平成デジタルガジェット史
かくしてケータイ文化が花開き、薄型テレビの普及が加速する

激動の平成デジタルガジェット史 第7回:平成19〜21年(2007〜2009年)

30年にわたった「平成」という時代も今年で終わりを告げる。そんな平成という時代は、価格.comとも深い関わりのあるパソコンやデジタルガジェットが急激に成長した時代であった。そこで、平成時代の終わりに、この30年でパソコンやデジタルガジェットの世界がどのように変化してきたかを、3年ごとにざっくりとまとめてみようというのがこの連載企画だ。第7回の今回は、平成19〜21年(2007〜2009年)の3年間にフォーカスして、この時代をデジタルガジェットたちとともに振り返ってみよう。

平成19年(2007年) 液晶・プラズマ競争が起こるさなか、BDレコーダーが登場し、テレビ界隈がにぎやかに

平成19年(2007年)のデジタルガジェット界を見てみると、テレビ関連製品が非常に充実していた年だったことが思い出される。平成15年に開始された地上デジタル放送(地デジ)もこの頃になるとだいぶ一般化してきており、従来のブラウン管テレビから地デジ対応の薄型テレビへと買い換える動きが大きくなってきていた。薄型テレビも、液晶テレビとプラズマテレビの2方式を軸にさまざまな製品が登場し、価格も安くなってきていたことから、本格的な普及期を迎えていた。

パイオニア「KURO PDP-5010HD」

プラズマテレビの画質を極限まで高めた名機、パイオニア「KURO PDP-5010HD」

そんな時代を代表する出来事のひとつとして、プラズマテレビ陣営の中心的存在だったパイオニアが、この年の10月に「KURO」というシリーズを新たにスタートした。それまでもパイオニアのプラズマテレビ「PureVision」シリーズは、独自の製造技術によって、他社を凌駕する黒の沈み込みを実現しており、一部ハイエンドユーザーからの高い支持を得ていたが、それをさらに推し進めた形で登場した「KURO」シリーズは、一躍脚光を浴びる存在となった。価格は50インチクラスの製品で50万円程度はしたが、それでも、その当時のほかの液晶テレビはもちろん、プラズマテレビにも真似のできないその画質で、高くても売れた製品となった。

東芝「REGZA 37Z3500」

初のUSB外付けHDD録画を可能にした、東芝「REGZA 37Z3500」

もうひとつ、この年に発売されたテレビ製品で忘れられないのは、東芝が発売した液晶テレビ「REGZA Z3500」シリーズである。この前年の平成18年にスタートした「REGZA」シリーズであるが、初期モデルはまだ独自のキャラクターを確立できていなかった。しかし、この年に発売された「REGZA Z3500」シリーズは、業界初の「外付けUSB HDD録画機能」を搭載。テレビ内部にHDDを内蔵して録画できるテレビはこれまでにもあったが、こうしたモデルが割高だったのに対して、外付けHDDを取り付けることで録画機能を実現する「REGZA Z3500」シリーズは、本体だけなら割安であった。しかも、パソコンの周辺機器としてすでに所有しているユーザーも多かったため、DVD/HDDレコーダーなどを別途買うよりずっと手軽にHDD録画を実現できるという点でも、ユーザーの好評を得た。これ以降、「REGZA」と言えば「USB HDD録画」といった独自のブランドイメージが定着するようになり、自慢の「超解像技術」とともに「REGZA」ブランドの知名度を一気に押し上げていくことになる。

このように、プラズマテレビは大画面&高画質&高価格、液晶テレビは中画面&中画質&低価格というように、棲み分けができていたのがこの頃だった。「プラズマ派 VS 液晶派」といった論戦がクチコミ掲示板などでも活発に起こり、初めて購入する薄型テレビをどちらにするか、いつ頃が買い時なのかといったことが、ガジェットファンの間でも一番の話題となっていた。

ソニー初の有機ELテレビ「XEL-1」

ソニー初の有機ELテレビ「XEL-1」

ちなみに、あまり話題にはならなかったが、この年の12月、ソニーが初の有機ELテレビ「XEL-1」を発売した。有機ELパネルはこの当時、まだ小型用途限定でしか使われていなかっため、11インチと画面サイズが小さく、しかも価格は20万円近くしたので、あまり実用的でなかったこともあり、後継モデルが出ずに終わってしまったが、今となって考えると、先見の明はあったと言えるプロダクトだ。

こうした薄型テレビの進化と普及に合わせて、テレビ番組を録画するレコーダーのほうも進化と普及を遂げていた。この年で象徴的なのは、「ブルーレイレコーダー」が一般化したことである。ブルーレイレコーダー自体は、平成15年(2003年)から登場していたが、この頃はまだブルーレイ規格が定まっておらず、メーカーによって使用できるブルーレイディスクが異なるなど、使い勝手がいいとは言えなかった。さらに、東芝などは次世代ディスク規格としての「HD DVD」もまだ捨ててはいないという状況だった。

パナソニック「DIGA DMR-BW900」

パナソニック「DIGA DMR-BW900」

しかし、前年の平成18年にブルーレイ規格が定まり、「PS3」の発売とともにBD-ROM対応の再生コンテンツなども増えてくると、一気にブルーレイの普及が始まった。特にこの年発売された、パナソニック「DIGA DMR-BW900」やソニー「BDZ-X90」などの製品は、テレビ録画の圧縮方式を、従来のMPEG-2のみから「MPEG-4 AVC」に対応させたことで録画時間が飛躍的に伸び、人気を呼んだ。また、これらのシリーズのベーシックモデルの価格が10万円を切ったことで入手しやすくなったことも大きかったといえるだろう。こうして、テレビ放送のレコーダー界隈も、従来の「DVD/HDDレコーダー」から「ブルーレイ/HDDレコーダー」へと徐々に切り替わっていくことになった。

いっぽう、進化が高まるいっぽうだった携帯電話市場では、ワンセグ携帯が進化。3.2型の大画面が90°に回転する「ヨコモーション」と呼ばれる回転機構を備えた「FOMA F905i」(ドコモ/富士通)などが人気となった。この頃の携帯電話はフルブラウザー機能を備え、一般のPC向けWebサイトなども見ることができたが、本機のディスプレイはVGAを超える480×864ドットの解像度を実現し、Web視聴も快適に行えた。

「ヨコモーション」で一斉を風靡したワンセグケータイ「FOMA F905i」(ドコモ/富士通)

「ヨコモーション」で一斉を風靡したワンセグケータイ「FOMA F905i」(ドコモ/富士通)

また、携帯電話のカメラ機能もさらに進化していた。この年発売されたカシオの「EXILIMケータイ W53CA」(au)は、カシオのコンパクトデジカメ「EXILIM」のデザインをそのまま踏襲したような大型の28mm広角レンズを背面に備えた510万画素カメラを搭載。180°回転するヒンジによって、液晶画面を外側に表示させることで、デジタルカメラのような撮影スタイルを可能とした。今後、このようなデジカメスタイルの携帯電話が多く登場することになり、携帯電話のカメラ機能も完全に成熟した感が強くなった。

カシオ「EXILIMケータイ W53CA」(au)。デジカメブランドを冠した携帯電話シリーズの走り

カシオ「EXILIMケータイ W53CA」(au)。デジカメブランドを冠した携帯電話シリーズの走り

このほか、この年の9月には、アップルの「iPod」シリーズから、前面を液晶パネルにした新モデル「iPod touch」が発売された。「iPod touch」は分類的にはデジタルオーディオプレーヤーであったが、Wi-Fiにつなげばインターネット端末として動作し、YouTubeの動画なども視聴可能。また内蔵アプリでPDA的な使い方もできるなど、後の「iPhone」のベースになる要素を多分に持った製品だった。ただ、当時の評価では賛否両論で、普通のオーディオプレーヤーとしては、従来の「iPod Clasic」や「iPod nano」のほうがいいという人が多かった。

アップル「iPod touch」。「iPhone 3G」のベースともなった音楽プレーヤーだ

アップル「iPod touch」。「iPhone 3G」のベースともなった音楽プレーヤーだ

●この年発売された主なデジタルガジェット

・クリプトン・フューチャー・メディア「VOCALOID2 初音ミク」

その後一大フィーバーとなるボカロイド「初音ミク」の元祖ソフト。ヤマハの開発した音声合成システム「VOCALOID」に対応したボーカル音源で、音程を付けて歌わせることができることで話題となった。バーチャルアイドルというキャラ設定が受けて、その後、初音ミクをテーマにしたさまざまな動画作品が作られ、YouTubeなどで広まったことで、一大ムーブメントとなった。

・任天堂「Wii Fit」

前年平成18年に発売された任天堂「Wii」向けのフィットネスアプリ+ボードのセット。自宅で手軽にフィットネスができるとあって(当時フィットネスブームだった)、かなり話題になり、これをきっかけに「Wii」を購入した人も多いほどのヒットとなった。ある意味で、ゲーム機にゲーム以外の広がりの可能性を示したエポックメイキングな製品ともいえる。

平成20年(2008年) リーマンショックの年。PCではネットブックブーム到来。そして「iPhone 3G」がいよいよ日本発売開始

「リーマンショック」の年として知られる平成20年。この年を契機に日本の経済状態が悪化したと言われており、「デフレ経済」「失われた10年」などの言葉が飛び交うようになったが、ある意味では、デジタルガジェット界でも、この年、こうした景気の潮目的な出来事が起こったように思う。

まず、パソコン市場では、この年の1月に発売されたASUS(ASUS Tek)の「Eee PC 4G-X」が話題となった。本製品は7インチ液晶(800×480)を搭載した小型のノートPCであるが、何しろ衝撃的だったのはその価格。国内での販売価格は49,800円(税別)で、「Windows XP Home Edition」を搭載するノートPCとしては、当時でも最安。本国・台湾では299ドルで発売されたこともあって、すぐに品薄になるほどの人気となったが、日本国内でも、手軽なおもちゃ感覚のデバイスとして人気を集めた。

ASUS(ASUS Tek)「Eee PC 4G-X」。5万円以下で買える簡易パソコンとして人気を集め、「ネットブック」ブームの先駆けとなった

この「Eee PC 4G-X」の人気をきっかけに始まったのが、いわゆる「ネットブック」と呼ばれる簡易ノートPCのブームである。これらネットブックは、CPUに性能としては低いが単価の安い「Atom」や「Celeron M」などを採用。数GBの小容量SSDをストレージとして備えていたため、起動は速く、さっと使える点は魅力だった。もちろん複雑な処理などは苦手だが、インターネットブラウザーやオフィスアプリを動かすくらいなら余裕のスペックを持ち、低価格のエントリーマシンとして、また家庭用の2台目のパソコンとして、この後しばらくブーム的な人気を得ていくこととなる。

その薄さとスタイッリッシュさに誰もが衝撃を受けたであろう「MacBook Air」

その薄さとスタイッリッシュさに誰もが衝撃を受けたであろう「MacBook Air」

そのいっぽうで、インテル製アーキテクチャーに方針を変換してから好調のアップルからは、薄くて軽いモバイル用ノートPC「MacBook Air」が登場した。それまでの「MacBook Pro」などに比べて明らかに薄いボディは、わずか1.94cm。発表会で当時のスティーブ・ジョブスが、封筒から取り出して見せたパフォーマンスで大いに話題となった。そのスタイリッシュな外観から、当時日本国内でも流行始めたスターバックスコーヒーの店頭に行くと、この「MacBook Air」を広げた若者であふれているといった現象まで起こったほどである。

ちなみに当時のパソコン市場全体としては、不振と言われていた「Windows Vista」の時代であり、WindowsPCは今ひとつ盛り上がっていなかった感が強い。そこに、カウンター的に現れた、低価格のネットブックと、スタイッリッシュな「MacBook Air」の登場は、パソコン市場に欠けていた、パソコン自体としての魅力というものを再認識させてくれた事件だったかもしれない。

アップル「iPhone 3G」。日本国内で発売された初の「iPhone」としてこの年登場した

アップル「iPhone 3G」。日本国内で発売された初の「iPhone」としてこの年登場した

そして、「MacBook Air」に引き続いて、この年7月に好調のアップルが発売したのが、おなじみ「iPhone」シリーズの先駆けである「iPhone 3G」だ。前年にアメリカでは初代の「iPhone」が発売されてはいたが、日本国内で発売されたのは本製品が初。そういう意味では、国内では初代の「iPhone」ということになる。なお、この当時、「iPhone」の国内販売はソフトバンクが独占しており、ソフトバンクはこれを契機に大きく利用者を延ばしていくことになる。

「iPhone 3G」は、「3G」の名を冠している通り、3Gの電波方式(W-CDMA)に対応したスマートフォンであったが、当時はまだスマートフォンが何ができるものなのか理解している人は少なく、アップルと言えば「iPod」で有名だったこともあり、当時は「電話のできるiPod(音楽プレーヤー)」的な扱いだった。ただ、3.5インチ液晶のタッチによる快適な操作性や、サードパーティーが専用アプリを自由に開発して販売できる「App Store」の存在など、その後のスマートフォンの基本を成す部分は、すでにこの「iPhone 3G」で完成されており、サードパーティーや個人プログラマーによる専用アプリの数も日増しに増加するなど、発売から半年ほどで日本国内でも「iPhone 3G」の人気は定着していった。

このアップル「iPhone 3G」の黒船襲来的な出来事はあったが、日本の携帯電話市場はさらに進化を進めており、この時点でのハードウェア的な出来では、まだまだ携帯電話のほうがハイスペックであったことは間違いない。その代表格とも言える「FOMA P906i」(ドコモ/パナソニック)などは、3.1インチのワイドVGA+液晶画面を備え、縦にも横にも開くという独自のギミックを備えていた。カメラは510万画素で、当然ワンセグ対応となる。

ドコモの「FOMA P906i」(パナソニック製)。縦にも横にも開くというギミックを搭載していた

ドコモの「FOMA P906i」(パナソニック製)。縦にも横にも開くというギミックを搭載していた

また、この年の11月に発売された「N-01A」(ドコモ/NEC)に至っては、画面の回転機構にプラスして、キーボード面がスライドで隠れるサイクロイド機構を搭載した3Wayスタイルで話題を呼んだ。キーボードを隠した状態のタッチスタイルは、まさにスマートフォンのそれとほとんど同じだったが、やはりアップル「iPhone 3G」がもたらしたスマートフォンのアーキテクチャーとは根本的に異なっており、このあたりが日本の携帯電話の最高到達点となった感が強い。

ドコモの「N-01A」(NEC製)。回転式ディスプレイ+キーボードがスライドする3Wayスタイルを実現した高級機

ドコモの「N-01A」(NEC製)。回転式ディスプレイ+キーボードがスライドする3Wayスタイルを実現した高級機

ちなみに、この年流行したデジタルガジェットとして、「デジタルフォトフレーム」がある。小型の液晶ディスプレイをフォトフレーム状に仕立て、SDカードなどに記録された写真データを表示するデジタルフォトフレームは、数年前から特に中国・台湾メーカーなどが生産しており一定の人気があったが、この年、ソニーが市場に再参入したことで一気に一般化した。この当時、デジタルカメラはすでに一般普及しており、携帯電話でも500万画素のカメラを搭載するようになっていたため、デジタル写真自体はかなり撮影されるようになっていたが、それらをプリントアウトして保存するという使われ方はむしろ減少していた。そこで、こうしたデジタル写真をデータのまま活用する方法として登場したのが、このデジタルフォトフレームだった。1万円程度で購入できる製品もあり、ちょっとしたプレゼントなどにも使えることから人気となり、携帯電話キャリアでは、これと通信モジュールを組み合わせて、いつでも写真をネットから受け取れるという製品も登場した。

デジタルフォトフレームブームを根付かせた、ソニー「DPF-V900」

デジタルフォトフレームブームを根付かせた、ソニー「DPF-V900」

●この年発売された主なデジタルガジェット

・ニコン「D700」
1210万画素のフルサイズCCDを搭載したデジタル一眼レフカメラ。比較的コンパクトなボディでライブビュー機能などを搭載するなど、完成度が高く、ミドルクラスのフルサイズ機の定番製品として人気となった。

・キングジム「ポメラ DM10」
文具メーカーのキングジムが発売した「デジタルメモ」専用機。4インチモノクロ液晶に折りたたみ式のキーボードを備え、乾電池駆動でコンパクトに収納できるなど、文章を入力するということに特化した割り切った仕様が逆に人気を呼んだ。今でも続く「ポメラ」シリーズの初代モデル。

・カプコン「モンスターハンターポータブル 2nd G」
PSP向けに開発されたハンティングアクションゲーム。PS2向けに作られた「モンスターハンター」を進化させたタイトルだが、この「2nd G」は特に人気となり、後のモンハン人気に火を付けたタイトルとして知られる。PSPを持ち寄っての協力プレイも流行した。

平成21年(2009年) スマホ本格化元年。Windowsは不振の「Vista」から安定の「7」へ

アップル「iPhone 3GS」。発売から全世界で100万台売れたとも言われるほど、iPhone人気を押し上げた1台

アップル「iPhone 3GS」。発売から全世界で100万台売れたとも言われるほど、iPhone人気を押し上げた1台

平成21年は、国内市場において「スマートフォン」が大きく認知された「スマホ本格化の元年」ともいえる年だった。前年の7月より発売が開始された「iPhone 3G」は、まだ一部のガジェット好きだけが注目していたような節もあったが、徐々にそのメリットが浸透していった結果、1年後に改良版の「iPhone 3GS」が発売されると、爆発的なヒットを記録。「iPhone 3G」ではやや弱かった処理性能やバッテリー持ちなどが改善されたほか、この頃になると、App Storeに掲載されるアプリの数もかなりの数に上っており、一般層にも広く「iPhone」が浸透するようになった。

こうした「iPhone」の動きに対して、Googleが開発していた「Android OS」を採用したスマートフォン「HT-03A」(ドコモ/HTC)が、7月に国内販売を開始している。意外なことに、この「HT-03A」は、NTTドコモの公式スマートフォンとして発売されたが、これには、「iPhone」を独占販売していたソフトバンクへの対抗措置という意味合いもあったのだろう。ただ、この当時はまだAndroidも不完全な感じで、すでにかなり完成度の高かった「iPhone」の「iOS」に対抗できるほどではなかった。また、同じNTTドコモからは、これとは別に「BlackBerry Bold」(RIM)というBlackBerry端末も主に法人向けに発売されていたほか、マイクロソフトの「Windows Mobile」を採用した「HT-02A」(HTC)や「T-01A」(東芝)も発売されていた。

国内では初のAndroidスマホとなったドコモの「HT-03A」(HTC製)

国内では初のAndroidスマホとなったドコモの「HT-03A」(HTC製)

スマートフォンとしては、iPhoneよりも早く普及した「BlackBerry」の1モデル「BlackBerry Bold」(RIM)。キーボード付きでオバマ大統領も愛用した

Windows Mobile搭載のスマートフォン、ドコモ「HT-02A」(HTC製)

Windows Mobile搭載のスマートフォン、ドコモ「HT-02A」(HTC製)

このように、NTTドコモをはじめとする携帯キャリアはこの当時、従来からの携帯電話ラインアップを中心にしつつも、Windows Mobile、Android、BlackBerryと、さまざまなタイプのスマートフォン端末をなかば実験的に展開しており、どこが主流になるかはまだわからない状況だった。しかし、その中でも上述のアップル「iPhone 3GS」は、他機種を圧倒的に凌駕する人気となり、スマートフォンの主導権は完全にアップル「iPhone」が握るという流れになっていった。

マイクロソフト「Windows 7」。その後、10年の長きにわたって使われるロングセラーOSとなった

マイクロソフト「Windows 7」。その後、10年の長きにわたって使われるロングセラーOSとなった

いっぽう、パソコンの世界では、評判のかんばしくなかった「Windows Vista」が3年でリプレイスされ、代わりに、より安定感の高い「Windows 7」が登場していた。「Windows 7」は「Windows Vista」をベースに改良を加えたOSだが、「Windows Aero」などのビジュアルを重視していた「Vista」とは異なり、UI的にはむしろややおとなしくなった雰囲気があったが、ユーザーにはむしろ歓迎された。このOSを愛用するユーザーもいまだに多く、来年2020年1月に延長サポートも含めた一切のサポートが終了する予定だが、実に10年以上の長きにわたって使い続けられたOSとなった。

イー・アクセス「Pocket WiFi」の初号機「D25HW」(ファーウェイ製)。このシリーズを当時愛用していた方も多いのでは?

なお、まだ携帯電話全盛のこの時代、ノートパソコンでモバイルインターネットを楽しむためには、小型のデータ通信端末(Wi-Fiルーター)が必要だった。この分野でリードしていたのは、PHSを主体としたウィルコムだったが、この年、PHS回線よりも高速なモバイルインターネット回線が登場。KDDI系のUQコミュニケーションズからは、最大通信速度75Mbpsの「モバイルWiMAX(UQ WiMAX)」が登場し、大きな話題となった。また、ブロードバンド通信業者のイー・アクセス系のイー・モバイルからは、下り最大5.8MbpsのHSPAに対応した「Pocket WiFi」が発表。その小型ルーターの初号機「D25HW」(ファーウェイ製)が発売。この「Pocket WiFi」はその手軽さと料金の安さが受け、この後長きにわたり多くのモバイルユーザーに愛用されることとなる。

東芝のモンスターマシン「CELL REGZA」。「全録」という概念を広めた「タイムシフトマシン」を搭載。テレビの見方を変えた1台

テレビ市場に目を向けると、この頃伸張の勢いががすさまじかった東芝「REGZA」シリーズより、超ハイスペックモデルの「CELL REGZA(55X1)」が発表され、業界を震撼させた。「CELL REGZA」は、当時「PS3」などに搭載されていた高性能プロセッサー「Cell Broadband Engine」を搭載し、東芝が得意とする「超高画質」を実現したほか、地デジチューナーを8基搭載して「全録」を可能とする「タイムシフトマシン」を搭載したことで話題となった。それまでも、ブルーレイ/HDDレコーダーで3基ほどの地デジチューナーを搭載した製品はあったが、「CELL REGZA」の「タイムシフトマシン」は、8チャンネル分の地デジ放送を2TBのHDDに常時録画しておき、後から見たい番組を見つけて視聴するという、新たなテレビの見方を提案。これまでのテレビの概念を打ち破った製品となった。ただ、もちろん価格は高く、「55X1」の本体価格は100万円と、これまた度肝を抜くような高価格設定だった。なお「CELL REGZA」は、この後も平成22年に改良版の「X2」シリーズ、「XE2」シリーズが発売されるが、その後は、普及価格帯の「Z」シリーズなどに「タイムシフトマシン」機能を搭載するようになったことで、その役割を終えた。

オリンパスのフォーサーズ・一眼レフカメラ「OLYMPUS PEN E-P1」。レトロポップなデザインでエントリー層に人気を得た

このほか、デジタルカメラ市場では、フォーサーズ規格に対応した低価格のレンズ交換式カメラが続々登場。オリンパスからは「OLYMPUS PEN E-P1」が、パナソニックからは「LUMIX DMC-GF1」などが発売されている。また、ソニーからは、初の裏面照射CMOSセンサーを搭載したコンパクトデジカメ「サイバーショット DSC-WX1」が発売されるなど、今のデジカメ市場につながる技術がこの頃実用化されている。

●この年発売された主なデジタルガジェット

・スクウェア・エニックス「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」

「ニンテンドーDS」向けタイトルとして登場した初の「ドラクエ」タイトル。なかでも、「ニンテンドーDS」のワイヤレス通信機能を使った「すれちがい通信」という機能が話題となり、東京などの大都市では、すれちがい通信用の待ち合わせ場所がいくつか設置され、今の「ポケモンGO」の「ジム」にも通ずるような光景があちこちで見られた。

鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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