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マルチキャリア化、料金プランの低価格化、OPPO、ファーウェイなど

2018年を振り返る、格安SIM/MVNO業界ニュース


順調に成長が続く格安SIMの契約数は、2018年9月末時点で1,198万回線。サービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)は962事業者に上ります(総務省の統計資料より)。スマホユーザーの1割近くを占めるにいたった格安SIM市場では、今年もいろいろな動きがありました。そのなかから一般のユーザーにも関連する話題をピックアップしてみたいと思います。

ニュースその1:複数のネットワークに対応する「マルチキャリア化」が進む

基地局などの大掛かりなネットワーク設備を持たないMVNOは、大手キャリア3社いずれかのネットワークに相乗りして通信サービスを提供しています。そのほとんどがドコモの回線を使っているのですが、2018年はauやソフトバンクの回線も選べる「マルチキャリア」化したMVNOが増えてきました。

代表例の1つが「mineo」です。これまでmineoでは、ドコモ回線で使える「Dプラン」と、au回線で使える「Aプラン」を提供していましたが、2018年9月からはソフトバンク回線で使える「Sプラン」がスタート。これにより、mineoは大手キャリア3社のネットワークすべてに対応するMVNOとなりました。

今年に入ってソフトバンクと資本・業務提携を締結した「LINEモバイル」も、従来のドコモ回線に加えて、7月からはソフトバンク回線の提供を開始しています。また、150万回線を抱える格安SIMシェアトップの「楽天モバイル」も、10月からはau回線が選べるようになり、ドコモ回線とのマルチキャリアになりました。

mineoは2018年9月から大手キャリアすべてのネットワークに対応(画像はmineoのWebサイトより)

mineoは2018年9月から大手キャリアすべてのネットワークに対応(画像はmineoのWebサイトより)

マルチキャリアのメリットは、大手キャリアから乗り換えるときに、それまで使ってきたスマホ端末を引き続き利用しやすいところです。

たとえば、ドコモ回線しか提供していないMVNOにauやソフトバンクから乗り換える場合、機種によってはSIMロックを解除しても利用できないことがあります。大手キャリアのスマホには販売するキャリアのネットワークに特化しているものがあり、他社のネットワークにつながる能力を備えていないケースがあるからです。

しかし、マルチキャリアのMVNOであれば、au回線やソフトバンク回線も選べるので、大手キャリアのスマホのままで乗り換えられる可能性が高まるのです。

ただ、すべてのスマホが乗り換え後も使えるわけではありません。また、同じネットワークの格安SIMに乗り換える場合でも、一部の機種ではSIMロックの解除が必要です。格安SIMでは動作確認済みスマホのリストを公開しているので、手持ちのスマホで使えるかどうか、契約前に必ずチェックしておきましょう。

ニュースその2:大手キャリアのMVNO対抗策がさらに進む

昨年、MVNOを意識した割安な料金プランが大手キャリアから登場しました。2017年7月に登場したauの「auピタットプラン」「auフラットプラン」がその一例ですが、今年も大手キャリアの料金プランは低価格化の流れが続いています。

2018年5月、ドコモからライトユーザー向けのパケットパックとして、単独契約向けの「ベーシックパック」と、家族契約向けの「ペーシックシェアパック」が登場しました。

ベーシックパック/ベーシックシェアパックは、実際の通信量に応じて料金が変わる段階制のパケットパックです。ベーシックパックの場合、その月の通信量が1GBまでなら3,132円、3GBまでなら4,320円、5GBまでなら5,400円、上限の20GBまでなら7,560円、といった具合です。

ベーシックパック契約時のスマホ向け月額料金一覧(2年契約あり)

ベーシックパック契約時のスマホ向け月額料金一覧(2年契約あり)

通話料が従量制の基本プランである「シンプルプラン(スマホ)」(月額1,058円)とベーシックパックを組み合わせた場合、月額料金は4,514円〜8,942円(月額324円のspモード利用料を含む)。格安SIMに比べれば割高ですが、シンプルプランと組み合わせられるようになったため、ドコモにおける従来の料金プランよりも下限額が安くなりました。

いっぽう、ソフトバンクは9月に料金プランを一新し、「ウルトラギガモンスター+」の提供を始めました。

ウルトラギガモンスター+は毎月50GBまで使える大容量のデータ利用量に加えて、YouTubeやInstagramといった対象のサービスを利用した際の通信が無料になる「ゼロレーティング」に対応しています。ゼロレーティングといえば、LINEモバイルや「BIGLOBEモバイル」といった一部の格安SIMで採用されており、対象サービスをよく利用するユーザーほどデータ利用量を節約できるのが特徴です。

月額料金は通話定額オプションの有無によって異なり、オプション無しなら8,078円、毎回最初の5分間だけ無料なら8,618円、すべての通話が無料なら9,698円となります。

ウルトラギガモンスター+契約時の月額料金一覧(2年契約あり)

ウルトラギガモンスター+契約時の月額料金一覧(2年契約あり)

格安SIMでも月50GBまでの大容量プランを契約できるものはありますが、月額料金は1万円を超えるので、実はウルトラギガモンスター+のほうが割安です。大手キャリアや格安SIMといったキャリアの形態を問わず、スマホのヘビーユーザーすべてをターゲットに据えた料金プランと言えます。

ニュースその3:OPPOが日本国内での端末販売を開始

2018年1月、中国のスマートフォンメーカー「OPPO(オッポ)」が日本市場に参入しました。OPPOはサムスン、ファーウェイ、アップル、シャオミに次ぐ、世界第5位の出荷台数シェアを誇るスマホメーカーです(2018年第3四半期、調査会社IDCの資料より)。

世界のスマートフォン出荷台数シェア(2018年第3四半期、IDCの資料より)

世界のスマートフォン出荷台数シェア(2018年第3四半期、IDCの資料より)

参入したばかりのOPPOですが、特徴的な機種を次々に投入しています。

8月に登場した「R15 Pro」は、国内メーカー製スマホではおなじみのおサイフケータイと防水に対応しています。11月に発売された「Find X」はカメラをスライド式にしたことで、いわゆる「ノッチ」のないデザインを実現しました。同じく11月に登場した「R17 Neo」は、日本国内では初となるディスプレイ内蔵型の指紋センサーを搭載しているのが特徴です。

また、楽天モバイルや「IIJmioモバイルサービス」「NifMo」など、OPPOの端末を格安スマホとして取り扱うMVNOも登場。R17 Neoは「UQ mobile」が独占販売するなど、この1年でOPPOの存在感は一気に高まりました。来年の動向にも注目です。

ニュースその4:「悪意のある機能が組み込まれた機器」の除外が報じられる

順調に拡大を続ける市場に影響を与えかねないニュースも聞こえてきました。

12月10日、政府のサイバーセキュリティ対策推進会議において、「悪意のある機能が組み込まれた機器」(同日付の菅官房長官記者会見より)の調達を、中央省庁が回避するための方針が申し合わせられたと報じられました。

政府は特定の企業名を挙げてはいませんが、各所の報道では「中国のファーウェイとZTEを排除する動き」とされています。

中国と貿易をめぐって争う姿勢を崩さない米国の影響を強く受けたとされるこの方針自体は、一般のユーザーに影響するものではありません。ですが、すでに気になる動きも報じられています。大手キャリアのドコモ、KDDI、ソフトバンクは政府の方針に合わせて、今後ネットワーク設備に両社の製品を採用しない方針を固めたというのです。

ファーウェイといえば、いまや国内のSIMフリースマホ市場における販売台数シェアの半分を占めるメーカーです。2018年は「P20 lite」の注目度が非常に高く、価格.comのスマートフォン人気ランキングでも長く1位をキープしています。

登場時から高い注目を集め続けるファーウェイの「P20 lite」(ファーウェイのWebサイトより)

登場時から高い注目を集め続けるファーウェイの「P20 lite」(ファーウェイのWebサイトより)

ネットワーク設備不採用の方針はキャリアから正式に発表されたものではありませんし、政府もファーウェイを名指ししているわけではありません。しかし、ファーウェイをはじめとした中国企業の製品を除外する動きが実際に始まれば、企業間取引だけでなく、一般ユーザー向けの市場にまで影響が拡大しないとは言い切れません。

その結果、大手キャリアやMVNOがファーウェイなど中国企業製のスマホを取り扱わなくなる可能性もゼロではありませんし、家電量販店やインターネット通販を利用して購入できたとしても、動作確認などのサポートを受けられず、ユーザーの自己責任で利用しなければならなくなることも考えられます。

いっぽう、報道で名前が挙げられているファーウェイは、事業を展開するすべての国や地域における法律や規制に遵守しており、余計なハードウェアやマルウェアが見つかったとする報道は事実無根であるとする、異例の声明を発表しています。

悪意のある機能が本当に組み込まれているとすれば大きな問題ですが、ファーウェイが表明しているように事実ではなかった場合、政治的な駆け引きにわれわれ一般の人間が巻き込まれた事例と言えます。今回の動きには、年明け以降も注視していきたいと思います。

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

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