ファーウェイの「nova lite 2」とASUSの「ZenFone Max Plus (M1)」は、ともに2018年2月に発売されたSIMフリースマートフォンだ。18:9の縦長ディスプレイ、狭額縁デザイン、ダブルレンズ搭載カメラ、顔認証機能など、両機種の共通点は多い。さらに、市場想定価格が、「nova lite 2」は25,980円、「ZenFone Max Plus (M1)」は29,800円(いずれも税別)と、どちらも格安スマートフォンと言っていい3万円以下の価格帯に抑えている。そのため、どちらを買うか迷っているというユーザーも多いだろう。そこで、本記事では、両機種の比較レビューを行い、それぞれがどのようなユーザーに適しているのかを探ってみた。
共通点の多い「nova lite 2」と「ZenFone Max Plus (M1)」を徹底比較した
まずは、「ZenFone Max Plus (M1)」と「nova lite 2」との外観からチェックしていこう。外観に関するスペックは以下から確認できる。
本体サイズや重量、ディスプレイなどのスペック
両モデルが搭載する液晶は、「ZenFone Max Plus (M1)」がフルHD+の5.7型液晶(2160×1080)で、「nova lite 2」がフルHD+の5.7型液晶(2160×1080)とほとんど変わらない。最新スマートフォンで主流の縦長ディスプレイを採用し、上下左右のベゼルは狭額縁デザインを取り入れている。フルHD+の液晶は両機種ともに高精細で、ハイエンド機種と比べても遜色ないレベルだ。
「ZenFone Max Plus (M1)」(左)の液晶は角丸なのに対して、「nova lite 2」(右)の液晶は四角。左右のベゼルはほとんど同じだが、上下のベゼルは、「nova lite 2」のほうが若干狭い
一眼レフカメラで撮影した同じ写真を両機種で表示させてみたところ、「ZenFone Max Plus (M1)」はアンダー気味でありつつも、色再現度が高い。「nova lite 2」は明るく、少しブルー色が強いように感じた。
上が「ZenFone Max Plus (M1)」で、下が「nova lite 2」
上が「ZenFone Max Plus (M1)」で、下が「nova lite 2」。こちらの写真だと、色の違いがよくわかる
Webブラウジング(Firefox)してみると、それぞれ液晶の発色の違いが明確に。どちらも文字の表示がシャープで、画質の高さを感じる
「Chrome」でWebブラウジングすると、「nova lite 2」(右)のみ、テキストの解像度が低下するような現象が発生した。写真ではわかりにくいが、文字の周辺がにじんでいるような感じだ。インターネット上でも、同様の現象が起こっているユーザーからの報告がチラホラあるが、原因は不明。「Chrome」側の問題かもしれず、アップデートでの改善が待たれるところ
本体サイズと重量は、「ZenFone Max Plus (M1)」が73(幅)×152.6(高さ)×8.8(幅)mm/約160gで、「nova lite 2」が72.05(幅)×150.1(高さ)×7.45(厚さ)mm/約143g。「ZenFone Max Plus (M1)」は4130mAhのバッテリーを内蔵しているため、「nova lite 2」よりも若干サイズが大きく、重量も重くなっている。
「ZenFone Max Plus (M1)」(左)は実測で160g、「nova lite 2」(右)は144g
手で持ってみると、「nova lite 2」の軽さと、薄さがよくわかる
「ZenFone Max Plus (M1)」はしっかりとした重量感があるが、持っていて手が疲れるというレベルではない。大容量バッテリーを搭載していることを考慮すれば、十分軽量化されていると感じた
両機種ともに、背面は上下部にダイヤモンドカットを施し、デザインにアクセントをつけている。「ZenFone Max Plus (M1)」は、サンドブラスト加工が施されたフルメタル仕様で高級感がある。「nova lite 2」は、ダイヤモンドカットで区切られた上下の部分に合成樹脂を、そのほかの部分にアルミ素材を採用し、全体的にカジュアルな仕上がりだ。指紋認証センサーが背面にある点は同じだが、ダブルレンズ搭載カメラの部分は少し異なる。「ZenFone Max Plus (M1)」は2つのカメラが同一のベース上にまとめられているが、「nova lite 2」のは、ひとつひとつがセパレートになっている。細やかだが、こういったデザイン上の違いは見ていて興味深い。
「ZenFone Max Plus (M1)」(左)は背面がフルメタル仕様。「nova lite 2」(右)も、ダイヤモンドカットで区切られた上下部以外はアルミ素材が使われているが、金属っぽさは感じずカジュアルな雰囲気だ
ダブルレンズカメラのデザインも異なる。出っ張っているのはどちらの機種も同じ
天面(左)と底面(右)。イヤホンジャックとmicroUSBポートが両機種に搭載されているが、イヤホンジャックの位置は「ZenFone Max Plus (M1)」(左)が天面、「nova lite 2」(右)が底面となっている。大きな違いではないが、人によっては好みが分かれるポイントだろう
次は、両機種の基本スペックと主な機能をチェックしていく。「ZenFone Max Plus (M1)」は、CPUが「MediaTek MT6750T(1.0GHz×4+1.5GHz×4)」、メモリーが4GB、ストレージ容量が32GB、バッテリー容量が4130mAhという基本構成。いっぽう、「nova lite 2」は、CPUが「Kirin 659(4×2.36GHz + 4×1.7GHz)」、メモリーが3GB、ストレージ容量が32GB、バッテリーが3000mAhという基本構成になっている。
両機種の基本スペック
スペック上の数値だけみると、CPUの処理性能に関しては「nova lite 2」のほうが高く、メモリーとバッテリー容量は「ZenFone Max Plus (M1)」のほうが高い。試しに、ベンチマークソフト「AnTuTu Benchmark(v7.04)」で両機種をテストしたところ、「ZenFone Max Plus (M1)」が“54137”で、「nova lite 2」が“87654”という結果だった。
左が「ZenFone Max Plus (M1)」、右が「nova lite 2」のテスト結果(AnTuTu Benchmark(v7.04)使用)。グラフィック性能を測るGPUのスコアは大きく変わらないものの、CPUの処理性能を測る「CPU」、操作時の挙動やマルチタスクなどユーザーエクスペリエンスの快適性を測る「UX」、RAM(メモリー)とROM(ストレージ)の性能を測る「MEM」は、「nova lite 2」がスコアを伸ばした
実際に操作してみたところ、「ZenFone Max Plus (M1)」と「nova lite 2」の間にベンチマーク結果ほどの大きな差は感じられず、アプリの起動や実行速度などはさほど変わらない印象だ。「ZenFone Max Plus (M1)」のほうが、もたつく動作の発生頻度が若干高いという感じ。ただし、長期間使うと、ベンチマークテストのスコアが示すような差が出てくるのかもしれない。
グラフィック性能を測るベンチマークソフト「3DMark」(Ice Storm Unlimited)でもテストを行ってみたところ、「ZenFone Max Plus (M1)」は“9780”、「nova lite 2」は“11999”という結果だった。どちらも標準的で、ライトなゲームはこなせるが、ヘビーな3Dゲームをプレイするのは厳しい。
左が「ZenFone Max Plus (M1)」、右が「nova lite 2」のテスト結果(3DMark使用)
次は、バッテリーの性能を測るべく、実際に動画を再生して、その減り具合を確かめてみた。できるだけ環境が同じになるように整えたが、バックグラウンドで実行されるアプリが異なったりするため、あくまでも参考値と考えていただきたい。
両機種の画面輝度をマックスに設定し、モバイルデータをオン、Wi-Fiをオフにし、バッテリー残量100%の状態で、あらかじめNetflixからダウンロードしておいた映画(約2時間50分)を2回連続再生。1本目が終わったときの残量は「ZenFone Max Plus (M1)」が67%で、「nova lite 2」が58%だった。2本目を見終わったあとの残量は、「ZenFone Max Plus (M1)」が31%で、「nova lite 2」が10%。バッテリー駆動時間に関しては、4130mAhのバッテリーを搭載する「ZenFone Max Plus (M1)」がその実力を発揮したと言えるだろう。
可能な限り環境をそろえ、Google Playムービーで映画を同時にスタートさせどれくらいバッテリーが減少するかテストしてみた
約2時間50分の映画を1回見た後のバッテリー残量。左が「ZenFone Max Plus (M1)」で、右が「nova lite 2」
約2時間50分の映画を2回連続で見た後のバッテリー残量。左が「ZenFone Max Plus (M1)」で、右が「nova lite 2」
続いて、両機種の主要機能について見ていこう。以下のスペック表に記したとおり、両機種ともに指紋認証と顔認証(「nova lite 2」はアップデートで対応)の両機能を搭載している。顔認証機能は、ハイエンド端末には標準搭載しているモデルが多くあるが、エントリークラスのスマートフォンではほとんど見かけない機能だ。顔認証を試したいと思っていたユーザーには、うれしい機能だろう。
主な機能に関するスペック表
実際に両機種で顔認証機能を試したが、どちらも精度が高く、めがねをかけていても、いなくてもきちんと認証してくれるし、認証スピードも申し分ない。ただし、顔がカメラから離れていたり、暗い場所だったりすると、「ZenFone Max Plus (M1)」は認証精度が若干下がることがあった。
機能面で大きく異なるのは、DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)についてだろう。「ZenFone Max Plus (M1)」はDSDSに対応し、nanoSIM2枚とmicroSDカードを同時に使えるトリプルスロット仕様。いっぽうの、「nova lite 2」は、デュアルスロットを備えているが、DSDSには非対応だ。DSDSでの運用を考えている人にとって、この差は大きな点だろう。なお、両機種の対応バンドについては、上述のスペック表を参考にしていただきたい。
「ZenFone Max Plus (M1)」(左)はnanoSIM2枚とmicroSDカードを同時に使用できるトリプルスロットを搭載。「nova lite 2」のスロットは、nanoSIM1枚がmicroSDカードと排他利用になるタイプ
両機種ともにカメラ機能はダブルレンズカメラを採用しているが、その特徴は異なる。「ZenFone Max Plus (M1)」は、F2.0のレンズを搭載する1600万画素カメラと、120°の広角レンズを搭載する800万画素カメラという構成だ。普段は1600万画素カメラを使用し、風景や大人数での写真を撮りたいときは広角レンズのサブカメラに切り替えるなど、撮影シーンに応じた使い方ができるようになっている。
撮影モードは、初期設定のオート以外に、マニュアル撮影が行えるProモード、パノラマ、GIFアニメーション、6400万画素相当の写真を撮れる超解像度などを搭載。また、ソフトウェアでボケ味を処理するポートレートモードも備えている。もちろん、HDRに対応(手動切り替え)し、コントラストの高い写真を撮影可能。写真の仕上がりは若干アンダー気味ながらも、自然な色味を再現している。
1600万画素カメラで撮影した1枚
広角レンズを搭載する800万画素カメラに切り替えると、ワイドな構図の写真が撮影できる。ただし、画質は1600万画素カメラより若干落ちる。また、写真周縁部にはゆがみが発生した
少しアンダー気味だが、花が持つやわらかな色味を壊すことなく自然に再現
屋内で撮影すると暗さが目立つ(左)。ISOとシャッタースピードを調節すると明るく撮影できたが、天井部分が少し白飛びした(右)
人物の背景をぼかすポートレートモード。ソフトウェア処理のためか、人物と背景の境界の処理が甘いときもある
いっぽう「nova lite 2」は、1300万画素と200万画素のRGBセンサーを搭載するカメラを1基ずつ備える。1300万画素のカメラで写真を撮り、200万画素のカメラで被写界深度の情報を取得するという、「ZenFone Max Plus (M1)」とはまったく異なる仕組みを採用。そのため、人物の背景をぼかすポートレート撮影のほかに、撮影後にボケ味の強弱を調節できるワイドアパーチャという撮影モードを搭載するのが大きな特徴だ。
ワイドアパーチャ、ポートレートモードのほかには、マニュアル撮影を行えるプロ写真、パノラマ、長時間シャッターで光の軌跡を撮影するライトペインティングなどが用意されている。HDRは手動ではなく自動切り換えで、シーンに応じて自動でオン、オフを調節。写真の仕上がりは、ブルーが少し強いが、明るく細かなディテールをもとらえる写真を撮影できる。
手前から奥に向かって重なるように看板をしっかりととらえた1枚。空のグラデーションも出ている
屋内でも手ぶれすることなくきれいに撮影可能。像面位相差とコントラストAFを組み合わせたハイブリッドオートフォーカスで、ピントは被写体にピッタリ合う
屋内での1枚。明るいものの、ブルーが若干強めだ
ポートレートモードは、サブカメラで深度情報を取得しているため、ボケがしっかりと出ている
ワイドアパーチャで撮影すると、撮影後にボケの強弱を調節できるので便利だ
以上、ファーウェイ「nova lite 2」とASUS「ZenFone Max Plus (M1)」を徹底的に比較してみたた。似ているようで、それぞれが異なる機能や特徴を備えている。また、似ている部分でもディスプレイの表現色や、カメラ機能の仕様など、異なる点も多い。両機種のどちらを買えばいいか悩んでいる人は、本記事を参考にして、その違いを理解したうえで購入してほしい。
最新ガジェットとゲームに目がない雑食系ライター。最近メタボ気味になってきたので健康管理グッズにも興味あり。休日はゲームをしたり映画を見たりしています。