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9か月間、最大5%の還元。その条件とは?

これならわかる!「キャッシュレス・ポイント還元事業」の直前"集中解説"

加盟店や対象の決済手段、そして決済事業者によって異なる還元方法などきわめて複雑な本事業。10月の事業開始後も、消費者1人ひとりが最適な使い方を模索する必要がありそうです

消費税増税後の対策として前編で紹介した「軽減税率」とともに国によって実施されるのが「キャッシュレス決済でのポイント還元」です。日々ニュースなどでも取り上げられていますが、「牛丼大手3社がポイント還元参加を見送り」、「加盟店の申請作業が進まず」、「クレジットカード大手6社は請求時に値引き」……といった具合に、断片的な伝えられ方が多く、仕組みや全体像を正確に把握できている人は限られているのではないでしょうか? そこで消費増税直前企画の後編となる本記事では、この「キャッシュレス決済でのポイント還元」について、仕組みからできるだけ噛み砕いて説明します。皆さんが本事業を正しく活用できる一助となれば幸いです。

〈index〉
【概要】キャッシュレスの買い物でポイント還元される制度
 ・国による"9か月間の時限措置
 ・キャッシュレス決済普及の狙いもある
【基本】キャッシュレス・消費者還元事業には"3つのプレイヤー"が関わる
 ・1. 消費者
 ・2. 加盟店(中小店舗など)
 ・3. 決済事業者
【応用】細かい「条件」と「例外」で複雑になる
 ・1. 消費者がすべきこととは?
 ・2. 「5%」と「2%」。2種類の還元率がある
 ・3. キャッシュレス決済できても還元対象外の場合も
 ・4. 決済事業者によって還元方法が異なる
 ・5. 大手コンビニは「例外」で即時割引
まとめ:状況は依然流動的。使いながら最適解を見つけたい

【概要】キャッシュレスの買い物でポイント還元される制度

国による9か月間の時限措置

この事業の正式名称は「キャッシュレス・ポイント還元事業(消費者還元事業)」と言います。経済産業省が主導し、一般社団法人キャッシュレス推進協議会が実務を担っています。本事業をひと言で表すと「買い物の代金をキャッシュレスで支払うと、ポイントで還元が受けられる」というもの。この事業に登録した加盟店で、対象のキャッシュレス手段を使って代金を支払うと、消費者は5%か2%のポイント還元を受けることができます(還元率の違いについては後述)。実施期間は2019年10月1日から2020年6月30日の9か月間。ポイント還元の原資には約4,000億円もの国費が用意されているとされている一大還元策です。

キャッシュレス・ポイント還元事業(消費者還元事業)
実施期間:2019年10月1日(火)〜2019年6月30日(火)
公式サイト:https://cashless.go.jp/

一般社団法人キャッシュレス推進協議会
概要:日本のキャッシュレス化を推進していく目的で、業界横断的で産学官が連携した組織として設立
設立年月: 2018年7月
会員数:358企業・団体(うち正会員239社 2019年6月現在)
公式サイト:https://www.paymentsjapan.or.jp/

キャッシュレス決済普及の狙いもある

ポイント還元事業の目的は2つあります。ひとつは前述のとおり、消費増税による消費落ち込みを防ぐというもの。消費者の負担を軽減し、中小店舗の消費落ち込みを防ぐことが期待されています。もうひとつが、キャッシュレス決済の普及です。当サイトでも折に触れてお伝えしていますが、国は、現在約18%と諸外国と比べて低い水準にとどまる国内でのキャッシュレス決済比率を、2025年までに約40%まで引き上げることを目指しています。労働人口の減少をふまえ、店舗などの無人化・省力化、金銭管理の負担軽減の推進などがその背景にあると言います(※)。今回の事業は、キャッシュレス決済普及の“起爆剤”としての役目も期待されているわけです。

※経済産業省「キャッシュレス・ビジョン(2018)」より

【基本】キャッシュレス・消費者還元事業には"3つのプレイヤー"が関わる

発表直後から「わかりにくい」と言われていたこの事業。まずは、主導する「国」のほかに本事業に関わる「消費者」「加盟店」「決済事業者」の"3つのプレイヤー"の関係を整理してみましょう(下記図参照)。

キャッシュレス・消費者還元事業の仕組み(編集部作成)

キャッシュレス・消費者還元事業の仕組み(編集部作成)

1. 消費者

老若男女を問わず、すべての【消費者】が本事業の対象です。クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコード決済など、対象のキャッシュレス決済を使い、【加盟店】で支払うことで、【決済事業者】からポイント還元(※または「値引き」。後述)を受けることができます。

2. 加盟店(中小の店舗など)

すべての店舗がこのキャンペーンの【加盟店】になれるわけではありません。対象となるのは、業種ごとに定められた資本金の額や従業員数の要件に該当する事業者。たとえば、小売業の場合、資本金または出資総額が5,000万円以下、あるいは従業員数が50人以下の企業または個人事業主に限られます。イメージとしては、商店街にあるような中小の小売店や飲食店などを思い浮かべるといいでしょう。

本事業への加盟を希望する店舗は、すでに導入している決済手段、あるいは新規に導入する決済手段の提供元である【決済事業者】と本事業の契約をすることで、【加盟店】として登録されます。なお、Amazon、楽天、ヤフーショッピングなどのECサイトに出品している中小・小規模店舗も本事業の対象になります。

▼加盟店一覧(2019年9月10日現在)
https://cashless.go.jp/assets/doc/kameiten_touroku_list.pdf(ただし、2019年9月10日現在、対応する決済手段の記載はありません)

本事業の加盟店には赤と黄色が印象的なこのロゴマークが入ったポスターなどが掲示される予定です

本事業の加盟店には赤と黄色が印象的なこのロゴマークが入ったポスターなどが掲示される予定です

3. 決済事業者

【決済事業者】とは、【加盟店】に決済手段を提供している企業のこと。具体的には、クレジットカード会社やQRコード決済を提供している企業などになります。2019年9月10日時点で約400社の業者が登録済みで、JCB、三井住友カードといったクレジット各社、PayPayなどのQRコード決済各社、楽天edyなどの電子マネー各社などが本事業に参加します。

また【決済事業者】は、【加盟店】に決済手段を提供するだけでなく、キャッシュレス決済をした【消費者】にポイントを還元し、その分を国から補助金として受け取ります。なお、詳しくは後述しますが【決済事業者】によって【消費者】へのポイント還元の方法に違いがあります。

▼加盟店向けに公開されている決済事業者の一覧(2019年9月10日現在)
https://cashless.go.jp/franchise/settlement-company-typeB.html

【応用】細かい「条件」と「例外」で複雑になる

ここまでが、ポイント還元事業の基本的な枠組みになります。これだけなら、さほど混乱なく使えそうな印象を持たれるかもしれませんが、実際はここにさまざまな「条件」や「例外」が加わり複雑さを増します。ここからは【応用】として、あらかじめ頭に入れておきたい5つの注意点を説明していきます。

1. 消費者がすべきこととは?

消費者はまず、何かしらのキャッシュレス決済の手段を持っている必要があります。具体的には下記の4つの決済手段が対象になります。

(1)クレジットカード
(2)デビットカード
(3)スマホ決済(QRコード決済など)
(4)電子マネー

ただし、注意すべき点も。上記のいずれかの決済方法だったとしても、それを提供している企業によって本事業の対象になっていない場合もあります。また、加盟店によって、同じ決済方法でも対応している店舗、していない店舗が混在する予定で、現時点でははっきりと決まっていません(後述する「3. キャッシュレス決済できても還元対象外の場合も」もご参照ください)。

したがって今しておくべきなのは、まず、すでに持っているキャッシュレス決済が本事業の対象かどうかを下記公式サイトで確認することと言えそうです。後は、事業がスタートした後に買い物をしたい加盟店での対応状況を見ながら別のキャッシュレス決済手段を整えていくのがよいのではないでしょうか?

▼対象のキャッシュレス決済(2019年9月10日現在)
https://cashless.go.jp/consumer/branches-typeA.html

2. 「5%」と「2%」。2種類の還元率がある

本事業のポイント還元率は5%と2%の2種類あります。中小店舗では5%相当が還元されますが、フランチャイズチェーン傘下の中小・小規模店舗などでは還元率は2%になります。

具体例をあげましょう。大手コンビニには本部が経営する「直営店」のほか、個人や企業がフランチャイズで経営する店舗があり、後者のフランチャイズ店が本事業の加盟店の対象となります(ただし、フランチャイズ店でも「資本金5,000万円以上の企業」など条件に合致しない場合は対象外)。

当初は、フランチャイズ傘下に関しても、中小店舗と同じ5%の還元で検討されていました。しかし、これに対して「コンビニ優遇」との批判の声があがり、2種類のポイント還元率が混在する結果に。なお、公式サイト内の加盟店一覧では、各加盟店に適用される還元率を確認することができます。

▼加盟店一覧(2019年9月10日現在)
https://cashless.go.jp/assets/doc/kameiten_touroku_list.pdf

大手企業は"自費"で還元

なお、フランチャイズの「直営店」に関しては、前述のとおり本事業の対象外です。しかし、消費者の混乱を避けるため、企業みずから費用を負担し2%の還元を行う動きもあります(大手コンビニなど)。こちらも、本事業のスタートが近づくにつれ、各社の取り組み状況が明らかになるはずです。

3. キャッシュレス決済できても還元対象外になる場合も

前述のとおり、店舗は各決済事業者と契約して初めて本事業の加盟店となります。そのため、下記のようなケースが生じることも考えられます。

・中小店舗で、すでにキャッシュレス決済自体は導入しているものの、その決済事業者との間で本事業の契約をしていない場合、そのキャッシュレス決済で支払ってもポイント還元の対象外に。

・中小店舗で、「キャッシュレス決済A」ではその決済事業者との間で本事業の契約をしていても、「キャッシュレス決済B」ではその決済事業者との間で契約を結んでいない場合、「キャッシュレス決済B」での支払いはポイント還元の対象外に。

ロゴマーク入りのポスターなどの確認を

加盟店契約は2020年2月まで可能なので、事業スタート後に加盟店になる店舗も出てくるなど流動的な状況が続くことが予想されます。消費者の助けになるのが、2019年10月以降、加盟店に掲げられる予定のポスターやステッカーです(下写真参照)。そこが本事業の加盟店であることを示すもので、ポスターの中には、その加盟店で本事業の還元対象となるキャッシュレス決済も明示される予定です。このほか。公式サイトや公式アプリ(9月中旬〜下旬にリリース予定)でも対応する決済手段がわかる予定です。随時、これらの情報をチェックしましょう。

2019年9月。東京・高円寺の「高円寺パル商店街」にある文房具店「不二家」の店頭に掲示された本事業のポスターとステッカー(写真右上)。ポスターにはこの店舗で還元対象になるキャッシュレス決済も明示されています(店舗の許可を得て撮影しています)

4. 決済事業者によって還元方法が異なる

ポイントの還元方法は決済事業者によって異なります。たとえば、クレジットカード大手6社(JCB、クレディセゾン、三井住友カード、ユーシーカード、イオンフィナンシャルサービス、MUFGカード)は「請求金額からの値引き」を採用します。具体的には、毎月の請求からポイント相当分が値引きされる形です。いっぽう、同じくクレジットカードでも、楽天カードの場合は、楽天スーパーポイントで還元される形に。そのため、下記のようなケースが生じます。

▼楽天市場のポイント還元事業加盟店で、10万円分をクレジットカードで決済すると仮定(◆が本事業による還元)

還元率1%の楽天カードで決済した場合
◆ポイント還元5%……5,000ポイント
 通常ポイント1%……1,000ポイント
 楽天カード利用特典2%…2,000ポイント
 (※楽天独自の本事業に付随する施策。本事業対象店にて楽天カードでの買い物が利用条件。
期間限定ポイントで付与される)

 合計 8,000ポイントを獲得

還元率1%のJCBカードで決済した場合
◆ポイント還元5%……請求時に5,000円値引き
 通常ポイント1%……1,000ポイント
 合計 5,000円の値引き+1,000ポイントを獲得

このほか、QRコード決済、デビットカード、各種電子マネーなどでどのような還元がなされるのか、記事執筆時点(2019年9月10日)でははっきりしていません。どのような還元方法にメリットを感じるかは人それぞれですが、自分が使いたい決済事業者のポイント還元方法は確認を怠らないようにしましょう。

▼「請求金額からの値引き」のクレジットカードの一部は価格.comからも申し込みできます。

5. 大手コンビニは「例外」で即時割引

前述のとおり、本事業では基本的にポイントで消費者に還元されるのが原則です。しかし、経済産業省はいくつかの例外を認めています。そのひとつが「店頭での購買時に、即時利用可能なポイント・クーポンなどを発行し、購買金額に該当ポイントなど相当額を充当する方法」です。これを活用する予定なのが、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップの”4大コンビニ”です。会計時に、2%のポイントを即時に充当して利用できるようにする予定です。たとえば1,000円(税込)の買い物をする場合、これをキャッシュレス決済で支払うと、2%の20円相当のポイントが会計時に引かれ、980円(税込)となる予定です。

この場合、PayPayなどの”独自ポイント”はどう付く?

この場合で気になるのは下記のようなケースです。

PayPayなど、本事業の還元のほかに独自のポイント還元が付くキャッシュレス決済で支払った場合、

【A】 コンビニの即時割引“前”の金額(この場合1,000円 税込)
【B】 コンビニの即時割引“後”の金額(この場合980円 税込)

の、どちらがPayPayの独自ポイント付与の対象になるのかということです(※)。

コンビニ最大手セブン-イレブンにこの件について問い合わせたところ、対象となるのは【B】との回答を得ました。実質的にユーザーが支払った金額が、PayPay等の決済手段のポイント還元の対象になると覚えておくとよさそうです。

※PayPayは2019年10月1日から本事業にからめたキャンペーンを実施し、コンビニのような「2%還元店」でPayPayで支払うと、特典として1.5%のPayPayボーナスが付与される予定です(ただし、PayPay残高かヤフーカードで支払った場合のみ。詳しくは下記リンクをご参照ください)。

▼2019年10月1日から始まるPayPayの新キャンペーン(https://about.paypay.ne.jp/pr/pr20190906_02.pdf?_ga=2.121462536.1610740590.1568351703-1320986838.1562306469

業界最大手セブン-イレブンを含むコンビニ大手4社では2%の即時割引が実施される予定

業界最大手セブン-イレブンを含むコンビニ大手4社では2%の即時割り引きが実施される予定

まとめ:状況は依然流動的。使いながら最適解を見つけたい

ここまで、2019年10月から始まる「キャッシュレス・消費者還元事業」について説明してきました。本記事執筆時点で、ポイント還元の方法や、フランチャイズの対応などで「検討中」という企業が多く存在し、事業が始まった後で加盟店になる店舗も多く出てくることも予想されるなど、依然として流動的な状況が続いています。

“賢い消費者”に求められるのは、まず、本事業の基本的な仕組みを理解すること。そして、本事業がスタート後に実際に使いながら最適な活用方法を探していく姿勢と言えそうです。いずれにせよ、上手く使いこなせれば消費者にとって大きなメリットとなりそうなこの事業。ぜひ、前向きにご活用いただければと思います。

価格.comマネー編集部

価格.comマネー編集部

投資・資産運用・保険・クレジットカード・ローン・節約に至るまで、マネーに関する情報を毎日収集。「知らないで損するなんてもったいない」をモットーに、読者のためになる記事を制作します!

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