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JAL国内線運賃とマイルが来春大きく変わる。JALマイラー歴20年のライターはどう評価?

「運賃体系を3種類に集約」「特典航空券の予約変更が不可に」「ファーストクラスをマイルで予約可能に」――。
JAL国内線の運賃体系とマイレージプログラム(マイル)が2023年春から大きく変わります。運賃とマイルの小幅な変更はこれまでも行われてきましたが、JALおよびJALマイルを使って約20年にわたり各地を旅してきた筆者は、今回のリニューアルを「自分が見てきた中では最大級の変更」と、感じています。今回の変更はユーザーにどんな影響があり、それらは「改善」「改悪」「中立(どちらとも言えない)」のいずれと判断するのが妥当なのか。こうした点を説明していきたいと思います。

2023年4月12日搭乗分から、JALの運賃体系とマイレージプログラムが大きく変わります

2023年4月12日搭乗分から、JALの運賃体系とマイレージプログラムが大きく変わります

運賃体系4つの変更点

リニューアルが実施されるのは2023年4月12日搭乗分から。「国内線の運賃体系」と「JALマイルの利用方法」に大別されますが、まずは前者の4つの変更点について見ていきましょう。

【中立】
〈1〉9種類の運賃体系が3種類に集約されシンプルに

JAL国内線の主な運賃は現在、「ウルトラ先得」から「普通運賃」まで、予約期限に合わせて9種類。これが新運賃制度では、28日前までの予約が必要な「スペシャルセイバー」、1日前までに予約する「セイバー」、当日まで予約可能な「フレックス」の3種類に簡素化されます。

わかりやすくなったが、激安運賃は減る可能性あり

予約する際の運賃がシンプルになった点は、ユーザーにとってメリットと言えそうです。ただ、簡素化が即、価格面で不利になるわけではありませんが、75日前までの予約が必要な反面、かなり割安だった「ウルトラ先得」というカテゴリーがなくなったことで、最安価格はアップする可能性が高いと、筆者は見ています。

【中立】
〈2〉予約するタイミングに応じて運賃が変動

また、現状では各種「先得」や「特便」運賃については、予約時点における最終的な混み具合の予測値「予測残席数」によって運賃が変わる仕組みが採用されています(予約時点の予測残席数が多いほど割安になり、同じ運賃種別でも予約するタイミングで価格が変動)。しかし、「普通運賃」にはこの仕組みは適用されていません。しかし、変更後の「フレックス」(現状の「大人普通運賃」に該当)については価格変動制が適用され、予約時点の「予測残席数」に応じて運賃が変わります。同じ便の同じ運賃カテゴリーでも、「いつ予約するか」で運賃が変わってくるという点は覚えておきたいポイントです。

運賃変動のイメージ(JAL公式サイトより)

運賃変動のイメージ(JAL公式サイトより)

【改善】
〈3〉小児割引などの範囲が拡大、割安な運賃にも適用

現在ある「小児割引(小児普通運賃)」「障がい者割引」「介護帰省割引」「往復割引」といった各種割引は、「大人普通運賃」に対して、決められた利率を割引きする形が採られています。基準となるのが最も高い価格設定の「大人普通運賃」になるので、たとえ割引きが適用されても、早めの予約が可能ならば「スーパー先得」や「ウルトラ先得」のほうが安いというケースは少なくありません。新運賃制度では、予約するタイミングによって、「フレックス」に加え、「セイバー」「スペシャルセイバー」の運賃から一定割合がオフになります。

子連れ旅行は早期予約で、現状よりお得になる可能性あり

割引率は「小児割引」が25%オフ、「障がい者割引」が20%オフ、「介護帰省割引」が10%オフ。筆者が特に注目しているのが、12歳未満が対象の「小児割引」です。割引率は現状の50%から半減されるものの、元々の価格設定が割安な「スペシャルセイバー」にも25%オフが適用されます。たとえば、下記の図で示されているとおり、1日前まで予約可能な「セイバー」の運賃が20,000円なら「セイバー小児運賃」は15,000円、28日前まで予約可能な「スペシャルセイバー」の運賃が10,000円なら「スペシャルセイバー小児運賃」は7,500円となります。このように、早期に予約可能なら子連れ旅行は現状より、割安に利用できる可能性が高くなるでしょう。

新運賃では、「小児割引」などは「スペシャルセイバー」や「セイバー」にも適用されます(画像はプレスリリースより)

新運賃では、「小児割引」などは「スペシャルセイバー」や「セイバー」にも適用されます(画像はプレスリリースより)

【改善】
〈4〉新たな形の「乗継運賃」が導入、離島などへの旅行が割安に

今回のリニューアルの中で最も歓迎の声が大きいと筆者が感じているのが、新たな形の「乗継運賃」が導入されること。複数の路線を乗り継ぐと高額になりがちですが、今後は出発地から最終目的地までが1旅程とみなされ、直行便と同程度の価格を設定になるといいます。JALは公式サイトでひとつのケースとして、「大分→新千歳」に行く場合、現状の運賃では「大分→羽田=22,000円」+「羽田→新千歳=11,000円」の33,000円となるものが、新しく導入される「乗継運賃」では29,700円と割安な価格設定になると説明しています。

離島や、複数の空港を利用する遠方への旅行がこれまでより安くなるため、こうした地域に行く機会が多い方にとっては朗報。ただし、旅程内の一部を取り消し・変更・追加することはできず、いったんすべての行程をキャンセルして再予約する必要がある点は、要注意です。

新たな形の「乗継運賃」が導入されて、遠方や離島などへの空の旅が割安になることが期待されます(画像はJAL公式サイトより)

新たな形の「乗継運賃」が導入されて、遠方や離島などへの空の旅が割安になることが期待されます(画像はJAL公式サイトより)

マイル6つの変更点

次に、マイルに関する6つの変更点を見ていきましょう

【中立】
〈5〉必要マイル数が3から7つのゾーンに細分化

国内線特典航空券に交換する際に必要となる基本マイル数は現状、距離に応じてA区間(片道の必要マイル数:6,000マイル)、B区間(同7,500マイル)、C区間(同10,000マイル)の3つのゾーンに分かれます。それが、新運賃制度ではA〜Gの7つのゾーンに細分化されます。

必要マイルは増える区間あり、減る区間ありとまちまち

「羽田→新千歳」は現状の片道7,500マイルから8,000マイルに増えるいっぽうで、「羽田ー広島」は7,500マイルから7,000に減るなど、改善か改悪かは路線で異なり一概に言えません。ただ、筆者が気になったのは「羽田ー那覇」と「羽田ー奄美大島」。この2路線については、基本マイル数がそれぞれ片道7,500マイルから9,000マイルに大幅にアップしており、こうしたエリアによく行く人には残念な変更と言えるでしょう。

【中立】
〈6〉国内線でも、マイル追加で特典航空券の予約が可能に

基本マイル数で予約できる特典航空券に空きがない場合でも、マイルを追加することで予約が取れる「特典航空券PLUS」。国際線ではすでに導入されていますが、新たに国内線にも拡大され、足並みをそろえる形となります。必要な追加マイルは予測残席数に応じて変動する仕組みになっており、ゾーンごとに必要な最大マイル数は以下のとおりとなっています。

特典航空券を予約できる可能性がアップするいっぽうで、必要マイル数が増える可能性も

これにより、GWやお盆の沖縄旅行など予約開始後すぐに特典航空券の「空席なし」となっていた便でも、利用できる可能性が高まることが考えられます。

いっぽうで「これまでに比べて必要マイル数が大きくふくらむのでは」という声も聞かれます。たとえば、2022年10月下旬時点で、特典航空券に必要なマイル数を調べてみると、「羽田―那覇」は、2023年8月11日発(繁忙期)では29,500マイル、同年9月10日発(閑散期)は9,000マイル。「羽田―新千歳」は2023年8月11日発(繁忙期)では12,500マイル、同年9月10日発(閑散期)は8,000マイルとなりました。繁忙期の「羽田―那覇」で必要となる29,500マイルは海外旅行並みのマイル数となり、「マイルが大量にあまっている」という人以外はなかなか手が出ない状況です。

マイルを積み増せば、特典航空券を予約できる機会が増えるのはユーザーにとって利点になりそうないっぽうで、現状より必要マイル数が増える可能性も十分にあり、「中立」の判断としました。

【改悪】
〈7〉特典航空券の予約変更が不可に

変更するには、取消手数料1,000円を支払ったうえで再予約する必要

JALマイラーにとって最も衝撃的だったのが、特典航空券の変更ルールの改正。現状は、JALマイルと交換した特典航空券は、前日までの予約こそ必要でしたが、空席があれば日時の変更は無料で可能となっています。筆者も仕事の都合などで、特典航空券の変更をたびたび行ってきました。

しかし、2023年4月12日搭乗分からはこれができなくなります。変更したい場合はいったん取消手数料1,000円を支払ったうえで、再予約する必要があります(リニューアル発表当初は、取消手数料を3,100円としていたものの、その後1,000円に減額することを発表)。

特典航空券の大きな魅力である「無料で変更可能」というこの部分について、筆者はANAも追随する可能性があるのではと見てきました。しかし、ANAは2022年11月時点では、特典航空券の日時予約変更は変わらず無料でOKとしています(取消手数料は1名1区間あたり3,000円かかります)。

【改悪】
〈8〉家族や友人との旅行で人気の「おともdeマイル」が廃止

JALのお得な国内線料金プランとして人気のあった「おともdeマイル」。こちらは、ひとりがマイルで往復の特典航空券を取ると、同行者3名までが同区間を割引運賃で利用できるというサービスです。2023年1月20日の「羽田→新千歳」便(15:30発)で検索すると、「おともdeマイル」の運賃が13,940円と、「スーパー先特」の18,740円より安い価格設定で売り出されていました。

このように、家族や友人との旅行で非常に利用価値が高い「おともdeマイル」ですが、今回のリニューアルで完全廃止。類似の新サービスの予定もありません。ANAは家族・グループ旅行を対象にした割引きプラン「いっしょにマイル割」を引き続き実施しているので、愛用者の方はこちらの利用を考えてもよいかもしれません。

家族や友人との旅行で利用価値が高い「おともdeマイル」は廃止されます

家族や友人との旅行で利用価値が高い「おともdeマイル」は廃止されます

【改善】
〈9〉国内線ファーストクラスをマイルで予約可能に

JAL国内線では、「羽田­­―伊丹」「羽田­―新千歳」「羽田­―那覇」「伊丹­―那覇」など8路線でファーストクラスを導入しています。現状、マイルを使って利用するには、
(1)マイルを使って、普通席もしくはクラスJの特典航空券を予約
(2)出発当日にファーストクラスの空席があった場合に限り、空港でファーストクラス料金を支払う
という方法しかなく、マイルを使ってファーストクラスを事前に予約することはできませんでした。

しかし、新制度開始後にはマイルのみでファーストクラスを予約できるようになり、利便性がUPします。必要マイル数は路線や時期によって異なりますが、たとえば、「羽田―伊丹」は最低12,500マイルから(普通席の基本マイルは6,000マイル)、「羽田―新千歳」は最低16,000マイルから(同8,000マイル)、「羽田―那覇」は最低18,000マイルから(同9,000マイル)などと、普通席の2倍程度。時期とタイミングによっては比較的少ないマイル数でファーストクラスを利用できる可能性もあるので、予約の際には普通席と比較してみるのもおすすめです。

【改善】
〈10〉乗り継ぎ旅程用の必要マイル数が新設

新たな形の「乗継運賃」が導入されることは前述のとおりですが、マイルに関しても、乗り継ぎ旅程用の必要マイル数が新設されます。現状では、特典航空券で羽田から那覇を経由して与那国に行く場合、
・「羽田→那覇」:7,500マイル
・「那覇→与那国」:7,500マイル
と2区間で計15,000マイルが必要となります。

しかし、新マイレージ制度が始まると、6時間以内の乗り継ぎなら1区間分という扱いになり乗り継ぎに対応した必要マイルが新設されます。上記の「羽田→与那国」のケースでは、「10,000マイル〜」で特典航空券に交換可能で、必要マイル数が大幅に縮小されます。このように、離島への旅行や「札幌→東京→福岡」などと遠隔地への移動にJALの特典航空券を使う場合には、大きな改善点と言えるでしょう。

まとめ:リニューアル全体を評価すると?

2023年4月12日搭乗分から実施される、JAL国内線の運賃体系とマイルの変更点をまとめたのが下記の表になります。

2または3区間にわたる「乗継便」を使う際に割安な運賃、あるいはより少ないマイルで利用可能になったり、「小児割引」の適用範囲が拡大されたりするなどの改善点。いっぽうで、特典航空券の変更が不可となり、「おともdeマイル」が廃止になるという改悪点。今回のリニューアルの“損得”は、両者をどう評価するかで変わってくると思いますが、筆者にとっては「特典航空券の変更が不可」というインパクトが非常に大きく「全体的には使いづらくなった」というのが率直な印象です。

JALマイルの世界に残るのか、ANAへのくら替えか、はたまた両者と等距離で付き合うか……

では、「そうした感想を持つのであれば、マイルの貯め方を変えるのか」と尋ねられたら、「迷っている」というのが正直な回答です。

当然ながら、ANAマイラーへの“乗り換え”は頭をよぎります。ANAは現状では、引き続き特典航空券の日時変更は何度でも無料でOK。グループ旅行が割引きになる「いっしょにマイル割」も、これまでどおり継続される予定で、今回のJALのリニューアルで廃止となる部分をある程度補ってくれそうです。

ただ、筆者はクレジットカードのJALカードを使って、JALマイルを貯めていますが、カード利用でマイルが直接貯められるのはわかりやすく、メリットに感じています(ANAカードはカード会社のポイントからANAマイルへの移行が必要)。また、JALには、通常はマイルが減算される割引航空券やパッケージツアーの利用で100%のマイルがもらえるオプションサービス(追加年会費2,200円が必要)があり、これは結構な利点と感じています。

関連記事:「JALマイル」と「ANAマイル」。貯めやすく、使いやすいのはどっち?

いっそのこと頭を切り替えて、JALとANAいずれにも固定をせず、マイルを利活用していくという方向転換も選択のひとつ。たとえば、高還元カードで知られている「楽天カード」は100円ごとに1Pの楽天ポイントを貯められますが、楽天ポイントはJALとANAのマイルにいずれも2対1のレート(楽天ポイント2P→JAL、ANA1マイルの割合)で交換することができます。そのときの状況次第でJAL、ANAいずれのマイルに交換できるので臨機応変に対応できるという利点があります。

JALマイルの世界に残るのか、ANAへのくら替えか、はたまた両者と等距離で付き合っていくのか。長年貯め続けていたJALへの愛着もありまだ結論は出でいませんが、慎重に考えていきたいと思います。

渡辺裕希子

渡辺裕希子

編集者兼マイラー。JAL、ANAはもちろん、海外航空会社のマイレージにも詳しく、仕事の合間を縫って旅を楽しむ。ポイント、マイルの交換などカードの裏技にも精通。

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