クレジットカードは基本的に、グレード別に「一般カード」「ゴールドカード」「プラチナカード」に分類できます。最上位とされるプラチナカードは、一般カード、ゴールドカードより多彩なサービスが付帯していたり、有利なポイントプログラムが用意されていたりするため、年会費も高め。なかには年会費が10万円を超えるものもありますが、近年2万〜3万円台の年会費で、ポイントを貯めやすく、また付帯サービスが充実しているプラチナカードが次々と登場しています。今回は、そうしたコスパ抜群の5枚のプラチナカードを紹介します。
(本記事の年会費の表記は税込です)
「三井住友カード プラチナプリファード」は2020年9月にリリースされたカード。毎日順位が更新される「価格.comプラチナカード人気ランキング」でも、連日1位を獲得している人気の1枚です(2020年11月6日時点)。年会費は33,000円。最大の特徴は、発行元の三井住友カードが「ポイント特化型」とPRするように、ポイントの貯めやすさにあります。このカードのポイントサービスの特徴は主に以下の3点。
(1)基本還元率が1%
(2)特約店では、基本還元率に1〜9%を上乗せ
(3)新規入会および、継続した際のボーナスポイント付与
通常利用で100円ごとに1P(1P=1円相当)貯まり、基本還元率は1%。従来の「三井住友カード プラチナ」(年会費55,000円)の基本還元率は0.5%なので、2倍の還元率になります。また、海外利用では還元率が3%にアップします。
さらに、「プリファードストア」と呼ばれる特約店で利用すると、1〜9%のポイントが上乗せされ、最大でポイント還元率が10%にアップ。特約店の中には、コンビニやカフェ、スーパーなど日常的に使うような店舗も多数あり、たとえば、大手コンビニ3社(セブン‐イレブン、ローソン、ファミリーマート)やマクドナルド、大丸松坂屋などの百貨店では3%還元、スーパーやドラッグストアでも2%還元と、普段どおりの生活を送るだけで効率よくポイントを貯めることができます。
※2020年11月時点
さらに見逃せないのが、新規入会特典と継続特典によるポイントの付与です。新規入会特典として、入会月の3か月後の月末までに合計40万円分を利用すると、40,000ポイントが付与され、年会費(33,000円)を超えるポイントを獲得できることになります。また、2年目以降も継続特典として、通常のポイント還元とは別に、前年度100万円のショッピング利用ごとに10,000ポイント(最大40,000ポイント)がもらえます。
たとえば、前年度200万円利用した場合に獲得できるポイント数は、通常利用のポイントとして20,000ポイント(200万円×1%)、継続特典として20,000ポイント、さらに特約店や海外利用時のポイント加算を考えれば、年会費を差し引いても7,000円以上お得になります。
ただし、三井住友カードが「付帯サービスはシンプル」と位置づけるように、「プラチナプリファード」の旅行保険や空港ラウンジなどのサービスは、「三井住友カード プラチナ」と比べて限定的になるという点は覚えておいたほうがよいでしょう。
たとえば、「プラチナプリファード」では、国内・海外旅行保険は最高5,000万円付帯(自動付帯1,000万円+利用付帯4,000万円)なのに対し、「三井住友カード プラチナ」は自動付帯で1億円。利用可能な空港ラウンジサービスは「プラチナプリファード」は国内主要空港およびハワイのみですが、「三井住友カード プラチナ」はこれに加え、世界1,300か所の空港ラウンジが使える「プライオリティ・パス」の利用が可能です。チケットの手配などをしてくれる「コンシェルジュ」サービスは両カードに付帯していますが(「プラチナプリファード」はVisa提供のコンシェルジュデスク)、対象レストランで2名分コース料理を予約すると、1名が無料となるグルメサービスは、「プラチナプリファード」には付帯していないなどの違いがあります。
三井住友カード発行のほかのカード同様、「プラチナプリファード」も「Visaのタッチ決済」に対応しており、レジにある決済端末にカードをかざすだけで瞬時にお会計を済ませることができます。サイン・暗証番号不要で支払いが可能です。また、裏面にカード番号や有効期限、セキュリティコードを集約し盗み見られるリスクを軽減、表面は無駄を省いたスタイリッシュなデザインとなっています。券面カラーは定番の「ブラック」のほか「プラチナホワイト」の2色から選択できるので、カードは見た目にもこだわりたいというユーザーにとってはうれしいポイントです。
三菱UFJニコスが発行する「MUFGカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード」(以下「MUFGカード・プラチナ・アメックス・カード」)。こちらは、年会費22,000円で多彩なサービスが付帯しているのが魅力の1枚です。
利用金額1,000円ごとに1P(1P=5円相当)が貯まり、基本の還元率は0.5%。入会初年度の国内での利用分はポイント1.5倍、海外での利用はいつでもポイント2倍になります。
任意で設定する記念月にポイントがアップする「アニバーサリーポイント」もあり、記念月にはポイントが2倍になります。こちらは、自分の誕生月以外を指定することもできるので、家族の誕生月やボーナス月など、大きな買い物をする時期にあわせて自分で決められます。また、1年間の利用額が50万円以上100万円未満の場合、翌年は基本ポイントの20%分が、100万円以上なら50%分が加算される特典も用意されています。
さらに、年会費のカード支払いでスターひとつ、年間の利用金額が50万円以上の場合にスターひとつと、年間で最大2つスターが貯まる「プレミアムスタープログラム」もあります。スターが5つになった会員(最短3年必要)は「ファイブスターメンバー」として、優遇特典を受けられるようになります。ファイブスターメンバーのうち、前年1年間の利用金額が50万円以上の場合に、利用金額に応じて10〜20%のボーナスポイントが付与されます。使えば使うほどお得になるポイントプログラムが用意されています。
「MUFGカード・プラチナ・アメックス・カード」の特徴のひとつは海外旅行で役立つという点。世界1300か所以上の空港ラウンジが利用できる「プライオリティ・パス」に無料で申し込めます。これだけなら、通常のプラチナカードと同様ですが、このカードには、家族カードを1名まで無料発行できるうえ、家族会員も「プライオリティ・パス」に無料で申し込めるという大きなメリットがあります。
このほかにも、海外旅行の出入国の際、スーツケース1個を自宅〜空港間無料で配送してもらえる「手荷物空港宅配サービス」、日本が冬の時期に暖かい国に行くときに利用できる「コート(防寒具)預かりサービス」など海外旅行を快適に楽しむためのサービスがそろっています。
また、旅行傷害保険に関しては、最高1億円(自動付帯5,000万円+利用付帯5,000万円)を補償する海外旅行傷害保険、最高5,000万円(全額自動付帯)の国内旅行傷害保険を付帯し、カード会員の旅の安心をサポートします。このほか、第三者の加害行為やひき逃げによってケガをした場合に適用される「犯罪被害傷害保険」(最高1,000万円)など、ほかのカードではあまり見られない保険が付帯され、手厚い補償内容となっています。
コンシェルジュのサービスはもちろん、国内の対象レストランで所定コースメニューを2名以上で利用する際に1名分のコース料理が無料になる「プラチナ・グルメセレクション」など、プラチナカードならではのトラベル&エンターテイメント優待も充実しています。
また、銀行系カードらしく、金融系サービスの特典も用意されています。三菱UFJ銀行をカード支払口座に指定すると、「スーパー普通預金(メインバンク プラス)」で以下の取引が無料となります。
・三菱UFJ銀行の同行ATM利用手数料(回数上限なし)
・三菱UFJ銀行の提携先コンビニATM利用手数料(3回まで)
・「三菱UFJダイレクト」他行あて振込手数料(3回まで)
また、住宅ローン金利の優遇など、三菱UFJフィナンシャル・グループ各社の特典を利用することもできます。このような金融サービス優待が充実しているのも、MUFGカードならではと言えるでしょう。
クレディセゾンが発行する「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」は、ビジネスオーナー向けのプラチナカード。決算書や登記簿の提出は不要で、フリーランスの方なども申込可能です。年会費は22,000円ですが、年間で200万円以上利用すると、次年度の年会費が半額の11,000円になります。
1,000円の利用につき1P(1P=5円相当)が貯まり、基本の還元率は0.5%。海外利用時は2倍の1%となります。また、このカードはJALマイルを貯めやすいカードとして知られています。その理由は、ショッピング利用でJALマイルを獲得できる「SAISON MILE CLUB」の無料登録が行えること(通常は年会費4,400円が必要)。通常のポイント還元とは別に、1,000円の利用で10JALマイルが貯まるなどの特典を受けられ、マイル還元率が1.125%と高率になります。
固定資産税や自動車税など、各種税金や公共料金の支払いでもポイントが貯まります。事務用品やレンタカー、宅配サービスなどをいつでも優待価格で利用できる「ビジネス・アドバンテージ」、クラウド会計サービス「freee」の最大3か月無料など、事業主向けのさまざまな限定サービスもこのカードならでは。
海外旅行傷害保険は最高1億円まで、国内旅行傷害保険は最高5,000万円までを補償(いずれも全額自動付帯)。また、世界1,300か所以上の空港ラウンジを利用できる「プライオリティ・パス」に無料で登録できるので、出張の際に快適なひと時を過ごすことができます。
また、24時間365日対応してくれる「コンシェルジュデスク」に依頼すれば、取引先との会食などを予約してくれることもできます。このほか、厳選したホテルを紹介する予約サイト「Tablet Hotels」で客室アップグレードのサービスや、名門ゴルフコースでのプレーやプロを招いたイベントに参加できるサービスを割引価格で利用でき、ビジネスでもプライベートでも役立つサービスが用意されています。
マルイを運営する丸井グループのグループ会社、エポスカードが発行するのが「エポスプラチナカード」です。年間利用額に応じたボーナスポイントが魅力的で、「プラチナプリファード」に劣らないコストパフォーマンスを備えています。年会費は30,000円ですが、エポスカードから招待された場合は20,000円になります。
ポイントサービスとして、通常利用時は200円で1P(1P=1円相当)の0.5%還元。マルイでの利用は200円で2Pとなり1%還元。さらに、誕生月はそれぞれ2倍になるので、通常利用時に1%、マルイ利用時に2%還元にアップします。また、通常はポイントの有効期限は2年間ですが、プラチナカードなら無期限になるのもメリットと言えます。
「エポスプラチナカード」は年間利用額に応じて2つの特典が用意されています。
ひとつ目は、ボーナスポイント。下記の表のとおり、年間利用額に応じて2万円から最大で10万円相当のボーナスポイントがプレゼントされます。たとえば、年間で300万円の支払いがあれば、通常ポイント15,000ポイント(300万円×0.5%)に加え、ボーナスポイント40,000ポイントが加算されるので、合計で年間55,000ポイントを獲得できます。この場合、還元率は1.8%にアップします。
もうひとつは、年間100万円以上利用した場合、翌年以降の年会費が20,000円に割引される特典です。貯まったポイントを「1P=1円」として年会費に充当することもできるので、年間100万円利用すれば、年会費が20,000円になったうえで20,000P付与されるので、年会費をポイントで相殺することも可能です。
「エポスプラチナカード」会員から紹介された紹介された家族は、年会費無料で「エポスゴールドカード(通常年会費5,000円)を発行することができます。さらに、家族合計の年間利用金額に応じて、下記のファミリーボーナスポイントを獲得できます。
年間利用100万円以上:2,000P
年間利用200万円以上:4,000P
年間利用300万円以上:6,000P
貯まったポイントは家族同士で1ポイントからシェアすることもできます。ファミリーで使う楽しさが広がるプラチナカードです。
「エポスプラチナカード」では、旅行保険は最高1億円を補償。海外旅行は無条件で適用される自動付帯で、国内旅行は旅費などをカードで支払った際に適用される利用付帯となっています。空港ラウンジサービスも1,300か所以上の空港ラウンジを利用できる「プライオリティ・パス」に無料で登録できます。また、グルメサービスについても、全国約100店舗の対象レストランにて2名以上で利用すれば本会員1名分のコース料理代金が無料になる「Gourmet Coupon」が利用できます。
また、ほかのエポスカード同様、年4回マルイでのショッピングが10%オフになるキャンペーンや、全国1万を超える施設やサービスで優待を受けられる特典も利用できます。
オリコが発行するプラチナカードが「Orico Card THE PLATINUM」。年会費は20,370円。基本還元率は1%で、十分な水準ですが、誕生月やネットショッピング利用時にはさらに、還元率が上乗せされます。
「Orico Card THE PLATINUM」は100円につき1P(1P=1円相当)が貯まり、基本のポイント還元率は1%、リボ払いや海外での利用時には1.5%になります。また、同カードには電子マネー「iD」と「QUICPay」が搭載されており、これらの利用時にも1.5%還元にアップします。さらに、誕生月の利用は還元率が「+1%」となり2%還元になります。
「Orico Card THE PLATINUM」の大きな特徴のひとつに、ネットショッピングでの還元率の高さがあります。オリコはポイントモール「オリコモール」を運営しており、オリコモールを経由してAmazonやYahoo!ショッピングなどの各サイトを利用すると、ポイントが特別加算されます。たとえば、オリコモールを経由すると、Amazonでは計2.5%還元、Yahoo!ショッピングでは計2.5%還元、ビックカメラ.comは計3%還元になります。さらに、誕生月の利用は還元率が「+1%」となるので、Amazonでは計3.5%還元となります。
旅行傷害保険に関しては、海外旅行は1億円(自動付帯5,000万円+利用付帯5,000万円)、国内旅行も1億円(全額利用付帯)と手厚く補償。偶然の事故で他人にケガを負わせたりした場合に負う損害賠償責任を補償する「個人賠償責任保険」が100万円を限度に付帯。補償額としては十分とは言えないかもしれませんが、近年全国の自治体に加入義務化の動きが広がっている自転車損害賠償責任もカバーされます。
世界1,000か所を超える空港ラウンジサービス「Lounge Key(ラウンジ・キー)」が付帯しており、年間6回まで無料でラウンジを利用することができます。家族会員も同じ条件で利用可能です。このほか、24時間365日対応のコンシェルジュや世界100万か所以上のWi-Fiスポットを無料で利用できます。
また、「Orico Card THE PLATINUM」には、最近普及が進むタッチ決済「Mastercard コンタクトレス」も搭載。国内外を問わず、対応マークのあるお店であれば、レジに設置された決済端末にカードをかざすだけで支払いが完了します。また、ゴールドカード以上のオリコカード会員を対象とした会員制クラブ「Orico Club Off」も使うことができ、国内のホテルや遊園地・テーマパークを割引料金で利用できます。
記事で紹介した5枚のプラチナカードの特徴を表にまとめました。
「三井住友カード プラチナプリファード」はポイント獲得に重点を置いたプラチナカードで、特約店では最大10%還元になるうえ、年間利用額に応じて最大40,000P獲得できます。特約店の利用頻度や年間利用額によっては、33,000円の年会費を超えるポイント獲得も可能な1枚です。「MUFGカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード」は、銀行系カードらしくATM利用の手数料が優遇されたり、家族会員も世界各地の空港ラウンジが無料利用できたりと、幅広いサービスが付帯しています。
「セゾンプラチナ・ビジネス・アメックス・カード」は、ビジネスオーナー向けのプラチナカード。クラウド会計サービス利用にあたっての特典など、事業を手がける人に役立つ特典が22,000円の年会費(年間200万円以上の利用で11,000円に割引)で利用できるのはメリットと言えるでしょう。
「エポスプラチナカード」も年間利用額に応じたボーナスポイントに特徴があります。年間100万円以上の利用で、30,000円の年会費が20,000円に割引されるうえ、20,000P以上のボーナスポイントが付与されます。「Orico Card THE PLATINUM」は、基本の還元率が1%あるうえ、Amazonなどのネットショッピング利用の際に還元率がアップするのが魅力の1枚です。
ひと口にプラチナカードと言っても、年会費が10万円を超えるカードもあります。最適なカードは人ぞれぞれですが、初めてプラチナカードを持つなら、使いこなせずに宝の持ち腐れとなってしまったという事態を避けるために、まずは、今回紹介した年会費2〜3万円のものから選ぶのもひとつの方法です。また、今回の5枚のカードはいわゆる「格安プラチナカード」に分類されますが、その特徴は異なります。自分が特にどのサービスを重視するのかをよく見極めてから申し込むようにしましょう。
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