レビュー

約5.8インチ縦長液晶にデュアルカメラを備える、ファーウェイ「HUAWEI P20 lite」レビュー

ファーウェイのスマートフォン「HUAWEI P20 lite」が、2018年6月15日より発売された。本機は、ベースとなるSIMフリーモデルのほか、auおよび、通信キャリアのサブブランド、そしてMVNO各社からも発売される。前モデル、「P10 lite」が大人気モデルだったこともあり、今夏を代表するミドルレンジ向けスマートフォンと言ってもよさそうだ。そんな「P20 lite」の実力をau版「HWV32」を使い検証した。

■P20 lite
画面サイズ(解像度):約5.8インチ(1080×2280)
サイズ(幅×高さ×厚さ):約71.2×148.6×7.4mm
重量:約145g
防水/防塵:×/×
CPU:Kirin 659(2.36GHz×4+1.7GHz×4)
RAM容量:4GB
ストレージ容量:64GB
増設用メモリーカードスロット:microSDXC(最大256GBまで対応)
OS:Android 8.0
Wi-Fi:IEEE802.11a/b/g/n/ac
NFC:非搭載
FeliCa:非搭載
ワンセグ/フルセグチューナー:非搭載/非搭載
メインカメラ:約1,600万画素×1、約200万画素×1
サブカメラ:約1,600万画素
バッテリー容量:3,000mAh
電池持ち時間:約75時間
USBポート:USB Type-C(HUAWEI Quick Charger、USB PD対応)

流行のノッチ付き縦長ディスプレイを搭載しつつ、薄く軽く仕上がったボディ

ファーウェイの「HUAWEI P20 lite」(以下、P20 lite)は、1080×2280のFHD+表示に対応する約5.8インチの液晶ディスプレイを備えたミドルクラスのスマートフォンだ。このディスプレイの縦横比は、サムスン「Galaxy S9」の18.5:9、ソニー「Xperia XZ2」の18:9を上回る、19:9というかなり縦長である。従来型「P10 lite」の縦横比16:9のディスプレイと比べて情報量が約23%向上している。ディスプレイ上部にノッチ(切り欠き)があるほか、四隅のエッジ部分が丸められており、ボディを覆い尽くすようにディスプレイが広がっているのが印象的だ。

ボディサイズは、約71.2(幅)×148.6(高さ)×7.4(厚さ)mm、重量は約145gで、最近のスマートフォンの中ではかなり軽い。厚みや横幅もかなり抑えられており、携帯性はかなり良好だ。なお、防水・防塵には対応していない。カラーバリエーションは、クラインブルー、サクラピンク、ミッドナイトブラックの3色が用意されている。

ノッチの付いた19:9という縦長な縦横比のため、ボディ前面はほとんどディスプレイで覆われている印象

ノッチの付いた19:9という縦長な縦横比のため、ボディ前面はほとんどディスプレイで覆われている印象

2.5Dガラスで覆われたボディ背面は、こちらも最近の流行であるつるりとした感触。上位モデルの「P20」や「P20 Pro」と比較しても、質感の面では見劣りはしない

ノッチは通知をじゃましないように比較的小さく作られている。ノッチの左右を非表示に切り替えることもできる

液晶ディスプレイは発色にクセがなく、視野角も広い。画質の面でもチープさは感じない

液晶ディスプレイは発色にクセがなく、視野角も広い。画質の面でもチープさは感じない

ボタン類は、ボリュームと電源のみ。ボディが約7.4mmと薄く仕上がっており、持ちやすい

ボタン類は、ボリュームと電源のみ。ボディが約7.4mmと薄く仕上がっており、持ちやすい

SIMカードを挿した状態の重量はカタログ値通りの146gだった。この重量は、最近の同クラスモデルの中でも軽い部類だ

本機に搭載されるSoCは、ファーウェイ自社製のミドルレンジ向けオクタコアの「Kirin 659(2.35GHz×4+1.7GHz×4)」で、4GBのRAMと64GBのストレージを組み合わせる。「P20」と同じ4GBのRAMを搭載しており、体感速度に直結する部分にはきちんとコストをかけている。OSは最新世代のAndroid 8.0。上位モデルの「P20」や「P20 Pro」には搭載されていないmicroSDXCメモリーカードスロットを備えているのは、地味だがうれしい点だ。また、外部インターフェイスは、データ転送および充電に使われるUSBポートに、USB Type-Cを採用する。最近では省略されることも多いヘッドホン端子も搭載されている。Wi-FiについてはIEEE 802.11a/b/g/n/acに対応し、5GHz帯も利用可能。Bluetoothはバージョン4.2だ。なお、NFCおよびFeliCaポート、ワンセグチューナーは搭載されていない。グローバルモデルがベースということもあって機能面はシンプルだ。

ボディ下面にヘッドホン端子とUSB Type-Cポートが配置される

ボディ下面にヘッドホン端子とUSB Type-Cポートが配置される

auなどのキャリア版とSIMフリー版の大きな違いは、SIMスロットだ。キャリア版はシングルSIM仕様だが、SIMフリー版はデュアルSIMスロットとなっている(2018年6月20日修正および補足:SIMフリー版はDSDSに対応と記載していましたが、セカンダリーSIMはGSMのみ対応なので、国内ではDSDSを利用できません。以上、お詫び申し上げます。)

定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク Ver 7.09」を使い、実際の処理性能を調べてみたところ、総合スコアは88,284(CPU:41,401、GPU:13,102、UX:24,065、MEM:9,716)となった。Web閲覧やSNS利用、カジュアルなゲーム、カメラ撮影など通常の使い方には十分な性能だ。ただし、GPUの性能がさほど高くないので、3Dを駆使したゲームを遊ぶ場合は、画質を調整する必要がある。なお、「アイドルマスターミリオンライブシアターデイズ」では、最高画質の「3D高画質」ではコマ落ちが見られたが、描画レベルをひとつ落とした「3D標準」にしたところ、おおむね快適に動作した。

AnTuTuベンチマークの総合スコアは88,284。ミドルレンジ機としてみれば悪いスコアではない。通常の使用やカジュアルなゲームを楽しむなら十分な性能だ

高い3D描画性能を求められるゲーム「アイドルマスターミリオンライブ シアターデイズ」のも画質を「3D標準」にしたところ処理落ちはほぼ感じられずにプレイできた

丸1日は使えるバッテリー

本機は、容量3,000mAhのバッテリーを内蔵しており、カタログスペックを見ると、実際の利用パターンに近い条件で計測した「電池持ち時間」が約75時間となっている。本機と同じ3,000mAh前後のバッテリーを積むスマホの電池持ち時間は、100時間以上が多いので、率直に言ってあまりかんばしい値ではない。今回行った4日間の検証で行った充電は4回。半日ほど断続的にカメラを使い、描画負担の大きなゲームを1時間遊び続けた場合で最短の約20時間、待ち受け主体であれば29時間の利用ペースだった。いずれのペースにせよ、筆者の場合、寝ている間に充電しておけば、充電器やモバイルバッテリーを持ち歩く必要性は感じにくく、実感としては、まる1日は十分にバッテリーが持つように思われた。なお、通信を多用したり負荷のかかる処理を長時間行ったとたんに、バッテリー残量がガクンと減ることが少なく、消費ペースがある程度予想しやすい点も、その印象を高めているのかもしれない。

なお、本機は、ファーウェイ独自の急速充電規格「HUAWEI Quick Charger」に対応した充電器が同梱されるが、ノートPCなどでも採用されている汎用の急速充電規格「USB PD」にも対応している。本機用に充電器やモバイルバッテリーを選ぶ場合は、USB PDに対応するもの、または、5V/3Aの出力に対応するUSB Type-Cの充電器を選ぶとよいだろう。

4日間の検証で行った充電は4回。フル充電から次の充電までの間隔は最短で20時間、最長で29時間だった

4日間の検証で行った充電は4回。フル充電から次の充電までの間隔は最短で20時間、最長で29時間だった

検証期間中のCPU温度の推移。最高がゲームを1時間ほど続けた際の40℃。それ以外の使用時は38℃前後の体温よりやや高めで推移した

映像記録+被写界深度計測という組み合わせのダブルレンズカメラを搭載

本機の特徴であるメインカメラは、約1,600万画素と、約200万画素のダブルレンズカメラ。そのうち映像を記録するのは前者のみで、約200万画素のほうは、被写体までの距離を計測するために使う。この点、同じダブルレンズカメラといっても、上位機種の「P20」のように、色情報と階調情報を分けて撮影するタイプとは異なる。本機のダブルレンズカメラがもたらす機能として、撮影後にフォーカス位置を調整する「ワイドアパーチャモード」や、背景のぼかしを10段階で調整可能な「ポートレードモード」がある。レンズ自体は、「P20」や「P20 Pro」のようなライカの監修ではなく、ファーウェイ設計のものとなる。
なお、メインカメラのイメージセンサーには、4つのサブピクセルをひとつにまとめて受光感度を4倍に高めた「4in1ライトフュージョン」を採用しており、暗い場所でもキレイな撮影が行える。

映像記録用と被写界深度計測用という構成のダブルレンズカメラ。なお、「P20」や「P20 Pro」と異なり、レンズはライカ監修ではない

以下に、本機のメインカメラで撮影した作例をいくつか紹介する。なお、設定は特に断りのない場合、カメラ任せのオートモードで撮影している。

マメ科の落葉低木「アメリカデイゴ」の花を撮影。実際の花の色はもっと黒みのある重い赤だが、ピンクがかった鮮やかな赤に写った

曇天下で白いバラを撮影。階調表現が難しい被写体だが、ハイライト部分の白飛びは最小限に抑えられている

曇天下で白いバラを撮影。階調表現が難しい被写体だが、ハイライト部分の白飛びは最小限に抑えられている

竹芝桟橋からレインボーブリッジを望んだ。ピントは橋に合わせてあるが、雲の陰影もつぶれていない

竹芝桟橋からレインボーブリッジを望んだ。ピントは橋に合わせてあるが、雲の陰影もつぶれていない

LED照明のスポットライトの下で、うどんを撮影。ホワイトバランスがやや安定しないところがあり、ピントの位置を変えて10数ショット撮影した中で、実物に近い色のものを選んだ

丸の内の夜景を手持ちで撮影。「4in1ライトフュージョン」のおかげか、暗部のノイズや手ぶれが徹底的に押さえ込まれている。ハイエンドモデルほどの鮮やかさはないが、本機の価格帯のスマートフォンとしては良好な写りだ

撮影後に、ピント位置と絞りを調整できる「ワイドアパーチャモード」の例。上がF16まで絞ったもので、背景の青い丸が比較的くっきりしているが、下のF3.2まで絞りを開いたものはボケの量が増えている

本機のカメラはこの価格帯のスマートフォンとしては夜景でもノイズやぶれが目立たず、失敗写真が少なく済み、使い勝手もよいものだった。いっぽう、ホワイトバランスについては、照明の下、自然光の下を問わず、やや不安定な場合があり、肉眼と異なる印象に仕上がっていることがあった。そうした場合、本機の画像閲覧アプリ「ギャラリー」を使って、調整するとよいだろう。また、今回は作例を掲載しなかったが、約1,600万画素という高画素のフロントカメラもなかなか高画質なうえに、ARエフェクト機能も備わっており、楽しい自撮りが行えた。

不満を感じにくい、万人向けのスタンダードモデル

ファーウェイの「P20 lite」は、ノッチ付きの縦長ディスプレイや、ダブルレンズカメラといった流行の技術を取り入れた最新モデルだ。使い勝手や機能性に不満はなく、質感が高く、薄く軽いボディや、実用十分な処理性能など、大きな欠点が見当たらない。使っていてストレスを感じにくい、万人受けする製品だ。

注意点としては、防水・防塵に対応していない点、「おサイフケータイ」で必須のFeliCaポートを備えていない点がある。コストパフォーマンスは抜群だった前モデル「P10 lite」からさらに、機能性を高めて、コスパに磨きがかけられた「P20 lite」。コスパ重視なら今期の最有力モデルと言ってもよさそうだ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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