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クレジットカードでもSuicaのように”かざして”支払えるように

クレカのタッチ決済が本格普及か!? 世界標準「NFC TypeA/B」規格に各社が対応

コンビニ最大手のセブン-イレブンも、2020年6月からの対応を発表しています

クレジットカードをかざすだけで決済可能な「タッチ決済」。コンビニ最大手のセブン-イレブンも、2020年6月からの対応を発表しています

ICカードやスマホをリーダーにかざすだけで支払える「非接触決済」(以下、タッチ決済)。日本ではSuicaなどでおなじみですが、ここにきて「クレジットカードのタッチ決済」(NFC TypeA/B規格)が普及の兆しを見せています。最新事情をまとめました。

新しい三井住友カードは「Visaのタッチ決済」を標準搭載

2020年2月、三井住友カードのデザインが30年ぶりに刷新されて話題を呼びました。「次世代カード」と銘打たれた新カードは、おなじみのパルテノン神殿を模した券面から、シンプルでモダンな券面に変更されたほか、「ぬすみ見防止」などセキュリティ上の観点からカード番号や有効期限を裏面に集約するなど、さまざまな工夫が施されています(下記画像参照)。

30年ぶりに刷新された三井住友カードの新しい券面デザイン

30年ぶりに刷新された三井住友カードの新しい券面デザイン

なかでも注目なのが、Visaブランドのカードに標準搭載された「Visaのタッチ決済」です。これは、コンビニやスーパーなど、Visaのタッチ決済に対応している加盟店でカードリーダーにカードをかざすだけで支払える「クレジットカードのタッチ決済」機能のこと。サインも暗証番号も不要で、たとえるなら、クレジットカードをSuicaのように使える機能と言えます(ただし支払金額が一定額を超える場合は、カードをリーダーに挿入し、暗証番号の入力が必要。金額は加盟店によって異なります)。

日本の電子マネー搭載のクレカとは別物

日本にはこれまで、Suica、iD、QUICPay、楽天Edyなどの電子マネーを搭載したクレジットカードがありました。これらもタッチ決済が可能なので、形の上では、クレジットカードのタッチ決済と同じ支払い方が可能でした。しかしこれらは、チャージした電子マネーでの決済、あるいは「電子マネー利用分」として後からクレジットカードに請求されるポストペイ方式での決済など、いずれも電子マネーを介した決済方法です。その点、利用金額をクレジットカードで直接決済できるクレジットカードのタッチ決済とは似ているようで別物となります。

世界中で使えるメリット

クレジットカードのタッチ決済は主に海外で普及が進んでいる決済方法です。一般社団法人日本キャッシュレス推進協議会によると、イギリス、スペイン、イタリア、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、台湾などでは、対面取引の約5割をタッチ決済が占めていると言います(一般社団法人日本キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ2019」より)。

電子マネーは日本国内でしか使えませんが、クレジットカードのタッチ決済なら海外の加盟店でも使えます。たとえば、ロンドンやミラノの地下鉄はクレジットカードのタッチ決済に対応しているため、対応しているクレジットカードをかざすだけで切符を買うことなく改札を通ることができます。

クレジットカードの国際ブランドによってタッチ決済機能の名称は異なり、Visaのタッチ決済のほか、Mastercardの「Mastercardコンタクトレス」、JCBの「JCB Contactless」、American Expressの「American Express Contactless」などがあります。

「the tube」の愛称で知られるロンドンの地下鉄はクレジットカードのタッチ決済に対応

「the tube」の愛称で知られるロンドンの地下鉄はクレジットカードのタッチ決済に対応

世界標準のType A/Bと日本独自のFeliCa

日本の電子マネーのタッチ決済やクレジットカードのタッチ決済は、どちらにもNFC(Near Field Communication:近距離無線通信規格)という技術が使われています。これは、13.56MHz帯の周波数を使った近距離の無線通信技術で、カードとリーダーが10cm程度離れていても情報をやり取りすることができます。NFCにはいくつかの通信規格が存在し、日本と海外におけるクレジットカードのタッチ決済の普及状況の違いには、通信規格の違いが関係してきます。

日本の主流はFeliCa

日本の電子マネーで使われているのが「FeliCa」(フェリカ)と呼ばれるソニーが開発した通信規格です。2001年以降に交通系や流通系の各種電子マネーに採用され、04年には携帯電話にFeliCaチップを搭載した「モバイルFeliCa」(おサイフケータイ)が登場。10年以降はスマホでも対応が進んでいます。ただし日本国外では、香港の「オクトパスカード」(IC乗車カード)などアジア圏の一部での採用にとどまっています。

世界で普及するNFC Type A/B

いっぽう、今回紹介しているクレジットカードのタッチ決済のように、日本以外の国や地域で普及している通信規格が「NFC Type A」(以下、Type A)、「NFC Type B」(以下、Type B)と呼ばれる通信規格です。

このうちType Aはオランダのフィリップス社(当時)が開発した通信規格で、生産コストが安価なこともあり世界でもっとも広く普及しており、日本国内でもタバコの自販機で購入の際に使うTaspo(タスポ)に採用されています。後者のType Bはアメリカのモトローラ社が開発を主導しました。セキュリティ性能にすぐれており、日本でもマイナンバーカードや運転免許証、在留カード、パスポートなどに利用されています。

タッチ決済では、この2つを合わせて「Type A/B」と称します。世界標準と呼んでもいいType A/Bと、日本で広く普及するFeliCaでは、読み取りに必要な端末がそれぞれ異なります。

海外ではType A/Bが主流

海外ではType A/Bが主流

FeliCaとType A/Bで通信速度に大きな差

FeliCaとType A/Bには通信速度に大きな違いがあります。Type A/Bの424kbps という通信速度に対し、FeliCaは最大通信速度847kbpsと倍以上の速さを誇ります。これが、迅速な決済が求められる日本の交通機関でのニーズに合致したことが、日本でFeliCaが普及した一因となっています。

いっぽう、Type A/BはFeliCaに比べると読み取り端末の設置コストが安価で済みます。通信速度ではFeliCaに及ばないものの、店舗での決済では、日本の通勤ラッシュに耐えるほどの通信速度は不要です。このような事情からType A/Bの国際的な普及につながったとされています。

FeliCaの通信速度の速さが日本人の通勤を支えています

FeliCaの通信速度の速さが日本の通勤を支えています

インバウンドニーズを背景に日本でもType A/Bが普及へ

このように、世界的はType A/B、日本国内はFeliCaと、タッチ決済の通信規格には国内外で明確な違いがあったわけですが、Type A/B型のタッチ決済に慣れた訪日外国人の利便性の向上や、日本のキャッシュレス推進の動きを背景に、ここにきて日本国内でもType A/Bの普及が進みそうな兆しが現れています。

クレジットカード会社側の動きとしては、記事冒頭で紹介した三井住友カードのほかに、イオンカード、JALカード、dカード、ライフカード、ジャックスカードなどがVisaのタッチ決済を搭載したカードを発行しています。このほか、MastercardコンタクトレスやJCB Contactless、 American Express Contactlessに対応したカードも発行されています(後述)。

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タッチ決済に対応したクレジットカードの場合、カード表面にWi-fiマークを横に倒したロゴが印刷されています。2枚目の画像の赤枠内のように、一部、マークが縦のロゴもあります。このロゴはどの国際ブランドも共通です。画像はVisa公式サイトより

コンビニ、カフェ、スーパーなどで普及が進む

加盟店側の対応も進んでいます。カフェチェーンのドトールコーヒーは、全国のドトールコーヒーショップ、エクセルシオールカフェ、カフェレクセル、ル・カフェドトールなど約1,300店で2020年3月からType A/Bのタッチ決済への対応を開始しています。このほか、マクドナルドやローソンもType A/Bでの決済に対応済みです。さらにイオングループも全国10万台のレジをType A/B対応に順次入れ替えているほか、2020年6月には、コンビニ最大手のセブン-イレブンが、全国約2万台のレジを一斉にType A/B対応に変更することを発表しています。

Type A/Bのタッチ決済に対応している主な店舗
・マクドナルド
・ローソン
・ドトールコーヒー
・HUB(英国風パブ)
・ゼンショーグループ(すき家、はま寿司など)
・Japan Taxi
・文教堂(書店)
・TSUTAYA
・メガネストアー
※Type A/Bに対応している店舗でも「Visaのタッチ決済のみに対応」「クレジットカード4社のタッチ決済に対応」など、対応状況にはばらつきがあります。また、一部店舗では対応していないところもあります。詳細は各社公式サイトなどをご確認ください。

Type A/Bの決済に対している店舗は、カード同様にWi-fiマークを横にしたロゴが目印です(赤枠で囲ったロゴ)

今、入手できるType A/Bのタッチ決済対応カードは?

記事のまとめとして、現時点で入手可能なType A/Bのタッチ決済対応カードを国際ブランド別に紹介します。
※情報は2020年3月時点のもの。各カードとも、券種によってはタッチ決済非対応のカードもあるのでご注意ください。

Visa……Visaのタッチ決済

ダミー

画像はVisa公式サイトより

以前は「Visa payWave」という名称でしたが、現在は「Visaのタッチ決済」に変更されています。Visa payWaveのロゴが付いたカードもVisaタッチ決済の加盟店で利用できます。

▼Visaタッチ決済搭載カード
・三井住友カード
・イオンカード
・JALカード
・ANA VISAカード
・dカード
・ジャックスカード
・オリコカード
・ライフカード
・TS CUBIC CARD
・京王パスポートVISAゴールドカード
・ペルソナSTACIAカード

Mastercard……Mastercardコンタクトレス

画像はMastercard公式サイトより

画像はmastercard公式サイトより

こちらも以前は「Mastercard PayPass」という名称でしたが改称されています。ジャックスカードやオリコカードの一部が対応しているほか、三井住友カードも今後の搭載を検討しているようです。

▼Mastercardコンタクトレス搭載カード
・オリコカード
・ジャックスカード
・コストコグローバルカード
・マツモトキヨシメンバーズクレジットカード

JCB……JCB Contactless

画像はJCB公式サイトより

画像はJCB公式サイトより

こちらもかつては「J/Speedy」という名称でしたが改称しています。

▼JCB Contactless搭載カード

・ANA JCBカード
・ジャックスカード JCBコンタクトレス

American Express……American Express Contactless

画像はAmericn Express公式サイトより

画像はamericnexpress公式サイトより

American ExpressのプロパーカードがType A/Bのタッチ決済に対応しています。

▼American Express Contactless搭載カード

・アメリカン・エキスプレス プロパーカード各種
・アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・カード
・SPGアメリカン・エキスプレス・カード

まとめ

グローバル化、キャッシュレス化の流れからすると、今後も国内でType A/Bのタッチ決済が普及していく可能性は高いと言えそうです。冒頭で紹介した三井住友カードのように、カード切り替え時にタッチ決済対応カードを発行している会社もあります。皆さんも一度、クレジットカードのタッチ決済を体験されてみてはいかがでしょうか?

※本記事は、執筆者個人または執筆者が所属する団体等の見解です。

大正谷成晴

大正谷成晴

フリーランスの編集・ライター。資産運用全般、ビジネス、クレジットカード、副業、医療・介護など、幅広いジャンルで取材・執筆している。企業の女性活用に関する記事執筆も多数。 著書に『決定版 1万円からはじめるFX超入門』(かんき出版)など

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