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AV評論家が画質チェック!

IGZO×Dolby Vision!「AQUOS R2」のスゴさをAVファン目線で評価する

2017年におけるAndroidスマートフォンの日本国内販売台数ナンバーワンと好調なシャープの“AQUOS”シリーズ。その最新フラッグシップモデルとして話題になっているのが、「AQUOS R2」だ。

このAQUOS R2、独自のIGZO液晶ディスプレイを生かし、HDR表示方式のひとつである「Dolby Vision」に対応するなど、画質面で見どころが多い。また、19mm相当(35mm換算)の超広角レンズによるダイナミックな動画撮影や、「AIライブシャッター」と呼ばれる自動静止画撮影機能など、AVファンが興味津々の機能が盛りだくさんだ。

そこで今回は、AQUOS R2の開発に関わったキーマンへの取材と実機の試用を通じて、画質的魅力をAV評論家目線でレポートする。AQUOS R2は、ズバリAVファン的にも“買い”なのか!?

とにかく「IGZO × Dolby Vision」がスゴい!

AQUOS R2の特徴を簡単に紹介すると、約6.0インチ(1440×3040)のフリーフォームIGZO液晶大画面を備え、デュアルカメラによる先進的な動画と静止画撮影に対応するなど、トレンドの最先端を行く端末だ。

AQUOS R2はNTTドコモ、au、ソフトバンクの国内主要キャリアで販売されている

AQUOS R2はNTTドコモ、au、ソフトバンクの国内主要キャリアで販売されている

基本詳細については、価格.comマガジンで先行して使用レビューを行っているので、ぜひ以下から参照されたい。

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今回、AVファン的に注目したいのはやはりDolby Visionへの対応だ。Dolby Vision対応のスマートフォン自体はこれまでにもあったが、クオリティに定評のあるシャープのIGZO液晶パネルと組み合わさることでどのような画質が得られるのか興味深い。

今回は、端末を開発したシャープ通信事業本部 パーソナル通信事業部のシステム開発部課長 前田健次氏、同事業部商品企画部係長 小野直樹氏、そしてDolby Visionのライセンス供与元であり画質チューニングや認証を行うドルビーラボラトリーズ社を代表して、ドルビージャパン映像技術部ディレクター 真野克己氏にお話をうかがいながら、その画質性能をチェックした。

右からドルビージャパン映像技術部ディレクター 真野克己氏、シャープ 通信事業本部 パーソナル通信事業部システム開発部課長 前田健次氏、同事業部商品企画部係長 小野直樹氏

▼Dolby Visionとは?

まずはDolby Visionについてざっと紹介しよう。Dolby Visionは、旧来の方式に比べ、明暗の差をよりダイナミックに表現できる新しい映像技術「HDR方式」のひとつだ。ブラウン管時代に比べてディスプレイが高輝度化した今、コンテンツも高画質に進化している。端的に説明すると、映像制作時には明るい部分の輝度を下げて圧縮する必要があるが、その「率」を小さくすることができる。そのおかげで、映像中にある太陽の輝きなどの再現性が高くなる。また、ピークに近い明るい部分の色が抜けてしまわないので、色彩豊かに再現できるようになるのだ。

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SDRとHDRの違いイメージ(写真はHDR効果のイメージをわかりやすく表現できるよう加工したものです)。映像装置では、色の再現能力を示す指標として「色域」がひとつの基準になるが、これは飽和しない一定の輝度における2次元的な捉え方に過ぎない。HDRでは、明部の色再現性が豊かになるので、3次元的に「カラーボリューム」が増し、豊かな色彩表現が可能になる

いくつかあるHDR方式の中でも、Dolby Visionの特徴は、映像のフレームごとにピーク輝度(最大輝度)と平均輝度の情報をメタデータとして持っていることだ。こにれより、デバイス側の表示能力に合わせて、映像を最適化して表示できる。ドルビーの真野氏は「制作者がマスターモニターで見たテイストを、忠実に再現できるようになっています」と語る。

▼もう少し具体的に説明すると……
映像コンテンツには明暗差の大きいシーンとそうでないシーンが混在するので、画一的なマッピングダウン(映像装置の輝度表示能力に合わせて、暗い方向でトーンカーブを調整)を行うと、映像の明るい部分が白飛びしたり、中間調が暗くなってしまうなどの問題が生じ、制作者の意図した表現にならなくなる場合がある。
これに対し、フレームごとに輝度のメタデータを持つDolby Visionのコンテンツを、Dolby Vision対応デバイスで表示すると、ドルビーのノウハウに基づき映像の各シーンに最適なトーンカーブを与えて変換が行われる(厳密には、色域も表示デバイスに合わせてマッピングダウンする必要がある)。

ちなみに日本では、Dolby Visionで制作されたコンテンツは、シャープが提供する「COCORO VIDEO」と「ひかりTV」(フレッツ光回線およびひかりTVサービスの利用が前提)からストリーミング視聴することができる(NetflixのDolby Vision再生は2018年7月22日時点で非対応)。

▼IGZO液晶パネルにより、Dolby Visionの画質が生かされる

さて、Dolby Visionの仕組みが理にかなっているのは理解できたが、実際の画質は表示装置の性能で決まる。

AQUOS R2のIGZO液晶ディスプレイは、映画館の基準として採用される広色域な色規格「DCI-P3」をほぼ100%カバーしている。スマホとしてはカラーボリュームが大きく、Dolby Visionの映像を映し出すにふさわしい。上述の通り、Dolby Visionコンテンツを表示すると各シーンに最適なトーンカーブで最適化される。色域も表示デバイスに合わせてマッピングダウンする必要があるが、映像コンテンツの多くが制作されているDCI-P3の領域を、AQUOS R2はほぼカバーしているので、当面は大きな変換は生じないと考えてよさそうだ。

シャープの前田氏によると、「AQUOS R2の画質は、シャープ製のIGZO液晶パネルを利用することでさらに大きなアドバンテージを持っている」という。

ディスプレイのアドバンテージについて解説をいただいた、シャープ 通信事業本部 パーソナル通信事業部 システム開発部課長 前田健次氏

というのも、スマホメーカーの多くは液晶パネルを外部から調達するが、シャープの場合は自社生産している。そのおかげで、スマホの機能に合わせて液晶パネルを最適化できるのだ。AQUOS R2においては、「DCI-P3をほぼ100%満たす広色域や、残像を低減する高速駆動能力、低消費電力性能など、多方面から仕様を検討して作り込んだ」という。

明暗や色再現の基本となるガンマはRGBそれぞれ独立して10bit精度(1024段階)で基準に沿うよう精密に調整し、入力信号に忠実な表示ができる土台を確保。ほかにも、開発時に使用する複数の測定器を同一光源で較正して誤差を最小限に抑え、出荷時のキャリブレーションを1台1台入念に施すなど、個体差なく全ての端末で正確な映像を表示できるよう注力して製造されているそうだ。

DCI-P3の広い色域と、スマホのディスプレイに求められる要素のバランスを高次元でとっている

DCI-P3の広い色域と、スマホのディスプレイに求められる要素のバランスを高次元でとっている

社内にディスプレイ部門を持ち、端末の要求をハイレベルで満たすようパネルを最適化設計することできるのは、シャープならではの強み

全ての階調に対してRGB独立10bit精度で調整することにより、入力信号に極めて忠実な表示を実現

全ての階調に対してRGB独立10bit精度で調整することにより、入力信号に極めて忠実な表示を実現

生産工程で全数調整を行い、全てのユーザーに忠実度の高い高品位な表示品質を提供

生産工程で全数調整を行い、全てのユーザーに忠実度の高い高品位な表示品質を提供

測定は光源のスペクトル特性などによって誤差がつきまとうので、スマホ開発部門、社内ディスプレイ部門、生産ラインの測定器を同一光源で較正。同じ基準で一貫して作業を行うことで、正確かつ高いクオリティを引き出す体勢を整えている

実際スゴい! AQUOS R2の映像表示を徹底チェック

Dolby VisionやAQUOS R2の表示能力を理解したところで、いよいよその表示映像を体験しよう。どこまで制作者の意図に忠実な映像が表現できるのか、チェックしてみたい。ドルビージャパンのスタジオで、Dolby Visionコンテンツのカラーグレーディング(色調整)に使用されるドルビー社製モニターとAQUOS R2を比較した。いわば、本物(リファレンス)に対し、AQUOS R2の映像がどの程度正確か、厳密に確認することができる環境だ。

ドルビージャパン内のスタジオにて、真野氏による解説を受けながら視聴を実施した。中央の画面がドルビー社のカラークレーディング用リファレンスモニター、その下の小さな画面がAQUOS R2。同一コンテンツを再生し、両者を厳密に比較できる環境だ

結論から言うと、リファレンスモニターの表示映像とAQUOS R2の表示映像は、非常に近い印象だった。リファレンスモニターの輝度は2,000nits程度と非常に明るい。いっぽうのAQUOS R2は映像モードにもよるが、ドルビーが暗室で推奨する「HDRシネマモード」の場合、目視でのピーク輝度は300〜400nits程度である。それにも関わらず、両者は画質的に“非常に近い”という印象なのだからスゴい。

マッピングダウンが巧妙であることに加え、明るいシーンから暗いシーンへ、暗いシーンから明るいシーンへと移行しても違和感がなく、人間の視覚特性を熟知した高度な技術であることが推察できる。

リファレンスモニターとAQUOS R2の表示映像を縦並びで比較しても、色と明暗の印象が近い

リファレンスモニターとAQUOS R2の表示映像を縦並びで比較しても、色と明暗の印象が近い

中間的な輝度のシーンでは、リファレンスモニターよりもAQUOS R2のほうが明るく見える場面もあった。このあたりは改善の余地がありそうだが、とはいえ数倍も輝度の異なる画面で、映像が同じようなテイストに見えるのは驚きだ。

AQUOS R2のほうが明るく感じる場面も。色味が多少違うか、視野角によるものだろう

AQUOS R2のほうが明るく感じる場面も。色味が多少違うか、視野角によるものだろう

そのほか、難癖に近いレベルの感想だが、緑色の表現においてAQUOS R2はリファレンスモニターより明度が高く蛍光色のように感じる場面があった。これは、測定では判断できない画面サイズの違いと視覚特性によるものかもしれない。

写真では同等に見えるが、目視ではAQUOS R2は緑がやや鮮やかすぎるように感じた

写真では同等に見えるが、目視ではAQUOS R2は緑がやや鮮やかすぎるように感じた

なお、両者の大きな違いは、暗部の階調表現だ。AQUOS R2は最新のIGZO液晶とはいえ、ローカルディミングのない液晶ディスプレイなので、HDRの輝きを表現すべくバックライトを明るくすると、副作用として暗部が浮いて階調潰れが生じる。この点は、モバイル液晶デバイスの宿命と言えそうだ。

ちなみに、部屋を明るくして、ドルビーが明室での適用を推奨する「HDR標準」モードで見ると、暗部の浮きが気にならなくなった。先述の中間的な輝度のシーンで、リファレンスモニターよりもAQUOS R2が明るく見えた感覚もなくなる。周囲が明るくなると、相対的にモニターの輝度差が気にならなくなるのも一因だ。考えてみると、一般ユーザーが暗室でスマホの映像をじっくり鑑賞するような使い方は少ないであろう。

結論として、AQUOS R2の映像はリファレンスモニターに近似していると言ってよい。言い換えると、制作者の意図した映像が忠実に表示できると考えてよいだろう。モバイルスクリーンとしては非常にハイレベルな映像表示クオリティである。

AQUOS R2のディスプレイ詳細設定では、HDRモードが選択できる。HDRシネマ(暗室用)とHDR標準(明室用)はドルビー社がチューニングしたもので、HDR動画再生時は、端末の明るさ設定や自動設定に関わらず、ドルビー社の指定した輝度で表示される

話題の「ツインカメラ+AIライブシャッター」も画期的

すでに各所で話題になっているが、AQUOS R2のもうひとつの注目点がカメラ機能だ。本体裏面に「静止画用のレンズ+センサー」と、「動画用のワイドレンズ+センサー」の2組が搭載されており、この構造を「AQUOS twin camera」と呼称する。

レンズが縦に並んだツインカメラ。上が動画用、下が写真用だ

レンズが縦に並んだツインカメラ。上が動画用、下が写真用だ

動画用のレンズは19mm相当(35mm換算)の超広角で、被写体を取り巻く周囲の雰囲気まで撮影できる。また、被写界深度が深く、被写体全体に常にピントが合った状態が得やすいことにより、視聴時にも快適な動画映像が撮影できるという。静止画は一般的な画角のレンズで撮影でき、背景をボヤけさせ、被写体を浮き上がらせるような表現にも向いている。動画と静止画、それぞれの用途に最適化した形だ。

シャープ通信事業本部 パーソナル通信事業部商品企画部係長 小野直樹氏にお話を聞いた

シャープ通信事業本部 パーソナル通信事業部商品企画部係長 小野直樹氏にお話を聞いた

以下より、画角をiPhone Xと比較してみよう。

 iPhone X 動画(左)、iPhone X 静止画(右)

iPhone X 動画(左)、iPhone X 静止画(右)

AQUOS R2 動画(手ブレ補正ON)(左)、AQUOS R2 静止画(右)

AQUOS R2 動画(手ブレ補正ON)(左)、AQUOS R2 静止画(右)

ポイントは、iPhone Xの場合、静止画よりも動画撮影時のほうが画角がせまくなるのに対し、AQUOS R2は静止画よりも動画のほうが広くなること。動画撮影時は電子式の手ブレ補正をONにすると画角がせまくなりがちだが、AQUOS R2の場合はそれでもかなり広角だ。

動画が広角になれば、屋外なら風景をよりワイドに、室内でもより雰囲気を込めた映像を撮影でき、SNSでのシェアにも向く。そうした用途を前提とし、AQUOS R2には自動でショートムービーを切り出す機能も備えている。こういった機能は、今後SNSでのシェアが静止画投稿から動画投稿にシフトするきっかけにもなりそうだ。

ほか、画期的なのが「AIライブシャッター機能」。動画撮影中に、人物や動物がイイ感じにレンズの中に収まると、標準カメラが高精細写真を自動で撮影してくれるというものである。

実際に試してみたが、猫を撮影していると、後足で首筋を搔いた瞬間にシャッターが切れた。決定的な瞬間を捉えるのは、人間よりも得意そうだ。また、人物を中心に撮影していると、空間と人物の構図がイイ感じになったときに、自動でシャッターが切れる。もちろん、意図しない写真も撮影されるが、あとで削除すればよいだけの話。これは、デジカメ時代の新しい撮影方法と言えるだろう。写真の撮影が苦手なユーザーにも、利用価値がある。

「ビデオ」撮影時に「AI」(カメラアイコン)をオンにしておくと、AIが判断して自動で静止画を撮影する

「ビデオ」撮影時に「AI」(カメラアイコン)をオンにしておくと、AIが判断して自動で静止画を撮影する

AIライブシャッターの撮影例。猫を動画撮影していたら、後足で首筋を搔いた瞬間にシャッターが切れた

AIライブシャッターの撮影例。猫を動画撮影していたら、後足で首筋を搔いた瞬間にシャッターが切れた

まとめ

AQUOS R2は、シャープ独自のIGZO技術とDolby Vision対応によって、モバイル端末ながら映像制作者の意図に忠実な映像美が楽しめる。スマホが映像視聴のメインスクリーンとなりつつある今、AVファンとしてこうした高画質性能は歓迎したい。

また、最近はスマホを選ぶ基準としてカメラ機能が重視されているが、その点、AIライブシャッターは新たな試みで興味深い。通常の写真撮影も、AIが被写体を判断して最適化してくれる点では、一般的なデジカメより使い勝手がイイ。広角動画撮影や自動編集機能は、SNS上でのシェアが盛り上がる最近のトレンドから見てもすばらしいアイデア。ポケットの中にAQUOS R2を入れておけば、AVファンの日常が楽しく豊かになりそうだ。

なお今回は画質をメインにレポートしたが、AQUOS R2はDolby VisionとDolby Atmosの両方に対応するスマホでもある。音質面でも見どころアリだ

鴻池賢三

鴻池賢三

オーディオ・ビジュアル評論家として活躍する傍ら、スマート家電グランプリ(KGP)審査員、家電製品総合アドバイザーの肩書きを持ち、家電の賢い選び方&使いこなし術を発信中。

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