クレジットカード、電子マネー、QRコード決済……。めまぐるしく変化を続けるキャッシュレス決済の動向をコンパクトに伝える連載企画「おトクの真相! 月刊キャッシュレス展望」。最近のキャッシュレス関連のニュースの中から、マネー編集部員やマネー担当ライターが気になったニュースをピックアップしてお届けします。記事内や記事の最後には、記事公開時点で参加可能なキャンペーン情報も掲載していますので、こちらもぜひチェックを。
今回は、三井住友カードとSBI証券が始めた「Vポイント投資」の話題からお伝えします。
連携を深める「三井住友カード×SBI証券」から新たに「Vポイント投資」のサービスが登場。どんなメリットがあるのかチェックしました。そのほか、「QRコード決済がFelica型電子マネーの利用率を上回った」や「現金派がついに少数派に転じる」との結果が出たキャッシュレス決済の調査、PayPay証券でPayPayマネーを買い付けに使えるサービスも紹介します
2022年5月30日、三井住友カードは、三井住友グループ共通のポイントである「Vポイント」をSBI証券での投資信託の買付代金として利用できる、「Vポイント投資」のサービスをスタートしました。Vポイント投資は、以前より「開始予定」とアナウンスされていたもので、同社によると多くのユーザーから導入の要望が寄せられていたと言います。
三井住友カード×SBI証券の「Vポイント投資」が2022年5月30日にスタート。画像は三井住友カードのプレスリリースより
Vポイント投資は、三井住友カードの利用などで貯まるVポイントを、「1P=1円」としてSBI証券での投資信託の購入に充てられるサービスです。ポイントは1Pから使えますが(ただし投信の最小購入単位は100円)利用上限があり、「9,999万9,999ポイントまで」となっています。購入できるのは、SBI証券が取り扱うすべての投資信託となります。
現金との併用も可能で、購入時に、「(ポイントを)利用しない/全部利用する/一部利用する」から選べます。「通常ポイント(期間限定ポイントも含む)」、「ANAマイレージ移行可能ポイント」の両方が使え、優先されるのは通常ポイント。有効期限の古い順に使われ、すべて使い切るとANAマイレージ移行可能ポイントの有効期限の古い順から使われます。
Vポイント投資で注意したいのが、積み立てには使えない点です。あくまでも、投資信託をスポットで購入する際の購入方法のひとつとして考える必要があります。「積立投資派」の人にとってはやや残念な話ですが、この点は後ほど代替案を考えます。なお、積み立てのほか、口数買付やジュニアNISA口座(一般NISAは対応)での買い付けもVポイント投資の対象外となっています。
Vポイント投資の対象者は、下記のどちらかに該当する人です。
・三井住友カードのWEBサイトや「Vpassアプリ」経由でSBI証券の証券口座を開設した人
・SBI証券の証券口座を持っている人で、「三井住友カード仲介口座」(「Vポイントが貯まる・使えるコース」)への変更手続きを行った人
そのうえで、「SBI証券Vポイントサービス」に登録することで、Vポイント投資が利用できるようになります。なお、当然ながら、Vポイントが貯まる三井住友カードを保有していることも条件になりますが、カードの切替えや再発行で、カード情報(会員番号・有効期限)が変更となった場合は、SBI証券Vポイントサービスへの再登録が必要となるのでご注意ください。
三井住友カードとSBI証券には、2021年6月にサービスが始まった「クレカ積立」というサービスがあります。これは、三井住友カードのクレジットカードで月5万円までSBI証券の投信を積み立てられ、積立金額に応じてVポイントが「0.5〜2%」(カードの券種で変動)貯まるサービスです。「クレカで投資ができる」ことの目新しさと、「ポイントが貯まるおトクさ」から、1年あまりで28万人超のユーザーが利用する人気ぶりとなっていますが、前出のとおりこのサービスにVポイント投資を使うことはできません。
ただ、その場合は別の選択肢もあります。Vポイントには、1P=1円で三井住友カードの利用代金に充当できる「キャッシュバック」という使い道があり、これはクレカ積立の利用分も対象となります。つまり、今回始まったVポイント投資を使わずとも、「Vポイントを投資に使う」ことができるわけです。したがって、
・クレカ積立で投資信託を買う人 ⇒ キャッシュバック
・スポットで投資信託を買う人 ⇒ Vポイント投資
と、それぞれ違った形でVポイントを投資に使うことができます。
三井住友カード×SBI証券で、Vポイントを投資に使える2つのサービスを比較したもの
もちろん、両サービスは併用もできるので、たとえば、クレカ積立をしている人が、貯まったVポイントで普段積み立てているものとは違う投資信託をお試しで買ってみるといった使い方もできます。
あるいは、あまり現実的ではないかもしれませんが、「5万ポイント以上のVポイントを持っていてそれを投資に使いたい人」が、「クレカ積立の上限となる月5万円を超えて投資信託を購入したい場合」は、5万ポイントをキャッシュバックに使ったうえで、残りをVポイント投資に充てるといったこともできます。
いずれにせよ、Vポイントの使い道がひとつ増えたことは確かです。目的に合わせて、Vポイントを有効にご活用ください。なお、Vポイントの貯め方や使い方については、下記の記事でもくわしく紹介しています。
▼便利になった三井住友カードの「Vポイント」 銀行でも貯まり、使いやすさも進化中(価格.comマガジン)
https://kakakumag.com/money/?id=17968
以下は、Vポイント投資を使う際の条件のおさらいです。興味を持たれた人は、ぜひチェックしてみてください。
Vポイント投資の利用条件
(1)Vポイントが貯まる三井住友カードを持っていること
(2)SBI証券の「三井住友カード仲介口座」を持っていること
※三井住友カード経由でSBIの証券口座を開くか、すでにSBI証券の口座を持っている人は変更手続きが必要
(3)「SBI証券Vポイントサービス」に登録すること
株式会社インフキュリオンが実施した「決済動向2022年4月調査」によると、QRコード決済の利用率が57%となり、FeliCa型電子マネーを初めて上回ったことがわかりました。
QRコード決済がクレカに次ぐ利用率に! 画像はインフキュリオン「決済動向2022年4月調査」より(以下、本章の画像はすべて同調査のもの)
同調査は、全国の16歳〜69歳の男女2万人を対象にしたもの。「各カテゴリーのうちいずれかのサービスを『利用している』と回答した割合」で、トップはクレジットカードの「77%」。それに次いだのがQRコード決済の「57%」で、Suica、iD、QUICPayなどのFeliCa型電子マネーの「56%」の割合を超えました。QRコード決済がFeliCa型電子マネーの利用率を上回ったのは、同調査開始後初めてとのことです。
同調査によると、クレジットカードやFeliCa型電子マネーの利用率は「60歳〜69歳」が最も高く、いっぽうのQRコード決済は若年層から60歳代まで、幅広い世代に利用されているとのこと。QRコード決済はここ数年で急速に加盟店が増え、PayPayなどを中心にポイント還元のキャンペーンなども人気ですが、普及の進み具体がよくわかる結果となっています。
クレカやFelica型電子マネーと比較すると、QRコード決済は幅広い世代に利用されています
今回の調査でもうひとつ気になる結果が出ています。それが、「BNPL」(Buy Now, Pay Laterの略)と呼ばれる後払い決済サービスの利用率の伸びです。
BNPLは、利用者が買い物をすると、利用者に代わってBNPL事業者が代金を店舗に支払い、利用者は後でコンビニなどで代金を支払えるサービスです。同調査によると「16歳〜19歳女性」の利用が最も多く(24%)、若い世代の女性を中心に利用が拡大していることがうかがえます。近年はアパレルなどのネット通販で後払いのサービスが増えており、これらが利用率を引き上げていることが推察できます。
性別・年代別のBNPLの利用率。若い女性の数字の高さが目立ちます
最後に、日本におけるキャッシュレス化の現状を示す結果も見ておきましょう。以下は、「あなたは、現金派、キャッシュレス派のどちらか?」という質問に対する答えを、2019年と2022年で比較したものです。
これを見ると、2022年はキャッシュレス派が「61%」となり、現金派を大きく上回る結果に。2019年の調査と比べると、現金派は「52%」の多数派から「39%」の少数派に転じたことがわかります。
3年前と比べるとキャッシュレス派の人の割合が大きく増加
年代別でも興味深い結果が出ています。クレジットカードなどを持てない「16歳〜19歳」に現金派が圧倒的に多いことは理解できますが、意外にもキャッシュレス派の割合が最も多いのが、「60歳〜69歳」との結果になっています。日本はキャッシュレス後進国と言われて久しいですが、いよいよ状況が変わりつつあるのかもしれません。
2022年の年代別「現金派?orキャッシュレス派?」。もっともキャッシュレス派の割合が多かったのは「60〜69歳」
証券会社で株式や投資信託を購入する際、銀行口座などから証券口座にお金を移すのはやや面倒です。これを解消するのがPayPay証券の「おいたまま買付」というサービスです。
これは、対象の銀行口座などから証券口座に送金することなく、それぞれの口座残高などを株式や投資信託の買付代金の決済に充てられるもの。これまでに、「三菱UFJ銀行」や「三井住友銀行」、「みずほ銀行」といったメガバンクのほか、「PayPay銀行」、「d払い」、「ソフトバンクカード」などがこのサービスに対応していました。
そして、2022年5月10日より、新たに「PayPayマネー」(PayPay残高の一種)との連携も始まりました。これにより、保有するPayPayマネーを、メンテナンス時間を除く24時間365日、PayPay証券での株式や投資信託の決済に充てることができます。
2022年5月より、PayPayマネーを自動的にPayPay証券での株や投資信託の購入に充てられるように。画像はPayPay証券のプレスリリースより
PayPayマネーを利用した「おいたまま買付」は、1,000円から1,000円単位で利用が可能。購入対象は「日本株」「米国株」「投資信託」「つみたてロボ貯蓄」となっています。また、これらを売却して受け取るお金を、現金ではなくPayPayマネーにすることもできます。
PayPayには、「ボーナス運用」という60万人以上が利用する人気の疑似運用サービスがあります(2022年4月時点)が、今回の連携で、PayPayとリアルな投資がつながった形になります。今後どのようなシナジーが生まれるのか注目したいところです。
期間中に対象カードに新規入会し、入会月の2か月後末までに、同カードでApple PayかGoogle Payを1回以上利用すると、「プラチナ券種」なら5,000円分、「ゴールド券種」なら3,000円分、「それ以外の券種」なら1,500円分のVポイントギフトコードがプレゼントされます。
キャンペーン期間:開催中〜2022年6月30日(カードの申し込み期間)
https://www.smbc-card.com/nyukai/campaign/cardinfo3010296.jsp
d払いを利用中のユーザーが「ファミリー割引」を契約のうえ、ファミリー割引グループ内の家族にd払いを紹介し、紹介された家族がd払いを初めて使うと、紹介者は1人紹介するごとに500dポイント、紹介された家族も500dポイントを獲得できます(付与されるのは期間・用途限定ポイント)。
キャンペーン期間:開催中〜終了日未定(プログラム終了は2か月前に告知)
https://service.smt.docomo.ne.jp/keitai_payment/campaign/dpay_family/
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