クレジットカード、電子マネー、QRコード決済……。めまぐるしく変化するキャッシュレス決済の動向をコンパクトに伝える連載「おトクの真相! 月刊キャッシュレス展望」。最近のキャッシュレス関連のニュースから、マネー編集部員やマネー担当ライターが気になったニュースをピックアップしてお届けします。記事内や記事の最後には、記事公開時点で参加可能なキャンペーン情報も掲載していますので、こちらもぜひチェックを。
今回は、ふるさと納税の返礼品の新しい形として注目されている「旅先納税」の話題を中心にお伝えします。
ふるさと納税の返礼品のひとつとして、スマホでの寄付後にその土地の加盟店での支払いに使える電子クーポンが即時に発行される「旅先納税」が注目されています。12月より「旅先納税」を導入した秋田県仙北市を例に、その仕組みを解説します(写真は角館の武家屋敷・仙北市)。このほか、PayPayから新たに発行が始まった「PayPayカードゴールド」や、三井住友銀行アプリの10万円までの送金手数料無料化の話題などをお伝えします
2022年も残すところあとわずか。今年のふるさと納税の期限も12月31日に迫っています。ふるさと納税といえば、肉、海産物、農産物など、地域の特産品が返礼品としてもらえることをイメージする人が多いと思います。しかし最近は、そのイメージを変える返礼品も増えてきました。そのひとつが「旅先納税」です。
「旅先納税」は、電子ギフト事業を手がける株式会社ギフティ(以下、ギフティ)が開発したサービスです。旅行や出張などでその土地を訪れる人を利用者として想定し、利用者がスマホでその自治体にふるさと納税(寄付)を行うと、返礼品の電子クーポンがスマホ上で即時に発行され、その自治体の加盟店での買い物にすぐに使えるようになる仕組みです。
秋田県仙北市が、ふるさと納税の返礼品のひとつとして12月より始めた「旅先納税」(画像はギフティのプレスリリースより)
この仕組みを2022年12月より導入したのが秋田県仙北市です。利用者がスマホの専用サイトを通じて「5,000円〜100万円」の8段階から寄付額を選びクレジットカードで決済すると、返礼品として寄付額の3割相当(1,500円〜30万円まで全8券種)の電子クーポン「せんぼくe街ギフト」がスマホ上で発行されます。
「せんぼくe街ギフト」は、仙北市内の飲食店・宿泊施設・土産物店などの加盟店30店舗(2022年12月1日時点)で会計時に1円単位で利用可能。決済方法は加盟店によって2種類あり、利用者が店舗に設置された2次元コードをスマホで読み取って金額を入力して支払う方法や、あらかじめスマホ上で利用者が利用金額を指定して画面に表示させ、加盟店側が受領時に電子スタンプを押印して支払う方法があります。
「せんぼくe街ギフト」の決済方法は、2次元コードを使う方法(上)と電子スタンプを使う方法(下)の2種類。加盟店によってどちらかの決済方法で支払います(画像はギフティのプレスリリースより)
「せんぼくe街ギフト」は、寄付した日の180日後まで使えるので、寄付する時点で仙北市を訪れている人のみならず、今後訪れる予定がある人にとっても検討する価値のある返礼品と言えます。同市はこれまでも、複数のふるさと納税サイトを通じて、米や稲庭うどんなどの食品を返礼品として用意してきました。これに「旅先納税」を加えることで訪れる人を増やし、市内の経済活性化につなげる狙いです。
ギフティの公式サイトによると、2019年11月の岡山県瀬戸内市を皮切りに、現在全国23の自治体がふるさと納税の返礼品として「旅先納税」を採用しています(2022年12月時点・下記スペックボックス参照)。ギフティは2022年11月に「旅先納税」のさらなる採用拡大を目的として日本航空(JAL)との業務提携契約を発表。両社が協力して「旅先納税」の利用可能先を拡大し、あわせてメリットや利便性のプロモーションにも力を入れていくことを明らかにしており、今後、「旅先納税」の採用自治体が増えていく可能性もあります。
「旅先納税」ができる自治体一覧(2022年12月時点)
■北海道
厚沢部町、天塩町、倶知安町、猿払村、白老町、積丹町、伊達市、千歳市、利尻富士町
■秋田県
男鹿市、仙北市
■山梨県
笛吹市
■石川県
加賀市
■京都府
綾部市、伊根町、京丹後市、福知山市、舞鶴市、宮津市、与謝野町
■和歌山県
白浜町
■岡山県
瀬戸内市
■沖縄県
南城市
※出典 https://portal.tabisaki.gift/?section=search
記事冒頭で触れたとおり、これまでふるさと納税の返礼品は地域の特産品や農産物などがメインでした。したがって、これらを扱う事業者しか商品を納入することができず、地域への経済波及効果の偏りが指摘されるケースもありました。しかし「旅先納税」であれば、飲食店や観光施設など幅広い業種への経済効果の広がりも期待できます。
また利用者側にも、これまでは返礼品の良し悪しで寄付先の自治体を選ぶ傾向があり、ふるさと納税本来の目的である「応援したい自治体に寄付をすること」と実態がややずれていた面は否めません。その点、魅力を感じて訪れた土地、あるいは今後訪れる予定のある土地に対して顔の見える支援が行える「旅先納税」は、ふるさと納税本来の目的を思い起こさせてくれる存在と言えるのかもしれません。
なにより、旅先で思い立った時に寄付ができ、その土地で使える電子クーポンがすぐにもらえるという仕組みは、ユーザーが得られる体験としてもなかなかすぐれていると感じさせます。今後、ふるさと納税の返礼品の一形態として伸びていくのか注目です。
PayPayカード株式会社(以下、PayPayカード)は、新しいクレジットカード「PayPayカードゴールド」の新規会員募集を、2022年11月24日より開始しました。
「PayPayカード ゴールド」の券面はナンバーレス仕様。国際ブランドはJCB、Visa、Mastercardに対応しています(画像はPayPayカードのプレスリリースより)
今回発行が始まった「PayPayカード ゴールド」の年会費は11,000円。すでに同社が発行している年会費無料の「PayPayカード」の上位カードという位置付けになります。通常利用時のポイント還元率は「1.5%」(「PayPayカード」は1%)。「PayPayあと払い」で本カードを利用する場合は、利用特典として「0.5%」が「PayPay」の還元率に上乗せされ、最大で「2%」還元となります(※)。
※「PayPay」の還元率が12月より変更
「PayPay」の還元率はユーザーの利用状況で「0.5〜1.5%」で変動。2022年12月より、この変動ルールが変更となっており(「0.5〜1.5%」の変動幅は変わらず)、「PayPay残高払い」の場合は「0.5%」還元、「PayPayあと払い」の場合は「1%」還元です。これらに、前月の「PayPay」または「PayPayカード」での300円以上の決済を30回以上かつ合計10万円以上利用することで「0.5%」還元が上乗せされます。「PayPayカード ゴールド」の利用特典は「PayPayあと払い」にのみ上乗せされる形となり、理論上「最大2%」還元となります。
また、ソフトバンクやワイモバイルのユーザーに対しては、毎月の通信料などの支払いに本カードを使うことで、より多くのポイントが貯まります。ソフトバンク通信料や「SoftBank 光」、「SoftBank Air」での利用に対しては利用料の「最大10%」のポイントを還元。ワイモバイルの通信料での利用に対しては「最大3%」還元です。
このほか、ゴールドカードとしては一般的な、国内主要空港のラウンジの利用特典や、旅行損害保険(国内・最高5,000万円、海外・最高1億円)、最大300万円のショッピング保険も付帯しています。
「PayPayカード ゴールド」の「年会費11,000円」は、ドコモの「dカードGOLD」、auの「au PAYゴールドカード」といった、キャリア系スマホ決済サービスと関係の深い同クラスのカードと同じ額です。また、カードと同系列のスマホ料金などの支払いに対して10%程度のポイントを還元する特徴も似ており、これらライバルカードの存在を強く意識していることがうかがえます。
現在、「PayPayポイント」、「dポイント」(ドコモ)、「Ponta」(au)に楽天の「楽天ポイント」を加えた4つが主要なポイントサービスと見られており、各ポイントとも自社の“経済圏”へのユーザーの囲い込みにやっきになっています。「PayPayカードゴールド」の登場も、この流れに関連した動きとしてとらえることができそうです。
三井住友銀行の「三井住友銀行アプリ」が12月にアップデートされ、株式会社ことらが提供している「ことら送金」というサービスに対応しました。これにより、「ことら送金」に対応した金融機関の口座宛てであれば、「個人宛て、1回あたり10万円以下の送金」を、手数料無料で行うことが可能となりました。
三井住友銀行アプリから「ことら送金」が利用可能に(三井住友銀行公式サイトより)
「ことら送金」は、2022年10月にスタートした、スマホアプリを利用した新しい送金サービスです。同サービスに対応する金融機関同士であれば、1回あたり10万円以下の送金が手数料無料で行えます。また、相手の口座番号がわからなくても、受け取る側が事前に設定をしておくことでメールアドレスや携帯電話番号宛てに送金できる機能があり、受け取る側が口座番号を明らかにしたくない場合や、外出先で口座番号がわからない場合などでも送金することができます。
「ことら送金」には、都市銀行4行を含め現在31の金融機関が参加しており、将来的にはこの数が50以上に増える予定です。
ことら送金に参加している金融機関(2022年11月24日時点)
足利銀行、関西みらい銀行、北九州銀行、京都銀行、きらぼし銀行、熊本銀行、埼玉りそな銀行、佐賀銀行、山陰合同銀行、静岡銀行、七十七銀行、十八親和銀行、十六銀行、常陽銀行、千葉銀行、南都銀行、西日本シティ銀行、百五銀行、広島銀行、福岡銀行、北陸銀行、北海道銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みなと銀行、もみじ銀行、山口銀行、山梨中央銀行、横浜銀行、りそな銀行
「ことら送金」には固有のアプリはなく、送金する側のユーザー側が別途「J-Coin Pay」や「Bank Pay」などの送金アプリを使う必要があります(受け取る側は対応する金融機関の口座があればOK)。送金アプリへの対応状況は各金融機関によって異なり、たとえば三菱UFJ銀行やりそな銀行の場合は「Bank Pay」のみ、みずほ銀行は「J-Coin Pay」と「Bank Pay」といった具合です。
三井住友銀行もこれまでは「Bank Pay」でのみ同サービスに対応していました。今回のアップデートにより、自社のアプリでも利用可能になったことで、同行ユーザーが「ことら送金」を使いやすくなったことは間違いないでしょう。また「ことら送金」側にとっても、主要銀行のアプリに実装されることで、知名度アップにつながるメリットがありそうです。
2022年12月1日時点で「ことら送金」で利用可能な送金アプリ(各アプリへの対応状況は金融機関によって異なる)
ウォレットプラス
京銀アプリ
こいPay(広島銀行)
J-Coin Pay
西日本シティ銀行アプリ
はまPay(横浜銀行)
Bank Pay
三井住友銀行アプリ
YOKA!Pay(熊本銀行)
YOKA!Pay(十八親和銀行)
YOKA!Pay(福岡銀行)
三井住友カードは2023年2月28日(火)まで、1万円以上の利用でVポイントを獲得できるキャンペーン「Vポイント祭」を実施中です。期間中にエントリーのうえ、対象カードで各月に1万円以上利用すると、10円分のVポイントを毎月獲得できます。また抽選で、各月5,000名に1,000円分のVポイント、各月50,000名に100円分のVポイントが当たるほか、「Vpassアプリ」にログインすると各月500名に5,000円分のVポイントが当たるチャンスもあります。
※「Vpassアプリへのログインで各月500名に5,000円分」の特典は、「月1万円以上利用で毎月10名に100,000円分のVポイントをプレゼント」の当選者は対象外。
キャンペーン期間:開催中〜2023年2月28日
https://www.smbc-card.com/camp/00067/index.html
ビューカードは、2023年3月31日(金)まで、JCBブランドのカードを3万円以上利用すると最大10万円相当のJRE POINTなどが当たるキャンペーンを実施しています。期間中、エントリーのうえ3万円以上同カードを利用すると、10万ポイントのJRE POINTが15名、「メムズ東京 オートグラフ コレクション」のペア宿泊券が15組30名、「ダイニング&バー テンクウ フレンチディナーコース招待券」が50組100名に当たります。なお、期間中の利用金額が10万円以上の場合は当選確率が10倍、50万円以上の利用の場合は当選確率が50倍となり、はずれた場合でも、JRE POINTが1,000名に1,000ポイント当たるダブルチャンスも用意されています。
キャンペーン期間:開催中〜2023年2月28日
https://www.jreast.co.jp/card/campaign/jcb/
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