レビュー
月額1,620円から、見守り機能充実

iPhoneがキッズスマホになる「TONE SIM」を試してみた

総務省によると、仮想移動体通信事業者(MVNO)の数は800社を超えるという。格安SIMサービスは飽和状態で、激しい競争を迎えているのだ。そんな中、早くから市場競争の激化を予想し、独自の付加価値として「見守り」を重視したオリジナルの格安スマホを販売してきたトーンモバイルから、同社初となるアップルのiPhone向け格安SIM「TONE SIM(for iPhone)」が登場。どのような特徴を備えているのか、実際に試用してチェックした。

「TONE SIM(for iPhone)」でできること

2018年4月26日から販売が開始される予定のTONE SIM(for iPhone)(以下「TONE SIM」)は、サービス名からもわかるようにiPhone専用の格安SIMだ。動作対象はiPhone 5s/iPhone 5c以降のSIMフリー版と、NTTドコモ版。また、iPhone 6s/iPhone 6s Plus以降のau版とソフトバンク版も、SIMロックが解除されていれば使える。

料金プランは、月額1,620円で通信容量が使い放題のデータ通信プラン「基本プラン」(通信速度は下り・上りとも最大500〜600kbps)の1つだけ。ここに、必要なオプションを追加していく仕組みだ。

たとえば、携帯電話番号での音声通話を利用したければ、月額1,026円の「090音声オプション」を追加する。月額108円でSMS機能だけを追加することもできる。

また、通信速度を高速化する「高速チケット」も用意されている。価格は1GBにつき480円で、最大で直近31日間の合計が10GBになるまで購入できる。

TONE SIMの料金プランとオプションの一覧

TONE SIMの料金プランとオプションの一覧

最大の特徴は、トーンモバイル独自の見守りサービス「TONEファミリー」に対応していること。TONEファミリーにはさまざまな機能が備わっているが、中核をなす機能は「ペアレンタルコントロール」「位置情報追跡」「フィルタリング」の3つにわけられる。そのほかの機能も含め、順を追ってチェックしていこう。

TONEファミリーの機能一覧

TONEファミリーの機能一覧

TONE SIM向けのTONEファミリーには「かんたんモード」と「あんしんモード」が用意されている。ここでは、標準のかんたんモードを軸に解説を進めていく。なお、今回はTONE SIMをセットした「iPhone 7」を使い、サービスの正式提供開始前に各機能を試用した。正式サービスとは動作が異なる可能性があることをご承知いただきたい。

また、保護者がTONEファミリーの各機能を利用するには、保護者のスマホに専用アプリの「TONE見守り」をインストールするか、Webブラウザーで保護者専用の管理ページにアクセスする必要がある。今回は、TONE見守りアプリをインストールしたトーンモバイルのオリジナルスマホ「TONE m17」を保護者のスマホとして使用した。

ちなみに、TONEファミリーのオプション料金は月額216円だが、保護者もトーンモバイルのユーザーであれば、無料で契約できる。

アプリの利用を制限する「ペアレンタルコントロール」

ペアレンタルコントロールとは、保護者が子どもの端末を管理する仕組みのこと。TONEファミリーではオリジナルスマホ向けに「アプリの利用制限機能」と「端末の利用制限機能」を提供しているが、iPhone向けのTONE SIMではアプリの利用制限機能のみに対応する。

制限方法は2通りある。ひとつは、App Storeのレーティングに従った一括制限だ。制限の強さは「9歳未満」「12歳未満」「17歳未満」「制限しない」の4段階から選べる。制限されたアプリはホーム画面のアイコンが非表示となり、起動できなくなる。

TONE SIMでは特定の時間帯だけレーティングを変えることも可能。基本のレーティングは「17歳未満」を選んでおいて、夜9時から朝7時まではゲームやSNSを禁止するために「9歳未満」まで厳しくする、といった運用もできる。

TONE SIMをセットしたiPhone 7に対してレーティングによる機能制限を適用したところ。左から「9歳未満に制限」「12歳未満に制限」「17歳未満に制限」「制限しない」の順。対象年齢が下がるにつれて使えるアプリも少なくなっていくのがわかる

もうひとつは、アプリごとに個別の制限を課す方法だ。かんたんモードでは「Safari」「カメラ」「iTunes Store」の3つの標準アプリと「アプリ内課金」について、それぞれ利用の可否を決められる。

また、TONEファミリーをあんしんモードに切り替えることで、上記の標準アプリやアプリ内課金に加えて、App Storeから追加インストールしたアプリも個別に制限を決められるようになる。

ただし、あんしんモードへ切り替えるには、アップルが配布している「Apple Configurator 2」というmacOSアプリが必要だ。Macを持っていない家庭では、アプリの個別制限ができないことになる。

TONEファミリーの設定画面より。標準アプリの一部は個別に制限ができる(左)。あんしんモードを有効にすると、追加インストールしたアプリについても個別制限が可能(右)

iOS自身が備えるペアレンタルコントロール機能の「機能制限」でも、レーティングに従ったアプリの制限は可能だ。だが、時間帯に応じて異なるレーティングを適用したり、追加アプリを個別に制限したりすることはできない。

いっぽうTONE SIMでは、iOSの機能制限と同じルールに従いつつも、子どもの使い方や保護者の求めに応じた、より柔軟な設定が可能となっている。

子どもの移動経路がわかる「位置情報追跡」

アプリの利用制限と並んで重要なのが、位置情報の追跡機能だ。保護者のスマホにインストールした「TONE見守り」アプリを起動すると、直近30分以内の子どもの位置情報が地図上に表示される。子どものアイコンをタップして、過去の移動履歴を確認することも可能だ。

TONE見守りの起動時には子どもの現在地が地図上に表示される。地図上の青い円は後述する「ジオフェンス」の登録エリア(左)。子どものアイコンをタップすると、過去の位置情報履歴を参照できる(右)

また、あらかじめ登録しておいた特定のエリアに子どもが入ったり出たりしたとき、リアルタイムに通知が届く「ジオフェンス」という機能も用意されている。エリアは最大で5つまで登録可能で、アプリ起動時の地図上には登録したエリアが青い円で示される。

エリアのサイズは最小でも半径200メートルなので、建物単位で出入りを把握できるわけではないが、学校を出発したり、自宅近辺に帰ってきたりしたときに、離れた場所にいる保護者が子どもの動向をリアルタイムで把握できる。

ジオフェンスで登録したエリアに子どもが入ったり出たりすると、保護者のTONE見守りアプリにリアルタイムで通知が届く

TONE見守りアプリの起動時に表示される子どもの位置情報は、最大で30分前の所在地だ。現在地の情報を更新することも可能だが、ジオフェンスへの出入りについてはリアルタイムで通知されるのがメリット。子どもが立ち寄る重要なエリアには、あらかじめジオフェンスを設定しておくのがいいだろう。

Webサイトのフィルタリングは専用ブラウザー経由

Webサイトのフィルタリング機能を利用するには、TONEファミリーとは別に「あんしんインターネット」オプションを契約し、子どものiPhoneに同名の専用ブラウザーをインストールする必要がある。iPhone標準のSafariはフィルタリングの対象外となるので、TONEファミリーのアプリ制限機能を使って利用を禁止しておくといい。

フィルターの強さは「小学生」「中学生」「高校生」「一般」の4モードに分かれている。特定のWebサイトに限りアクセスを許可するホワイトリストにも対応する(最大20件まで)。

あんしんインターネットの専用ブラウザー。一般的なブラウザーアプリと比べて使い勝手に大きな違いはない。検索エンジンはGoogleに対応(左)。許可されていないカテゴリーのWebサイトは閲覧がブロックされる。保護者に対してホワイトリストへの登録許可を求めることも可能(右)

なお、あんしんインターネットのオプション料金は月額108円だが、TONEファミリーと同様に、保護者もトーンモバイルのユーザーなら無料となる。

そのほかの機能

ペアレンタルコントロールと位置情報追跡以外にも、いくつかの機能が備わっている。

たとえば、TONE SIMを使う子どもが高速チケットを購入したときに、保護者が通知を受け取ることができる。直近31日間の上限である10GBまで購入すると合計4,800円もかかってしまうので、いつ購入したのかを把握することで高速チケットの買いすぎを予防できる。

保護者から子どもに無料通話を発信することもできる。TONE見守りアプリで子どものアイコンをタップし、「無料発信」を選ぶことで、子どものiPhoneにインストールしたIP電話アプリに着信する仕組みだ。

ただし、日々の歩数を記録するライフログ機能や、歩きスマホをすると画面に警告が表示される機能、画面をタップした回数に応じて相手のスマホから「コン、コン」とノック音が鳴る「エアノック」など、執筆時点ではTONE SIMに未対応の機能も多い。

設定は「TONE見守り」アプリから

TONEファミリーとあんしんインターネットは、いずれもTONE見守りアプリから設定できる。

TONE見守りアプリで子どものアイコンをタップし、「個人設定」を選択すると、見守り対象アカウントの一覧が表示される。設定したい子どもの「設定」をタップして、TONEファミリーなら「TONEの設定」を、あんしんインターネットなら「あんしんインターネット設定」をそれぞれタップすると、設定画面が表示される。

位置情報履歴を表示する画面で「個人設定」をタップし(左)、見守り対象アカウントの「設定」をタップすると(中)、TONEファミリーやあんしんインターネットの設定画面を開くためのボタンが表示される(右)

TONEファミリーの設定項目は、大きく分けて「アプリのレーティング制限」「アプリの個別制限」「制限する時間帯」「ジオフェンスの管理」「GPS、通知、その他」の順に並んでいる。各項目で設定内容を変更し、最下部の「設定」をタップすると、変更内容がオンライン経由で即座に反映される。

TONEファミリーの設定画面では、アプリのレーティング制限(左)や各種通知の有無(右)など、すべての設定項目が1画面に詰め込まれている

あんしんインターネットの設定項目は、「フィルターの強さ」「閲覧履歴」「ホワイトリスト」の3つがタブでわかれている。閲覧履歴のタブではWebサイトのカテゴリーごとの閲覧率を確認したり、不許可のWebサイトをブロックした回数をチェックしたりできる。

あんしんインターネットの設定はタブごとに分かれている(左)。ホワイトリストの設定では、子どもからリクエストのあったWebサイトを追加したり、URLを直接入力したりして最大20件までのWebサイトを登録できる(右)

どちらもTONE SIMをセットしたiPhoneに触れることなく設定が可能となっており、多感な年齢を迎えた子どものプライバシーを尊重しつつ管理できることも、TONE SIMをはじめとしたトーンモバイルの特徴のひとつと言えるだろう。

なお、個人的な印象だが、TONEファミリーの設定画面はすべての設定項目がひとつの画面内にまとめられているので、目的の項目がやや見つけづらい。あんしんインターネットの設定画面のようにタブでわけられていれば、よりアクセス性がよくなると感じた。

「どうしてもiPhoneがいい!」そんな子どもにぴったり

青少年インターネット環境整備法にもとづき、ユーザーが18歳未満の場合はフィルタリングサービスを提供することが義務化されている。大手通信キャリアかMVNOかを問わず、どの通信キャリアを選んでもフィルタリングサービスは利用できるものの、AndroidとiPhoneでは利用できるサービス内容が異なるケースが多い。

特に顕著なのが、アプリの利用制限だ。Androidではアプリごとに利用の可否や使える時間帯を細かく制限できても、iPhoneの場合はiOS標準の機能制限を使ったレーティングによる制限しか設定できない。それも単純に「このレーティング以上は利用不可」と指定できるのみで、仮に「時間帯を決めれば使ってもいい」アプリがあったとしても、大半のフィルタリングサービスでは手動でレーティングを変更するしかなかったのだ。

今回トーンモバイルから登場したTONE SIMでは、レーティングの範囲こそiOSの機能制限を踏襲しているものの、時間帯に応じて許可するレーティングを自動的に変更できる。昼間は子どもの年齢に合わせてスマホを活用できるレーティングを許可しておいて、夜間は使いすぎを防ぐためにきびしく制限するといった、これまでのiPhoneでは難しかったルールの運用もTONE SIMならかんたんだ。TONEファミリーのモードを「あんしんモード」に切り替えれば、個々のアプリごとに利用の可否を決めることもできる。

位置情報の追跡機能がセットになっているのもポイントだ。「Life360」や「Family Locator」などの位置情報共有アプリを使えば現在地の確認や特定エリアへの接近を知ることは可能だが、アプリを使うための準備が必要だし、高度な機能を使うにはアプリ内での課金が必要。いっぽう、TONE SIMでは基本機能として位置情報の追跡ができるので、最初から子どもの現在地を参照したり、ジオフェンスを活用したりできる。

2018年1月にMMD研究所が公開した調査結果によると、高校生の約3分の2がiPhoneを所有しており、iPhoneの人気の高さがうかがえる。通信コストを安くおさえつつも、柔軟な見守りサービスを利用できるTONE SIMは、どうしてもiPhoneを使いたがる子どもにぴったりだ。

ただ、TONE SIMには懸念もある。最も気になるのは、販路がオンライン販売に限られていることだ。トーンモバイルがこれまで販売してきたAndroidのオリジナルスマホは、一部のTSUTAYAや蔦屋家電の店頭で購入できる。スタッフと対面で契約を進められるだけでなく、契約後もわからないことがあれば店頭で質問できる安心感があった。

しかし、TONE SIMは店頭では契約できない。届いたSIMカードをiPhoneにセットするところからTONE見守りアプリでの設定まで、ほかの格安SIMと同じように、すべて保護者自身が行わねばならない。電話窓口やオンラインでのサポートは提供されるものの、最初から店頭で手続きが完結するトーンモバイルのオリジナルスマホと比べて難易度は高い。

また、TONEファミリーをあんしんモードへ切り替えるのにMacが必須なのも、懸念の一つだ。PCはWindowsしか持っていなかったり、そもそもPCを持っていなかったりする家庭では、あんしんモードに切り替えられないことになる。店頭での切り替え代行サービスや、あんしんモードへの預かり切り替えサービスのようなものの提供を期待したい。

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

紹介した製品の最新価格・クチコミをチェックする
関連記事
ページトップへ戻る