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2021年は省エネやクリーンエネルギーに熱視線

バイデン政権も追い風!? 株のプロが注目する「環境・国土強靭化」関連株7選

昨年2020年末からの株高が続いています。2021年1月19日の記事執筆時点の日経平均株価の終値は28,663円で、連日30年ぶりの高値を更新する状況です。マーケットアナリストの藤本誠之さんは、今年2021年も株高傾向が維持されると予想。そして本記事の前編(※)で述べたように、「環境」と「国土強靭化」を2021年の注目の投資テーマとしてあげます。本記事では、両テーマに該当し、藤本さんが注目している企業を教えていただきます。

※本記事の前編
”脱ハンコ”や“DX”で買われた会社はどこ? 2020年に「株価が数倍になった日本株」6選
https://kakakumag.com/money/?id=16344

風力発電など、「環境」が2021年注目の投資テーマのひとつ(画像はイメージ)

風力発電など、「環境」が2021年注目の投資テーマのひとつ(画像はイメージ)

2021年に注目の投資テーマ「環境」「国土強靱化」

注目テーマのひとつである「環境」は、アメリカのバイデン新政権によって進むと見込まれている環境政策を背景にしたもの。菅政権が力を入れているテーマでもあり、関連分野への投資が進むことが期待されています。2つ目の「国土強靭化」は、大規模自然災害などに強い国土や経済システムの整備のことを指し、こちらも菅政権の主要政策のひとつです。

「日本企業の中には、この2つのテーマに関連する高い技術を持つ企業が少なくありません。今年はそうした企業の株価に注目すると面白いと思います。この記事では、私が実際に訪問したことのある上場企業の中から、『環境』と『国土強靱化』に関連する注目企業7社を紹介したいと思います」(藤本さん。以下同)

解説:藤本誠之(ふじもとのぶゆき)さん。「相場の福の神」の愛称を持つマーケットアナリスト。年間300社を超える上場企業経営者とのミーティングを通じて、個人投資家に真の成長企業を紹介。ラジオNIKKEIで4本の看板番組を持ち、テレビ出演、新聞・雑誌への寄稿も多数。日興証券、マネックス証券、カブドットコム証券、SBI証券などを経て、現在は、財産ネット株式会社の企業調査部長。日本証券アナリスト協会検定会員、ITストラテジスト。近著に「株は社長で選べ! コロナ継続・収束問わず確実に勝ち続けるたった一つの株式投資術」(かんき出版)がある

解説:藤本誠之(ふじもとのぶゆき)さん。「相場の福の神」の愛称を持つマーケットアナリスト。年間300社を超える上場企業経営者とのミーティングを通じて、個人投資家に真の成長企業を紹介。ラジオNIKKEIで4本の看板番組を持ち、テレビ出演、新聞・雑誌への寄稿も多数。日興証券、マネックス証券、カブドットコム証券、SBI証券などを経て、現在は、財産ネット株式会社の企業調査部長。日本証券アナリスト協会検定会員、ITストラテジスト。近著に「株は社長で選べ! コロナ継続・収束問わず確実に勝ち続けるたった一つの株式投資術」(かんき出版)がある

【1】「菊池製作所」(ジャスダック:3444)
試作の世界で知名度抜群

「菊池製作所」と聞いてピンとくる人は少ないかもしれません。同社は板金や成形、機械加工を核にした試作・金型の製作が主力の企業。商品の開発から量産まで、ものづくりを総合的に支援する企業として知られています。

「『試作といえば菊池製作所』というほど、幅広い業界で知名度は抜群で、企業や大学などからの依頼が後を絶たないそうです。現在も100以上の機関とものづくりの共同開発を進めています。そのひとつ、『自律制御システム研究所』が2018年12月に、ドローン専業会社として初の上場を果たしており(マザーズ:6232)、菊池製作所はその大株主です。このように、出資や技術協力を行い、世の中に新たな製品を送り出すなど成長をサポートするのが同社の特徴です」

省エネを実現する新型モーター

菊池製作所が現在力を入れている支援事業のひとつが、「ハルバッハモーター」と呼ばれる画期的なモーターの実用化。開発を手がけるのは工学院大学の教授らが立ち上げた「マグネイチャー」というスタートアップ企業で、菊池製作所は出資ファンドの最大出資者としてハンズオン支援(出資するだけでなく事業や経営などにも関わる支援)を行っています。

「ハルバッハモーターは、磁石の特別な配列により高効率の回転を可能とするモーターのこと。鉄心が不要でモーター自体の小型軽量化が可能です。電気自動車への採用を目指していて、消費電力を大幅に削減できて環境にやさしい。環境問題に寄与する風力や小水力の発電機や、空飛ぶクルマなどへの採用も視野に入れています。モーターは全世界で数十兆円規模の市場なので、ハルバッハモーターの実用化がかなえば、その恩恵はかなり大きい。マグネイチャーは2022年度に年間5,000台の量産体制を予定しています」

このほか、すでに販売されている製品では、「イノフィス」という大学発のベンチャー企業が開発した「マッスルスーツ」も支援。マッスルスーツは人工筋肉を用いた動力不要の機器で、着用するだけで重たい荷物を楽々持ち上げられるものです。マッスルスーツのヒットによりイノフェスは2022年以降、新規上場を予定しているとのこと。

「菊池製作所の直近の業績は赤字ですが、こうしたものづくりの種が近い将来花開く可能性が高く、ポテンシャルを秘めた企業と言えます」

菊池製作所の株価1年チャート。2021年1月19日時点の株価は836円。最低購入額は83,600円

菊池製作所が支援するイノフェスが開発した「マッスルスーツEvery」(画像はイノフェス社のプレスリリースより)

【2】「ティアンドエス」(マザーズ:4055)
東北大学と共同開発する次世代メモリーの実用化に注目

「ティアンドエス」は企業の社内システムの受託開発や保守・運用を担うシステムインテグレーター。半導体工場内システムの保守・運用も手がけます。いっぽうで、高度なソフトウエア技術を駆使して、AIやロボット、自動運転などの成長市場も開拓しています。昨年2020年8月に新規上場を果たしました。

次世代メモリーの実用化で消費電力の大幅削減に期待

ティアンドエスが手がける事業の中でも、藤本さんは、東北大学と共同研究している次世代メモリーの実用化に注目しています。

「パソコンのメモリーは皆さんご存じですよね? 記憶装置として欠かせないもので、パソコン以外にもスマホ、タブレットにも必須です。やや専門的な話になりますが、現在主流のDRAM(ディーラム)と呼ばれる半導体メモリーは、回路内の電荷によって情報を記憶します。

それに対して、次世代メモリーのMRAM(エムラム)は、磁性体を用いた構造によって情報を記憶し、通電しなくても記憶を維持できる仕組みです。DRAMと比べて消費電力が100分1で少なくて済むので、環境負荷を減らす面で大きな注目を集めています。すでにMRAMは市場に登場し始めていますが、価格の高さがネック。ティアンドエスと東北大学のMRAM実用化の共同研究ではコストを抑えることも期待されており、実現すれば同社の業績に大きく寄与する可能性は高いでしょう」

ティアンドエスの株価1年チャート。2021年1月19日時点の株価は5,690円。最低購入額は569,000円。ティアンドエスは2020年8月に上場。2020年11月に1対2の株価分割を実施。掲載している株価は株価分割を考慮した調整後のものです

【3】「リバーホールディングス」(東証2部:5690)
廃棄物を資源に変えるリサイクルのトップカンパニー

リサイクルによって、廃棄物を資源に変えるワンストップサービスを展開するのが「リバーホールディングス」です。オフィスのごみや什器、リチウムイオン電池、家電、自動車などの処理まで幅広く対応するのが特徴です。昨年2020年3月に新規上場しています。

「リバーホールディングスは、金属のごみも処理できる特殊なシュレッダーを関東に6か所保有しています。たとえば、廃自動車をこのシュレッダーにかけると5センチ角程度にまで粉々にしてしまう高馬力のものです。それに加えて高度な選別技術も持っていて、同社の理念である『地球を資源だらけの星にしよう。』のとおり、ごみとして廃棄されるものの多く部分を再利用につなげています」

中国の廃棄物輸入停止で脚光

これまで、日本を含む世界各国の廃棄物は中国が輸入し、処理や再利用の受け皿となってきました。ところが、環境への悪影響などを理由に、中国は3年前から段階的に廃棄物の輸入を制限。その最終段階として、2021年1月1日以降、すべての廃棄物の輸入を禁止しました。

「いわば、ごみが行き場を失った状態です。そんな中、処理と再利用に高い技術を持つリバーホールディングスのような企業が注目されているわけです。廃棄物を回収・処理し、再利用をはかる産業を『静脈産業』と呼びます(逆に、造業など製品を供給する産業を「動脈産業」と呼びます)。環境問題が重要視される中で静脈産業のニーズが高まっていくのは間違いなく、そのトップカンパニーであるリバーホールディングスの躍進も期待できるはず」

リバーホールディングスの株価1年チャート。2021年1月19日時点の株価は762円。最低購入額は76,200円。リバーホールディングスは2020年3月に上場

中国の廃棄物輸入禁止を受け、リバーホールディングスのような静脈産業の企業が注目されています(画像はイメージ)

中国の廃棄物輸入禁止を受け、リバーホールディングスのような静脈産業の企業が注目されています(画像はイメージ)

【4】「レノバ」(東証1部:9519)&【5】「ベステラ」(東証1部:1433)
菅政権肝いりの風力発電に貢献する2社

菅内閣は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると表明しています。政府計画の原案に「洋上風力に重点を置く」などの目標がもり込まれていることから、数ある再生可能エネルギーの中でも、藤本さんは風力に注目しているといいます。

日本最大級の洋上風力計画に期待

風力発電で藤本さんが注目しているのが「レノバ」と「ベステラ」の2社。レノバは再生可能エネルギーの発電所を日本やアジアで企画・開発し、運営する会社。ベステラは製鉄所や発電所などのプラント解体工事を行う会社です。

「洋上は陸上と比べて強い風が吹くため発電のポテンシャルが高い。その意味で、レノバが進めている、秋田県沖の洋上風力発電プロジェクトに注目しています。設備容量約700MW (70万kW)を予定する日本最⼤級の規模の計画です」

レノバの株価1年チャート。2021年1月19日時点の株価は4,215円。最低購入額は421,500円

建設後の解体にも注目

「いっぽうのベステラが得意とするのは各種プラントの解体です。風力発電所の風車の耐用年数は15〜20年程度とされており、いずれ解体しなければいけません。今後解体ニーズが高まる中で、同社の強みが注目されると思います」

ベステラの株価1年チャート。2021年1月19日時点の株価は1,855円。最低購入額は185,500円

【6】「前田工繊」(東証1部:7821)
防災資材を手がける1918年創業の老舗

「前田工繊(まえだこうせん)」は道路、河川、斜面などの防災を目的とした土木建築資材を製造・販売するメーカーです。各種繊維を原料とした産業資材なども扱い、M&Aにも注力しています。本社は福井県。1918年創業の歴史ある会社です。

道路の補強材、落石ネットなど防災用資材のニーズ増に期待

「前田工繊はもともと絹織物業からスタートしました。それが防災・減災用の土木建築資材を中心に取扱うメーカーへと業態を転換。なかでも、道路や地盤の補強材、斜面の落石ネットなどが評価され、成長を続けています。近年、日本は巨大台風や集中豪雨などの自然災害にたびたび襲われています。国家的に防災への備えが見直される中、昭和30年から40年代の高度経済成長期に集中的に建設されたインフラが老朽化。安心・安全な暮らしを実現するインフラの整備・維持は喫緊の課題です。菅内閣の『国土強靭化計画』を追い風に、前田工繊が手がける建築資材のニーズが高まる可能性は高いでしょう」

前田工繊の株価1年チャート。2021年1月19日時点の株価は2,731円。最低購入額は273,100円

【7】「東京製綱」(東証1部:5981)
橋などに使うワイヤロープのトップメーカー

「東京製綱(とうきょうせいこう)」はワイヤロープ(ワイヤーロープ)のトップメーカー。同社のワイヤロープは、国内外のクレーン、エレベーター、橋梁など幅広い用途に利用されています。そのほか、タイヤ用のスチールコードや炭素繊維ケーブルなども取扱っています。創業は1887年。前出の前田工繊と同じく創業100年を超える老舗です。

腐食しにくい炭素繊維複合材ケーブルがヒット

「東京製綱の直近の業績は赤字ですが、これはタイヤのスチールコードの販売不振によるもの。代わって世界10か国で特許を持つ新素材の炭素繊維複合材ケーブルがヒットし、2020年11月から株価は上昇に向かっています。ここが注目のポイントです」

土木建築用の従来のケーブルは鉄の芯でできているため、鉄が腐食し補強材として長持ちしないデメリットがあります。それに対して、炭素繊維と樹脂を組み合わせて成形した東京製綱の炭素繊維複合材ケーブルは、腐食しにくくインフラの補強材として最適。

「東京製綱の炭素繊維複合材ケーブルは、アメリカの橋梁に導入されています。ミシガンやバージニアなどの湾岸地域や、寒冷地の8州に採用されるまでに実績を伸ばし、橋梁を100年持たせる重要な役割を担っています。近い将来、日本や世界各国のインフラに幅広く炭素繊維複合材ケーブルが役立てられるようになると見込んでいます」

東京製綱の株価1年チャート。2021年1月19日時点の株価は1,040円。最低購入額は104,000円

国土強靱化が求められる中、腐食しにくい東京製綱の炭素繊維複合材ケーブルが注目されています(画像はイイメージ)

国土強靱化が求められる中、腐食しにくい東京製綱の炭素繊維複合材ケーブルが注目されています(画像はイメージ)

2021年の日本株では「ものづくり」が見直される!?

2021年にマーケットアナリストの藤本さんが注目する7つの企業を解説してもらいました。お気づきの方も多いと思いますが、共通点として「ものづくり」に関連していることがあげられます。

「今回取り上げたのは、ものづくりの力で新たな市場を創出したり、ニーズを満たすなどして社会に貢献する企業です。ものづくりは日本がもっとも得意としてきた分野ですが、2021年は、環境や国土強靭化のニーズから、あらためて、ものづくりが注目される1年だと感じます。株への投資は儲けを狙うばかりではなく、企業を応援するという側面もあります。今年はこれらの企業に注目してもらいたいと思います」

前編で紹介したとおり、昨年2020年は1年間で株価が数倍になった企業が多数登場しました。今年も大きく株価を伸ばす企業が出てくるのでしょうか? 本記事を参考にぜひ動向を追ってみてください。

※本記事の前編
”脱ハンコ”や“DX”で買われた会社はどこ? 2020年に「株価が数倍になった日本株」6選
https://kakakumag.com/money/?id=16344

※本記事は、取材者及び執筆者個人の見解です。特定の銘柄を推奨するものではありません。

百瀬康司

百瀬康司

フリーランスライター。副業をはじめ、投資、貯蓄、節約などマネー企画全般を取材。ビジネスや働くママのジャンルでも取材経験豊富。雑誌、Web、夕刊紙、書籍などで執筆。「真に価値ある情報提供」を使命とする。

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