スマートフォンの価格上昇にともなって「格安スマホ」が注目されている。ここでは、原則として価格.comの最安価格や通信キャリアの価格が4万円以下で、メモリー4GB・ストレージ64GB以上、指紋認証センサー搭載という条件を満たした15機種をピックアップ(マイナーチェンジモデルを含む)。キャリア版とオープンマーケット版の両方を合わせて紹介しよう。
スマートフォンの値上がりが続くいっぽうで、いっそうの低価格“超格安”を追求したものが増えている。中には1万円台の製品もある。こうした値段は、性能や機能を選別してコストを下げることで実現している。そのため、機能の制約や動作のスムーズさに欠けるものが多く、予算最優先、サブ機用途、長期の利用は考えない、音声通話が主目的など、基本性能が問われにくい用途に向いている。入門機やエントリーモデルと言われることも多いが、こうした制約のため初めて選ぶものとしては必ずしも適していない点には注意したい。
これとは別に、価格と性能のバランスを追求した“高コスパ”な製品も多い。こうした製品は、値段は多少高くなるものの基本性能に余裕があり、FeliCaや防水・防塵にも対応しているものが多いので、幅広い用途に対応する。メインで使うならこうした製品のほうがよいだろう。
処理性能やグラフィック性能を計測するベンチマークテストの結果は、こうした「超格安」と「高コスパ」を見分けるうえでかなり役に立つ。本記事では、定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」の総合スコアも合わせて掲載している。なお、同アプリの総合スコアが10万点台のものはコストに制約の多い「超格安」で多く見られる。20万点台なら動作のスムーズさは大幅に改善され「超格安」と「高コスパ」の中間的な性質と言える。30万点台なら、最新ゲームも設定を調整すれば十分に動作可能、FeliCaを搭載するものも多く用途が大幅に広がるので「高コスパ」と見てよいだろう(スコアの基準は2022年秋時点のもの)。
オッポのエントリー向け「A」シリーズの2022年モデル。超低価格を徹底しており直販価格は24,800円(税込)で、33,500円だった前機種「OPPO A55s 5G」と比べると3割も安い。そのいっぽうで、ストレージは128GBを確保、前機種では見送られたステレオスピーカーと指紋認証センサーを搭載している。同梱の充電器は33Wの出力に対応しており、約73分でフル充電が完了する。なお、FeliCaは非搭載だ。
搭載されるSoCはエントリー向け「MediaTek Helio G35」で、メモリーは4GB、ストレージは128GB、最大1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSは、Android12をベースにした「Color OS12」だ。ベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン9.X)」の総合スコアは114789だ(価格.comマガジン調べ)。
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モトローラの2022年モデルの中で最安のモデル。HD+表示に対応する6.5インチ液晶ディスプレイは90Hz駆動に対応している。ボディはIPX2の防滴とIP5Xの防塵仕様に対応だが、FeliCaは非搭載。「moto」シリーズの特徴であるAndroidの標準的なユーザーインターフェイスを採用しているため、操作にくせが少なく他社のスマートフォンからでも比較的スムーズに移行しやすい。
搭載されるSoCはエントリー向け「Helio G37」、4GBのメモリーと64GBのストレージ、最大1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSは、Android 12だ。ベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン9.X)」の総合スコアは116901だ(価格.comマガジン調べ)。
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シャオミのエントリー向け「Redmi」シリーズでも最安となる製品。2万円以下の超格安だが、フルHD+表示、90Hzのリフレッシュレート、180Hzのタッチサンプリングレート、最大輝度1000nitに対応する6.43インチ有機ELディスプレイを備える。また、同梱の充電器は33Wの急速充電に対応しており、内蔵する5000mAhのバッテリーを約61分でフル充電が可能。なお、FeliCaは非搭載だ。
搭載されるSoCは、ミドルレンジ向けの「Snapdragon 680」で、この価格帯としてはグレードの高いものだ。メモリーは64GB、ストレージは64GB、512GBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを備える。OSは、Android 11ベースの「MIUI 13」だ。ベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン9.X)」の総合スコアは247150(価格.comマガジン調べ)。
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楽天モバイルの独自モデル。約5.1インチのディスプレイを搭載した小型モデルで、重量が約134gの現役モデルでは屈指のコンパクトさだ。FeliCaポートを備え、IPX8等級の防水仕様と、IP6Xの防塵仕様にも対応している。
楽天モバイル専用機のように思われるがSIMロックはかかっていない。4Gの対応周波数帯もNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクのプラチナバンドが含まれている。回線契約のない端末のみでも販売しているが、eSIM専用機なので、eSIMの用意がないMVNOでは利用できない点には注意がいる。なお、楽天モバイルの回線とセットなら19,001円だが、端末単体の購入では39,800円となる(2022年10月中旬時点の価格)。
搭載されるSoCは、「Snapdragon 480 5G」で、4GBのメモリー、128GBのストレージを組み合わせる。microSDメモリーカードスロットは非搭載。OSはAndroid 11だ。同SoCを備えるスマートフォンの「AnTuTuベンチマーク(バージョン9.X)」の総合スコアは28万前後となっている(AnTuTu公式情報より)。
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2400×1080のフルHD+表示に対応した約6.4インチの有機ELディスプレイを備えるほか、サウンドエンハンサー「Dolby Atoms」に対応するなど映像やサウンドに注力したモデル。IPX2等級の防滴仕様とIP5X等級の防塵仕様をクリアしているが、FeliCaは非搭載だ。
搭載されるSoCは、「MediaTek Helio G85」で、4GBのメモリー、128GBのストレージ、1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSは、Android 11だ。同SoCの「AnTuTuベンチマーク(バージョン9.X)」の総合スコアは22万前後となっている(AnTuTu公式情報より)。
「arrows We」は、5G対応のエントリースマートフォン。NTTドコモ、au、ソフトバンク、UQ mobileの各ブランドで発売されている。価格はいずれも2万円台で、各社の製品ラインアップでは最安クラスの製品だ。
搭載する約5.7インチの液晶ディスプレイはHD+表示対応。ボディは、IPX5/8等級の防水仕様と、IP6X等級の防塵仕様に加えて、米国国防総省の調達基準MIL-STD-810Hの23項目に対応した本格的なタフネス仕様だ。アルコールを含んだシートで拭いたり、泡タイプのハンドソープで丸洗いもできる。FeliCaも搭載している 。
搭載されるSoC「Snapdragon 480 5G」で、4GBのメモリーと64GBのストレージ、1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSは、Android 11だ。ベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン9.X)」の総合スコアは289451(価格.comマガジン調べ)。
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シャープ「AQUOS」の新たなエントリーライン。「AQUOS」シリーズの豊富な機能性を受け継ぎつつ、2万円台の低価格を実現している。「AQUOS wish2」はその派生モデルで、SoCを「Snapdragon 480」からより高性能な「Snapdragon 695 5G」へ、プリインストールされるOSもAndroid 11からAndroid 12へそれぞれ変更されている。ボディは、IPX5/7等級の防水仕様と、IP6X等級の防塵仕様をクリアするほか、MIL-STD-810Hの18項目に対応し、アルコールを含むシートで本体を拭くこともできる。
両機種とも、4GBのメモリーと64GBのストレージ、1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。ベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン9.X)」の総合スコアは「AQUOS wish」が278480、「AQUOS wish2」は345173(いずれも価格.comマガジン調べ)。
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エントリー向け「Xperia Ace」の第3世代モデル。約5.5インチの液晶ディスプレイを備えたコンパクトなスマートフォンだ。また、ディスプレイの保護ガラスに、ハイエンドモデルで採用されることの多い「Corning Gorilla Glass Victus」を採用しており、カギやコインといった金属によるキズへの耐久性や、高い耐衝撃性能を備えているのが大きな特徴だ。また、4500mAhの大容量バッテリーは、独自の充電最適化技術によって3年間繰り返し利用しても、容量の劣化を抑えることができる。
搭載されるSoCはエントリー向け「Snapdragon 480」で、メモリーは4GB、ストレージは64GB、最大1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSは、Android12だ。ベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン9.X)」の総合スコアは298637だ(価格.comマガジン調べ)。
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約6.1インチの有機ELディスプレイ「IGZO OLED」を搭載する「AQUOS sense」シリーズの2021年モデル。ディスプレイのリフレッシュレートは1Hz〜60Hzの可変式で電力消費削減の効果が高い。タッチサンプリングレートは120Hzだ。ボディは、IPX5/8等級の防水仕様と、IP6X等級の防塵仕様をクリアするほか、MIL-STD-810Hの17項目に対応し、アルコールを含んだシートで本体を拭くこともできる。もちろんFeliCaも搭載されている。「AQUOS sense6s」は、SoCを、「Snapdragon 690」から「Snapdragon 695 5G」に変更した派生バージョンだ。
両機種とも、4GBのメモリーと64GBのストレージ、1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。なお「AQUOS sense6」のオープンマーケットモデルには6GBメモリー、128GBストレージモデルが用意される。OSは、Android 11だ。「AnTuTuベンチマーク(バージョン9.X)」の総合スコアは「AQUOS sense6」が31万前後、「AQUOS sense6s」は36万前後(いずれも価格.comマガジン調べ)。
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オッポの主力「Reno A」シリーズの第4世代モデル。防水・防塵対応、FeliCaポート搭載という特徴を受け継ぎつつ、独自の「システム劣化防止機能」を新たに搭載している。これは、メモリーの圧縮方式を見直して空き容量を増やすなどの処理を自動で行い、36か月間使い続けてもシステムの劣化を5%以内に抑えるというもの。近ごろは、1台のスマートフォンを3年、4年と使い続けるケースが増えているので、この機能は注目と言えよう。
搭載されるSoCは、「Snapdragon 695 5G」で、6GBのメモリーと128GBのストレージ、1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSはAndroid 11をベースにした「ColorOS 12」だ。ベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン9.X)」の総合スコアは382147(価格.comマガジン調べ)。
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モトローラのミドルレンジ向け「moto」シリーズに加わった日本専用モデル。IP68等級の防水・防塵対応に加えて、おサイフケータイ用のFeliCaポートを備えつつ、価格を抑えた高コスパスマートフォンだ。約6.8インチの液晶ディスプレイは120Hzのリフレッシュレートに対応しており、画面スクロールもなめらか。モトローラの特徴である、Android標準にならったホーム画面も魅力だ。
搭載されるSoCは、「Snapdragon 695 5G」で、6GBのメモリーと128GBのストレージ、1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSはAndroid 12だ。同SoCのベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン9.X)」の総合スコアは39万前後(AnTuTu公式情報による)。
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「Redmi Note 11」の上位モデルで、防水・防塵対応ボディに120Hz駆動の約6.67インチ有機ELディスプレイを組み合わせている。このディスプレイは1200nitの最大輝度に対応しており、屋外でも視認性が高い。日本向けのカスタマイズとしてFeliCaポートが搭載されている。なお、製品パッケージには67Wの急速充電器が同梱されており、約42分でフル充電が行える。メインカメラは、約1億800万画素の広角カメラ、約800万画素の超広角カメラ、約200万画素のマクロカメラのトリプルカメラだ。
搭載されるSoCは、「Snapdragon 695 5G」で、6GBのメモリーと128GBのストレージを組み合わせる。OSはAndroid 12だ。同SoCのベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン9.X)」の総合スコアは39万前後(AnTuTu公式情報による)。
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5Gに対応したモトローラのエントリーモデル。約6.5インチの液晶ディスプレイはHD+表示対応だが、90Hzのリフレッシュレートに対応。なお、ボディは、IPX2等級の飛沫防水と、IP5X等級の防塵仕様をクリアしている。メインカメラは、約4800万画素の広角カメラ、約200万画素のマクロカメラ、約200万画素の深度センサーという組み合わせのトリプルカメラ。高画素を生かした高解像度の写真や、背景をぼかした奥行き感のあるポートレート撮影が行える。
搭載されるSoCは、MediaTekのエントリー向け「Dimensity 700」で、メモリーは4GB、ストレージは128GBが確保されている。同SoCのベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン9.X)」における総合スコアは29万前後(AnTuTu公式情報による)。
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