今、さまざまなモノの値段が上がっています。なかでも食料品は家計にダイレクトに影響するので、値上げは切実。そこでよりおトクな買い物方法として、大手スーパーマーケットの公式アプリに注目してみました。主な機能は「クーポンの提供」「キャンペーンの案内」「チラシの掲載」。2022年4月には、「楽天西友ネットスーパー」で協業する西友と楽天が、オンライン(ネットスーパー)とオフライン(店舗での買い物)の両方の機能を備える「楽天西友」アプリをリリースするなど、利便性も一層高まってきています。
スーパーの公式アプリはどのようなことができて、どう活用するとおトクなのか。大手3社が提供する「楽天西友」アプリ、「イオンお買物」アプリ、「イトーヨーカドー」アプリの3つのアプリを使い比べてみました。
大手スーパー3社が提供する「楽天西友」アプリ、「イオンお買物」アプリ、「イトーヨーカドー」アプリ(左から)
※記載のクーポンやキャンペーンなどの情報は2022年8月時点のものです。クーポンの配信状況やキャンペーン内容などは時期によって変わります。
新聞を購読しなくなってから、一時期、「シュフーチラシアプリ」などのチラシアプリを利用していたことがあります。チラシアプリは複数店舗のチラシをまとめてチェックできるので、近所のスーパーの特売などを比較しやすいところがメリット。とはいえ、結局、よく買い物するのは家から近い最寄りのスーパーということで、筆者の場合、チラシアプリの利用は影を潜めてしまいました。
今回、大手スーパーの公式アプリを利用してみてわかったのは、クーポンやキャンペーンなどのおトクな情報がチェックしやすいこと。メイン機能のひとつとなるチラシも、画面をピンチして拡大することでかなり大きく表示できるので、欲しい情報が見やすいUIになっています。通常の紙のチラシは一覧するのに便利ですが、アプリのチラシは必要な情報を取りに行くのに便利だと感じました。
最初に、大手スーパー3社の公式アプリの主要機能についてご紹介します。
店舗で使える「西友」アプリと、ネットで使える「楽天西友ネットスーパー」アプリが統合し、2022年4月26日に「楽天西友」アプリとしてリニューアル。このアプリの一番の利点は、タップの切り替えだけで店舗とネットの両方で利用できることです。また、従来、西友ネットスーパーのみが対象となっていた「楽天ポイント」を西友の実店舗でも貯めたり、使えたりできるようになりました。楽天ユーザーIDを登録している人なら、面倒な新規登録の手間なく、ログインするだけで使い始められるのも魅力です。
まずはそのおトクさについて見ていきましょう。
「楽天西友」アプリには、楽天ポイントカードの機能が搭載されており、西友では通常200円(税別)ごとに1ポイントの楽天ポイントが貯まります。さらに、アプリ内の「ボーナスポイント商品」のページには、楽天ポイントが追加で付与される商品が掲載。約1か月ごとに入れ替わる対象商品は食品やお酒、日用品など100種類以上が掲載され、「10〜200ポイント程度」が追加で還元されます。会計前に楽天ポイントカードを提示するだけで付与される仕組みになっており、個別商品のクーポンをいちいち表示する必要がない点がスマートだと感じました。
「楽天西友」アプリで買い物前にもうひとつ見ておきたいページが「お得カレンダー」。毎週火曜日に電子マネーの「楽天Edy」で支払うと通常時のポイント5倍(200円で5ポイント)、毎週土曜日に楽天ポイントカードを提示するとポイント2倍(200円で2ポイント)などと、ポイントアップデーや売り出し日が一覧できます。月初めにこのカレンダーをチェックして、買い物に行く曜日や日にちを決めておくことで、よりおトクに買い物できそうです。
「今月のボーナスポイント対象商品」の一覧ページ(写真左)と「今月のお得カレンダー」(写真右)
チラシ機能もスーパーのアプリの主要機能のひとつですが、「楽天西友」アプリでは、全国の西友、リヴィン、サニーの各店舗のチラシを表示可能。都道府県と市区町村を選択することで、店舗を見つけることができます。「チラシ」ページには、ユーザーが選んだ店舗のチラシと、その店舗のボーナスポイント対象商品、今月のお得カレンダーが表示されます。
「楽天西友」アプリの店舗検索ページ
チラシは実にスムーズに拡大でき、拡大中もキレイに画像が表示されます。最大サイズまで拡大した時にも文字などがクリア。きっと元々のチラシ画像の解析度が高いのだと思います。多くの情報をラクに確認できました。
チラシページ(左)と、チラシを拡大した時の最大サイズ(右)
続いて紹介する「イオンお買物」アプリは、クーポンがとても充実しているのが大きな特徴。食品や日用品、衣料品、美容品など60以上の商品のクーポンがカテゴリごとに掲載されています。10〜50円引きのクーポンが中心ですが、なかには、200円以上オフとなるクーポンもあり、イオンでの買い物前にはチェックしておきたいところです。
利用時には「クーポンを使う」をタップすることで、会員コードとクーポンのバーコードをまとめて提示して、割引を受けることができます。クーポン情報のお気に入りのハートマークをタップすることで、お気に入りクーポンに登録可能です。気になる商品を登録しておけば、後からレジでスムーズに提示できるでしょう。
クーポンページのハートマークをタップすると(写真左)、お気に入りクーポンに登録され、後でスムーズに提示しやすくなります(写真右)
対象商品によってスタンプカードも用意されていて、購入金額によってクーポンがもらえたり、割引特典を受けることができます。8月時点では、手芸専門店のパンドラハウス、女性下着のワコール、ウイング、トリンプのスタンプカードが用意されていました。
アプリ内のチラシページの中には「ボーナスポイントプレゼント」の対象商品も紹介されています。こちらは、電子マネーの「WAON」「JMB WAON」、クレジットカードの「イオンカード」を使って対象商品を購入することで、WAON POINTが追加でもらえるという特典です。対象商品の中には食料品・日用品などがあり、10〜100ポイント程度が追加で付与されます。「楽天西友」アプリと同じようなポイントサービスと言えます。
キャンペーンページでは、抽選で当たる無料クーポンプレゼントが行われています。8月時点ではトイレ洗浄剤やお茶のペットボトルなどが掲載されており、「応募する」というボタンをタップするだけで完了。もし、運よく当たれば商品が無料でもらえるクーポンが配布されるので、ついいろいろとタップしてしまいました。
「ボーナスポイントプレゼント」の商品は約20種類(写真左)。キャンペーンページ内にある無料クーポンプレゼントの商品(写真右)
「イオンお買物」アプリではチラシ、キャンペーン、クーポンのメニューがあり、それぞれの情報が確認しやすくなっています。チラシを表示したい場合、店舗名や県名、エリアなどのキーワード検索のほか、現在地や都道府県からも検索可能。なかでも現在地からの検索では、最寄りの店舗を手軽に見つけることができて便利でした。
「イオンお買物」アプリ内の店舗検索ページ(写真左)と、現在地から探した場合の検索結果ページ(写真右)
チラシは食料品、日用品、美容家電、お酒、ペットなど、ジャンルごとに別ページになっており、見やすい工夫がなされています。拡大の操作もスムーズにできますが、最大サイズがやや解像度不足かなと感じる部分も。十分、商品名や価格は見えるものの、もう少し拡大できれば、より見やすくなると感じました。
チラシページ(左)と、チラシを拡大した時の最大サイズ(右)
「イトーヨーカドー」アプリには7iDでログイン。7iDとは、セブン-イレブンアプリ、オムニ7サイト/アプリ、西武・そごうアプリ、アカチャンホンポアプリ、ロフトアプリで利用できる、セブン&アイグループ共通のIDのことです。
「イトーヨーカドー」アプリ会員のメリットは「ハッピーデー」の対象になること。「ハッピーデー」とは、毎月8のつく日(8日、18日、28日)にイトーヨーカドー店内のほぼすべての商品が5%オフとなるキャンペーンです。電子マネー「nanaco」やクレジットカード「セブンカード・プラス」会員を対象にしたものですが、「イトーヨーカドー」アプリ会員もバーコードを提示すれば、これらの決済サービスを持っていなくても(現金払いでも)5%オフの特典を受けられます。
「イトーヨーカドー」アプリにもクーポンがあります。10〜100円引きのものが中心となるものの、なかには20%オフと非常に割引率が高いクーポンも掲載されています。ただ、クーポンの数は20種類程度と、若干少なめの印象です。
使いたい時には「利用する」を選ぶと、会計時に会員コードとまとめてクーポンを表示することができます。ただし、砂時計のマーク付きのクーポンは時間制限あり。おトクな内容のものが少なくありませんが、「利用する」ボタンを押した後、規定時間内(主に20分以内)に使わないと無効になってしまいます。時間制限ありのクーポンの中に欲しい商品がある場合は、会計の直前に「利用する」をタップするほうがよいでしょう。
「イトーヨーカドー」アプリは、ホーム画面にキャンペーンやトピックスなどの情報が掲載されているので、アプリを立ち上げた時にスクロールして確認しておくと、おトクな情報を見つけやすそうです。
「イトーヨーカドー」アプリのクーポン一覧ページと(写真左)と、クーポン表示画面(写真右)
チラシを表示したい店舗は、店舗検索から探すことができます。店舗は現在地周辺やお店の名前、地域から検索可能。「現在地周辺から探す」では、現在地から半径20km以内の店舗がヒットするので、候補となる店舗が多く表示されます。チラシページでは、チラシ画面の左側をタップすることで、別のチラシに移動できるのが便利。ただ、最大サイズは十分な大きさであるものの、画質はそれほどよくないのが少し残念でした。
チラシページ(写真左)と、チラシを選択してすぐ表示される画面(写真右)
チラシ(左)と、チラシを拡大した時の最大サイズ(右)
これまで紹介してきたように、大手スーパーマーケットのアプリの主な機能はチラシ、クーポン、キャンペーンですが、ポイントが付与される会員機能も見逃せません。
「楽天西友」アプリは、ワンタッチで楽天ポイントカードのバーコードを表示させることができ、会計時にこれを提示すればポイントを貯めたり、支払いに充当できたりできます。さらに、QRコード決済「楽天ペイ」との連携も可能で、アプリ内からスムーズに操作することができます。
「楽天ペイ」で支払うと200円で最大3ポイントが還元され(還元率最大1.5%)、ポイントを効率よく貯められるのも魅力的。貯めた楽天ポイントは、西友での支払い時はもちろん、楽天市場やマクドナルド、ファミリーマートなど、さまざまな店舗・サービスで「1P=1円」で利用可能で、使い道に困ることもなさそうです。
「楽天西友」アプリには楽天ポイントカード機能が搭載され、楽天ペイとの連携も可能
「イオンお買物」アプリにも会員コードはありますが、この会員コードはクーポン利用時やキャンペーン参加時などの時にレジで提示するもの。イオングループはポイントプログラム「WAON POINT」を用意していますが、「イオンお買物」アプリ単独で使った時に「WAON POINT」が付与される機能はありません。「WAON POINT」の還元を受けるためには、電子マネー「WAON」やクレジットカード「イオンカード」で決済するほか(この場合、イオングループでは基本200円ごとに2ポイント)、「WAON POINTカード」を提示のうえ、現金払い(この場合、200円で1ポイント)する必要があります。
「イオンお買物」アプリの会員コード
「イトーヨーカドー」アプリでは、会員コードを提示することで、基本200円(税別)ごとに1マイルが貯まります。貯まったマイルは「セブンプレミアム インスタント食品詰め合わせ」(900マイル必要)、「Google Playギフトコード」(100マイル→100円分)など30種類以上のアイテムと交換可能です。ただ、最も実用的な交換先と感じたのは「50マイル→50ポイント」で交換できるnanacoポイント。nanacoポイントは「nanaco」に「1ポイント=1円」でチャージして、電子マネーとして幅広く使えます。
なお、「イトーヨーカドー」アプリに、電子マネー「nanaco」やクレジットカード「セブンカード・プラス」を登録することができます。これをすることで、登録したnanacoやセブンカード・プラスで決済するだけで(アプリの会員コードを提示することなく)、セブンマイルを貯めることができます。
「イトーヨーカドー」アプリのマイルページ
いつもは店舗で買い物していても、忙しい時や重いものを買いたい時にはネットスーパーの利用を考えることもあるでしょう。アプリからネットスーパーを利用する際の操作性についても見ておきましょう。なお、いずれのネットスーパーも利用する場合は、ご自宅が配達可能エリアかどうかの確認が必要です。
「楽天西友」アプリは、店舗とネットの両方で利用できるところが大きな魅力。ネットスーパーを利用したい時は、タップの切り替えをするだけでOK。「ネットで注文」ページに切り替えれば、追加での登録作業をすることもなく「楽天西友ネットスーパー」ですぐに買い物できます。送料は330円ですが、買い物の合計金額が5,500円以上で無料に。お届け日時は購入日を含む4日間の10時〜22時までの2時間ごと、6便から選ぶことができます。
筆者がチェックした時は、当日の配送の予約が埋まっていましたが、翌日なら予約ができました。これくらいのリードタイムなら、日々の買い物にも活用できそうです。
「楽天西友」アプリの上部にある「ネットで注文」をタップするだけで、切り替えが可能なのがとても便利です
「イオンお買物」アプリからは、「イオンネットスーパー」のページにジャンプすることが可能です。ただ、「楽天西友」アプリのようにタップの切り替えではなく、別サイトに移動して注文作業を開始します。iAEON IDまたはイオンスクエアメンバーIDがあればログインできますが、初回は必要な情報の入力が求められるので「楽天西友」アプリより手間はかかります。
「イオンお買物」アプリから、イオンネットスーパーへのログインページにジャンプすることができます
「イトーヨーカドー」アプリも同様に、「イトーヨーカドーネットスーパー」へのリンクがあります。ただし、7iDでログインできるものの、初回は情報入力が必要になるので、登録するのに多少の手間がかかります。
イトーヨーカドーネットスーパーへのログインページ
関連記事:食材や日用品が家に届く「ネットスーパー」4社比較 家事・節約のプロはこう使う
紹介した3つのアプリには家事に関する便利な情報やちょっぴり楽しくなる情報も掲載されているので、最後にこの部分にも触れておきたいと思います。
「楽天西友」アプリでは西友のおススメレシピを掲載。ジャンルや食材などからレシピを検索できるので、お買い得商品をベースにした献立を手軽に考えることができます。
「楽天西友」アプリのおススメレシピ(写真左)。ジャンルやカテゴリ、食材からレシピを検索できる(写真真ん中、写真右)
いっぽう、「イオンお買物」アプリから飛ぶことができる「イオンのキッチン」ページでは、レシピサイトの「クックパッド」と連携。1000以上のユーザーのオリジナルメニューから、自由なキーワードでレシピを検索できます。
「イオンお買物」アプリのおうちで楽しく簡単レシピページ
イトーヨーカドーではハトが描かれたロゴマークがおなじみですが、このハトをモチーフにしたハトソンくんという公式キャラクターが存在します。「イトーヨーカドー」アプリでは8月1日から、このハトソンくんの星座占いがスタートしました。ランキング形式で表示され、総合運、恋愛運、金運、仕事運がかなり詳しく説明されているので、つい読んでしまいます。
「イトーヨーカドー」アプリのハトソンくん占い
ここまで、西友、イオン、イトーヨーカドーの公式アプリの機能について説明してきました。それらの情報をまとめたのが、次の表になります。
「楽天西友」アプリは、タップの切り替えだけで店舗とネット(スーパー)の両方で利用できるのが大きな魅力。ただ、ほかの2つのアプリが「○円オフ(○%オフ)」という形でクーポンを配布しているのに対し、こちらは「楽天ポイントの還元」という形をメインにおトクさを打ち出しています。そのため「楽天西友」アプリを使っていく場合、楽天ポイントの使い道についても考えておいたほうがよいでしょう。「イオンお買物」アプリと「イトーヨーカドー」アプリはクーポンが充実しており、ひんぱんにチェックしておくと節約につなげられそうです。
また、「楽天西友」アプリなら「楽天カード」「楽天ペイ」「楽天Edy」、「イオンお買物」アプリなら「イオンカード」や「WAON」、「イトーヨーカドー」アプリなら「セブンカード・プラス」「nanaco」といった同じグループのクレジットカードや電子マネー、コード決済を併用することで、さらにメリットも大きくなりそうです。
スーパーの場合、自宅や職場に近い店舗に利用が集中してしまいがち。どのアプリがいいと言うよりも、最寄りのスーパーが何かによって使い分ける方がよいかもしれません。西友、イオン、イトーヨーカドーが近所にあるならば、ぜひ今回、紹介したアプリを利用してみてください。アプリ活用による1回の買い物での節約額は数十円〜数百円でしょうが、年間を通すとそれなりの金額の節約につながるはず。これまで以上にお得な買い物が実現できると思います。
わたたにさちこ。キャッシュレス決済やポイントなどについて、小学館発行のビジネス情報誌「DIME」を中心に、企業のオウンドメディアや情報サイトなどで幅広く執筆。生活情報サイト「All About」のガイドも務める。