなう既存カードの変更です。既存のKyash Card Lite(旧リアルカード)、Kyash Card Vartual(旧バーチャルカード)については、いずれも還元率が0.5%となり、さらに条件が下がりました。Kyash Card Liteについては、それまで無料だった発行手数料が300円かかるようになっている点もマイナスポイントでしょう。新たに登場したKyash Cardのみ1%の還元率を保っているものの、「お得度」という点に限ると残念なリニューアルだったと言わざるを得ないでしょう。

Kyash Cardはネイビー、ピンク、シルバーの3色展開(画像はKyashプレスリリースより)。選ぶ楽しさは増えましたが還元率の「改善」は見られず

2重取りの妙味は健在

では、Kyashを持つ価値がないのかと言うとそうとも言い切れません。Kyash Cardの1%という還元率は、国際ブランドが付いたプリペイドカードの中ではトップクラス(国際ブランド付きプリペイドカードの還元率の相場は0.25〜0.5%)ですし、クレジットカードを含めてもカードの還元率としてはまだ十分高い水準にあることは間違いありません。

また、クレジットカードをひも付けた「ポイント2重取り」も依然として有効で、大きな魅力です。2重取りの具体的な仕組みはこうです。Kyashはプリペイドカードなので、事前にコンビニや銀行口座、登録したクレジットカードから残高をチャージする必要があります。このうち注目したいのがクレジットカードによるチャージ(※)です。クレジットカードで残高をチャージするとそのクレジットカード側のポイントも貯まります。つまり、Kyashの決済で貯まるポイント(Kyashポイント)と、クレジットカードのポイントの2重取りになるわけです。新登場のKyash Card、そしてKyash Card Lite、Kyash Card Virtualも引き続きポイントの2重取りが可能です(下記、活用例参照)。

※Kyashに登録できるのはVisaかMastercardのクレジットカードおよびデビットカードです。チャージ方法は「都度チャージ」(手動チャージ)と「リンク」(自動チャージ)の2つ。都度チャージは任意の金額を手動でチャージするやり方。リンクは決済時にKyash残高の不足分を自動で即時チャージするやり方で、ほぼ、クレジットカードを使っているのと同じ感覚で使えるやり方です。

〈活用例〉Kyash Cardに「楽天ゴールドカード」をリンク(ひも付け)した場合


・Kyash残高が400円
・Kyash Cardに楽天ゴールドカードをリンク済み


と仮定し、Kyashを使って1,000円の買い物をするケースを考えます。
まず、400円分はKyash残高から支払われます。残りの600円分はクレジットカードから即時にチャージされます。この際のポイント還元は下記のとおりです。


・Kyash分の1%がポイント還元 → 1,000円×1%=10Kyashポイント
・楽天ゴールドカードのポイント還元 → 600円×1%=6楽天スーパーポイント

実質16円の還元。実質還元率は1.6%になる計算です。


これが仮に、Kyash残高0円だった場合は、1,000円全額を楽天ゴールドカードで決済する計算になり、10楽天スーパーポイントが貯まります。つまり、2%相当の還元になります。

3重取りは可能?

ポイントの3重取りは、上記の2重取りに「もう1枚かませる」方法です。つまり、クレジットカードとリンクしたKyash自体を、ポイント還元のあるQRコード決済の決済手段として登録する形です。これにより、理論上は合計で5%近いポイント還元を受けることも可能でした。

しかし残念ながら、現在、Kyashを介した3重取りは難しくなっています。これは、Kyashが「3Dセキュア」(※)に対応していないため。これが理由でQRコード決済にKyashを登録できなかったり、登録できても機能が制限されるようになりました。

たとえば「楽天ペイ」の場合、カードを登録するには3Dセキュア対応が必須条件です。「PayPay」の場合は、Kyashを登録すること自体は可能なものの、3Dセキュアによる本人認証がないカードは月に5,000円までしか使えません。また、Yahoo!カード以外のクレジットカードを支払い手段とする場合、PayPayのポイント還元の対象とはならず、PayPayへのチャージにも対応していません。このように、現時点ではKyashをQRコード決済にひも付けて使うメリットはほぼなく、実質的に3重取りはできない状態と言えます。

※3Dセキュアはインターネット上でのカード決済の「なりすまし」を防ぐ仕組みのひとつです。ネット上でのカード決済時に、カード番号や有効期限に加えて、カードの発行会社で設定した本人しか知らないパスワードを入力することで、本人が使っていることを証明する仕組みのことを指します。

1%還元と2重取りは貴重。動向に注意しつつ活用を

筆者は比較的早くからKyashを使っています。過去の「2%還元時代」を知っている者としては、還元率を含めた現在の「お得度」には寂しさを感じているのも事実です。

しかし前出のとおりKyash Cardの1%還元は、ほかのカードと比較してまだまだ魅力的です(その意味で、0.5%還元のKyash Card Lite、Kyash Card Virtualはやや厳しいと言わざるをえません)。また、クレジットカードとひも付けることでお得度を確実に上げられる点も評価できるでしょう。それ以外にも、Kyashの決済情報が即時にアプリに飛び、「いくら使ったか」「いくらポイントが還元されるのか」を自分の目でリアルタイムで確認できたり、Kyashユーザー間で送金ができたりと、キャッシュレス決済ならではの魅力もあります。カードの発行発行料がかかるので、ある程度の金額を決済しないと、実質オトクにならない点や、今後も現在の還元率が続く保証がない点は考慮する必要がありますが、現時点ではまだ使う価値のあるキャッシュレス手段と言ってさしつかえないと考えます。

※Kyash利用時の注意
Kyashには下記のとおり、利用できない決済やポイント還元対象外の決済があります。ご利用の際はご注意ください。

〈Kyashで支払えないケース〉
・毎月の継続的な支払いや、自動更新手続き(契約)が発生する加盟店
・一部の月額/継続契約
・ガソリンスタンド
・高速道路通行料金
・航空会社、航空券予約、購入
・ホテル(ホテル内の店舗)での支払い
・レンタカーのご利用料金の支払い
・各種プリペイド・電子マネーの購入・チャージ代金の支払い
 nanacoクレジットチャージ/楽天Edy/Vプリカ などへのチャージ
・公共料金/電話料金/衛星放送・CATV視聴料/インターネットプロバイダー利用料/新聞購読料(電子版含む)/保険料/レンタルサーバー/ウォーターサーバー/通信教育/各種月会費など
・3Dセキュア導入のサイトでのお支払い
※Kyash公式サイトより抜粋

〈ポイント還元の対象外となるケース〉
・売上未確定のままの取引
・交通機関への支払い(定期券、乗車券、切符、回数券、特急券などの料金)
・鉄道、バス、モノレール、ケーブルカーなど
・モバイルSuicaアプリでの購入、チャージ
・Apple Pay/Google Pay経由によるモバイルSuicaアプリでの購入、チャージ
・ふるさと納税、税金各種
・寄付金の支払い
・金券、商品券や有価証券等の現金同等物の購入
・また金券、商品券や有価証券等の現金同等物を販売しているサイトでの購入
・郵便局での支払い(実店舗・オンライン)
・造幣局の販売サイトでの支払い
・代金未回収が発生している取引
・本人または第三者による不正利用と判断された取引
※Kyash公式サイトより抜粋

価格.comマネー編集部

価格.comマネー編集部

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