JR東日本グループのクレジットカード「ビューカード」。近年は、人件費削減(みどりの窓口の減少)や在宅ワークの普及、非接触ニーズの高まりなど、さまざま社会的変化の影響を受け、ポイント付与のルールを変化させています。具体的には、「モバイルSuica」や「えきねっと」(JR東日本のネットサービス)でビューカードを使うと、ほかの使い方と比べてポイントがより多く貯まるようになっているのです。
そこで本記事では、2023年3月時点でのビューカードのおトクなポイント獲得方法を解説します。すでに使っている人は、ぜひご自身の使い方をチェックしてみてください。また、記事後半ではビューカードの主要5券種を紹介します。現在ビューカードを使っていないJR東日本ユーザーの人も、“おトクな乗り方”を検討してみてください。
※最終更新日:2023年3月23日
「モバイルSuicaにビューカードを使ってどうチャージするとおトクか」など、ビューカードの最新ポイント付与ルールをチェックします。画像はモバイルSuica(左)と、ビューカードのひとつ「JRE CARD」(右)
「楽天カード」×「楽天市場」、「PayPayカード」×「Yahoo!ショッピング」のように、クレジットカードには、そのカードと同系列のサービスで使うとおトクになる仕組みがよく見られます。ビューカードにも、JR東日本系列のサービスで利用すると、同社共通ポイントの「JRE POINT(ジェイアールイーポイント)」が通常より多く貯まる、「VIEWプラス」というポイントシステムがあります。
JRE POINTとは?
JR東日本グループ共通のポイント。ビューカードの利用で貯まるほか、Suicaを鉄道で利用したり(乗車ポイント)、駅ビルなどで利用する際などにも貯まります。貯まったポイントは1P=1円でSuicaにチャージできたり、Suicaグリーン券や特典チケットへの交換、座席のアップグレードなどに使えます。
ビューカードの基本のポイント還元率は「0.5%」ですが、VIEWプラスでは、使い方によって還元率がアップします。かつては、JR東日本での定期券購入やオートチャージの利用など、VIEWプラス対象の商品やサービスに利用した際は「一律1.5%」貯まる仕組みでしたが、2021年7月に内容が変更され(その後、さらに一部還元率が変更)、下記のとおり、クレジットカードのグレードや、対象商品・サービスによって異なる還元率が適用されるようになっています。
2023年3月16日時点のVIEWプラスのルール。上記のゴールドカードとは、「ビューゴールドプラスカード」「JALカードSuica CLUB-Aゴールドカード」を指します
この中で目を引くのが、JR東日本のネットサービスである「えきねっと」からJR券を予約・決済する場合や、「モバイルSuica」からのグリーン券購入です。これらにビューカードを使った場合、一般カードなら「3%」、ゴールドカードなら「8%」と、かなりの高還元率となっています。
次にポイント還元率が高いのが、モバイルSuicaでのモバイルSuica定期券購入にビューカードを使った場合。一般カードなら「3%」、ゴールドカードなら「4%」と、こちらもなかなかおトクです。
もし6か月の定期券代が10万円の人がビューカードを使ってモバイルSuica定期券を購入すると、1回で3,000ポイントのJRE POINTが付くことになります(一般カードの場合)。JR東日本を使って通勤・通学している人であれば、これだけでもビューカードの保有を検討してみる価値があるかもしれません。
JR東日本のICカード「Suica」には、「カードタイプ」とモバイルSuicaの2通りがありますが、いずれの場合も、ビューカードを使った残高へのチャージには、原則「1.5%」のポイントが付きます。Suicaは、鉄道料金の支払い以外でも支払えるシーンが増えており、あらかじめチャージしたうえで、スーパーやコンビニ、レストランなどでSuicaで決済すれば、実質的に「1.5%還元」で買い物ができることになります。
たとえば、月々の食費・生活費として月10万円出費している世帯が、そのすべてを「ビューカードでチャージしたSuica」(ただし、カードタイプのSuicaで、手動チャージの場合をのぞく。後述)で決済した場合、付与されるJRE POINTは月に1,500ポイント、年間で18,000ポイントになります。
ただし、ひとつ注意したいのが、カードタイプのSuicaに手動でチャージする場合です。駅に設置されているJR東日本のATM「VIEW ALTTE(ビューアルッテ)」や多機能券売機では、ビューカードからカードタイプのSuicaに手動でチャージができますが、この場合のポイント還元率は、ビューカードの基本還元率である「0.5%」です。つまり、「ビューカードでSuicaにチャージする」中で、唯一おトクにならないのがこのケースになります(カードタイプのSuicaでもオートチャージなら1.5%還元。オートチャージの設定はVIEW ALTTEで行えます)。
前出のとおり、モバイルSuicaなら手動チャージでも「1.5%」還元なので、自動でチャージされるオートチャージに抵抗がある人は、モバイルSuicaの導入を検討してもいいかもしれません。
Suicaのオートチャージは、駅の改札を通る際、残高が一定額を下回っていると自動的にチャージされる機能。Suicaにビューカードを紐づけることで設定可能です(モバイルSuica、カードタイプのSuica、Suica一体型ビューカードのいずれでも設定可能)。サービス対象となる駅は、首都圏、仙台・新潟のSuicaエリアに加え、首都圏の私鉄・地下鉄のPASMOエリアです(画像はイメージ)
ビューカードをおトクに使ううえで、VIEWプラスとともに活用したいのが、JR東日本のネットサービスである「えきねっと」です。「えきねっと」では、あらかじめ「JRE POINT会員番号」を連携させておくことで、「えきねっと」でのJRの切符購入時に、利用額に応じてJRE POINTが貯まります。
「えきねっと」のポイント還元率は下記のとおりです。全体的に「紙の切符」よりも、「チケットレス」が優遇される仕組みとなっています。
たとえば、「えきねっと」上で指定席特急券を購入し、紙の指定席購入券を受け取ることなく、モバイルSuicaなどを使ってそのまま在来線特急列車に乗車できる「えきねっとチケットレスサービス」の場合、「5%」のポイントが付きます(本サービス対象の在来線特急のみ)。「えきねっと」で購入後に紙の切符を券売機などで受け取る場合は「0.5%還元」なのでかなりの差が生じます。
2023年3月16日時点の「えきねっと」でのポイントルール。 ※1 新幹線の「えきねっとトクだ値」は「新幹線eチケットサービス」限定商品。 ※2 JR東日本の在来線特急列車のうち、「えきねっとチケットレスサービス」対象の列車の指定席特急券。 ※3 快速・普通列車の座席指定券。 ※4 JR東日本及びJR北海道の一部在来線特急列車限定の指定席特急券
お気づきの人もいると思いますが、前出のVIEWプラスのポイントアップ条件には「えきねっとでの利用」がありました。この分のポイントは、「えきねっと」で付くポイントとは別に付与されます。
たとえば、「えきねっとチケットレスサービス」の決済にビューカードのゴールドカードを使うと「8%」が「VIEWプラス分」として還元され、「えきねっと」分の「5%」と合わせて、合計で「13%」ものJRE POINTが還元されることになります。見逃すにはかなりもったいない還元率と言えるため、特急に乗車する際は、「えきねっとチケットレスサービス」の対象かどうか確認したほうがいいでしょう。
ここまで見てきた、VIEWプラスや、「えきねっと」のポイント還元のルールからは、
「カードタイプのSuicaではなく、モバイルSuicaを使ってもらいたい」
「乗車券などは、できるだけ『えきねっと』で買って(決済して)もらいたい」
というJR東日本側の意向が読み取れます。これを頭に入れて、ちょっと意識して切符の買い方などを変えると、これまで以上にポイントを貯めることができるはずです。
たとえば、グリーン券の購入機会がある人、あるいは定期券を買う人で、これまでモバイルSuciaを使っていなかった人は、VIEWプラスでのポイントアップを狙って、モバイルSuicaの導入を考えてみてもいいかもしれません。
あるいは、JR東日本のみどりの窓口や券売機で、ビューカードを使って乗車券や特急券を買うことが多い人は、「えきねっと」の利用を検討してみてはどうでしょうか? これまで「0.5%」しか付かなかったJRE POINTが「2~5%」に増え、さらに、VIEWプラス分として、ゴールドカードなら「8%」、一般カードなら「3%」分が上乗せされることになります。
現在まだビューカードを使っていない人も、JR東日本で一定の乗車機会がある場合は、Viewプラスや「えきねっと」でビューカードを利用することで、年会費を上回るメリットが受けられる可能性があります。
ビューカードにはいくつかの種類がありますが、VIEWプラスのポイント還元ルールは各ビューカードで共通です(ただし、一般、ゴールドの違いはあります)。また、「えきねっと」でどのビューカードを使っても同じポイント還元率が適用されます。
ただし、それ以外の特典の部分や年会費などは各カードによって違います。そこで、今後新たにビューカードを作りたい人や、別のビューカードを検討したい人を対象に、ビューカードの主要5券種をご紹介します。
JRE CARDは、JR東日本の駅構内の商業施設や駅ビルでの利用がおトクなビューカードです。
JRE CARD:年会費524円(初年度無料)、基本のポイント還元率は「0.5%」
JRE CARDは通常時は「0.5%」還元ですが、JRE CARDの優待店や、ショッピングサイトの「JRE MALL」で利用すると「3.5%」と高い還元率となります。主な優待店は下記のとおりです。
JRE CARD優待店
・アトレ大井町、アトレ目黒などアトレ各店舗
・エキュートエディション有楽町、エキュート立川などエキュート各店舗
・エスパル仙台、エスパル福島などエスパル各店舗
・ショッピングサイト「JRE MALL」 他
参考:JRE CARD優待店(JRE CARD)
https://www.jreast.co.jp/card/first/jrecard.html#jrecard_yutai
これらの優待店では、食料品や日用品など、生活に直結した商品が揃っていますので、うまく買い物を集約できれば、JRE CARDで支払うメリットが大きくなります。特にアトレやアトレヴィでは、年間5万円以上利用すると、ボーナスポイントとしてJRE POINTが500ポイント(期間限定ポイント)付与されますので、アトレをよく利用される人には欠かせないカードです。このほか、ルミネ・ニュウマン各店でも、1,000円の利用につき35ポイント貯まる特典があります。
いっぽうで、優待店などが近くになく、利用機会が少ない人の場合、「年間524円の手数料」がネックになります。JRE CARD優待店をどれほど利用するかが、JRE CARDを申し込むか否かの判断基準になるでしょう。
「ビュー・スイカ」カードはもっともベーシックなビューカードです。
「ビュー・スイカ」カード:年会費524円、基本のポイント還元率は「0.5%」
「ビュー・スイカ」カードには、特定の店舗でポイント還元率が上がる特典はありません。その代わり、ビューカードの一般カードで唯一、家族カードが発行できる点が特徴です。通勤者である親が本会員となり、学生である子どもに定期券兼クレジットカードとして持たせる、といった使い方ができます。カードのポイント還元率は基本「0.5%」ですが、記事前半で触れたように、モバイルSuicaへのオートチャージなら1.5%還元、定期券購入なら3.0%還元と、VIEWプラスの特典の対象です。
「ビュー・スイカ」カードのデメリットは、初年度から年会費が有料となり、年間524円かかる点です。家族会員も同様の費用がかかります。したがって、家族でビューカードの利用明細を一元管理したいという人には向いているかもしれませんが、それ以外の人にはなかなか魅力を感じにくい1枚かもしれません。
ビューゴールドプラスカードは、今回紹介する中で唯一のゴールドカードです。
ビューゴールドプラスカード:年会費11,000円、基本のポイント還元率は「0.5%」
ビューゴールドプラスカードには、空港ラウンジや、空港への手荷物配送サービスが利用できるなど、ゴールドカードならではのサービスが付帯しています。また、ユニークな特典として、東京駅発の新幹線グリーン車・特急列車グリーン車を利用する場合に、東京駅内の「ビューゴールドラウンジ」を無料で利用可能です。これは、JR系のゴールドカードならではのメリットと言えるでしょう。
ビューゴールドプラスカードの年会費は11,000円と決して安くはありませんが、前出のとおり、「えきねっと」でJR券を予約・購入した際や、モバイルSuicaからモバイルSuicaグリーン券を購入した際は「8%還元」、モバイルSuicaでモバイルSuica定期券を購入した際は「4%還元」と、かなり高いポイント還元を受けられますので、これらのサービスをよく使いそうな人は、積極的に検討してみてもいい1枚と言えそうです。
ビューゴールドプラスカードは、初年度の年会費を支払うとJRE POINTが5,000ポイント付与され、翌年以降も、年間100万円以上利用すると5,000ポイントが付与される「ご利用特典」というサービスがあります。
また、これとは別に、年間の利用額に応じてもらえる「ビューゴールドボーナス」もあります(「年間150万円利用で3,000ポイント」など利用額に応じて獲得ポイントが増える仕組み)。以前は、Suicaへのチャージ分や定期券・切符などの購入分については、「ビューゴールドボーナス」の利用額に換算されない仕組みでしたが、2022年3月より、これらの購入分も年間の利用額に含まれるように変更され、より狙いやすい特典に変わっています(キャッシングなど一部計算対象外の利用もあります)。
「ビックカメラSuicaカード」は、ビックカメラを利用する人がよりおトクになるビューカードです。
ビックカメラSuicaカード:年会費524円(初年度無料。翌年以降も前年のカード利用で無料)、基本のポイント還元率は「0.5%」
ビックカメラSuicaカードのメリットは、ビックカメラでの利用で、圧倒的なポイント還元率が実現できる点にあります。通常、ビックカメラでのクレジットカード払いでのポイント付与率は「8%」となります(貯まるのはビックポイント。別途ポイントカードやアプリが必要)。しかし、ビックカメラSuicaカードならクレジットカード払いでも「10%」のビックポイントが付与されます。
また、Suica残高での支払いに対応しているビックカメラの店舗にて、カード内のSuicaにチャージし、その残高で支払った際には、「Suicaへのチャージ分として、JRE POINT1.5%還元」と、「ビックカメラでの現金支払い分として、ビックポイント10%還元」で、合計「11.5%」還元になります。
ビックカメラSuicaカードは初年度年会費は無料ですが、次年度以降より524円の年会費がかかります。しかし年に1回でもカードを利用すれば、この年会費は無料に。つまり普通に買い物などで使えば、実質的に年会費無料で利用可能です。年会費を気にする人にもおすすめできるビューカードと言えるでしょう。なお、ビックカメラSuicaカードは、今回の紹介するビューカードで唯一、カードをSuica定期券として使う機能が付帯していませんのでご注意ください。
「ルミネカード」は、JR東日本系列の「ルミネ」「NEWoMan(ニュウマン)」、ネットショップ「アイルミネ」などでおトクに利用できるクレジットカードです。対象店舗で利用すると、カード料金引き落とし時に、利用額が常時「5%OFF」となり、さらに年4回程度開催されるセール期間中は「10%OFF」になります。
ルミネカード:年会費1,048円(初年度無料)、基本のポイント還元率は「0.5%」
ルミネやニュウマンと聞くと、主に女性しか利用しないイメージがあるかもしれませんが、意外と男性にもおすすめできます。その理由は、書籍やCD・DVDなど、通常は定価販売が基本の商品でも、購入金額より「5%OFF」(セール時「10%OFF」)となるからです。ルミネ内には「ブックファースト」や「有隣堂」など大型の書店チェーンが入っていることが多く、本好きの人には見逃せない特典ではないでしょうか。また、無印良品や館内の飲食店なども割引の対象なので、男性でも意外と「使える」1枚かもしれません(一部割引対象外の商品、サービスがあります)。
ルミネカードは初年度年会費は無料ですが、次年度より1,048円の年会費がかかります。クレジットカードの年会費としてはやや高めなので、ルミネやニュウマンをよく利用されるかどうかが、ルミネカードを作るかどうかを分けるポイントになります。
記事前半で触れたとおり、ビューカードは、「えきねっと」やモバイルSuicaでの利用がおトクなクレジットカードと言えます。モバイルSuicaへチャージすればあらゆるシーンで「1.5%還元」、そしてモバイル定期券利用は「3.0%還元」など、少し意識して使うと、ポイントの貯まり方を加速させることができます。
ビューカード主要5券種の比較表。※1 定期券機能は、カード自体にSuica定期券を搭載できる機能のことを指します。※2 初年度年会費を入会後6か月以内に支払うと5,000ポイント付与。翌年以降も年間100万円以上の利用で5,000ポイント付与
ビューカードにはいくつか種類がありますので、記事を参考に、ご自身のライフスタイルに合った1枚を選んで、効率よくお使いください。今後も、ビューカードに関する最新情報をキャッチしつつ、おトクを見逃さないようにしましょう。
フリーのライター・編集。新卒で大手信託銀行に入社、住宅ローンや資産運用の営業、本社での企画業務等を担当。不動産や証券での勤務を経て2017年12月〜現職。個人事業主生活を満喫中。