コンビニは日常生活で利用する機会も多く、さまざまな決済方法に対応しているので、何らかのキャッシュレス決済を利用している方も多いのではないだろうか。今回は、ファミリーマート&ローソンで高い還元率を得られる決済方法について紹介する。
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ファミリーマートは独自のコード決済、ファミペイに力を入れているが、明らかに得と言えるのはボーナスなどが設定された一部商品の購入時のみ。ローソンも提携クレジットカードを発行しているが、還元率は物足りない。両社とも店頭で自社の決済サービスをプッシュしているが、必ずしもこれらが常時最強というわけではないので、そのほかの選択肢についても頭に入れておこう。
まずは、コンビニ大手3社共通で高い還元率となる3枚を紹介しておきたい。
コンビニ大手3社共通で高還元となる「三井住友カード(NL)」と「三井住友カード ゴールド(NL)」
ひとつめは、2021年2月に発行開始された年会費無料の「三井住友カード(NL)」。セキュリティ面に配慮したナンバーレスカードで、カード券面にカード番号・有効期限・セキュリティコードが記載されず、カード番号などは公式アプリで確認して利用する。国際ブランドでVisaを選ぶと「Visaのタッチ決済」、Mastercardを選ぶと「Mastercardコンタクトレス」の機能がカードに搭載され、非接触決済対応店では端末にタッチするだけで支払いができる。
カード利用に応じてVポイントが貯まり、通常は200円につき1P(1円相当)の0.5%還元。ファミリーマート、ローソン、セブン−イレブンに加え、マクドナルドで利用した際は、ポイント5倍の2.5%還元になる(200円につき5P)。また、上記のコンビニ大手3社とマクドナルドでは、「Visaのタッチ決済」または「Mastercardコンタクトレス」で支払いをすると、さらに2.5%の還元率が上乗せされ合計で5%還元になる(200円につき10P)。
さらに対象カードを持つ家族を登録すると、上記のコンビニ3社とマクドナルドでは、最大で還元率を5%アップさせることができ、合計10%還元も可能になる。対象カードは「三井住友カード(NL)」を含む三井住友カードが発行するプロパーカード(他企業と提携していないカード)で、二親等以内の続柄であることが条件。家族カード会員は対象外で、本会員である必要がある。
登録した家族1名につき還元率が1%上乗せされ、+5%が上限。家族は最大9人(主会員を含め10人)まで登録可能。上乗せ分は1カードにつき1か月あたり50,000ポイントが上限となる。まとめると下記のようになる。
このほかにも「選んだお店でポイント+0.5%還元!」のサービスでは、対象となるスーパー・ドラッグストア・カフェ・ファーストフードの中から、通常分に加えポイント還元率が「+0.5%」になる店を3店まで選択できる。対象店は2022年3月時点で約60店あり、コンビニではデイリーヤマザキ、セイコーマート、ポプラが対象となっている。
参考HP:「選んだお店でポイント+0.5%還元!」対象店舗
さらに「ココイコ!」というサービスもあり、事前にエントリーした店でカードを利用すると、ポイントが2倍以上にアップする。こちらは百貨店や家電量販店、飲食店、ショッピングモールなど業種も幅広く、約200店が対象だ。
参考HP:「ココイコ!」対象店舗
このように、「三井住友カード(NL)」は通常時の還元率は0.5%と平凡だが、使い方次第で還元率をアップさせることができる。
2021年7月には「三井住友カード ゴールド(NL)」がリリースされた。こちらは、大手コンビニとマクドナルドで最大5%還元といった「三井住友カード(NL)」の機能に、空港ラウンジなどゴールドカードの特典が付帯したカード。年会費は5,500円だが、年間100万円カードを利用すると翌年以降の年会費が永年無料になり、さらに10,000ポイントが還元されるのも大きな特徴になっている。
「三井住友カード(NL)」の場合、コンビニ3社とマクドナルドで5%還元になるのは、タッチ決済を使ったときだけになるが、支払い方法を問わず5%還元になるのが、同じ三井住友カードから発行されている「三井住友カード プラチナプリファード」。プラチナカードでありながら、ポイントが貯めやすい点に特徴があるカードだ。通常は100円利用につき1Pが貯まる1%還元で、プリファードストアと呼ばれる特約店で利用すると還元率がアップ。コンビニではセブン−イレブン、ファミリーマート、ローソンは5%還元、セイコーマート、デイリーヤマザキ、ポプラでは2%還元。マクドナルドも5%還元になる。
なぜ決済方法を指定しないことが重要なのかというと、ローソンではApple Payで支払った場合のみ対象となるキャンペーンが行われることがあるから。ローソンで「Apple Payで」と指定して支払う場合、Apple Payに設定されたiDまたはQUICPayでの支払いになるため、「三井住友カード(NL)」では2.5%還元になるが、「三井住友カード プラチナプリファード」であれば5%還元になる。
なお、「三井住友カード プラチナプリファード」も前述した家族ポイントの対象カード。登録した家族1人につき、コンビニ3社+マクドナルドで還元率が1%アップし、最大で還元率は5%アップする。つまりプリファードストアのボーナスと合わせて最大で10%還元になる。
「三井住友カード プラチナプリファード」はプラチナカードとなっており、年会費が33,000円と非常に高額だが、利用額および利用先次第では十分に元が取れる。毎年100万円利用ごとに10,000ポイントのボーナスがあり、最大で40,000ポイントまで獲得可能。年間400万円以上利用するなら年会費を上回るポイント還元を受けられ、「三井住友カード(NL)」よりも保有のメリットが大きくなる。
また、前述したプリファードストアは約80店あり、それぞれ還元率が1〜9%アップする。プリファードストアはスーパー、ドラッグストア、カフェ、ファーストフード、百貨店など多岐にわたるが、ExpediaとHotels.comは+9%、一休.comは+6%で宿泊予約サイトでは特に大きな還元を受けられるので、旅行好きは恩恵を受けやすいだろう。海外利用もポイント3倍の3%還元になり、「三井住友カード(NL)」と同様に「ココイコ!」も利用できる。
プラチナカードの特典として、24時間365日対応のコンシェルジュデスクや、全国主要空港のラウンジも利用可能。ただし、海外空港ラウンジはハワイ・ホノルルのみ利用可能で、プラチナカードの定番となっているプライオリティ・パスなどの海外空港ラウンジサービスは利用できない。
Apple Pay、Google Payなどに設定して、QUICPay払いすると高還元のセゾンパール・アメックス
コンビニを問わず、幅広い店舗で高い還元率を得られるのが、クレディセゾン発行の「セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード」。年会費1,100円で初年度は無料。年に1度でも利用すると、次年度年会費が無料になる。
クレジット利用に応じて有効期限のない永久不滅ポイントが貯まり、通常は1,000円利用につき1P。永久不滅ポイントはAmazonギフト券などに交換すると、1P=5円相当になるため0.5%還元になる。
これだけでは平凡な還元率だが、「セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード」をApple Pay、Google Pay、おサイフケータイのいずれかに設定して、QUICPayとして利用した場合は、ポイント6倍の3%還元になる。QUICPayはセブン−イレブン、ファミリーマート、ローソンなどの大手コンビニはもちろん、スーパー、ドラッグストア、飲食店など、全国約170万か所以上で利用可能だ。
さらにスマホアプリ「セゾンPortal」を利用して、利用実績に応じて優待を受けられる「セゾンクラッセ」のクラスが6クラス中最高位になると、別途1,000円利用につき1Pも獲得可能。「セゾンクラッセ」のクラス判定条件は非公開で、簡単に最高位には上がれないが、これを満たせば最高で1,000円につき7Pが貯まる3.5%還元になる。
なお、「セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード」には、券面にカード番号などが記載されず、「セゾンPortal」でカード情報を確認するナンバーレスタイプの「セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カードdigital」も発行されており、こちらも年会費やポイントプログラムは同一となる。
ここからはファミリーマートで高還元となる2つの決済サービスを紹介する。
ファミリーマートでお得なキャッシュレスを紹介
まずはファミリーマートが株主でもあるポケットカード発行の「ファミマTカード(クレジットカード)」。年会費は無料で、クレジット利用に応じてTポイントが貯まり、通常は200円につき1Pの0.5%還元。ファミリーマートで利用する際は、200円につき4Pの2%還元になる(タバコや金券類など一部商品は除く)。
ただし、このうち1Pはポイントカード提示分で、現金で払っても貯まるポイントとなるため、クレジット利用分としては200円につき3Pの1.5%還元。ファミリーマートでは現在、Tポイント、楽天ポイント、dポイントの3種類から好きなポイントを貯められるが、楽天ポイントやdポイントを貯める場合は、クレジット利用分のTポイント3Pと、楽天ポイントまたはdポイントが1Pという内訳になる。
ファミリーマートが現在推し進めているのが、独自の決済サービスであるファミペイだ。バーコードを提示して支払うスマホ決済として、ファミリーマートやSmart Code加盟店で利用できるほか、ラクマやムビチケなど一部のECサイトでも支払いに利用できる。
参考HP:Smart Code加盟店
ファミペイには事前にチャージした残高から支払う方法と、登録した銀行口座から利用代金が後日引き落とされる後払いがある。チャージをする場合は、以下の3通りの方法がある。
・レジで現金チャージ
・対象の銀行口座からチャージ
・JCBブランドのクレジットカードからチャージ
JCBブランドのクレジットカードからチャージする場合、発行会社によってはカード利用に対するポイントを貯めることができる。「ファミマTカード(クレジットカード)」からチャージした場合、クレジット利用に対するTポイントは付与対象外だが、その代わりに0.5%のFamiPayボーナスが還元される。
クレジットカードからのチャージでは、「ファミマTカード(クレジットカード)」からチャージする場合と、そのほかのJCBブランドのクレジットカードからチャージする場合で、上限および下限の金額が下表のように異なる。「ファミマTカード(クレジットカード)」のほうがチャージ上限額が大きく、利用回数の上限も設定されていない。そのため、税金支払い時などのファミペイの利用額が大きい場合や、利用頻度が高い人は「ファミマTカード(クレジットカード)」を持っておいたほうがよいだろう。
ファミペイは利用時にも0.5%のFamiPayボーナスが還元される。「ファミマTカード(クレジットカード)」からチャージをすれば、合計1%還元になる計算だ。直接「ファミマTカード(クレジットカード)」でクレジット払いをすれば1.5%還元(提示分のポイントは含めず)となり、そのほうが還元率は高くなるが、ファミリーマートにはファミペイで支払った場合のみ、追加でFamiPayボーナスが還元されたり、割引を受けられる商品もある。
また、コーヒー10杯分の料金で11杯分を購入(=10%還元)できるFamiPay回数券はファミペイでしか購入できない。さらに一部の収納代行や金券類などは、ファミペイもしくは現金払いしか対応していない(商品によっては利用時のFamiPayボーナスは対象外)。そのため購入する商品によって、ファミペイと「ファミマTカード(クレジットカード)」を使い分けたほうが得になる。
もうひとつファミペイのメリットとなるのが、ポイントカードの提示をしなくても済むこと。正確に言えば、ファミペイをファミリーマートで利用する際は、ポイントカードの提示と支払いをひとつのバーコードで表示できるため、提示と支払いを別々に行う必要がなくなる。還元率よりも手軽さやスピードを重視する人は、ぜひ使ってみてほしい。
ファミリーマートを利用する際、ポイントよりもマイルを貯めたい人には「JALカード」がおすすめだ。最もスタンダードな「JALカード 普通カード」は年会費2,200円で、初年度は無料。ただし、国際ブランドがアメリカン・エキスプレスの普通カードは、年会費6,600円で、初年度から年会費が発生する。
「JALカード 普通カード」は、通常200円利用につき1マイル貯まるが、ファミリーマートを含む特約店ではマイルが2倍になり、200円につき2マイルが貯まる。さらに、別途年会費3,300円のショッピングマイル・プレミアムに入会すると、通常利用時は100円につき1マイル、ファミリーマートなどの特約店利用時は100円につき2マイルが貯まるようになる。
マイルの価値は使い方によって大きく変わるが、少なめに見積もって1マイル=1円としても、年間で合計33万円以上利用するなら、ショッピングマイル・プレミアムに入会したほうが得になる。特約店はこのほかにも数多くあり、イオン、ウエルシア、ハックドラッグ、マツモトキヨシ、ENEOSなども対象だ。
カード年会費(2,200円)とショッピングマイル・プレミアム年会費(3,300円)を合わせて、年間5,500円が必要になるが、「JALカード」を保有していると、JAL便の入会後初回搭乗時および毎年初回搭乗時には1,000マイル(普通カードの場合)がもらえる特典がある。また、JAL便搭乗ごとに貯まるフライトマイルも通常よりもアップする。年に1度でもJAL便を利用するなら、年会費を払ってでも保有を検討したほうがよいだろう。
最後に、ローソンで優待を受けられるクレジットカードを紹介する。
ローソンでお得なクレジットカードは?
ローソンが提携するクレジットカードは「ローソンPontaプラス」と「JMBローソンPontaカードVisa」の2つがあり、基本的には前述した「三井住友カード(NL)」などのほうが高還元を得られる。ただし、「ローソンPontaプラス」で払った場合のみ優待を受けられることもある。
ローソン銀行が発行する「ローソンPontaプラス」の年会費は無料。クレジット利用に応じてPontaポイントが貯まり、通常は200円につき2Pの1%還元。ローソンで利用した場合は、0時から15時59分までは200円(税別)につき2P、16時から23時59分までは200円(税別)につき4Pが貯まる。
毎月10日と20日はポイントが2倍になり、0時から15時59分までは200円(税別)につき4P、16時から23時59分までは200円(税別)につき8Pが貯まる。ローソンアプリでエントリーした月は、さらに還元率が上乗せされ、毎月10日と20日は0時から15時59分までは200円(税別)につき6P、16時から23時59分までは200円(税別)につき12Pが貯まる。
ただし、これにはポイントカード提示分も含まれる。たとえばクレジット機能のないPontaカード(またはdポイントカード)を提示して、現金で支払った場合は、0時から15時59分までは200円(税別)につき1P、16時から23時59分までは200円(税別)につき2Pが貯まる(ローソンストア100では時間帯問わず200円(税別)につき1P)。そのため「ローソンPontaプラス」のクレジット利用で貯まるポイント(毎月10日と20日を除く)は、実質的に0時から15時59分までは200円(税別)につき1P、16時から23時59分までは200円(税別)につき2Pで、還元率としては約0.5〜1%になる。
2022年3月から、「ローソンPontaプラス」でローソンオリジナルのスイーツ「ウチカフェスイーツ」を購入すると、常に10%分のポイント還元(月1,000Pが上限)が受けられる特典がスタート。また、毎月15日時点のカード保有者を対象に「お試し引換券」が配布される(配布は毎月最終水曜日)。「お試し引換券」を使うと、対象商品を購入する際に必要なPontaポイント数が通常より少なくて済み、3月は180円のスイーツを60Pで、4月は148円のカフェを50Pでと、お得に交換することが可能だ。
さらに、カード自体にPontaのポイントカード機能も搭載されているため、ローソンでカード払いをする際は、ポイントカードを別途提示する必要がないこともメリット。Apple Payを使って支払う場合も、Apple Walletにポイントカードの設定をしていれば、同様にポイントが加算される。ただし店員に「QUICPayで」と伝えて決済した場合は特典が適用されず、通常時と同じポイント付与になるので注意が必要だ。
紹介したカードの特徴を下表にまとめた。
「三井住友カード(NL)」は大手コンビニ3社で最高5%還元と幅広くメリットを享受できるが、通常の還元率は0.5%と決して高くない。コンビニ以外での利用も考えるなら、QUICPay払いが一律3%還元になる「セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード」のほうが、総合的な還元率は高められる可能性がある。年間利用額が大きくなるのであれば「三井住友カード プラチナプリファード」も候補になってくる。
ファミリーマートについて言えば、「ファミマTカード(クレジットカード)」は2%還元で、ファミペイにチャージする際にFamiPayボーナスが付与され、チャージ上限額が高く設定されているのが特徴だ。ただ、ファミペイには独自の特典があるが、通常は「ファミマTカード(クレジットカード)」でクレジットカード払いをしたほうが還元率が高いので、使い分ければさらにメリットは大きくなる。マイルを貯めたい場合は「JALカード 普通カード」がおすすめだ。
ローソンについて言えば、「ローソンPontaプラス」は夕方以降に利用すれば2%還元となるが、還元率としては物足りない。ただ、「ウチカフェスイーツ」購入時の10%還元など、メリットの大きい特典もあるので、基本は「三井住友カード(NL)」を利用し、優待内容次第で「ローソンPontaプラス」を使い分けたほうがよいだろう。
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普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、2008年に当時勤めていた会社の都合でクレジットカード本を制作。以降、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなり、各種媒体で編集・執筆を手がける。