レビュー
超広角/広角/3倍ズームのトリプルカメラを備えたハイエンドモデル

現状最速のAndroidスマホ、ソフトバンク版「Huawei Mate 20 Pro」レビュー

ファーウェイのハイエンドスマートフォンである「Mate 20 Pro」は、SIMフリーモデルに加えて、ソフトバンクからも通信キャリア版モデルが2019年1月11日から発売された。ファーウェイでは本機を“最速のAndroidスマホ”とアピールしているが、新たに発売されたソフトバンク版を1週間ほど使用して、その実力に迫った。

画面サイズ(解像度):約6.39インチ(1,440×3,120、有機ELディスプレイ)
サイズ(幅×高さ×厚さ):約72.3×157.8×8.6mm
重量:約189g
防水/防塵:○(IPX8)/○(IP6X)
CPU:Kirin 980(2.6GHz×2+1.92GHz×4+1.8GHz×4)
RAM容量:6GB
ストレージ容量:128GB
増設用メモリーカードスロット:HUAWEI NM Card(最大256GBまで対応)
OS:Android 9.0
SIMカードスロット:nanoSIM×1
Wi-Fi:IEEE802.11a/b/g/n/ac (wave2、2.4GHz帯/5GHz帯)
NFC:搭載
FeliCa:非搭載
フルセグ/ワンセグチューナー:非搭載/非搭載
生体認証:指紋認証(ディスプレイ認証)、顔認証
メインカメラ:約4,000万画素(広角、メイン)、約2,000万画素(超広角)、約800万画素(望遠)
フロントカメラ:約2,400万画素
バッテリー容量:4,200mAh
USB:USB Type-C(HUAWEI SuperCharge対応)

Mateシリーズの最新ハイエンドモデルが登場

豊富な製品ラインアップを誇るファーウェイのスマートフォン。その中でも「Mate 20 Pro」は、「P20 Pro」とともに、ハイエンドモデルの両雄という位置づけだ。「P」シリーズはパーソナル志向、「Mate」シリーズはビジネス志向とされるが、それほどハッキリ分かれているわけではない。

「Mate 20 Pro」は、そんな「Mate」シリーズの最新モデル。昨年登場の前モデル「Mate 10 Pro」と比べて、画面サイズが0.39インチ広がった約6.39インチとなり、画面解像度もフルHD+(2,160×1,080)から、1,440×3,120表示にアップした有機ELディスプレイを備える。この有機ELディスプレイは、長辺部分がややラウンドしており、ソニー「Xperia XZ3」のそれと似ている。また、ディスプレイ上に指紋認証センサーが内蔵されており、表面全体がディスプレイといった雰囲気だ

ボディは、IP8X等級の耐水性能と、IP6X等級の防水仕様をクリア。耐衝撃ボディではないが、製品パッケージには樹脂製のケースが同梱されている。なお、NFCポートは備わるが、FeliCaポートは非搭載だ。昨年夏にNTTドコモから発売された「P20 Pro」はFeliCaポートを備えていたので、この点は少々残念である。

縦長約6.39インチの大型有機ELディスプレイがボディの表面を覆い尽くさんばかりに広がっている

縦長約6.39インチの大型有機ELディスプレイがボディの表面を覆い尽くさんばかりに広がっている

「iPhone X」に似た大きめのノッチがディスプレイ上部設けられている。ノッチの中にはカメラやスピーカー(受話口)、照度センサーが収まっている

ディスプレイの長辺部分がラウンドしており、手にした際に持ちやすく感じる

ディスプレイの長辺部分がラウンドしており、手にした際に持ちやすく感じる

製品パッケージには透明の樹脂製カバーが同梱されている

製品パッケージには透明の樹脂製カバーが同梱されている

CPUの性能は現時点で最速だが、グラフィック性能はライバルにやや劣る

本機はファーウェイ自社製の最新SoC「Kirin 980」を搭載している点でも注目を集めている。ライバルのクアルコム製SoC「Snapdragon 845」よりも高性能であるとファーウェイがアピールしているSoCだ。

「Kirin 980」は、7nmプロセスを採用することでダイサイズの小型化と省電力を実現。前モデル「Kirin 970」と比較してCPUの電力効率が約58%、GPUの電力効率は178%も向上しているという。CPUコアは、パフォーマンス追求コア「Coretex-A76(2.6GHz)」を2基、処理性能と電力消費をバランスさせたミドルコアに「Coretex-A76(1.92GHz)」を2基、省電力コア「Coretex-A55(1.8GHz)」を4基組み合わせた仕様だ。GPUはARMが設計した最新世代の「Mali-G76」で、前世代の「Mali-G72」と比較して46%の処理性能向上を実現している。このほか、AI処理に特化した「NPU」コアを、前モデル「Kirin 970」の1基から2基に倍増させている。この「Kirin 980」に、6GBのRAMと128GBのストレージを組み合わせたものが、Mate 20 Proの基本スペックだ。なお、外部メモリーとしては、一般的なmicroSDカードではなくファーウェイ独自のメモリーカード「MN card(256GBまで対応)」を組み合わせる。OSは、最新のAndroid 9だ。

7nmプロセスをいち早く採用して製造されたSoC「Kirin 980」。搭載されるCPUコアも、高性能型×2、バランス型×2、省電力型×4と多様だ。また、AI処理に特化した「NPU」は、昨年モデル「Kirin 970」の1基から2基に増やされた

実際の処理性能を、定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を使って計測したところ、総合スコアは272,109(内訳、CPU:102,303、GPU:97,667、UX:59,721,
MEM:12,418)となった。SoCに「Snapdragon 845」を採用し、本機と同じ6GBのRAMを備えるシャープ「AQUOS zero」の総合スコア278,733(内訳CPU:83,860GPU:123,579、UX:62,516、MEM:8,823)に比べるとやや低い。ただし、サブスコアを見ると、処理性能一般に関わる「CPU」については本機のほうが2割ほど高く、グラフィック性能を示す「GPU」のスコアではAQUOS zeroのほうが高いという違いがあり、用途によって優劣は分かれそうだ。

なお、上記の本機のスコアは、初期設定のものだが、処理性能に特化した「パフォーマンスモード」も用意されている。こちらに切り替えた場合の総合スコアは305,388(CPU:113,938、GPU:110,662、UX:67,547、MEM:13,241)となり、1割ほど向上する。

AnTuTuベンチマークのスコア。左が本機、右が「AQUOS zero」。通常の処理を行うCPUのスコアは本機が、グラフィックのスコアはAQUOS zeroのほうが高いという結果となった

3Dグラフィック性能に特化したベンチマークアプリ「3DMark」では、ベンチマーク項目のひとつ「Sling Shot」のスコアは、本機が「2599」に対して、サムスン「Galaxy S9」が5,770となっている。このほかの計測項目を見ても、Galaxy S9のほうが高い結果となった。

「3DMark」のベンチマークテストの結果。左が本機、右が「Galaxy S9」のもの。いずれの計測項目も、Galaxy S9のほうが高い

バッテリー周辺の性能を見てみよう。本機は、容量4,200mAhという大容量バッテリーを搭載する。カタログスペックによると、連続通話時間(静止時)は約2,350分(FDD-LTE)、連続待受時間(静止時)は約496時間(FDD-LTE)で、シャープ「AQUOS zero」の連続通話時間(静止時)約2,230分(FDD-LTE)、連続待受時間(静止時)は約555時間(FDD-LTE)よりもやや劣る。

今回の検証は7日間行い、その間充電は3回行った。フル充電にしておけば、30〜45時間程度はバッテリーが持った形だ。ストリーミング動画の視聴やゲーム、撮影などで酷使したわりにはバッテリーが減らない印象で、ゲームプレイなどの高負荷時にはバッテリー消費ペースが速まる「AQUOS zero」よりも、バッテリー持ちは良好に思われる。

なお、本機に同梱されるACアダプターとUSB Type-Cケーブルは40Wという高出力に対応するファーウェイ独自の急速充電「HUAWEI SuperCharge」に対応している。これを使えば本機のバッテリーを約75分でフル充電できる。実際に使ってみたところ、残量ゼロからフル充電までに買った時間は約66分で済んだ。「Quick Charge」や「USB PD」といったほかの急速充電規格と比較すると、だいたい半分程度の時間しかからない。

このほか、ワイヤレス充電のQiに対応しているほか、ファーウェイのワイヤレス充電器「CP60」を使えば、15Wの大出力でワイヤレス充電が行える。ちなみに、本機のQiポートは、出力ポートとしても機能するので、本機からほかのQi対応機器への充電も行える。

検証7日間のうち直近5日間のバッテリー消費を示すグラフ。ゲームをプレイしたり高解像度のストリーミング動画を視聴しても、バッテリーの消費は比較的ゆるやかな印象だ

超広角、広角、3倍ズームと思い通りの画角で撮影できるトリプルレンズカメラ

本機は、カメラ機能にも特徴がある、メインカメラは、超広角レンズ(35mm換算で16mm)
を備えた約2,000万画素、広角レンズ(35 mm換算で27mm)を備えた約4,000万画素、光学3倍ズーム(35mm換算で81mm)を備えた約800万画素というトリプルカメラ仕様だ。また、フロントカメラも約2,400万画素というハイスペックなものである。昨年夏に登場したファーウェイの「P20 Pro」もトリプルカメラだったが、そのうちのひとつは階調情報を記録するモノクロカメラなので本機とは構成が異なる。

メインカメラは、「P20 Pro」や「Mate 10 Pro」で搭載されていたモノクロセンサーがなくなり、3台のカメラすべてが映像を記録するようになった

以下にメインカメラを使って撮影した作例を紹介しよう。なお、断り書きのない場合はカメラ任せのオートモードで撮影している。

16mmの超広角レンズで撮影。広角らしく広々とした構図となるが、垂直だった右端の街路樹が大きくゆがんでいる

上と同じ構図を、27mmの広角レンズで撮影。センサーの画素数が約4,000万画素といちばん高く、画質の面では一番有利なカメラとなっている

光学3倍ズームの望遠カメラで撮影。広角レンズでは遠くに写っていた櫓が構図いっぱいに広がっている

光学3倍ズームの望遠カメラで撮影。広角レンズでは遠くに写っていた櫓が構図いっぱいに広がっている

光学3倍カメラで背景をぼかす「アパーチャ」モードを使い、構図奥の櫓にピントを合わせた。手前の松の葉のボケが大きく、一眼カメラに中望遠レンズを組み合わせたような仕上がりとなった

超広角カメラで「アパーチャ」モードを使った。こちらも構図左手前の松の葉にピントを合わせている。構図の奥になるほどにボケの量が増え、立体感を強調できる

広角カメラを使って「夜景」モードで夜の空中庭園を撮影。葉の質感はもちろん、植え込みに紛れている赤い花まで識別できる。筆者が過去に試した中では最高の夜景画質だった「Xperia XZ2 Premium」と甲乙付けがたい高感度性能だ。明るすぎず、肉眼の印象に近い点も好印象だった

こちらも広角カメラを使って「夜景」モードで撮影。ビルの合間から見える雲までハッキリ写っており、超現実的と言っていいほど鮮明である

上と同じ構図を、オートモードで撮影。多少暗くなるが、それでも鮮明さはかなりのもの

上と同じ構図を、オートモードで撮影。多少暗くなるが、それでも鮮明さはかなりのもの

光学3倍カメラで「夜景」モードを使い、夜の花壇を撮影。夜とは思えない鮮明さで写っている

光学3倍カメラで「夜景」モードを使い、夜の花壇を撮影。夜とは思えない鮮明さで写っている

上と同じ構図を、広角カメラを使い「夜景」モードで撮影。こちらも肉眼より数段明るく鮮明、手ぶれもほとんど見られない

超広角カメラで撮影。幻想的な夜景が撮れた

超広角カメラで撮影。幻想的な夜景が撮れた

本機のカメラは、3段階の画角が使える点が新鮮だ。特に、3つ目の3倍ズームは35mm換算で81mmという中望遠なので、構図に変化を持たせやすい。もうひとつの目玉である夜景撮影機能は、モードを切り替えたうえで、数秒そのまま持ち続ける必要があるものの、超現実的な夜景を簡単に撮影できて楽しい。自慢のAIによるシーン認識も、類似する他社のものでは認識までにワンテンポほど時間がかかるが、本機はそうしたタイムラグがなく高速かつ迷いがない。

検証に際して、数百枚の作例を撮影したが、手ぶれ、被写体ぶれ、ピントの迷いなどの失敗写真がかなり少なく済んでいる。明白に失敗したのは「夜景」モードで動く電車を撮影したときくらいだ。きれいな写真を簡単に撮れる点において本機のカメラは満足度が高い。

現時点で最高性能&撮影が楽しくなるカメラが特徴。FeliCaポート非搭載は残念

本機は、CPUの処理性能が高く、スペック的にはかなりの高性能で、Androidスマホでは、現状最速のモデルと言ってもいいだろう。1時間ほどでフルチャージできるバッテリーも魅力だし、高感度撮影に強いうえに、3段階の画角を選べるカメラもスマホの使い方を広げてくれる。ハイエンドスマートフォンとしての魅力は非常に高い。

いっぽう、国内のキャリアモデルであるのに、FeliCaポートを搭載していない点が気になる。NTTドコモから発売された「P20 Pro」ではFeliCaポートを搭載していたので、この点は率直に言って残念だ。

FeliCaポートの有無にはこだわらず、3Dゲームの描画よりも、通常の操作における軽快な動作を求める場合、本機は適していると言えよう。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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