セブン−イレブン、ファミリーマート、ローソンの大手3社は、独自の決済サービスや提携クレジットカードを提供しているが、それらを使うことで必ずしも最大の還元を受けられるとは限らない。今回は全国に約21,000店舗を展開する、業界最大手のセブン−イレブンで高い還元率を得られる決済方法を紹介する。
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利用機会も多い、業界最大手のセブン−イレブン
コンビニ高還元カードの代表格ともいえる「三井住友カード(NL)」と「三井住友カード ゴールド(NL)」
最初に紹介したいのは、2021年2月に発行開始された年会費無料の「三井住友カード(NL)」。セキュリティ面に配慮したナンバーレスカードで、カード券面にカード番号・有効期限・セキュリティコードが記載されず、これらの情報は公式アプリで確認して利用する。国際ブランドでVisaを選ぶと「Visaのタッチ決済」、Mastercardを選ぶと「Mastercardコンタクトレス」の機能がカードに搭載され、非接触決済対応店では端末にタッチするだけで支払いができる。
カード利用に応じてVポイントが貯まり、通常は200円につき1P(1円相当)の0.5%還元。セブン−イレブン、ファミリーマート、ローソンに加え、マクドナルドで利用した際は、ポイント5倍の2.5%還元になる(200円につき5P)。
また、上記のコンビニ大手3社とマクドナルドでは、「Visaのタッチ決済」または「Mastercardコンタクトレス」で支払いをすると、さらに2.5%の還元率が上乗せされ合計で5%還元になる(200円につき10P)。なお、「Visaのタッチ決済」はApple Payに設定すればiPhoneで、Google Payに設定すれば対応するAndroid端末でも利用でき、「Mastercardコンタクトレス」もApple Payに設定すればiPhoneでも利用できる。
さらに対象カードを持つ家族を登録すると、上記のコンビニ3社とマクドナルドでは、最大で還元率を5%アップさせることができ、合計10%還元も可能になる。対象カードは「三井住友カード(NL)」を含む三井住友カードが発行するプロパーカード(他企業と提携していないカード)で、二親等以内の続柄であることが条件。家族カード会員は対象外で、本会員である必要がある。
登録した家族1名につき還元率が1%上乗せされ、+5%が上限。家族は最大9人(主会員を含め10人)まで登録可能。上乗せ分は1カードにつき1か月あたり50,000ポイントが上限となる。まとめると下記のようになる。
このほかにも「選んだお店でポイント+0.5%還元!」のサービスでは、対象となるスーパー・ドラッグストア・カフェ・ファストフードの中から、通常分に加えポイント還元率が「+0.5%」になる店を3店まで選択できる。対象店は2022年3月時点で約60店あり、コンビニではデイリーヤマザキ、セイコーマート、ポプラが対象となっている。
参考HP:「選んだお店でポイント+0.5%還元!」対象店舗
さらに「ココイコ!」というサービスもあり、事前にエントリーした店でカードを利用すると、ポイントが2倍以上にアップする。こちらは百貨店や家電量販店、飲食店、ショッピングモールなど業種も幅広く、約200店が対象だ。
参考HP:「ココイコ!」対象店舗
このように、「三井住友カード(NL)」は通常時の還元率は0.5%と平凡だが、使い方次第で還元率をアップさせることができる。
2021年7月には「三井住友カード ゴールド(NL)」がリリースされた。こちらは、大手コンビニとマクドナルドで最大5%還元といった「三井住友カード(NL)」の機能に、空港ラウンジなどゴールドカードの特典が付帯したカード。年会費は5,500円だが、年間100万円カードを利用すると翌年以降の年会費が永年無料になり、さらに10,000ポイントが還元されるのも大きな特徴になっている。
「三井住友カード(NL)」の場合、コンビニ3社とマクドナルドで5%になるのは、タッチ決済を使ったときだけになるが、支払い方法を問わず5%還元になるのが、同じ三井住友カードから発行されている「三井住友カード プラチナプリファード」。プラチナカードでありながら、ポイントが貯めやすい点に特徴があるカードだ。通常は100円利用につき1Pが貯まる1%還元で、プリファードストアと呼ばれる特約店で利用すると還元率がアップ。コンビニではセブン−イレブン、ファミリーマート、ローソンは5%還元、セイコーマート、デイリーヤマザキ、ポプラでは2%還元。マクドナルドも5%還元になる。
なぜ決済方法を指定しないことが重要なのかというと、ローソンではApple Payで支払った場合のみ、対象となるキャンペーンがあるから。ローソンで「Apple Payで」と指定して支払う場合、Apple Payに設定されたiDまたはQUICPayでの支払いになるため、「三井住友カード(NL)」では2.5%還元になるが、「三井住友カード プラチナプリファード」であれば5%還元になる。
なお、「三井住友カード プラチナプリファード」も前述した家族ポイントの対象カード。登録した家族1人につき、コンビニ3社+マクドナルドで還元率が1%アップし、最大で還元率は5%アップする。つまりプリファードストアのボーナスと合わせて最大で10%還元になる。
「三井住友カード プラチナプリファード」はプラチナカードとなっており、年会費が33,000円と非常に高額だが、利用額および利用先次第では十分に元が取れる。毎年100万円利用ごとに10,000ポイントのボーナスがあり、最大で40,000ポイントまで獲得可能。年間400万円以上利用するなら年会費を上回るポイント還元を受けられ、「三井住友カード(NL)」よりも保有のメリットが大きくなる。
また、前述したプリファードストアは約80店あり、それぞれ還元率が1〜9%アップする。プリファードストアはスーパー、ドラッグストア、カフェ、ファーストフード、百貨店など多岐にわたるが、ExpediaとHotels.comは+9%、一休.comは+6%で宿泊予約サイトでは特に大きな還元を受けられるので、旅行好きは恩恵を受けやすいだろう。海外利用もポイント3倍の3%還元になり、「三井住友カード(NL)」と同様に「ココイコ!」も利用できる。
プラチナカードの特典として、24時間365日対応のコンシェルジュデスクや、全国主要空港のラウンジも利用可能。ただし、海外空港ラウンジはハワイ・ホノルルのみ利用可能で、プラチナカードの定番となっているプライオリティ・パスなどの海外空港ラウンジサービスは利用できない。
セブン−イレブンの店頭でも大きくPRされている、セブンカード・プラス
続いて、セブン&アイ・ホールディングスのグループ会社、セブン・カードサービスが発行するクレジットカード「セブンカード・プラス」についても知っておきたい。年会費は無料で、クレジット利用に応じてnanacoポイントが貯まり、通常は200円につき1Pの0.5%還元。セブン−イレブンをはじめ、イトーヨーカドーやデニーズなどの対象グループ店では200円につき2Pの1%還元になる。
還元率としては決して高くないが、セブン−イレブンにはnanacoボーナスポイントが設定された商品があり、「セブンカード・プラス」、nanaco、QUICPay(nanaco)で支払った場合のみボーナスポイントの対象となる。
〈QUICPay(nanaco)〉
nanacoカードに搭載されたQUICPayのこと。nanacoが前払い式の電子マネーであるのに対し、QUICPayは「セブンカード・プラス」やジェーシービーなどが発行するクレジットカードをひも付けることで、後払い式の電子マネーとして利用できる。QUICPay(nanaco)で支払うと、ひも付けたクレジットカードのポイントに加えて、nanacoポイントも獲得できるメリットがある。
「セブンカード・プラス」はnanacoへのチャージにも利用でき、この際も0.5%のnanacoポイントが貯まる。nanacoへのチャージをポイント対象外とするクレジットカードは多く、現状ポイント付与対象のカードもいつ対象外になってもおかしくないため、nanacoの利用機会が多い人は、公式サイトでポイント付与を大きくPRしている「セブンカード・プラス」を持っておくメリットはあるだろう。
セブン−イレブンでnanaco払いをすると、通常200円(税抜)につき1Pのnanacoポイントが貯まるので、還元率としては高くないが、公共料金の収納代行やプリペイドカードの購入などはnanacoもしくは現金でしか支払えない。これらの支払いはnanacoポイント付与の対象外だが、「セブンカード・プラス」からチャージをすれば、チャージに対しての0.5%分のnanacoポイントは貯めることができる。そのため、nanacoにチャージするためだけでも、「セブンカード・プラス」は持っておく価値がある。
ジェーシービーから発行されている「JCB CARD W」は、18〜39歳の人のみ申し込め、年会費は無料(保有した後は40歳以降も利用可能)。クレジット利用に応じてOki Dokiポイントが貯まり、通常は1,000円につき2P。Oki Dokiポイントは1P=5円相当のため、還元率は1%になる。
JCBオリジナルシリーズのパートナー店ではポイント還元率がアップするが、セブン−イレブンも対象になっており、1,000円につき4Pが貯まる。これだけでも2%還元だが、前述したQUICPay(nanaco)の登録をして、nanacoカードのQUICPayで支払えば、別途200円(税別)につき1Pのnanacoポイントも貯まり、約2.5%還元になる。QUICPay(nanaco)での支払いであれば、一部商品に設定されたnanacoボーナスポイントを貯めることも可能だ。
JCBオリジナルシリーズのパートナー店は約50店あり、Amazon.co.jp、ウエルシア・ハックドラッグ、成城石井、apollostationなども対象(店舗によってはエントリーなどが必要な場合あり)。多くは1.5〜3%の還元率となるが、スターバックス コーヒーが発行するプリペイドカード「スターバックス カード」へのオンライン入金は5.5%と非常に高い還元率となる。
女性向けの優待が追加された「JCB CARD W plus L」も発行されており、こちらも年会費は無料。年齢制限のない「JCB一般カード」(通常年会費1,375円/初年度無料)なども、JCBオリジナルシリーズのパートナー店で優待を受けられるが、セブン−イレブンでは1.5〜1.85%還元、QUCIPay(nanaco)を使った場合でも約2.0〜2.35%還元なので「JCB CARD W」には及ばない。
セブン−イレブンでは、数多くのキャッシュレス決済に対応している
三井住友グループのカード会社、SMBCファイナンスサービス(旧セディナ)が発行する「OMCカード」は複数の特典を組み合わせることで、セブン−イレブンでの還元率が2.15%までアップする。年会費は1,100円で、年間60万円以上利用すると次年度無料。条件を満たせば初年度以外は無料で使うことができる。
クレジット利用に応じてわくわくポイントが貯まり、通常は200円につき1P(1円相当)の0.5%還元。5万円以上利用した月はポイント2倍(還元率が+0.5%)となり、1%還元に。年間利用額(請求額)に応じて、次年度のポイント還元率もアップし、年50万円以上であれば次年度は1.1倍(+0.05%)、100万円以上は1.15倍(+0.075%)、200万円以上は1.3倍(+0.15%)。たとえば前年に200万円以上利用(+0.15%)したうえで、月5万円(+0.5%)の買い物をすれば、同月のポイント還元率は1.15%になる。
さらにセブン−イレブン、イオン、ダイエーではポイントが3倍になる。このため、セブン−イレブンでは、
・無条件で1.5%還元(通常の還元率0.5%×3)
・5万円以上利用した月は2%還元(1.5%+0.5%)
・前年に200万円利用して、かつ当月に5万円以上利用していれば2.15%還元(0.15%+1.5%+0.5%)
になる計算だ。
「OMCカード」もQUICPay(nanaco)を利用できるが、セブン−イレブンでポイント3倍になるのはクレジットカードで払った場合のみとなる。nanacoボーナスポイント対象商品を購入する場合のみQUICPay(nanaco)で支払うなど、うまく使い分けるといいだろう。
マイルを貯めたいという場合に候補になるのが「ANAカード」だ。「ANAカード」は複数のカード会社から発行されているが、そのなかでもジェーシービーから発行されているカードは、QUICPay(nanaco)をひも付けて利用できる点が強み。
「ANAカード」は通常、カードのポイントをマイルに移行する仕組みだが、「ANAカードマイルプラス」対象店で利用すると、カードのポイントとは別に直接マイルが貯まり、セブン−イレブンでは200円につき1マイルが加算される。
「ANA JCB 一般カード」の場合(以下は「ANA To Me CARD PASMO JCB(ソラチカ一般カード)」も同様)、通常1,000円利用につき1PのOki Dokiポイントが貯まる。これをANAのマイルに移行する際は1P=5マイルとなるが、年5,500円の移行手数料を支払うと1P=10マイルにできる。
また、「ANA JCB 一般カード」は年間利用額に応じて、次年度のポイント還元率がアップする特典があり、年間50万円以上利用であれば次年度10%アップ、100万円以上であれば20%アップとなる。このアップ分はボーナスポイントとなり、移行手数料の有無にかかわらず1P=3マイルになる。
たとえば、セブン−イレブンで11,000円の買い物をして、前年に100万円以上利用した「ANA JCB 一般カード」をひも付けたQUICPay(nanaco)で支払った場合、以下のようになる。
〈セブン−イレブンで11,000円の買い物した場合〉
・QUICPay利用に対するOki Dokiポイント:11P(×10=110マイル相当)
・QUICPay利用に対するOki Dokiポイント(ボーナスポイント):2P(×3=6マイル相当)
・ANAカードマイルプラスによるマイル:55マイル
・QUICPay(nanaco)利用に対するnanacoポイント:50P(×0.5=25マイル相当)
nanacoポイントは500P=250マイルに交換できる。Oki Dokiポイントを1P=10マイルで交換した場合、上記のとおり合計で196マイルが貯まる計算となり、マイル還元率に換算すると1.78%となる。
「ANA JCB 一般カード」の年会費は2,200円で、初年度は無料。入会時および毎年のカード継続時には1,000マイルのボーナスがある。ちなみに「ANA JCBカード」会員は、QUICPay(nanaco)に加えてANAスキップサービス機能も搭載した「ANA QUICPay+nanaco」も利用可能だ。
Apple Pay、Google Payなどに設定のうえ、QUICPayとして利用すると3%還元になる「セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード」
コンビニを問わず高い還元率を得られるのが、クレディセゾン発行の「セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード」。年会費1,100円で初年度は無料。年に1度でも利用すると、次年度年会費が無料になる。
クレジット利用に応じて有効期限のない永久不滅ポイントが貯まり、通常は1,000円利用につき1P。永久不滅ポイントはAmazonギフト券などに交換すると、1P=5円相当になるため0.5%還元になる。
これだけでは平凡な還元率だが、「セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード」をApple Pay、Google Pay、おサイフケータイのいずれかに設定して、QUICPayとして利用した場合は、ポイント6倍の3%還元になる。QUICPayはセブン−イレブンはもちろん、ファミリーマートやローソンなどの大手コンビニ、スーパー、ドラッグストア、飲食店など、全国173万か所以上で利用可能だ。
さらにスマホアプリ「セゾンPortal」を利用して、利用実績に応じて優待を受けられる「セゾンクラッセ」のクラスが6クラス中最高位になると、別途1,000円利用につき1Pも獲得可能。「セゾンクラッセ」のクラス判定条件は非公開で、簡単には最高位にはなれないが、これを満たせば最高で1,000円につき7Pが貯まり3.5%還元になる。
なお、「セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード」には、券面にカード番号などが記載されず、「セゾンPortal」でカード情報を確認するナンバーレスタイプの「セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カードdigital」も発行されており、こちらも年会費やポイントプログラムは同一となる。
紹介したカードの特徴を下表にまとめた。
使いやすさという点では、セブン−イレブンで最高5%還元が得られる「三井住友カード(NL)」に軍配が上がるが、通常時の還元率は0.5%で決して高いわけではない。コンビニ以外での利用も考えるなら、QUICPay払いが一律3%還元になる「セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード」のほうが、総合的な還元率は高められる可能性がある。年間利用額が大きくなるのであれば「三井住友カード プラチナプリファード」も検討したほうがいいだろう。
「JCB CARD W」もQUICPay(nanaco)をひも付けて利用すれば2.5%還元になり、通常時の還元率も1%あるが、39歳以下しか申し込めないのがネックとなる。「OMCカード」はセブン−イレブンで無条件で1.5%還元、月間や年間利用額の条件をクリアすれば、2.15%還元までアップする。本家の「セブンカード・プラス」は、セブン−イレブンで1%還元と、これらのカードより劣るが、nanacoチャージでポイントを獲得できるのが大きな強みだ。マイルを貯めたい場合は「ANA JCB 一般カード」がおすすめだ。
コンビニで毎日1,000円の買い物をしたとしても、月3万円、年間でも36万円だ。恐らくコンビニ以外での利用額のほうが高い人のほうが多いだろう。その点ではコンビニ以外でも高還元を得られるカードを使うか、コンビニとコンビニ以外で異なるカードを使ったほうが、トータルでの還元率を高められる。しかし、使い分けをする場合、突き詰めていくとコンビニごとに異なる決済方法を使うことになる。ファミリーマートとローソンで高還元を得られる決済方法についても、下記記事で紹介しているので、これも踏まえて利用するカードを検討してほしい。
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普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、2008年に当時勤めていた会社の都合でクレジットカード本を制作。以降、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなり、各種媒体で編集・執筆を手がける。