クレジットカード、電子マネー、QRコード決済……。めまぐるしく変化するキャッシュレス決済の動向をコンパクトに伝える連載「おトクの真相! 月刊キャッシュレス展望」。最近のキャッシュレス関連のニュースから、マネー編集部員やマネー担当ライターが気になったニュースをピックアップしてお届けします。記事内や記事の最後には、記事公開時点で参加可能なキャンペーン情報も掲載していますので、こちらもぜひチェックを。
今回は、今月(2022年10月)発表された、「Vポイント」と「Tポイント」の統合の話題からお伝えします。
「VとT」2つのポイントの統合が大きな話題に。統合の背景や目的について、し烈さを増す共通ポイント争いの動向とともにお伝えします。そのほか、三井住友カードのポイント還元の“改善”や、JCBカードの「スマートフォン保険」の話題もチェックします
2022年10月3日、三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ)とカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCCグループ)は、両グループが資本業務提携に関する基本合意書を締結したことを発表。今後、SMBCグループが運営する「Vポイント」とCCCが運営する「Tポイント」を統合し、新たなポイントサービス誕生を目指すことを明らかにしています。
※SMBCグループのプレスリリースより
両グループが発表したプレスリリースには、今回の基本合意について、下記のようなスケールの大きな目的が記載されています。
「日本最大級の決済・ポイント経済圏を構築し、両社グループの会員・加盟店等のお客さまに、よりお得で便利な顧客価値が高いサービスを提供すること」(原文ママ)
出典:SMBCグループとCCCグループによる資本・業務提携に関する基本合意のお知らせ
現在、三井住友カードの会員数は5,200万人(このうち「Vポイント」会員数は2,000万人)、「Tポイント」の会員数は7,000万人です。両グループの会員数を合わせると単純計算で1億2千万人以上、三井住友カード側を「Vポイントの会員数」で絞っても9,000万人以上となり、「日本最大級の決済・ポイント経済圏」を目指すとの両グループの目論見も、決して大げさな話ではないと感じさせる規模感となります。
なお、この「新ポイント事業」の実現のため、CCC傘下のCCCMKホールディングス株式会社(以下、CCCMKHD)を両グループの共同事業会社化し、CCCグループが6割、SMBCグループが4割の割合で株式を保有することを目指すとしています。基本合意の最終的な契約となる資本・業務提携契約は2022年12月末までに締結される予定です。
※SMBCグループのプレスリリースより
今回の基本合意であらためて注目されている「Vポイント」と「Tポイント」。その概要を簡単にまとめます。
SMBCグループの「Vポイント」は、2020年6月に、三井住友カードのポイントプログラム「ワールドプレゼント」がリニューアルする形で生まれました。これを機に、三井住友銀行の各種取引でも貯まるようになり、後に同グループの消費者向けローン「プロミス」(SMBCコンシューマーファイナンス)の利用でも貯まるようになるなど、SMBCグループ内の複数企業で貯まる「グループ内の共通ポイント」として機能していました。
貯まった「Vポイント」は、スマホ用の決済アプリ「Vポイント」の残高にチャージすると、Visa加盟店やiD加盟店で1ポイント=1円として買い物代金に充てられます。これ以外にも、三井住友カードの支払いへの充当や、SBI証券での投資信託の買付代金への充当(スポット購入)、三井住友銀行の振込手数料への充当などにいずれも1ポイント=1円で使えるなど、徐々にその利便性を高めてきました(他社ポイントへの交換時は1ポイント=1円以下のレートとなる場合もあります)。
SMBCグループは、今年(2022年)夏ごろより「Vポイント」のテレビCMを放映するなど(下記画像参照)、「Vポイント」の知名度アップに注力していた印象を受けます。しかし、あくまでも「グループ内の共通ポイント」であることから、その広がりには限度があったのも事実です。
2022年7月ごろより、三井住友カードや三井住友銀行のCMに出演するタレントを合同で起用した「Vポイント」のCMが放映されています。画像は三井住友カードのプレスリリースより
<「Vポイント」関連記事>
便利になった三井住友カードの「Vポイント」 銀行でも貯まり、使いやすさも進化中(価格.comマガジン)
かたや「Tポイント」は、「TSUTAYA」などを展開するCCCが2003年にサービスを開始。それまで、家電量販店やスーパーマーケットなどが単独で導入していたポイントサービスと異なり、企業やグループの枠を超え、幅広い提携店でポイントを「貯めて、使える」という点が画期的で、「共通ポイント」のはしりとして知られるポイントサービスです。「TSUTAYA」系列の各店舗はもちろん、コンビニやスーパー、ドラッグストア、ガソリンスタンドなど幅広い業種に提携店が拡大。一時期はあらゆる店舗で「Tポイントカードをお持ちですか?」と聞かれていたことを覚えている読者も多いのではないでしょうか?
しかしその後、ほかの共通ポイントとの競争が激化。「Pontaポイント」(会員数1億944万人・2022年9月末時点)、「楽天ポイント」(楽天会員数1億人以上・2021年度)、「dポイント」(会員数9,040万人・2022年6月時点)などが、独自のキャッシュレス決済サービスなどを武器に会員数やグループ外の提携店を拡大。「Tポイント」との関係が深かった企業やグループにもマルチポイント制(複数の共通ポイントが貯まり、使える仕組み)の導入が進み、「Tポイント」の優位性が薄れていきました。
その影響もあり、近年は大手加盟店の「Tポイント」からの脱退が続出。今年(2022年)3月には、Zホールディングスとの資本関係が解消され、2012年の提携以来密接な関係が続いていたYahoo! JAPAN関連サービスも「Tポイント」から脱退することになりました。このように、「Tポイント」は共通ポイントとしての岐路に立たされていたタイミングでした。
Yahoo! JAPANのサイト上には今も「Tポイント」からの脱退を知らせるページが残っています(2022年10月12日時点)
両ポイントは今後、「ポイントの貯まりやすさ、使いやすさを大幅に向上させる」(プレスリリース原文ママ)ことを目的に統合を進めていく見込みです。新ポイントサービスの具体像が見えてくるまでには、もう少し待つ必要がありそうですが、プレスリリースには「『三井住友カード』の利用で新ポイントが貯まる」「『Tポイント』のアプリ・Webサイトなどで、公式カードとして『三井住友カード』の募集を行う」「よりポイントが貯まりやすいモバイル決済(スマホ決済)の検討」などの案が記載されています。
いずれにせよ、「Vポイント」側には、グループ外で「貯めて、使える」ことによる利便性と知名度アップが期待でき、「Tポイント」側には、「スマホ決済アプリの導入」や「Visa加盟店での利用」といったメリットが期待できそうです。
※SMBCグループのプレスリリースより
現在、共通ポイントの勢力争いはし烈さを増しています。前出の「Pontaポイント」は、2019年にauが運営していた「au WALLETポイント」と統合。通信やスマホ決済といったサービスを取り込み、“ポイント経済圏”として「楽天ポイント」「dポイント」と肩を並べた形になっています。
そして、ここに割って入ろうとしているのがZホールディングスです。傘下のスマホ決済「PayPay」は会員数が5,000万人を超え、もっともポピュラーなスマホ決済のひとつに成長。その「PayPay」で貯めて使える「PayPayポイント」(2022年4月に「PayPayボーナス」から改称)について、同社社長中山一郎氏は各種報道で「グループ外へ外販する構想」を明らかにしており、今後「PayPayポイント」も共通ポイントとして存在感を強めていくことが予想されます。
主要ポイントサービスを会員数などで比較したグラフ。「Vポイント・Tポイント」の会員数を単純計算で足すと、ライバルのポイントに引けを取らない規模感になります
ここに、「Vポイント」「Tポイント」統合後の新ポイントがどう食い込んでいくのか? ポイント好きの皆さんにとっては、しばらく目の離せない展開が続きそうです。
三井住友カードは、同社発行の一部カードで行っていた「対象店舗での最大5%ポイント還元」の特典について、2022年10月以降対象店舗と対象カードを拡大することを発表しました。
三井住友カードの5%還元の対象店、対象カードが拡大。画像は三井住友カードのプレスリリースより
この特典はもともと、「セブン-イレブン」「ローソン」「ファミリーマート」「マクドナルド」の4社で対象のカードを使い、「タッチ決済」で支払うことで5%分の「Vポイント」が還元されていたものです(「タッチ決済」以外の場合は2.5%還元)。
今回の変更により、従来の対象店舗に加え、「セイコーマート」「ポプラ」のコンビニ2社と、「すき家」「ドトール」「エクセルシオールカフェ」「サイゼリヤ」「ココス」「はま寿司」「かっぱ寿司」の飲食7社が「最大5%還元」の対象になります。
今回5%還元の対象に加わった企業一覧。北海道で高い知名度と人気を誇るコンビニの「セイコーマート」や、カフェチェーン大手の「ドトールコーヒー」、かつて“現金主義”として知られていた「サイゼリヤ」などが対象に加わっています
さらに、この特典の対象となるカードも、これまでの「三井住友カード(NL)」「三井住友カード ゴールド(NL)」「三井住友カード(CL)」の3枚に加え、三井住友カードが発行する各種スタンダードカードにも拡大されました(提携カードや、「ビジネスカード for Owners」以外の法人カードは対象外)。5%還元となる条件はこれまでどおり「タッチ決済」で買い物をすることとなっており、「タッチ決済」以外の支払いの場合は2.5%還元です。
2022年10月、JCBカードは「JCB ORIGINAL SERIES」の個人カードの付帯サービスとして、「Chubb損害保険株式会社」による「スマートフォン保険」を加えると発表しました。スマートフォンが破損し、修理が必要となった場合に最大5万円まで補償する内容です。
補償の対象となるのは購入後24か月内の端末で、「カード本会員のスマートフォン」「対象端末の通信料の決済にJCBカードを指定」「対象端末の通信料を直近3か月以上連続で支払う」の3つの条件を満たす必要があります。補償が適用されるのは1台で、一般カード会員は年間最大3万円、ゴールド・プラチナカード会員は年間最大5万円まで補償されます。ひとつ注意したいのは、いずれも1万円の自己負担額が必要という点。つまり、修理費が1万円以下のケースでは、この保険を使うメリットがありません。
同社はこの「スマートフォン保険」導入の背景として、スマートフォン価格の値上がりにともなって、スマートフォンが破損・故障した際、新規購入ではなく修理を選択するケースが増えると予想。こうした場合に役立つサービスとして導入を決めたそうです。JCBカードユーザーの人は、いざという時のために覚えておいて損はないでしょう。
期間中に三菱UFJカード、MUFGカード、DCカード、NICOSカードの個人会員がエントリーのうえ、対象カードで買い物をすると50円以上の利用を1口として抽選を実施。「1回の買い物金額の20倍をキャッシュバック(上限10万円)」などの特典が当たります。
キャンペーン期間:開催中〜2023年3月31日
https://www2.cr.mufg.jp/newsplus/campaign/c01/20221003_1.html
期間中にキャンペーンに参加登録のうえ、対象ショップごとに「ポイントアップ登録」を行い、JCBオリジナルシリーズのクレジットカードでそのショップで買い物をすると、最大で21倍のポイントが付与されます。
キャンペーン期間:開催中〜2023年3月31日
https://original.jcb.co.jp/campaign/ospcp2210
期間中にエントリーのうえ、ビューカードを3万円以上利用すると、抽選で鉄道開業150周年記念の時計やオリジナルグラス、鉄道ステーショナリーセット、鉄道博物館入館チケットなどがプレゼントされます。
キャンペーン期間:開催中〜12月31日
https://www.jreast.co.jp/card/campaign/railway150th/
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