クレジットカード、電子マネー、QRコード決済……。めまぐるしく変化を続けるキャッシュレス決済の動向をコンパクトに伝える連載企画「おトクの真相! 月刊キャッシュレス展望」。最近のキャッシュレス関連のニュースの中から、マネー編集部員やマネー担当ライターが気になったニュースをピックアップしてお届けします。記事内や記事の最後には、記事公開時点で参加可能なキャンペーン情報も掲載していますので、こちらもぜひチェックを。
今回は、三菱UFJカードが大手コンビニ2社を対象に始めた「最大5.5%相当」のポイント優遇サービスの話題からお伝えします。
“コンビニ最強カード”に伏兵現る!? 今回の記事では、「三菱UFJカード」が7月から始めた、コンビニ2社での「最大5.5%相当還元」の真価を、三井住友カードの「コンビニ3社とマックで最大5%還元」と比較しながら検証します。そのほか、連携を強めるSMBCグループとSBIグループの資本提携の話題や、老舗百貨店の高島屋が始めた銀行サービスについても紹介します
クレジットカードの中には、基本のポイント還元に加え、特定の店舗でポイント還元率が優遇されるものがあります。なかでも、昨今もっとも注目されているのが「三井住友カード(NL)」、「三井住友カード ゴールド(NL)」、「三井住友カード(CL)」の3枚。これらのクレカは、コンビニ3社(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート)で最大5%還元となることから、2021年の登場以来、「コンビニ最強クレカ」の名を欲しいままにしてきました(コンビニ3社に加えてマクドナルドも最大5%還元の対象)。
今月、おそらくこの3枚を意識したであろうサービスを始めたのが「三菱UFJカード」です。2022年7月より、コンビニ2社(セブン-イレブンとローソン。ナチュラルローソン、ローソンストア100も含む)で三菱UFJカードを利用すると、利用金額1,000円につき「最大5.5%相当」(キャンペーン期間中は最大10%相当)のポイントが還元されるようになりました。
三井住友カードの3枚に“匹敵”(「上回る」ではなく「匹敵」と書く理由は後述します)するポイント還元率を打ち出してきたわけですが、今月はまず、これにどれほどの価値があるのか検証してみたいと思います。
ポイント還元率はもちろん、貯まるポイント「グローバルポイント」の用途など、三菱UFJカードの実力をチェック
まず三菱UFJカードのおさらいから。三菱UFJカードは、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱UFJニコスが発行するクレカです。かつては、「MUFGカード」の名称でしたが、2021年7月に三菱UFJカードに名称が変更されています。
同カードの年会費は1,375円で、年1回の利用で次年度分が無料に。貯まるポイントは「グローバルポイント」で、基本のポイント還元率は「0.5%相当」(1,000円利用するごとに1P。1P=5円に換算した場合)と、クレカとしては標準的なスペックとなっています。昨年7月のリニューアルにともない、昨今のトレンドでもある「タッチ決済」や「片面ナンバーレス」などが導入されたものの、それ以外に目立った特徴は見られませんでした。
実際、「価格.com クレジットカード比較」での同カードのレビューを見ると、「ポイント還元」などの要素ではなく、「国内最大の金融グループが発行する安心感」や「セキュリティの高さ」を保有の決め手とする意見が目立ちます。
価格.com「クレジットカード比較」内の三菱UFJカードのクチコミでは、同カードの発行元に対する安心感や、セキュリティの高さを魅力としてあげるユーザーが多数
前出の三井住友カードの「コンビニ・マックで最大5%還元」など、個性的な特徴を持つ他社カードと比べておとなしい印象のあった三菱UFJカードでしたが、今回の「コンビニ2社で最大5.5%相当還元」という尖ったサービスの開始により、一躍、「コンビニ最強カード」の有力候補として存在感を増してきたわけです。
今回、三菱UFJカードが始めた「5.5%相当還元」の内訳ですが、通常ポイント「0.5%相当」とスペシャルポイント「5%相当」の合算となります。利用金額1,000円につき、通常ポイント分「1P」に、スペシャルポイント分の「10P」が上乗せされる仕組みで、1Pあたりを5円相当として換算した場合に「5.5%相当」の還元率になります。
なお、1回あたりの利用金額が1,000円未満でも、請求月期間内の対象店舗での合算利用額が1,000円以上になると、本サービスのポイント付与の対象になります。ただし、対象店舗間でのポイントは合算されず、「セブン-イレブンでの合計金額」「ローソンでの合計金額」のそれぞれが判定対象となります。
対象カードは、「三菱UFJカード」、「三菱UFJカード ゴールドプレステージ」、「三菱UFJカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード」の3種。セブン-イレブン、ローソンでの通常のクレジットカード決済はもちろん、タッチ決済や、Apple Payを介したQUICPay決済でもポイントが付与されます。ただし、複合商業施設内の店舗など、一部店舗は対象外となる場合があるので注意が必要です。
三菱UFJカードの利用で貯まるポイントは「グローバルポイント」です。基本的な使い道は、「商品交換」、三菱UFJカードの利用代金に充当する「キャッシュバック」、「マイルやほかのポイントへの移行」などとなっていますが、ここで気になるのがグローバルポイントの価値です。
前出のとおり、三菱UFJカードの「コンビニ2社で最大5.5%相当還元」は、「1P=5円」に換算した場合の還元率です。同社の公式サイトには、「最大5.5%相当」は、「1ポイント=5円相当の商品と交換した場合(1ポイントの交換比率は商品により異なります)。」との注記があり、ポイントの用途によって実質的な還元率が変わることがわかります。
では、そのほかの用途でのグローバルポイントの価値や実質還元率はいかほどなのでしょうか?
同社公式サイトによると、キャッシュバックの場合は「1P=4円」に換算、また、ほかのポイントの場合は下記のとおりポイントによって価値が変動し、いわゆる「共通ポイント」に換算する場合は1P=3〜4円になります。
グローバルポイントを他社ポイントに交換する際の換算率の例(カッコ内は1Pの価値)
グローバルポイント200P ⇒ Pontaポイント 800P(1P=4円)
グローバルポイント200P ⇒ 楽天ポイント 600P(1P=3円)
グローバルポイント200P ⇒ dポイント 800P(1P=4円)
グローバルポイント200P ⇒ Tポイント 800P(1P=4円)
グローバルポイント200P ⇒ nanacoポイント 600P(1P=3円)
グローバルポイント500P ⇒ ビックポイント(ビックカメラ) 2,500P(1P=5円)
グローバルポイント500P ⇒ ベルメゾンポイント 2,500P(1P=5円)
(出典)三菱UFJニコス公式サイト
https://www.cr.mufg.jp/mufgcard/point/shift/index.html
これらを踏まえると、キャッシュバックの場合の実質的な還元率は「4.4%」(1,000円に対し44円相当の還元)、他社ポイントに交換する場合の実質的な還元率は「3.3〜5.5%」(1,000円に対し33〜55円相当の還元)になります。本章の冒頭で「三井住友カードの3枚に“匹敵”」と、やや煮え切らない書き方をした理由がここにあります。
ここで、三菱UFJカードと三井住友カード3種の、「コンビニなどでのポイントアップ特典」を比較してみます。
三菱UFJカードと三井住友カードの「コンビニなどでのポイントアップ特典」を比較した表。三井住友カードで貯まる「Vポイント」については、下記の記事で詳しく紹介しています。
※参考記事:便利になった三井住友カードの「Vポイント」 銀行でも貯まり、使いやすさも進化中(価格.comマガジン)
https://kakakumag.com/money/?id=17968
「ポイントの用途」を見るとわかりますが、三井住友カードには、「1P=1円」、すなわち「実質還元率5%」になる用途が豊富に用意されています。いっぽうの三菱UFJカードは「商品との交換」(もちろん、交換する商品や、その商品を交換する時期も考慮する必要があります)、あるいは、ほかのポイントへの交換の一部でのみ「実質還元率5.5%」になります。このことから、「コンビニ2社で最大5.5%相当還元」という三菱UFJカード側の“うたい文句”をもって、「コンビニ最強クレカの座が三井住友カードから三菱UFJカードに移った」と考えるのは、やや厳しいのではないかというのが筆者の実感です。
もちろん、三菱UFJカードも、十分高いポイント還元率を実現したことには間違いありませんし、ポイントアップの対象となる決済方法が三井住友カードよりも多い点も魅力と言えます。なにより、これまで「信頼性」や「セキュリティの高さ」で評価されがちだったカードが、こうした思い切ったサービスを打ち出してきた点は評価に値すると思われます。
下記のように、2022年9月までは、コンビニ2社で「最大10%相当」のポイント還元率となるキャンペーンも実施されていますので、この機会に三菱UFJカードの保有を検討してみる価値はあるでしょう。
期間中、「キャンペーンに登録」「MUFGカードアプリにログイン」「セブン-イレブンまたはローソンで利用」の3つの条件をクリアすると、グローバルポイントが「最大10%相当」還元されます(基本ポイント0.5%+スペシャルポイント5%+キャンペーン特典4.5%)。また、同カードのリボ払い機能である「楽pay」を登録すると、還元率は「最大15%相当」にアップします。いずれの場合も、ポイントアップの対象となるのは期間中の累計利用金額10万円まで。10万円以上については「最大5.5%相当」の還元率が適用されますのでご注意ください。
キャンペーン期間:開催中〜2022年9月30日まで
https://www2.cr.mufg.jp/newsplus/campaign/c01/20220615_1.html?utm_source=service
2022年6月23日、三井住友カードが属する「SMBCグループ」と、SBI証券が属する「SBIグループ」が、両グループ間の包括的な資本業務提携に関して、基本合意を締結したと発表しました。これにともない、SMBCグループはSBIグループの第三者割当増資を引き受け、796億5,000万円を出資。約10%の議決権を握ることになります。
資本提携に合意したSMBCグループとSB Iグループ。両グループのユーザー向けに新しい金融サービスの提供を予定(画像は三井住友カードのプレスリリースより)
これまでに当メディアでも何度となくお伝えしてきましたが、三井住友カードとSBI証券は、近年提携を強化してきました。たとえば、2021年7月より、SBI証券の投信積立に三井住友カードが使え、かつVポイントも貯まる「三井住友カードつみたて投資」をスタート。同サービスは開始から約1年で積立設定金額が100億円を突破する人気サービスとなっています。
今回の資本提携により、両グループのつながりがさらに強まるわけですが、ユーザー向けにはどのようなサービスが生まれるのでしょうか?
三井住友銀行2,700万人、三井住友カード5,000万人、SBI証券850万人と、両グループには多くのユーザーを抱える企業が存在します。プレスリリースなどによると、この基盤を生かし、両グループ共同で経済圏拡大に向けて動き出す、というのが基本構想のようです。
具体的には、SBI証券がSMBCグループの個人向けデジタル金融サービスにおける、「証券関連サービス」の提供主体になり、すでに三井住友銀行の「SMBCダイレクト」や、三井住友カードの「Vpass」(カード会員向け公式サイト)を利用しているユーザーに、SBI証券のオンライン証券サービスを提供することなどが予定されていると言います。
また、これ以外にも、三井住友銀行、三井住友カード、SBI証券の3社は、「銀行口座」「カード決済」「オンライン証券」の機能をアプリベースで組み合わせたサービスを、2022年度中に提供すると言います。これにより、給与などの受け取りから日常の決済、資産形成・運用がワンストップで利用できるようになるほか、ユーザーごとにパーソナライズされたおトクな情報の提供や、各種取引を通じたVポイントの付与なども予定されているとのこと。
同社リリースでは「これまでの金融サービスとは異なる未来型の金融体験」と表現されており、その登場が待たれます。
2022年6月、老舗百貨店の高島屋が、住信SBIネット銀行が外部企業向けに提供している、組み込み型金融サービスの「NEOBANK(ネオバンク)」を活用した、「高島屋NEOBANK」という銀行サービスを開始し、話題を呼んでいます。
「NEOBANK」は、銀行免許を持たない企業と、銀行免許を持つ住信SBIネット銀行が提携し、デジタル上の銀行サービスを提供するというもの。これまでに、ヤマダホールディングスやJAL(日本航空)、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)などと提携した銀行が誕生しています。
少子化やネットショッピングの台頭などにより百貨店業界が苦境に立たされる中、高島屋は、金融事業を百貨店事業、商業開発業に次ぐ第3の柱として重視。2020年には、顧客の資産形成や資産承継のサポート事業を開始しており、今回の高島屋NEOBANKはこれに続く金融サービスとなります。
高島屋NEOBANKの操作画面のイメージ。画像は高島屋のプレスリリースより
高島屋NEOBANKを利用するには、まず専用アプリのダウンロードが必要です。そのうえで、「住信SBIネット銀行 タカシマヤ支店」を開設することで、預金や決済、融資などの銀行サービスを利用することができます。ATMの手数料は、引き出しと預金を合わせて月5回まで無料(以降は1回につき110円)、振込手数料も月5回まで無料(以降は1回77円)と、なかなかおトクな利用条件となっています。
もっともユニークなのは、積立サービスの「高島屋のスゴ積み(高島屋のスゴイ積立の略)」です。これは、毎月一定額を12か月積み立てると、1か月分のボーナスをプラスした金額分を、高島屋で買い物に使えるというもの。従来からあった「タカシマヤ友の会」の機能が搭載された格好です。
非金融企業とNEOBANKとの提携では、CCCの「T NEOBANK」が、競馬・競輪などの公営競技の購入でTポイントを付与するなどユニークなサービスを提供しています。「高島屋のスゴ積み」も、普通の銀行にはない、極めておトクでユニークなサービスとして注目されそうです。
※参考記事
ヤマダデンキ、JAL、CCC、高島屋……。今、非金融企業がこぞって“銀行”を始めるワケ(価格.comマガジン)
https://kakakumag.com/money/?id=18523
楽天証券は2022年6月19日より、投信積立の決済方法として、オンライン電子マネー「楽天キャッシュ」の利用を開始しました。これを記念し、投信積立で楽天キャッシュ決済を使うと、利用額の0.5%分の楽天ポイントが付与されます。楽天カードからのチャージ額に対する0.5%分と合わせると、キャンペーン期間中は楽天キャッシュの利用で最大1%分のポイントが貯まります。
キャンペーン期間:開催中〜2022年11月22日(積立設定期間)
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/campaign/20220531-02/?l-id=cp_20220531-02
キャンペーン期間中に、ポイントプログラム対象のJCBカードを保有し、「My JCB」に登録している会員が「Oki Dokiランド」を利用すると、以下の特典がもらえます。
・合計5,000円以上を利用すると通常のポイントに加え、利用金額の「10倍分」のポイントを還元(上限1,000ポイント)
・毎月(7、8、9月)利用し、3か月合計で2万円以上利用した人の中から抽選で100名に200ポイントプレゼント
・期間中に初めてOki Dokiランドのお気に入りショップをスマホのホームアイコンに追加。アイコンからショップに遷移すると、もれなく10ポイントプレゼント
キャンペーン期間:開催中〜2022年9月30日
https://www.okidokiland.com/event/199/?utm_source=corp_co_campaign&utm_medium=list&utm_campaign=event199
投資・資産運用・保険・クレジットカード・ローン・節約に至るまで、マネーに関する情報を毎日収集。「知らないで損するなんてもったいない」をモットーに、読者のためになる記事を制作します!