JALマイルを効率的に貯めるときに欠かせないのが、クレジットカードの「JALカード」です。このカードがなくても、JALマイルを貯めることは可能ですが、JALカードを保有することで、JAL便に搭乗するたびにボーナスマイルが加算されたり、日常の買い物の支払いで貯めたりすることが可能になります。ただ、JALカードは種類が多く、何を選んだらいいかわからないという人も多いのではないでしょうか。そこで、自分にあったJALカードの選び方を紹介します。
(本記事内の価格表記は基本的に税込です)
参考記事:「ANAマイル獲得に欠かせぬ『ANAカード』。賢い選び方とおすすめ券種も紹介」
JALマイルとは、JALが運営するマイレージサービス「JALマイレージバンク」の通称です。JALマイレージバンクの会員になると、搭乗距離に応じてマイルが貯まり、貯めたマイルは特典航空券への交換や国際線の座席のアップグレードなどに利用可能です。
このJALマイルを貯めやすくなるJALカード。グレードに応じて「普通カード」(年会費2,200円)、「CLUB-Aカード」(同11,000円)、「CLUB-Aゴールドカード」(同17,600円)、「プラチナ」(同34,100円)の4種類に大別されます。グレードが高くなるほど特典内容は充実していきますが、ベースとなる内容は共通しています。まずは、すべてのJALカードに共通するメリットを紹介します。
JALカード入会後、初めての搭乗時に付与されるボーナスマイルです。グレードごとに以下のとおりです。
普通カード(学生限定の「JALカードnavi」含む):1,000マイル
CLUB-Aカード:5,000マイル
CLUB-Aゴールドカード:5,000マイル
プラチナ:5,000マイル
毎年、初めての搭乗時に付与されるボーナスマイルです。グレードごとに以下のとおりです。
普通カード(学生限定の「JALカードnavi」含む):1,000マイル
CLUB-Aカード:2,000マイル
CLUB-Aゴールドカード:2,000マイル
プラチナ:2,000マイル
JALグループ便の搭乗ごとに、通常のフライトマイルに加えてボーナスマイルが加算されます。たとえば、「普通カード」会員が羽田−那覇を「先得割引」で利用した場合、フライトマイル738マイルに加え、10%分相当の74マイルが加算され、片道計812マイルが貯まります。付与率は、グレードごとに以下のとおりです。
普通カード(学生限定の「JALカードnavi」含む):フライトマイルに10%プラス
CLUB-Aカード:フライトマイルに25%プラス
CLUB-Aゴールドカード:フライトマイルに25%プラス
プラチナ:フライトマイルに25%プラス
日常の買い物や公共料金の支払いの際、JALカードを使えば200円ごとに1マイル、別途ショッピングマイル・プレミアム(詳細は後述)に加入すると100円=1マイルが貯まります。さらに、JALカード特約店で使えば、付与率は2倍に。特約店にはファミリーマートやイオン、ロイヤルホストなど、さまざまなジャンルのお店が登録されています。普段の買い物や食事、スマホ代や光熱費など、あらゆる決済を1枚のJALカードに集約させることが、マイルを貯める大事なコツになります。
家族それぞれが貯めたマイルを合算して使える「家族プログラム」も便利です。登録できるのは、20歳以上のJALカード本会員と生計を同一にする配偶者および親、子供。18歳以上はJALカードの本会員または家族会員、18際未満および18歳の高校生はJALマイレージバンク会員であることが条件です。ひとりでは、無料特典航空券と交換できるだけのマイルを貯めるのは簡単ではありませんが、家族分のマイルも合算できることで達成しやすくなります。
JALカードは本会員・家族会員ともに、死亡・後遺障害を補償する最高1000万〜1億円(グレードによる)の海外・国内旅行傷害保険が付帯しています。航空会社のカードらしく中身も充実しており、旅費などの支払いにカードを使っていなくても、自動的に適用される「自動付帯」となっています。
空港にある指定の店舗でJALカードを提示すると、割引が受けられます。たとえば、JALグループが運営する国内空港の「BLUE SKY(一部は除く)」では、1店舗1会計あたり1,000円以上の利用で5%オフ、那覇空港・石垣区空港内の「コーラルウェイ」では1店舗1会計あたり1,000円以上の利用で10%オフとなります。
羽田空港国際線ターミナルや成田国際空港にある免税店「JAL DUTY FREE」でJALカードを提示すると、免税品が割引になります。割引率は以下のとおりです。
普通カード(学生限定の「JALカードnavi」含む):5%引き
CLUB-Aカード:10%引き
CLUB-Aゴールドカード:10%引き
JALダイナースカード・プラチナ:10%引き
JALおよびJTAの機内販売商品、「JAL SHOP機内販売オンラインストア」の商品をJALカードで購入すると、10%引きとなります。機内販売はJALカード特約店になっているので、割引に加えマイルが2倍貯まってさらにお得です。
4つのグレードのカードのサービス内容を詳しく紹介します。
最も一般的な「普通カード」の年会費は2,200円、入会後1年間は無料と手ごろな価格になっています(「JAL アメリカン・エキスプレス・カード」のみ年会費6,600円)。「入会・初回搭乗ボーナス」は1,000マイル、「搭乗ごとのボーナス」は10%プラスとなります。ランクをひとつ上のカードにすると、これらのボーナスマイルが倍以上付与されますが、年会費も1万円を超えます。JAL国内線の利用が年に1、2回にとどまる方なら、年会費の差額分のマイルを獲得するのは難しく、こちらの「普通カード」で十分でしょう。
保険では、死亡・後遺障害時に最高1000万円を補償する海外・国内旅行保険が自動付帯されています。ただし、ケガや病気の治療費用を補償する「傷害治療費用」「疾病治療費用」や、持ち物の紛失や盗難を補償する「携行品損害」は付いていないので、旅行の際にはこれらをカバーする保険への加入を別途検討したほうがよいでしょう。
出張や旅行などでJALのフライトを利用する機会が多い人には、こちらがおすすめ。年会費は1万1,000円と高くなりますが、入会搭乗ボーナスが5000マイル、毎年初回搭乗ボーナスが2000マイル、搭乗ごとのボーナスがフライトマイルの25%プラスと、「普通カード」に比べてマイルが多く付与されます。
海外・国内旅行傷害保険は、死亡・後遺障害で最高5000万円が自動付帯。普通カードには付いていない「傷害治療費用」「疾病治療費用」の補償が最高150万円、「携行品損害」の補償が1旅行につき最高50万円と、補償の中身も充実しています。また、JAL国際線に搭乗する場合、エコノミークラスの利用でもJALビジネスクラス・チェックインカウンターを利用できるのも魅力のひとつです。
「CLUB-Aカード」をさらにバージョンアップしたのが「CLUB-Aゴールドカード」。年会費は1万7600円(「JALカードSuica」、「JAL アメリカン・エキスプレス・カード」は20,900円)。「CLUB-Aカード」との違いは、通常は年会費3,300円が必要な「ショッピングマイル・プレミアム」(ショッピング時のマイル付与率が2倍)が無料で自動付帯しているほか、国内の主要28空港のラウンジが利用できる点にあります。
海外旅行期間中の国際線航空便の出発遅延・欠航などに対して、お見舞金が支払われる「海外航空便遅延お見舞金制度」や、最高1億円の賠償責任および最高300万円の傷害保険が付くゴルフ保険も、「CLUB-Aカード」にはないサービスです。ほかにも、国際ブランドや提携会社ごとにさまざまな保険が付くので、保険の中身を手厚くしたい人におすすめです。
JALカードの中で最上位に位置するのが「プラチナ」です。「JAL アメリカン・エキスプレス・カード」、「JAL・JCBカード」の2種類から選べ、年会費はどちらも3万4100円です。最大のメリットは、世界各地の1,400以上の空港ラウンジを無料で利用できる「プライオリティ・パス」を無料で利用できること(別途申し込みが必要)。レストラン予約やチケット手配・急病やケガなどの緊急時にサポートしてくれる「プラチナ・コンシェルジュサービス」も、プラチナだけのサービスです。
もちろん「CLUB-Aゴールドカード」のサービスはカバーしており、「ショッピングマイル・プレミアム」の年会費は無料で、海外・国内旅行傷害保険は最高1億円と充実。JALグループ国内線・国際線航空券の購入では100円=2マイルが貯まります(「CLUB-Aゴールドカード」は100円=1マイル)。JAL便で海外に行く機会が多い人や、上質なサービスにこだわりたい人におすすめです。
4つのグレードの特徴を表にまとめました。
なお、上記4つのグレードのJALカードそれぞれに、+αの会員限定特典が付く20代限定のカード「JAL CLUB EST」(普通カード・CLUB-Aカード年会費5,500円/CLUB-Aゴールドカード・プラチナ年会費2200円)も用意されています。たとえば、「普通カード」に「JAL CLUB EST」を追加した場合、年会費は合計で7,700円。入会ボーナス5000マイル、入会搭乗ボーナス6000マイルを獲得できるうえ、JAL航空券の購入にあてられる「eJALポイント(5,000円相当)」を年に1回もらえる特典や、国内17空港にあるサクララウンジを同行者1名と一緒に年5回まで無料利用できる特典が付きます。さらに、通常、3,300円の年会費がかかるショッピングマイル・プレミアムの年会費が含まれているので、コスパは抜群。20代なら活用しない手はありません。
<JAL CLUB ESTのおもな特典>
・国内線サクララウンジの無料利用(年5回)
・eJALポイント積算(年5000ポイント)
・JALビジネスクラス・チェックインカウターの利用
・マイル有効期限を60か月間に延長(通常は36か月)
・入会搭乗ボーナスを1000マイル上乗せ
・毎年初回搭乗ボーナスを1000マイル上乗せ
・搭乗ごとのボーナスを5%上乗せ
JALカードには、首都圏の鉄道会社と提携したカードもあります。これらのカードにはSuicaが搭載されていたり、PASMOとひも付けできたりと、電子マネーとの相性が抜群。対象店舗で利用すると、通常のJALカードにプラスした特典が受けられます。人によっては、これら鉄道会社と提携したJALカードを選んだほうがメリットが大きい場合があるので、以下でチェックしておきましょう。
「JALカードSuica」はSuica機能が付いたJALカード。通常のカード利用ではJALマイルが貯まり、Suicaチャージや定期券購入など、JR東日本関連のサービス利用時にはJRE POINTが貯まります。このJRE POINTもマイルに移行できるので(1,500P=500マイル)、SuicaやJR東日本系の鉄道の利用が多い人におすすめ。Suicaの残額が一定額以下になると改札で自動的にチャージされる「Suicaオートチャージ」が利用できるほか、「モバイルSuica」も当面年会費無料で利用できます。
「JALカード OPクレジット」は、小田急グループと提携し、PASMOとひも付けができるカードです。PASMOへのオートチャージでも通常のカード利用と同率のマイルが貯まるので(200円のオートチャージで1マイル)、PASMO利用が多い人におすすめです。小田急百貨店などの小田急グループで利用すると、マイルと同時に小田急ポイントも貯まり、この小田急ポイントもマイルに交換できます(2000ポイント→1000マイル)。
「JALカード TOKYU POINT ClubQ」は東急グループと提携し、PASMOとひもづけができるカードです。東急百貨店や東急ストアなどの東急グループの店舗で利用すると、JALマイルと同時にTOKYU POINTが貯まり、このTOKYU POINTもマイルに交換できます(2000ポイント→1000マイル)。
なお、支払うとJALマイルを貯められる「JMB WAON」という電子マネーがあります。上記の2つのカードは「JMB WAON」へのチャージはできませんが、「JALカード TOKYU POINT ClubQ」ならチャージ可能で、通常のカード利用と同率のマイルが貯まるので、WAONユーザーにおすすめです。PASMOオートチャージで貯まるTOKYU POINTもマイルに移行できますが、チャージしたときの還元率は0.25%と大きく下がりますので、おすすめできません。
JALカードには、追加で年会費を支払うことで利用できるオプションサービスが用意されています。その中から、メリットの大きい2つのオプションサービスを紹介します。
「ショッピングマイル・プレミアム」は、JALカードをメインにマイルを貯めるなら、必ず付けたいオプションサービス。カード利用時に貯まるマイルが「100円=1マイル」と通常の2倍にアップします。年会費は3300円。前述のとおり、CLUB-Aゴールドカード以上のカードには、無料で自動付帯されています。
「先得割引」やパッケージツアーなど利用の際、通常は区間マイルから減算されてしまいますが、「JALカード ツアープレミアム」に加入していれば、区間マイルの100%が貯まります。たとえばJAL国際線・エコノミークラスで「先得割引」を利用した場合、通常は区間マイルの75%に減算されますが、「JALカード ツアープレミアム」に登録すると25%のボーナスマイルが加算され、合計100%のマイルが貯まります。年会費は2,200円。このオプションサービスは、搭乗距離が長くなればなるほど効果を発揮するので、年に1回でも長距離フライトを利用する人は、登録しておいて損はないでしょう。
JALのフライトをよく利用するならJALカードは必須。しかし、陸(おか)での利用を中心に貯めていく場合、ほかのカードで貯めたポイントをマイルに交換する、という選択肢もあります。とくにおすすめしたい2枚のカードを紹介しましょう
別途、「セゾンマイルクラブ」のJALコースに登録(登録無料)すると、カード利用1,000円=10マイルが自動で加算されます。さらに、優遇ポイントとして永久不滅ポイントが2,000円=1ポイント貯まります。この優遇ポイントは1ポイント→2.5マイルに移行できるので、合計すると1,000円=11.25マイルに! マイル還元率は1.125%となり、JALカードを上回ります。
ほかにも、世界各地の空港ラウンジを無料で利用できる「プライオリティ・パス」に無料で登録できたり、最高1億円の海外旅行傷害保険が付いていたりと、プラチナならではのサービスが魅力。年会費は2万2,000円と高額ですが、前年度の利用金額200万円以上で、次年度は半額になります。
年会費無料で還元率1%。貯めたオリコポイントを1ポイント→0.5マイルに交換できるため、マイル還元率は0.5%となります。注目すべきは入会後6か月間は還元率が2倍にアップすることで、この時期のマイル還元率は1%にアップ。年会費を払わずにJALマイルを貯めたい人に、おすすめのカードです。
最後に、貯めたJALマイルの交換先についても説明します。なお、JALマイルの有効期限は搭乗日の36か月後の月末までとなります。
最もお得な交換先は、国内線または国際線の特典航空券への交換です。国内線は片道5,000マイルから、国際線は片道7,500マイルから交換できます。
国内線の主要路線の特典航空券の必要マイル数(片道)は以下のとおりです。
「ディスカウントマイル」とは、期間・路線限定で通常より少ないマイル数で予約できるサービス(Webサイトからの予約限定)。また、JALカード会員限定で、さらに往復で500マイルが割引される「JALカード割引」も設定されています(片道のみの利用は割引対象外)。
国際線の主要路線の特典航空券の必要マイル数(片道)は以下のとおりです。
表にある「PLUS」とは、通常より多くのマイルを払えば特典航空券を発券できるサービスのことです。必要マイル数は、空席状況に応じて大きく変動します。基本的に、閑散期であれば基本マイルのみでOKですが、繁忙期や人気の路線では必要マイルが増える傾向があります。
最もお得な特典航空券への交換ですが、予約が取りづらいのが最大のデメリット。GWや夏休みなどの人気路線は、「予約開始日の予約開始時間にトライしても取れなかった」ということも珍しくありません。希望の日時に予約が取れないときに、次善の策としておすすめなのがJALの航空券・ツアー購入に使えるポイントやクーポンに交換する方法。以下の2種類があります。
eJALポイント
JALホームページでの航空券購入や、JALパックのツアー購入に利用できるポイント。交換レートは「5,000マイル→5,000ポイント(5000円相当)」、「1万マイル→1万5,000ポイント(1万5,000円相当)」なので、一度に多くのマイルを交換したほうがお得です。eJALポイントの有効期限は、特典交換を行った日の1年後の同月末。航空券やツアーをキャンセルした場合はeJALポイントが払い戻されるので、安心して使うことができます。
JALクーポン特典
JALグループの航空券・ツアー代金の支払いに加え、機内販売、ホテル(オークラ ニッコー ホテルズなど)での支払いにも使えます。交換レートは「1万マイル→1万2,000円相当」とeJALポイントに比べると少し低めに設定されています。こちらはWebサイトではなく、電話やJALプラザ店頭で航空券・ツアーを購入したい人や、機内販売やホテルでの支払いに使いたい人に、おすすめの特典です。
旅行に行く予定がないときや期限切れ間近のマイルがある場合は、各種商品や他社ポイントへ交換することも検討しましょう。2,000マイルから交換できるので、マイルを無駄にする心配はありません。
〈2000マイル〉
スタジオアリス撮影ご優待券(8000円相当)、ディノス割引クーポン2000円分、東京駅=成田空港間の高速バス利用券2区間分、カンドゥー親子ペアチケットなど
〈3000マイル〉
レゴランド(R)・ディスカバリー・セーター大阪 入場ペアチケットなど
〈7500マイル〉
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン1デイ・スタジオ・パス(1名様分)
〈10000マイル〉
JALショッピングポイント1万1,200円ポイント(1万1,200円相当)、スターバックスカードへのチャージ1万300円相当、dポイント 1万ポイント、Amazonギフト券1万円相当、マツモトキヨシギフトカード1万円相当、JTBトラベルポイント1万円相当など
以上、主要なJALカードやその選び方について紹介してきました。
まずは、JALの利用頻度や求める旅行保険などの特典内容から、「普通カード」から「プラチナ」まで、どのグレードのカードを選ぶかを決める必要があります。さらに、よく使う電子マネーや店舗によっては、鉄道会社との提携カードも候補になってくるでしょう。
オプションサービスのところで説明しましたが、日常生活でマイルをしっかり貯めたい場合は、「ショッピングマイル・プレミアム」への加入は必須です。また、「JAL CLUB EST」も十分にモトが取れる特典内容になっているので、20代の方はぜひ検討してみてください。
編集者兼マイラー。JAL、ANAはもちろん、海外航空会社のマイレージにも詳しく、仕事の合間を縫って旅を楽しむ。ポイント、マイルの交換などカードの裏技にも精通。