マイナンバーカードを取得した人に最大20,000円相当のポイントが還元される国の「マイナポイント事業第2弾」。ポイント申込期限は2023年9月末と、いよいよ残り1か月足らずとなってきました。事業を管轄する松本剛明総務大臣の会見(8月25日)によると、これまでにポイントの申し込みを完了した人が7000万人超にのぼるいっぽうで、取得期限だった2023年2月末までにカードの取得申請した人のうち、約2000万人は「未了」とのことです。
マイナポイントの各種期限はこれまで何度か延長されてきましたが、「これ以上の延長は制度上できない」(松本総務大臣)というのが国の方針。そこで本記事では、「カード取得申請は済ませたけれど、ポイント申し込みはまだ」という方のために、スムーズに作業を進めるための要点や注意点をまとめました。なお、マイナポイントの還元を受けるためには、マイナンバーカードの取得申請を2023年2月末までに済ませておくことが条件となっています。3月以降に申請した場合、すでにカードが手元にあったとしても、ポイント付与の対象外となる点は注意しましょう。
マイナポイント第2弾の申込期限まで1か月を切りました
「マイナポイント事業」はマイナンバーカード普及とキャッシュレス決済の拡大を目的に、国が始めたポイント還元制度です。5,000円相当が還元された第1弾は2020年9月から2021年12月まで実施され、第2弾は2022年6月末に本格スタートしました。デジタル庁によると、マイナンバーカードの累計申請件数は2023年8月20日時点で約9777万件で、人口に対する割合は78%になったといいます。
マイナポイント事業第2弾の施策は下表のとおり3つに分かれており、すべての手続きを完了することで合計20,000円分のポイントが還元されます。
ひとつ目の還元は第1弾と同じ内容です。
1.マイナンバーカードを新規取得
2.マイナポイントの申し込み(マイナンバーカードとキャッシュレス決済のひも付け)
3.決済サービスを使って買い物、あるいはチャージ
という3つのステップを経て、利用額の25%、最大5,000円相当が還元される仕組みです(付与のタイミングは決済サービスで異なります)。
対象の決済サービスは2023年8月31日時点で約90あり、「楽天カード」「イオンカード」「JCB」などのクレジットカード、「Suica」「WAON」などの電子マネー、「PayPay」「楽天ペイ」などのQRコード決済、そしてプリペイドカードとデビットカードも登録されています。
必要となるのが「買い物」なのか「チャージ」なのかは、決済サービスで異なります。また、「マイナポイント」という名称のポイントが還元されるわけではなく、付与されるのは自分が選んだ決済サービスのポイントで、たとえば「PayPay」であれば「PayPayポイント」、「Suica」であれば「JREポイント」が還元されます。
参考HP:「マイナポイント第2弾 現在受付可能な決済サービス」
2021年から、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようになりましたが、これにはオンライン上の行政窓口「マイナポータル」などで登録手続きが必要になります(マイナポイントの申込みの際に同時に申込可能)。この手続きを完了したうえで、ポイント申請を済ませたユーザーに対し、7,500円相当のポイントが還元されます。こちらは〈施策1〉と異なり、買い物やチャージをせずとも、ポイント申し込みを完了すれば、一定期間後にポイントが付与されます(付与のタイミングは決済サービスで異なります)。
3つ目の還元策が「公金受取口座」として、自身の銀行口座を国(デジタル庁)に「マイナポータル」から登録し、ポイント申し込みをすると、7,500円相当のポイントが還元されるという内容。こちらも、買い物やチャージは必要なく、申込後、一定期間後に付与されます。
参考HP:「公金受取口座の登録について」
〈公金受取口座〉
給付金などの受け取りのための口座として、自身の銀行口座をあらかめ登録しておく、2022年3月に始まった制度。デジタル庁の公式サイトによると、公金受取口座を登録しておくと、給付金申請の際に口座情報や通帳の写しの提出などの手続きが省略できるとのことです。
3施策に分かれているマイナポイント第2弾
マイナポイント第2弾で、まだ20,000円相当のポイント還元を受けていないという場合、3つのパターンが考えられます。それぞれのステップでやるべきことを説明していきます。
2023年2月末までにマイナンバーカードの取得申請はしたけれど、手元にないという場合、早めに受取手続きを進めていきましょう。カード取得申請を済ませると、1か月ほどで自宅に交付通知書が届きますが、これと本人確認書類を持参し、通知書記載の交付場所(市区町村の窓口など)に受け取りに行きましょう。
混雑緩和のため、受け取りに予約が必要な自治体もあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。なお、交付通知書を紛失した場合でも、運転免許証などの顔写真付きを含む2種類の本人確認書類があれば、マイナンバーカードの受け取りは可能です。
マイナンバーカードを受け取り済みで手元にある場合、続いてやるべきはマイナポイントの申込作業です。申し込みは、
・スマホやパソコンといった自身の端末
・公共施設などに設置された支援端末
という2つの方法があります。
スマホで作業を進める際は、下記の動画や記事で説明しているほか、公式サイトでも解説しているので参考にしてみてください。
参考HP:「マイナポイントの申込方法」
支援端末は市区町村の窓口に加え、郵便局や大手スーパー、携帯ショップなどにも置かれ、そこで手続きを行うことができます。下記の公式サイトでは、市区町村ごとに設置場所が検索可能です。ただし、一部の市区町村を除き「公金受取口座の登録」は支援端末ではできないため、自身の端末で行う必要があります。
参考HP:「支援端末のスポット検索」
いずれの申込方法でも、以下の4点が必要になるので準備しておきましょう。
・取得したマイナンバーカード
・マイナンバーカードの「利用者証明用電子証明書」の4ケタのパスワード
・対象決済サービスのID
・対象決済サービスのセキュリティコード
マイナポイントの申し込みを済ませれば、「完了」ではありません。前述のとおり「施策2」と「施策3」に関しては、 健康保険証としての利用申し込みと公金受取口座の登録を行い、ポイントの申し込みをすれば付与されますが、「施策1」に関しては申込後、「選んだ決済サービスを使った買い物、あるいはチャージ」と、もうワンステップ踏む必要があります。忘れずに、これらの作業を期限内(基本的に9月30日ですが、後述するように早めに締め切る決済サービスもあります)に済ませておきましょう。
続いては、期限残り1か月を切ったこの段階で、マイナポイント第2弾の申し込みをする際に注意しておきたいポイントも説明していきます。
事業としてのマイナポイント申込期限は9月末ですが、それより早く締め切る決済サービスも少なくありません。主要な決済サービスの期限などを下表にまとめました。楽天Edyは「申込期限は9月12日、チャージ期限日は9月24日」、JCBは「申込期限は9月20日、決済期限日は9月30日」、PayPayやau PAYは「申込期限は9月29日、決済・チャージ期限日は9月30日」としています。下記の公式サイトも参考に、自身が希望する決済サービスの申し込みと決済・チャージの期限はチェックしておくようにしておきましょう。
参考HP:「マイナポイント第2弾」決済サービス⼀覧
マイナポイント第2弾公式サイトの情報を基に編集部作成
決済サービスによっては、ポイント申し込み前の事前登録が必要になります。たとえば、Suicaの場合、「JRE POINTWEBサイト」にSuicaの登録が、JCBのクレジットカードでは、会員専用サイト「MyJCB」に登録し「決済サービスID」と「セキュリティコード」を発行しておく必要があります。下記の公式サイトには事前登録が必要な決済サービスとその方法が掲載されているので、チェックしてみてください。
参考HP:「事前登録が必要な決済サービス⼀覧」
申し込みを済ませ、買い物・チャージ後、自動的にポイントは付与されず、受取手続きが必要な決済サービスがある点も注意したいところです。たとえば、WAONはイオンなどに置かれたWAONステーションなどで、楽天Edyはアプリやファミリーマートに設置のマルチコピー機などでの受け取りが必要になります。
WAONや楽天Edy、nanacoなどはポイントの受取手続きも必要となります
決済サービスは1度申し込むと基本的に変更不可。申込期限が迫ってきてはいるものの、ここの選択は慎重に進めたいものです。この事業で還元されるのは現金ではなく、あくまで各決済サービスのポイント。還元後、自分にとって使いやすい(日常使いしている)ポイントを選ぶのがよさそうです。
付与されるタイミングも「即時・数日後」から「数か月後」までサービスによって結構な違いがあり、クレジットカードや電子マネーなどと比べると、PayPayやau PAYなどのQRコード決済のほうがポイント付与のタイミングが早い傾向があります。これらの点を踏まえて、自身にとってメリットの大きい決済サービスを比較・検討してみてください。
カード受け取りの際に窓口で、「利用者証明用電子証明書」の数字4ケタのパスワードを設定しますが、これをメモするなどして記録する作業は必ずやっておきましょう(英数字6文字〜16文字で設定する「署名用電子証明書」のパスワードも、e-TAXなどで使うことがあるのでメモしておきましょう)。
というのも、取得後に行うポイント申請の際にこのパスワードが必要となり、3回間違えて入力するとロックがかけられてしまい、その解除には役所の窓口に行く必要があるからです。申込期限が残り1か月を切った段階でのこの時間のロスは、「タイムオーバー」にもつながりかねないので、注意しましょう。
決済サービスのID、セキュリティコードは申込時の必須項目ですが、ネット上ではこれの確認に手間取ったなどの声もあがっています。この理由として、「ID・セキュリティコード」の記載場所がサービスごとに異なり、そもそも名称も微妙に異なることなどが考えられます。下記のマイナポイント公式サイトに、サービスごとの確認方法が記載されているので、事前に見ておくと安心でしょう。
参考HP:「決済サービスID・セキュリティコードの確認方法」
決済サービスID・セキュリティコードはつまずきがちな点なので、要確認です
15歳未満の子どもの申し込みについては、本人による手続きが難しいときには、親などの法定代理人が手続きを行うことができます。この場合、親名義のキャッシュレス決済サービスをひも付けることも可能です。ただ、ひとつの決済サービスにひも付けられるマイナンバーはひとつのみ。たとえば、父親が自分のSuicaでマイナポイントを申し込んだ後、同じSuicaを使って子どものマイナポイントを申し込むことはできません、このケースで言えば、子ども用の別のSuica、もしくは違う決済サービスを用意しておく必要があります。
以上、申込期限が2023年9月末に迫っているマイナポイント第2弾の申請方法や注意点を説明してきました。
マイナンバーカードの取得申請を2023年2月末までに済ませている場合、20,000円相当のポイント還元を受けるためにやるべき作業は
〈1〉マイナンバーカードの受け取り
〈2〉マイナポイントの申し込み
〈3〉申し込んだ決済サービスを使った買い物、もしくはチャージ
となります。
カード取得申請の期限だった2月末には、各地の市区町村の窓口がかなり混み合ったというニュースが伝えられましたが、今回も同様の事態が起こる可能性はあるでしょう。そのため「〈1〉」がお済みでない場合、急いでカードの受け取り作業を進めたほうがよさそうです。「〈2〉」に関しては、つまずきがちなポイントがいくつかありますので、この記事や公式サイトを確認しつつ、進めていきましょう。そして、「〈2〉」を終えて完了ではないので、「〈3〉」についても忘れずに行う必要があります。また、決済サービスによっては9月末より早く申込期限を設定しているケースもあるので、公式サイト内の各サービス詳細ページでこれらの点もチェックしておくとよいでしょう。
投資・資産運用・保険・クレジットカード・ローン・節約に至るまで、マネーに関する情報を毎日収集。「知らないで損するなんてもったいない」をモットーに、読者のためになる記事を制作します!