レビュー
ダブルレンズカメラやクアッドDACに加え、最高レベルの処理性能を搭載

LG「isai V30+ LGV35」1週間使用レポート

auの冬スマホである「isai V30+ LGV35」(LG製)が、2017年12月22日に発売される。魅力あふれるハイエンドモデルの実力を、製品版に限りなく近い試作機を1週間使って検証してみた。
※今回の検証機は、ほぼ製品版と同等ですが、仕様の一部が製品版と異なる場合があります。

前モデル「isai Beat」から、オーディオ専用機並みの高音質やダブルレンズカメラを受け継ぎつつ、有機ELディスプレイを備えた大画面モデルへ生まれ変わった「isai V30+ LGV35」

「isai」の名前は付くものの、実質はLGのハイエンドモデル「V30+」のau版

「isai V30+ LGV35」(以下、isai V30+)は、auスマホのサブブランドである「isai」シリーズの最新モデルだ。isaiシリーズは、独自のユーザーインターフェイスを備え、使いやすさにこだわった高性能モデルとして、2013年11月に初代「isai LGL22」からスタートした。その後、モデルチェンジを重ねるごとに独自性が薄まり、前モデル「isai Beat LGV34」(以下、isai Beat)は、実質的にはLGのグローバルモデル「V20 PRO」の日本ローカライズモデルだった。そして、今回の新モデルisai V30+も、isaiの名前は残るものの、名称も実質もグローバルモデル「V30+」のローカライズ版そのものとなっている。

ホーム画面は、アプリ一覧画面のあるものとないもの、auベーシックホームの3種類を選ぶことができるが、いずれもAndroidの作法に準じたもので、isaiらしさはない

そのボディは、サイズが約75(幅)×152(高さ)×7.4(厚さ)mmで、重量は約158g。手にした実機の印象は、広い、薄い、軽い、の3拍子で、背面のガラスパネルの感触も良好だ。なお、このボディは、IPX5/8等級の防水仕様と、IP6Xの防塵仕様に加えて、米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810G」の浸漬、雨滴、粉塵、衝撃、振動、太陽光照射、湿度、塩水噴霧、高温保管/高温動作、低温保管/低温動作、低圧動作、温度衝撃の14項目をクリアしたタフネス設計でもある。

有機ELディスプレイということもあり、薄く仕上げられたボディは高級感も十分。しかもタフネス仕様となっている

ディスプレイは、先代isai Beatの約5.2インチ液晶から、1440×2880表示に対応する約6.0インチ、縦横比1:2の縦長有機ELディスプレイに変更され、サブディスプレイは廃止された。本機のような縦長ディスプレイは、サムスンの「Galaxy S8/S8+」や、「Galaxy Note 8」、ファーウェイの「Mate 10」シリーズ、アップルの「iPhone X」などに採用されており、高性能スマートフォンの主流となりつつある。

ベゼルレスの縦長ディスプレイがボディ表面を覆うシルエットは、従来のスマートフォンとは異なる新しさがある

基本性能だが、ハイエンド向けクアッドコアCPU「Snapdragon 835 MSM8998(2.45GHz×4+1.9GHz×4)」に、4GBのRAMと128GBのストレージを組み合わせる。OSは最新世代のAndroid 8.0。microSDXCメモリーカードは256GBまで対応している。見どころはなんと言っても大容量128GBのストレージだろう。64GBを超える大容量ストレージは、SIMフリーモデルではちらほらと見かけるが、Androidのキャリアモデルでは現状では最大容量。本機は高品質のカメラやオーディオ性能が特徴で、いきおいデータ量も大きくなり勝ち。そのため128GBのストレージを備えるメリットは大きいと言える。

ベンチマークアプリ「Antutuベンチマーク」の総合スコアは180,197(内訳、3D:72,735、UX:58,582、CPU:38,513、RAM:10,367)で、基本性能の高さでは定評のある「Galaxy Note8」の総合スコア175,992(3D:73,412、UX:54,372、CPU:37,592、RAM:10,616、1440×2960表示時、価格.comマガジン調べ)を上回っている。体感速度も「Galaxy Note8」と比べて遜色はない。

ベンチマークテストの総合スコアは、「Galaxy Note8」よりもわずかだが上回った。国内で正規販売されるものの中では、現状で最速のスマートフォンの1台と言ってよさそうだ

機能面もキャリアモデルらしく充実したもので、NFCポート、FeliCaポート、フルセグおよびワンセグのテレビチューナー、Bluetooth 5.0に対応。指紋認証センサーやマイクを使った音声認証、カメラを使った顔認証も搭載している。通信性能も高く、au 4G LTEおよびWiMAX2+のモバイルネットワークを使って、下り最大708Mbpsの高速通信に対応している。

継承されたダブルレンズカメラは手ブレに強い

ダブルレンズ構成のメインカメラも、前モデルisai Beatから継承されている。約1,650万画素の標準画角(画角71°)と、約1,310万画素の広角(画角、120°)という2つのカメラを切り替えて使うというもので、見どころは標準レンズに、F1.6という一眼レフ並みの明るい大口径レンズを備えている点だ。しかもこのレンズには、一部に通常のプラスチックではなく、透過度の高いクリスタルレンズが使われている。また、広角レンズ側には、周辺部の歪みを電子的に補正する機能も新たに搭載されている。

撮影に付随する機能も豊富で、連続撮影した写真を1枚にまとめる「グリッドショット」や、合成写真を簡単に作れる「マッチショット」、ほかの画像を下敷きにして構図を調整する「ガイドショット」といった機能が搭載されている。また、フロントカメラでは美肌効果や手のひらの動きでシャッターを切る「ジェスチャーショット」、顔検出を使った「オートショット」など自撮り撮影に適した機能を搭載。マニュアル撮影機能では、マニュアル撮影の設定をテンプレートとして保存する「Graphy」というユニークな機能も備えている。このGraphyにはほかの写真の撮影情報を取り込む機能もあり、プロの設定をそのまま取り込んで使うことも可能となっている。

標準レンズと広角レンズを組み合わせたメインカメラ。広角側の画角は120°で、isai Beatの135°よりも少し狭くなっている

フロントカメラは画素数約510万。こちらのレンズひとつだが、ソフトウェア的に広角と標準の2種類の画角を切り替えることができる

マニュアル撮影の設定をテンプレートとして保存したり、ほかの写真の設定を取り込めるGraphy。プロの撮影技術を取り込むことができる

メインカメラの標準レンズで撮影を行った。冬の朝の空気感まで再現でき、なかなか美しい

メインカメラの標準レンズで撮影を行った。冬の朝の空気感まで再現でき、なかなか美しい

上の写真と同じ場所を広角レンズで撮影したもの。リニューアルされた東京駅駅前広場の広々とした様子が余裕で収まる

歪みの目立ちやすい幾何学形状の赤レンガが並ぶビルの壁を広角レンズで撮影。周辺部分の歪みは皆無ではないが、かなり押さえ込まれている

前モデルisai Beatではフレアが発生しやすかった逆光条件で撮影(標準レンズ)を行ったが、フレアは現れていない。このほか逆光、半逆光で20枚以上撮影を行ったが、目立ったフレアは確認できなかった

標準レンズを使い手前の擬宝珠(ぎぼし)にピントを合わせ、背景をぼかしてみた。後ろの擬宝珠やビルが少しぼけて、カメラ専用機のような遠近感を演出できた

標準レンズを使いカメラオート設定で夜景を手持ち撮影した。大口径レンズや光学式手ブレ補正機構の効果で、手ブレは見られない。全般的にブレに強いカメラという印象だ

クアッドDACによるオーディオ専用機のような音質は引き続き魅力

前モデルのisai Beatは高いオーディオ性能が魅力だったが、本機にもその特徴は継承されている。ハードウェア上の特徴だったクアッドDACは「ES9218」から「ES9218P」に変更され、新たにMQA形式のハイレゾ再生に対応した。また、最大24bit/192kHzのFLAC形式で録音も可能となっている。クアッドDACの効果はやはり魅力で、ノイズが混じる古いMP3音源でも、ノイズが減り、クリアな音質が楽しめる。スマートフォンで音楽を聴く機会が多いのであれば、引き続き本機は有力な選択肢となるだろう。

ヘッドホン端子は上側面に配置される。ハイレゾ音源対応だ

ヘッドホン端子は上側面に配置される。ハイレゾ音源対応だ

強調/クリア/ライブ/Bassの4種類のサウンドプリセットに加えて、左右独立のバランス調整を備える

強調/クリア/ライブ/Bassの4種類のサウンドプリセットに加えて、左右独立のバランス調整を備える

Short/Sharp/Slowという3種類のデジタルフィルターも搭載される

Short/Sharp/Slowという3種類のデジタルフィルターも搭載される

USB PDに対応。電池持ちも大きく改善された

本機は、容量3,300mAhのバッテリーを内蔵し、電池持ち時間は、約95時間となっている。isai Baetの約70時間から電池持ちは大幅に改善し、ライバル機と比較しても見劣りしなくなった。

なお、今回は1週間ほど検証を行ったがその間に行った充電は2回。筆者の利用ペースでは2日半〜3日はバッテリーが持った事になる。前モデルisai Beatでは、クアッドDACを使うと途端にバッテリーの消費が早まる印象だったが、本機ではさほど顕著ではなく、クアッドDACは常時オンでもさほど問題ないように感じられた。また、利用中の発熱も少なく、利用中の発熱は大体31℃前後にとどまっている。なお、最も温度が上昇したのはUSB PDの充電器を使ったときに瞬間的に記録した41.2℃だった。

バッテリー周りのポイントのひとつは、大電力を扱える「USB PD(USB Power Delivery)」に対応したことだ。USB PD対応のACアダプター「Energear(46W)」を使って充電を試みたところ、充電にかかった時間は約2時間、カタログスペックにある約120分どおりとなった。なお、従来の急速充電であるQuickCharge 3.0にも対応しており、こちらの充電器を使った場合は約110分で充電が完了する。

本体下部のUSB Type-Cポートは、QuickCharge3.0に加えて、USB PDにも対応している

本体下部のUSB Type-Cポートは、QuickCharge3.0に加えて、USB PDにも対応している

1週間の検証期間中に充電は2回行った。いずれも残量に余裕のある状態からの充電だったので、条件がそろえばもっと充電ペースは抑えられたかもしれない

USB PD対応充電器を使って充電を行った際にかかった時間は約2時間

USB PD対応充電器を使って充電を行った際にかかった時間は約2時間

検証中のバッテリーの温度の変化。最高で41.2℃と高めだが、大体31℃前後で推移。ボディから熱を感じるのはかなり限定された状況だ

トレンドをしっかり押さえた正統派の高性能スマートフォン

isaiシリーズに位置づけられる「isai V30+」だが、実質はオーソドックスなハイエンドモデルと言っていいだろう。現状ではもっとも性能の高いスマートフォンの1台なので、性能こだわるユーザーなら、購入の選択肢に入れて間違いはない。

auのラインアップで、本機のライバルとなりそうなのは、サムスンの「Galaxy Note8」や「Galaxy S8+」といった6インチを超える縦長の大画面有機ELディスプレイを備えるハイエンドモデルになるだろう。Galaxyシリーズと比べると、本機は、メーカー独自のAIアシスタント「Bixby」がなく、ディスプレイも曲面ではなく平面パネルであり、ユーザーインターフェイスもクセが少ない、総じてオーソドックスな作りと言える。いっぽう128GBの大容量ストレージやクアッドDAC、ダブルカメラなど、独自の魅力があり、カメラやサウンドにこだわるユーザーなら満足できる要素が多い。

auの直販サイト「au Online Shop」における機種変更時の一括払いの端末価格(2017年12月21日現在)を見ると、本機はLTEプランで毎月割適用時の場合52,056円となっている。デュアルカメラを備え処理性能では本機とほぼ同等のGalaxy Note8が67,176円、カメラはシングル構成のGalaxy S8+が47,736円となっており、本機は価格的にも比較的安い。処理性能や機能では文句なく最高レベルの本機は、なかなかお買い得な製品とも言えそうだ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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