レビュー
前モデルの欠点を解消しつつ、有機ELディスプレイ採用で生まれ変わった

ココが変わった!「Xperia XZ3」発売当日レポート

2018年11月9日に、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3社からそろって発売となったAndroidスマートフォン「Xperia XZ3」(ソニーモバイル製)。そのNTTドコモ版「SO-01L」を使い、前モデル「Xperia XZ2」からの進化と特徴をレビューする。

画面サイズ(解像度):約6.0インチ(1440×2880、有機ELディスプレイ)
サイズ(幅×高さ×厚さ):約73×158×9.9mm
重量:約193g
防水/防塵:○(IPX6/8)/○(IP6X)
CPU:Snapdragon 845(2.8GHz×4+1.8GHz×4)
RAM容量:4GB
ストレージ容量:64GB
増設用メモリーカードスロット:microSDXC(最大512GBまで対応)
OS:Android 9.0
Wi-Fi:IEEE802.11a/b/g/n/ac(2.4GHz帯/5GHz帯)
NFC:搭載
FeliCa:搭載
ワンセグ/フルセグチューナー:搭載/搭載
メインカメラ:約1920万画素
フロントカメラ:約1320万画素
バッテリー容量:3200mAh
電池持ち時間:約100時間(SO-01L)
USBポート:USB Type-C

シリーズ初の有機ELディスプレイは大幅な進化を感じる

ソニーのスマートフォン「Xperia」シリーズは、国内市場ではAndroidスマホの定番モデルとして長く人気を保っていた。しかし、今年の5月に発売された前モデル「Xperia XZ2」は、1cm以上の厚みがあるボディや、ライバルと比較してやや劣るスペックもあり、あまり人気が出なかった。そんな中で登場する「Xperia XZ3」は、シリーズの起死回生を賭けた1台と言っていいだろう。

Xperia XZ3のボディサイズは、約73(幅)×158(高さ)×9.9(厚さ)mm、重量は約193gとなっている。ディスプレイは1440×2880のQHD+表示に対応する約6.0インチの有機ELディスプレイ「トリルミナスディスプレイ for mobile」だ。前モデルXperia XZ2とボディサイズを比較すると、横幅が約1mm広がったものの、指摘されることの多かった厚みは1.2mm薄くなり、ギリギリ1cmを下回る9.9mmとなった。重量も5gではあるが軽くなった。実機を持った感触でも、背面の丸みや、側面のフレームの厚みが抑えられたりしたこともあって、持ちやすくなった。

厚みはギリギリ1cm以下に抑えられた。前モデルで指摘されることの多かった携帯性は、改善されている

厚みはギリギリ1cm以下に抑えられた。前モデルで指摘されることの多かった携帯性は、改善されている

曲面ガラスを使った背面のデザインはXperia XZ2を踏襲しているが、ラウンドがよりゆるやかになり持ちやすくなった。ただし、使いにくいと指摘されていた指紋センサーの位置は、背面中央近くに配置されたまま

キャップレスのUSB Type-Cポートを搭載。ヘッドホン端子は省略されており、Bluetoothイヤホンを使うか、有線イヤホンを使う場合同梱の変換アダプターを介してUSB Type-Cポートと接続する

本機最大のポイントはディスプレイだ。Xperiaシリーズ初の有機ELディスプレイを採用しており、サイズもXperia XZ2の約5.7インチから約6.0インチに大型化。画面解像度もフルHD+からQHD+に高められている。このディスプレイには、ソニーの有機ELテレビ「BRAVIA」で培われた画質チューニングが施されているという。

発色の傾向だが、従来のXperiaシリーズの特徴でもあった透明感は継承しつつ、有機ELディスプレイが得意とする明暗差の大きな映像では、臨場感が一層高められている。画面解像度も高いので細かな活字の表示もにじみは感じられず、色かぶりも目立たないなど、有機ELディスプレイのクセをうまく抑えこんでいる印象だ。4K表示に対応するPremiumシリーズを除けば、あまり進化が感じられなかったXperiaシリーズのディスプレイだが、久しぶりに大幅な進化を感じられるものに仕上がっている。

縦横比1:2の縦長ディスプレイとベゼルレスデザインで、表面いっぱいにディスプレイが広がっている

縦横比1:2の縦長ディスプレイとベゼルレスデザインで、表面いっぱいにディスプレイが広がっている

スマホ用の有機ELディスプレイでは先駆的存在の「Galaxy S9」(写真上)と画質を比較。Xperia XZ3は鮮明さを重視し、いっぽうのGalaxy S9は発色が濃くこってりとした印象だ(いずれも輝度はオート、画質モードも初期設定のまま)

電子書籍を表示。ルビの細かな文字もにじまず表示できている。また、背景もきちんと白い色で見えている

電子書籍を表示。ルビの細かな文字もにじまず表示できている。また、背景もきちんと白い色で見えている

長辺部分が湾曲した曲面ディスプレイを採用している。有機ELは視野角でも有利だが、本機はその中でもさらに視野角が広いようだ

スリープ中でもディスプレイに通知や時計などを常時表示するアンビエント表示にも対応している

スリープ中でもディスプレイに通知や時計などを常時表示するアンビエント表示にも対応している

アンビエント表示は、「常に有効」、「スマート表示」、「機器を持ち上げたときに有効」、「オフ」の4種類から選ぶことができる

ボディの側面をダブルタップすることで現れる新機能の「サイドセンス」を使えば、ユーザーがよく使うアプリなどをAIが予想して表示してくれるので、大画面でも快適な操作が行える

基本性能を見てみよう。SoCはクアルコムの「Snapdragon 845」、RAMは4GB、ストレージは64GBとなっており、この点はいずれもXperia XZ2と共通。ただ、OSがAndroid 9.0になっている点が大きく異なる。本機は、発売の時点でGoogle「Pixel 3」シリーズと並ぶAndroid 9.0搭載機ということになる。ただ、本機には、「Pixel 3」に搭載されている「Google レンズ」や、タスクボタンを廃した新しいボタン配置などは採用されておらず、ユーザーインターフェイスの面では従来のXperiaシリーズと変わらない。

ボリューム調整は30段階に細分化された。地味だが、オーディオ機能を重視するXperiaシリーズとしてはうれしい機能強化だ。なお、サウンドに応じてボディを振動させる「ダイナミックバイブレーションシステム」も引き続き採用されている

定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(Ver.7.1.1)」を使用し、実際の処理速度を計測したところ、本機の総合スコアは、273,665(内訳、CPU:79,225、GPU:123,602、UX:61,366、MEM:9,472)となり、前モデルXperia XZ2のスコア254,331と比較して、2万ポイントほど向上している。サブスコアを見ると、描画(GPU)スコアが2万ポイント近く以上伸びていることが効いているようだ。懸念された画面の高解像度化による処理負荷の増加は、このベンチマークテストの結果を見る限り、あまり気にする必要はなさそうだ。

左がXpria XZ3のスコア、右がXperia XZ2のもの。総合スコアで約2万点の向上だが、その多くを描画スコア“GPU”が占めている

メインカメラはシングルレンズのままだが、操作画面が整理された

カメラの機能を見てみよう。ライバル機が軒並みデュアルカメラを採用する中、本機のメインカメラは引き続きシングルカメラとなっている。メインカメラは約1,920万画素のイメージセンサーにF2.0のレンズを組み合わせたもので、ハードウェア自体はXperia XZ2から変更はない。なお、フロントカメラは約1,320万画素のイメージセンサーにF2.0のレンズを組み合わせており、Xperia XZ2の約500万画素から大きくスペックアップしている。

ユーザーインターフェイスは見直され、操作性が向上している。注目の機能は、ポケットや鞄からスマホを取り出して構える動作を感知するだけでカメラが起動する「スマートカメラ起動」だ。胸ポケットから取り出したり、テーブルから拾い上げて動作を試したが、類似する他社のジェスチャー機能と比較しても認識精度は良好で、十分実用的な機能と言える。

メインカメラはシングルレンズのまま。F2.0のレンズや約1,920万画素のイメージセンサーなど、ハードウェアはXZ2から変わっていない

フロントカメラは約1,320万画素のイメージセンサーで、Xperia XZ2の約500万画素から大幅に高精細化している

フロントカメラは約1,320万画素のイメージセンサーで、Xperia XZ2の約500万画素から大幅に高精細化している

シャッターボタンも引き続き搭載されている

シャッターボタンも引き続き搭載されている

カメラアプリの操作画面が整理され、必要な機能の呼び出しは画面右下の「モード」ボタンにまとめられた

カメラアプリの操作画面が整理され、必要な機能の呼び出しは画面右下の「モード」ボタンにまとめられた

以下に本機のカメラで撮影した作例を掲載する。いずれも、カメラ任せのオートモードで撮影を行っている。

背景ぼかしをシングルレンズで行う「ぼかしエフェクト」は、連写した写真を合成して行う。境界線の一部に不自然な部分は見られるが、シングルレンズでもここまでできるという技術力を感じる

五重塔をあえて逆光で撮影。オートHDRが動作し、陰の部分もつぶれずに撮影できた

五重塔をあえて逆光で撮影。オートHDRが動作し、陰の部分もつぶれずに撮影できた

薄暗い高架下を手持ちで歩きながら撮影。条件が厳しいため暗めの仕上がりだが、ノイズは目立たない

薄暗い高架下を手持ちで歩きながら撮影。条件が厳しいため暗めの仕上がりだが、ノイズは目立たない

同じく暗い高架下の撮影だが、こちらはしっかり構えて撮影したおかげで、手ぶれが抑えられ、仕上がりも明るくなった

8倍のデジタルズームを使って撮影。超解像技術を使うことで粗さを補っており、比較的キレイに撮れている

8倍のデジタルズームを使って撮影。超解像技術を使うことで粗さを補っており、デジタル8倍ズームとしては比較的キレイだ

1320万画素のイメージセンサーを搭載したインカメラは画質も十分。歴代モデルに搭載されるARエフェクトと組み合わせれば、自撮りも楽しい

本機のメインカメラはシングルレンズだが、超解像技術を組み合わせたデジタルズームや4K HDRの動画撮影、毎秒960コマのスーパースロー動画撮影など独自機能も豊富で、機能面で今期のハイエンドスマホと比べても見劣りはしない。ただ、夜景などの高感度撮影は、決して悪くはないものの、ISO感度51200を実現した「Xperia XZ2 Premium」や、F値を自動で切り替えられるデュアルアパチャー機能を備えたサムスン「Galaxy S9」、トリプルレンズカメラを搭載したファーウェイ「P20 Pro」のように、肉眼で見えないものまで撮れるとうほどではない。高感度撮影に徹底的にこだわるのであれば、これらのライバル機のほうが適しているが、そこまでこだわらないのであれば本機のカメラ性能でも十分なものだ。

最近のXperiaシリーズと比較するとバッテリー消費は激しい

価格.comに寄せられる本機のユーザーレビューにおける「バッテリー」の点数は3.61(SO-01L)項目別ランキングは48位、SOC39は3.97で項目別ランキングは36位(いずれも2018年11月14日時点の数値)で、となっており、ほかの項目と比較するとあまりかんばしくない。ユーザーがバッテリー持ちに不満を持っていることがわかる。

バッテリーの容量自体は前モデル「Xperia XZ2」の3060mAhから3200mAhへ増加しているものの、実際の利用パターンに近い条件で計測した「電池持ち時間」はSO-01Lで約100時間、SOV39では約85時間となっており、Xperia XZ2の約125時間(SO-03K)と約105時間(SOV37)と比べ確かに悪化している。電池持ち時間を計測していないソフトバンク版についても、連続通話時間および連続待ち受け時間ともに数値は悪化している。

今回の検証では、待ち受け主体の利用パターンだとフル充電から残量10%までちょうど48時間と比較的良好だったが、ベンチマークテストやカメラの作例撮影などで多用したケースでは残量44%から5%まで11時間22分で消費していた。計算上フル充電すれば1日は持つことになるが、ゲームや動画視聴の際に、予想よりもかなり速いペースでバッテリーを消費することがあったのが気になった。こうした急激なバッテリー消費は、ディスプレイが液晶から有機ELに変わったことが考えられる。ソニーモバイルの説明によれば、有機ELディスプレイのバッテリー消費は、液晶ディスプレイよりも表示する内容の影響を受けやすく、画面に白い(明るい)部分が多いか黒い(暗い)部分が多いかでも違ってくるらしい。

こうした有機ELディスプレイの特徴を理解すれば、使い方次第でバッテリーの消費を抑える余地もあるが、バッテリー持ちが良好な近ごろのXperiaシリーズの感覚で接すると、「バッテリーがあまり持たない」という感想を抱くのも無理ないだろう。

検証を行った5日間のバッテリー消費のグラフ。待ち受け状態ではバッテリー消費は穏やかだが、ディスプレイを表示させると、グラフの傾きが急に大きくなりハイペースでバッテリーを消費する傾向がある

有機ELディスプレイの搭載に加え、前モデルの欠点を払拭。ネックはバッテリー持ち

以上、Xperia XZ3のレビューを行った。10mm以下に抑えられた厚みや、有機ELに刷新されたうえにQHDに高められた画面解像度など、前モデルのXperia ZX2の欠点を改善したXperiaの復活を強く印象づけるモデルで、総じて満足度は高い。また、近ごろのXperiaシリーズはOSのバージョンアップに熱心で製品の寿命が長く保てそうなのも心強い。特に、「分離プラン」が検討され、今後端末の価格が値上がりすることが予想される昨今の情勢を見ると、この点は重要だろう。いっぽう、気になったのはバッテリー持ち。1日は持ちそうだが、最近のXperiaシリーズの中ではバッテリーは持たないほうだ。その点は考慮に入れる必要があるだろう。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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