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投資初心者に伝えたい“正しい積立投資”の始め方【基礎編】

コロナショックに負けずに資産を増やす! 今こそ「積立投資」の魅力を知ろう

新型コロナの影響で、世界的に株価が急落したのは記憶に新しいところでしょう。ここに来て株価は戻りつつあるものの(編集部注:2020年5月21日の終値は2万552円)、経済状況に鑑(かんが)みれば、今後も不安定なマーケットが続くことが予想されます。この状況下、ネット証券を中心に新規の口座開設が増加し、新たに「積立投資」を始める人が増えていると報じられています。

コロナショックの株価下落に揺れる中、今後の株価上昇を期待してか、若い世代を中心に「積立投資」に興味を持つ人が増えているようです。本稿で「積立投資」の魅力を丁寧に解説していきます

そこで本稿では、「新たに投資を始めたい」と考えている人を対象に積立投資の考え方や方法を解説します。投資にはさまざまな手法や投資対象がありますが、「インデックスファンドを対象とした積立投資」は一般的に初心者向けと言われています。その理由や具体的な方法など、ぜひ、正しい考え方と方法を理解して取り組んでいただければと思います。

株価の下落をチャンスと見て投資を始める人が増えている

今年2020年2月から3月にかけて、世界中のマーケット(株式・金融市場)は、新型コロナウイルス感染拡大を背景とした急落、いわゆる「コロナショック」に見舞われました。日本の株式市場の値動きを表す代表的な指標である日経平均株価は、約2万4,000円から1万6,300円へと約32%の下落、米国株式市場の代表的指標であるニューヨーク・ダウは、約2万9,500ドルから1万8,600ドルへと、約37%もの下落を記録しました。

新型コロナの影響で、世界的に株価が急激に下落しました

「二番底」のリスクも

過去の経済ショックを見ると、2008年9月からのリーマンショック時には、日経平均株価の下落率は40%を超えています。今回の下落率は、いまのところそこまでではないものの、リーマンショック時には約半年かけて株式市場がだんだん下落していったのに対して、今回はわずか1か月ほどでの急落だったことが特徴で、マーケット関係者や投資家に大きな衝撃が広がりました。

その後、各国中央銀行や政府による大規模な金融・財政政策に支えられ、4月以降のマーケットはやや落ち着きを取り戻しています。しかし今後もマーケットは不安定な状況が続くと思われます。株価についても、いずれ3月の安値付近、あるいはそれを下回る「二番底」を探るのではないかと予想する市場関係者も少なくありません。

ネット証券の新規口座開設が増加

そのいっぽう、2月から3月にかけての株価急落時、ネット証券会社では新規の口座開設数が急増していました。

「日本経済新聞」の2020年3月26日の記事、「ネット証券、口座開設が急増 株価急落で初心者参入」によると、ネット証券大手4社の2020年第一四半期の新規口座開設数が50万口座を超え、四半期としては過去最大の数を記録したそうです。また同記事には、

――(新規口座開設者のうち*)楽天(証券*)では「初心者」の割合が7割を占め、年代別では30代以下が6割に上った。


――積立型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)を含むネット証券の積立サービスも増加している。SBI(証券*)は月額換算で200億円超と、この3か月で3割増えた。楽天(証券*)も昨年3月末から倍増の約170億円と急増〜


(*は著者付記)

との記述もあり、昨年大きな話題となった「老後資金2,000万円問題」などをきっかけとして投資に関心を持ち始めた若年層(20代、30代)が、今回の株価下落をチャンスととらえて「積立投資」などを開始しているという構図が見て取れそうです。

ここからの株価上昇への期待

積立投資は長期間続けていくものなので、その途中には株価が高い時期も低い時期もあります。しかし、株価が高い時期に投資を始めてそれから下がるのと、低い時期に投資を始めてそれから上がるのとでは、その後に積立を続けていくモチベーションは大きく違ってくるでしょう。すでに株価が20%も30%も下げて、そこからさらに大きく下がる不安が相対的に少ないと思われる「ショック」の時期に投資を始めるのは、賢い選択だと言えます。

消費税増税などの税負担が増えるいっぽう、年金を初めとした社会保障給付はますます先細りしていくことが予想される中、少なからず自分で将来に備える姿勢が求められています。投資にはリスクもあり難しい面もありますが、これを機に、積立投資など比較的始めやすいものから徐々に挑戦していただければと思います。

【投資対象】投資初心者へのおすすめは「インデックスファンド」

世の中には株式や不動産など、さまざまな「投資対象」があります。また、異なる「投資方法」もあります。結論から言うと、初心者におすすめなのは「インデックスファンド」を投資対象とし、「積立投資」という投資方法で買っていくことです。まずは、投資対象のインデックスファンドから見ていきましょう。

インデックス型の投資信託を買うことは、その市場に広く薄く投資することを意味します

市場の平均に連動するのがインデックスファンド

インデックス(Index)とは、ある市場全体の平均的な値動きを表すための指標のことです。たとえば「日経平均株価」は、日本の株式市場の値動きを示す代表的なインデックスのひとつです。インデックスは厳密にいうと単なる平均ではありません。また同じ市場に複数のインデックスが存在する場合もあります。しかし細かい話なので、その説明は省きます。ざっくりと、「インデックス=市場の平均のようなもの」と考えておいていただいて問題ありません。インデックスは株式市場だけではなく、債券、REIT(不動産投資信託)、金(ゴールド)など、さまざまな市場(投資対象)に設定されています。

ファンドとは投資信託のことを指し、多くの人から集めたまとまった資金を、専門の運用会社が一定の方針のもとで一括して運用していくタイプの投資商品です。また、投資信託の価格のことを「基準価額」と言います。投資信託にもたくさん種類があり、現在日本で購入できる公募型(一般の人が買える)投資信託は、約6,000本もあります。

投資信託の中で「インデックス型」と呼ばれるのは、さまざまな市場のインデックスの値動きに「基準価額」が連動するように作られた投資商品です。たとえば、日経平均株価連動のインデックス型投資信託は、日経平均が3%上がれば基準価額が3%上がり、日経平均が2%下がれば2%下がる、というように運用されています(厳密にぴったり同じ動きになるわけではありません)。このタイプの投資信託を1本買えば、日本の株式市場全体に広く薄く投資をしているのと同じような効果が得られます。「投資する銘柄(企業)を選ぶ」ことは必要なく、そのための研究や手間も必要ありません。

アクティブファンドはインデックスを上回る成果を目指すが…

ちなみに、インデックスに連動するのではなく、ファンドマネージャーの判断で投資する銘柄(企業)を選別したり、タイミングを計って投資比率を変えたりして、インデックスの値動きを上回る運用成果を目指すタイプの投資信託もあります。これらは「アクティブ型」や「アクティブファンド」と呼ばれます。

アクティブファンドはインデックスの値動きを上回る成果を目指すのですが、実際には、インデックスを下回る成果になってしまっているアクティブファンドもたくさんあります。そこで、株式の銘柄選びと同じように、どのアクティブファンドを選べばいいのかという難しい問題が生じます。

そのため、投資初心者、あるいは投資に時間や手間をかけたくない人には、少なくとも市場の成長と同程度の成果が得られるインデックスファンドのほうが向いています。「どの会社の株や、どのアクティブファンドが上がるのかはわからないけれど、日本株の平均は上がるだろう」と考えるのであれば、インデックスファンドを買えばいいのです。

【投資方法】投資初心者へのおすすめは「積立投資」

続いて「投資方法」に触れます。投資方法は、大きく分けて2種類あります。ひとつは、投資対象の値動きに着目し、安くなったタイミングで買い、高くなったタイミングで売ることを目指す方法です。本記事ではこれを「タイミング投資」と呼びます。もうひとつは、投資対象の価値の成長に着目し、価格やタイミングを考えずに定期的に購入を続けていく「積立投資」です。

株価が安いときを狙って買う「タイミング投資」と比べ、定期的に買い続ける「積立投資」は、初心者が始めやすく、長期の資産形成にも適していると言われています

株価の推移を読むのは至難の業

タイミング投資は、うまくいくと大きな利益を得られますが、失敗すると大きな損失をこうむります。利益になる可能性と損をする可能性の両方ともが大きい、つまり損益の「振れ幅」が大きいのです。こういう状態のことを、投資の世界では「リスクが大きい」と言います。

リスクの大きい投資が、必ずしも悪いわけではありません。しかし、リスクを受け入れることができる人、言い換えると、投資の結果が大きな損失になっても仕方がないと考えられる人だけがタイミング投資をするべきです。また、タイミング投資は将来の値動きを予測することが前提になりますから、非常に難しいものです。本格的に研究して投資しようと思えば時間も手間もかかりますし、時間や手間をかけて研究したからといって、必ず予測を的中させられるわけでもありません。

相対的にリスクの低い積立投資

いっぽう、積立投資は最初にポートフォリオ(投資対象の組み合わせ)を設定するときに多少考慮が必要ですが、一度設定をしてしまえば、その後は月に1回くらい状況を確認し、半年か1年に1回程度少し調整すればいいだけです。日々の暮らしの中で、投資のことを考える必要はほぼありません。このようなことから、投資初心者や、投資の研究に時間や手間をかけたくない人の投資方法として、積立投資をおすすめします。

▼積立投資の5つのメリット

積立投資の具体的なメリットを5つご紹介します。

少額から始められ、投資にかける手間や時間が少なくて済むなど、積立投資には初心者にうれしいメリットが多くあります

1.投資に時間を割かなくていい

日々の暮らしの中で、投資のことを考える必要がほぼない、つまり投資に時間を割かなくていいことは、積立投資の第1のメリットとしてあげられます。有限の人生において、時間はある意味でお金以上に大切なリソースです。そのため、本業のある人が投資の研究に多大な時間をかけるのは本末転倒です。特に20〜30代の若い人なら、投資の研究にかける時間を、本業でのスキルアップや自己啓発の学習にあてたほうが、長い目で見たとき、高いリターンが得られるのではないでしょうか。

2.天引きが可能

つみたてNISAをはじめ、一般的な積立投資商品では、預金口座からの自動引き落としが可能です。いちいち発注する手間はかかりません。また「生活費が残ったら投資に回そう」と思っていると、つい使ってしまって投資資金が残らないことがあります。預金口座から引き落とされることで、投資後の金額で生活するという投資の習慣が身につくこともメリットです。

3.少額から投資が可能

商品にもよりますが、月1,000円程度の少額から投資が可能です。それくらいの少額では、積み立ててもあまり意味がないと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。それは次に説明する複利の効果があるためです。

4. 長期にわたる複利効果が得られる

複利効果とは、投資の運用によって得られた運用益をさらに投資に回すことで、利益が利益を生み、いわゆる「雪だるま式」に増えていくことです。運用益が利益を生まない場合を「単利」と言います。

(注)複利計算では端数処理により若干誤差が出ている場合があります。

上記の表からもわかるとおり、運用益(想定利回り)が同じならば、投資期間が長ければ長いほど、複利の効果は大きくなり、単利との差が広がります。そのため、投資期間を長くできる若い人ほど、複利の効果を大きく得られます。また、まとまったお金がなくても少額から始められる積立投資のメリットも生かせるわけです。

なお、金融庁のWebサイトでは、「積立金額、想定利回り、積立期間」を任意に設定したうえで、投資結果を確認できる「資産運用シミュレーション」のページが用意されています。いろいろな数値でシミュレーションしてみると複利運用効果が実感できると思います。

参考:金融庁「資産運用シミュレーション」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html

5. 投資リスクを軽減できる

タイミング投資では、購入時の価格が低ければ、売却時の利益を大きくできますし、高ければ利益は減ります。購入タイミングによるリスク変化の度合いが大きいのです。

いっぽう、積立投資では、投資対象の価格が高いときも、安いときも、定期的に買っていきます。そのため、積立での購入価格が長い目で見ると平均化されて、投資対象の値動きの、おおむね平均値近くになります。つまり、タイミング投資よりもリスク(=売却時の損益の振れ幅)が小さくなるのです。さらに、「ドルコスト平均法」により、一般的には、価格推移の平均値よりも購入価格の平均値のほうが低くなり、より有利になります。ドルコスト平均法については【応用編】でくわしく解説する予定です。

▼積立投資の5つのデメリット

もちろん、積立投資はいい面ばかりではありません。下記のようなデメリットも理解しておく必要があります。

「見えにくいコスト」など、積立投資のデメリットも頭に入れておきましょう

1. 短期間の投資には向かない

積立投資は、ドルコスト平均法の効果によりリスクを低減し、複利の効果を得ながら長期にわたって少しずつ有利な状態にしていく投資法です。そのため、4、5年の短期では十分な効果が発揮できません。何年以上という決まりがあるわけではありませんが、長ければ長いほどよく、感覚的には、最低でも10年以上の投資期間が想定できるかどうかがひとつの目安になると感じます。

2. 使う時期が決まっている資金には向かない

たとえば「5年後に子どもの大学入学資金として使う」というように、資金の使用時期がはっきりしている場合にも、積立投資は向きません。その5年後の直前に、もしコロナショックのような事態が生じれば、積み立てた資金は大きく目減りしてしまうからです。そういった場合は積立投資ではなく、元本が保証されている「積立貯蓄」にするべきでしょう。

3. 短期間で効率よく儲けることはできない

たとえば、いま100万円の余裕資金があるとします。タイミング投資であれば、一度に100万円を投資して、短期間で大きな利益を得られる可能性がありますが、積立投資の場合ではそれができません。手もとに資金の余裕があっても、積立投資ではそれを効率的に使って、大きな利益を得るといったことはできないのです。

4. 完全放置はできない(リバランスが必要)

積立投資のメリットのところで手間がかからない点をあげましたが、それはタイミング投資との比較した場合のことであり、積立投資といえども完全放置はできません。月に1、2回程度は運用状況を確認したほうがよいですし、年に1、2回程度、状況に応じて資産のリバランス(積立の内容を変更すること)が必要になります。リバランスの考え方については、【応用編】でくわしく説明します。

5. コストが見えにくい

投資商品の売買には、販売会社(証券会社、銀行など)や運用会社などに支払う手数料などのコストがかかります。積立ではない通常の株式の購入や売却では、購入額に応じて売買手数料が◯◯円とわかりやすく明示されます。いっぽう、多くの積立商品、特に投資信託の場合は、日々の総運用額の中から信託報酬(投資信託の運用手数料)が差し引かれるといった形になるため、コストが見えにくくなります。なかには意外なほどコストが高い商品もあり、注意が必要です。

椎原よしき

椎原よしき

ビジネスライター/AFP。事業戦略、M&A、資産運用などのジャンルを専門として取材記事や書籍を書いています。猫とコーヒーとバリュー株が好きです。

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