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2020年に商用サービス開始

今夏にも対応スマホが登場?5Gをめぐる国内最新事情

2019年2月末に、スペイン・バルセロナで開催されたモバイル製品の見本市「MWC2019」では、次世代のモバイル通信規格である「5G」に対応するスマートフォンが多数登場し、話題をさらった。これら5G対応スマホをめぐる国内の最新事情を解説しよう。

MWC2019で登場した5Gスマホ、今夏にも国内投入か?

「5G」こと「第五世代移動通信システム」は、現在の4G(LTE/LTE Advanced)の後継となるモバイルネットワークの新しい規格だ。その特徴は、“超高速&超大容量”、“超低遅延”、IoT機器を想定した“同時多接続の実現”という3点にある。4Gと比較すると、通信速度の上限が10〜20倍の10〜20Gbpsに、無線区間の遅延も1/10となる1ms以下に、接続できる機器の数が1平方キロメートル当たり100万台と10倍に増える。これらの通信性能は、IoTの普及でさらに激増するモバイルネットワークの需要に対応するためのものだ。

5Gを巡る世界の情勢を見ると、アメリカの通信キャリア「ベライゾン」や「AT&T」では、家庭用やモバイルWi-Fiルーターなどの形ですでに5Gの商用サービスを開始している。また、韓国の通信キャリア「KT」でも2019年3月に5Gサービスを始める。いっぽう、5G対応のスマートフォンは、それより少し遅れて、今年の上期から発売される予定だ。

そんな状況もあり、MWC2019では、サムスン「Galaxy S10 5G」、LG「LG V50 ThinQ」、ファーウェイ「Mate X」、シャオミ「Mi Mix3 5G」といった5G対応のスマホが数多く公開され、注目を集めた。国内の通信キャリアについては、まだ5G対応スマホの発売時期を公表していないが、5Gを想定した新しいサービスの実証試験を進めており、サービス自体はまだ利用できないものの、今夏にはいくつかの5G対応スマホが発売されることが見込まれている。

気になる5Gスマホの価格だが、現状、5Gに対応するためにはクアルコムの「Snapdragon 855」やファーウェイの「Kirin 980」といった最新世代のハイエンドSoCに、高価な5G対応モデムを組み合わせる必要がある。端末の価格も通常のハイエンドモデルよりも、さらに高めになるのではないかと目されている。そう考えると、今夏に登場するかもしれない5G対応端末を買うかどうかは悩みどころだが、日本国内では5Gサービスの開始が2020年になるということもあり、それまで様子見という選択肢もありだろう。

折り曲げられる有機ELディスプレイを備えたファーウェイの「Mate X」は5Gに対応する。グローバルモデルは今年中ごろの発売予定

LGの「Dual Screen for LG V50ThinQ 5G」(写真左)と「LG V50ThinQ 5G」(写真右)。2台のスマホを組み合わせて2画面として使うというユニークな機能を備える。グローバルモデルは今年の夏頃発売される予定

シャオミの5Gスマホ「Mi Mix3 5G」の価格は、比較的安価な599ユーロ。ただし、国内への導入は予定されていない。グローバルモデルは今年の上期に発売される

MWC2019のソニーブースでも5G対応の試作スマートフォンが展示されていた

MWC2019のソニーブースでも5G対応の試作スマートフォンが展示されていた

KDDIが実証試験を行った5Gを念頭に置いた「ARサッカー観戦」。タブレットを使って、視点をリアルタイムで切り替えられるほか、ARで選手の情報を確認できる。

国内の5Gサービス開始は2020年。エリア展開が進むのは2025年ごろ

5Gをめぐる国内の状況を見てみよう。今年4月の初めに、総務省は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天の4社に、5G向け電波の割り当てを決定する。割り当てられるのは、3.7GHz 帯(帯域幅100MHz×5枠)、4.5GHz帯(帯域幅100MHz×1枠)、28GHz帯(帯域幅400MHz×4枠)という合計10枠で、いずれも4Gの頃よりも格段に帯域幅が広い。特に28GHz帯は、LTEと比較すると10倍の帯域幅なので、超高速のデータ通信が行える。ただし、28GHz帯は、従来のモバイル通信では使われない高周波数帯であり、基地局から届く電波の範囲がかなり狭く、人影でも電波が遮られてしまう。1台の基地局でカバーできるエリアも、半径100メートル程度が限度とみられている。なお、3Gや4Gで使われる低周波数帯なら、同じサイズの設備でも半径が2〜3キロメートルの範囲に電波が届く。これと比較すると、まとまったエリア構築にはかなりの手間と時間がかかることが容易に想像できる。

電波の枠が決まったら、5Gのプレサービスが始まる。NTTドコモは、今年9月に行われる「ラグビーワールドカップ2019」に向けて、プレサービスを用意する。auも2019年にごく限られたエリアでのサービスを実施する。ソフトバンクも2019年夏以降にプレサービスを開始する。事前に公開された情報を見る限り、これらのプレサービスでは基本的に端末のレンタルを想定しているようだ。

プレサービスが終わり、2020年に入ると商用サービスが始まる予定だ。多くのユーザーが5Gを使えるのはこのタイミングだ。ただし、前述の通り、5Gの電波は高周波数帯を使用するため、より細かい基地局設置が必須となる。そのためはじめのうちは、限られたエリアからサービスが始まると思われる。5Gのエリア展開は、都市部のターミナル駅周辺、スタジアム、イベントホールなど利用者の集中する場所に加えて、遠隔医療や自動運転の用途に向けて、医療機関や主要な幹線道路なども重視される。また、国の掲げる“地方課題の解決”や“地方創生”の効果も期待されているので、工事現場や農地などでニーズがあれば地方であっても優先的にエリア構築が行われる。いずれにしても全国に広く5Gネットワークが行き渡るのはまだ数年の月日が必要となるだろう。

エリア展開のペースについては、総務省の指針が参考になる。総務省では全国を10平方メートルで区切った約4500のメッシュを作り、2025年までにそのメッシュの半分に、5Gの「高度特定基地局」(エリア展開の基盤となる大型基地局のこと)を整備すべし、としている。この通りに行くと仮定するなら全国各地の多くのユーザーが5Gを使えるようになるのは、2025年ごろになるだろう。

総務省が公表している5G導入のための指針。地方も重視したエリア展開が求められているのが特徴だ

総務省が公表している5G導入のための指針。地方も重視したエリア展開が求められているのが特徴だ

何かと話題の5Gだが、当面の間5Gネットワークは4Gのネットワークを併用する「ノンスタンドアロンモード」で運用される。5Gネットワークには4Gが必須なので、4Gがなくなることは当面の間はあり得ない。しばらくの間はLTEをメインとしながらも、5Gネットワークエリアが徐々に広がってくるというイメージになりそうだ。対応スマホ選びも、こうしたスケジュール感を頭に置いて行うのが賢明だろう。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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