格安SIMの通信速度を徹底調査
上り通信速度の減速が続く(佐久平のみでの調査)

【2021年9月】格安SIM人気12回線の通信速度を比較 速い/遅いMVNOは?

大手携帯キャリアと比べて毎月のスマホ料金が安い格安SIM。料金が安いのはうれしいが、肝心の通信速度は遅いと言われている。実際のところはどうなのかを探るべく、人気12回線の通信速度を調査。東京2020パラリンピック開催中の2021年9月2日に実施した今回は、これまで比較的安定していた上り通信速度が今年に入って減速している様子が浮かび上がってきた。

2021年9月の調査は2021年9月2日に実施。調査場所は長野県佐久市の佐久平駅周辺

2021年9月の調査は2021年9月2日に実施。調査場所は長野県佐久市の佐久平駅周辺

1.【はじめに】通信速度の調査方法

格安SIMは、時間帯や場所によって通信速度が遅くなりがちだ。たとえば、休憩時間にあたる平日昼の12時台や、プライベートでの通信が増える夕方から深夜、都市部のターミナル駅周辺のように人口が極端に集中する場所においては、通信が混雑して回線速度が低下しやすい。ただ、その度合いは通信会社ごとに異なっており、重要な比較要素のひとつと言える。

本調査では、人口密度の高い地域に東京都千代田区の東京駅周辺、対照となる低い地域に長野県佐久市の佐久平駅周辺を選定。通信が集中する12時台と18時台、そして比較的通信が少ない14時台において、MVNO各社12種類の格安SIMの通信速度を調査している。

ただし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況を考慮し、今回も2020年3月から引き続いて筆者の居住地である長野県佐久市の佐久平駅周辺のみで調査した。調査日は9月2日(木)。測定に用いた端末は従来通りファーウェイの「P10 lite」だ。

調査方法は以下のように「スピードテストアプリ」と「Playストアからのアプリダウンロード」の2通りを実施した。

【調査方法1】
スピードテストアプリ「Speedtest - インターネット速度」(Ookla)を用いて、各地点・各時間帯で5回測定した上り/下り通信速度の平均値を算出した。測定エラーは回数に含めず、正常に測定できた結果のみを採用している。

【調査方法2】
実際の体感速度に近い状況として、アプリのダウンロード時における通信速度を測定。「通信速度モニター」(Lufesu Inc.)による通信速度を表示した状態でPlayストアからアプリをダウンロードし、その間の速度推移をP10 liteの動画スクリーンショット機能で記録。測定終了後に動画を確認し、ダウンロード中の下り平均速度を算出した。限られた時間内で測定を行うために、開始から1分が経過した時点でもアプリのダウンロードが終わらない場合はインストールを中断し、その時点までの平均速度を求めている。

なお、調査の対象となる格安SIMは、以下の12種類だ。

●調査した12種類(10社)の格安SIM
ワイモバイル
UQ mobile
mineo(Aプラン)
IIJmio(みおふぉん)モバイルサービス(タイプD)
BIGLOBEモバイル(タイプD)
OCNモバイルONE(新コース)
イオンモバイル(ドコモ回線)
・LinksMate
NifMo
日本通信SIM
y.u mobile
QTmobile(Dタイプ)

2.速度が遅くなりやすい昼休み、12時台の測定結果は?

調査結果を詳しく見ていこう。まずは休憩中のユーザーが利用することで混雑しやすい12時台の結果からだ。

佐久平駅周辺における12時台の測定結果(2021年9月2日実施。単位はMbps、以下同様)

佐久平駅周辺における12時台の測定結果(2021年9月2日実施。単位はMbps、以下同様)

スピードテストアプリの全体の平均は下りが12.20Mbps(先月は11.55Mbps)、上りが4.13Mbps(同6.82Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルの69.46Mbpsが一番速く、これにmineo(Aプラン)の23.74Mbps、UQ mobileの21.12Mbpsが続く。上り通信速度はワイモバイルの13.02Mbps、mineo(Aプラン)の10.19Mbps、UQ mobileの9.67Mbpsが速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が4.39Mbps(同3.74Mbps)だ。回線別に見てみると、ワイモバイルの15.33Mbps、mineo(Aプラン)の11.02Mbps、UQ mobileの9.90Mbpsの順に速かった。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(12時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:69.46Mbps
2位 mineo(Aプラン):23.74Mbps
3位 UQ mobile:21.12Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:15.33Mbps
2位 mineo(Aプラン):11.02Mbps
3位 UQ mobile:9.90Mbps

3.比較的速度が期待できる14時台の測定結果は?

次は休憩時間が明けてスマートフォンの利用も落ち着き、速度も回復してくる14時台の結果を見てみよう。

佐久平駅周辺における14時台の測定結果(2021年9月2日実施)

佐久平駅周辺における14時台の測定結果(2021年9月2日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は、下りが10.44Mbps(先月は13.77Mbps)、上りが4.45Mbps(同5.67Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルの32.00Mbps、UQ mobileの21.46Mbps、mineo(Aプラン)の20.34Mbpsの順に速い。上り通信速度はワイモバイルの10.95Mbps、UQ mobileの8.89Mbpsが速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が6.35Mbps(同6.96Mbps)だ。回線別に見てみると、ワイモバイルの17.88Mbpsが最も速く、UQ mobileの10.95Mbps、mineo(Aプラン)の9.64Mbpsがこれに続いた。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(14時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:32.00Mbps
2位 UQ mobile:21.46Mbps
3位 mineo(Aプラン):20.34Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:17.88Mbps
2位 UQ mobile:10.95Mbps
3位 mineo(Aプラン):9.64Mbps

4.帰宅時間帯の18時台の測定結果は?

最後は、会社や学校が終わり再び通信が混雑し始める18時台の結果だ。

佐久平駅周辺における18時台の測定結果(2021年9月2日実施)

佐久平駅周辺における18時台の測定結果(2021年9月2日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は、下りが8.78Mbps(先月は11.88Mbps)、上りが5.03Mbps(同5.22Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はmineo(Aプラン)の22.04Mbps、UQ mobileの13.98Mbps、LinksMateの10.83Mbps、日本通信SIMの10.36Mbpsが速く、ワイモバイルは4.32Mbpsに留まった。上り通信速度はUQ mobileの15.07Mbpsが最も速い。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が5.08Mbps(同5.53Mbps)だ。回線別に見てみると、mineo(Aプラン)の12.23Mbpsが一番速く、UQ mobileの9.16Mbps、IIJmio(みおふぉん)の6.63Mbps、y.u mobileの6.37Mbps、イオンモバイルの6.25Mbpsがこれに続く。ワイモバイルは2.24Mbpsだった。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(18時台/佐久平駅周辺)
1位 mineo(Aプラン):22.04Mbps
2位 UQ mobile:13.98Mbps
3位 LinksMate:10.83Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台/佐久平駅周辺)
1位 mineo(Aプラン):12.23Mbps
2位 UQ mobile:9.16Mbps
3位 IIJmio(みおふぉん):6.63Mbps

5.すべての時間帯における総合結果は?

それでは、すべての時間帯における平均速度をもとにランキングを求めてみよう。東京駅周辺での欠測が続いているため、今回も佐久平駅周辺の調査結果のみを対象としたランキングとなる。なお、参考として前回(2021年8月)および前々回(2021年7月)の調査結果も併記している。

まずはスピードテストアプリの下り通信速度からだ。

スピードテストアプリの下り通信速度ランキング

スピードテストアプリの下り通信速度ランキング

今回の1位はワイモバイルの35.26Mbps(前回は52.61Mbps)、2位はmineo(Aプラン)の22.04Mbps(同17.20Mbps)、3位はUQ mobileの18.85Mbps(同19.99Mbps)だった。

mineo(Aプラン)は前回から3割近く増速したが、UQ mobileはやや減速、ワイモバイルは3割以上減速している。12回線全体の平均速度は10.47Mbps(同12.40Mbps)だった。

次は、スピードテストアプリの上り通信速度の結果だ。

スピードテストアプリの上り通信速度ランキング

スピードテストアプリの上り通信速度ランキング

1位はUQ mobileの11.21Mbps(前回は13.58Mbps)、2位はワイモバイルの10.41Mbps(同16.52Mbps)、3位はmineo(Aプラン)の7.90Mbps(同9.83Mbps)だった。

1位〜3位の顔ぶれは前回と同じだが、いずれも前回から減速している。12回線全体の平均速度は4.54Mbps(同5.90Mbps)で、直近の1年間では最も遅かった。

最後は、Playストアからのアプリダウンロード速度の結果だ。

アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング

アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング

1位はワイモバイルの11.81Mbps(前回は17.34Mbps)、2位はmineo(Aプラン)の10.96Mbps(同11.25Mbps)、3位はUQ mobileの10.00Mbps(同8.06Mbps)だった。

1位〜3位までの顔ぶれと順位は前回と同じだが、UQ mobileが増速しているのに対し、ワイモバイルとmineo(Aプラン)はどちらも減速している。12回線全体の平均は5.27Mbps(同5.41Mbps)だった。

6.【さいごに】今回の結果まとめ

今回2021年9月の調査では、スピードテストアプリの上り・下り平均速度および実際の利用環境の一例として調査しているPlayストアからのアプリダウンロード平均速度の3項目が、いずれも前回の8月と比べて1〜2割ほど遅くなった。

前回は上記の3項目すべてが前々回の7月と比べて増速したものの、今回はスピードテストアプリの上り・下り平均速度が前々回よりも遅かった。春以降の結果を見ると、アプリダウンロードの平均速度はほぼ横ばいで推移しているものの、スピードテストアプリの上り・下り平均速度は緩やかな増速から減速に転じつつある様子が見受けられる。

少し気になるのはスピードテストアプリの上り平均速度だ。以下のグラフは2020年8月以降の12回線全体の平均速度推移(佐久平駅周辺のみ)を示したものだが、途中で調査対象の回線やスピードテストアプリの変更を行っているので単純な比較はできないものの、2021年の年明けから全体的に減速し続けていることがわかる。

さらに過去の調査結果を振り返ってみても、上り通信速度は毎月の振れ幅が小さく比較的安定して推移しており、今年に入ってからの減速はやや目立つ印象だ。新型コロナウイルス感染症の流行にともなう生活様式の変化(リモートワークの導入やコミュニケーションツールの活用など)が上りのトラフィックを増加させている可能性もあり、今後の推移に注目したい。

12回線全体の平均速度推移(2020年7月以降、佐久平駅周辺のみ。2021年4月からスピードテストアプリを変更していることに留意)

12回線全体の平均速度推移(2020年7月以降、佐久平駅周辺のみ。2021年4月からスピードテストアプリを変更していることに留意)

次回の調査は2021年10月上旬を予定している。例年9月に実施されている「iPhone」の新型モデル発表後となる次回の結果にも注目したい。

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

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