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しっかり準備して乗り換えよう

「格安SIM」の契約時に見落としがちな“落とし穴”に注意!


いよいよ半年後に実施される予定の消費増税。通信費を削減して家計節約の一助とするべく、大手キャリアからMVNO(仮想移動体通信事業者)の「格安SIM」に乗り換えることを検討している人もいることでしょう。

実は格安SIMには、いざ契約という段階に進むまでなかなか気が付かない「落とし穴」のような注意点がいくつかあります。そこで今回は、格安SIMの新規契約時において、特に気を付けておきたいポイントを3つピックアップしてみたいと思います。

(1)乗り換え前後で名義が揃っていないとダメなの!?

まずは、回線の契約者名義についての注意点です。

あるキャリアを契約している人が、電話番号はそのままで別のキャリアに乗り換える場合、「携帯電話・PHS番号ポータビリティ(MNP)」制度が利用できます。MNP自体はすでに定着した制度なのですが、格安SIMを提供するMVNOへ転入する場合には特に注意したいポイントがあります。

それは、回線の「契約者名義」です。MNP制度では、「転入する前のキャリア」と「転入した後のキャリア」における契約者の名義が一致していないと、乗り換えることができないからです。

たとえば、「夫」「妻」「子ども」のスマホをまとめて格安SIMに乗り換えようとしている家族がいたとしましょう。このうち「夫」と「妻」は自分自身、「子ども」は「夫」の名義でスマホを契約しているものとします。もしも、乗り換え先となる格安SIMの契約者名義を3回線とも「夫」にした場合、「妻」は転入前後で名義が変わってしまうので、乗り換えることができません。

MNP制度を利用して転入する際の手順に関する説明の一例。一番下の青枠内に記されているように、転入の前後で名義が一致していなければなりません(IIJmioのWebサイトより)

このことが特に問題となるのは、ひとつの契約で複数枚のSIMカードを発行し、すべての回線でデータ利用量を分け合える料金プランを選ぶ場合です。

上記の家族の場合、「夫」の名義で格安SIMを契約すると、「妻」と「子ども」が使うために追加発行したSIMカードの名義も「夫」になるので、このままでは「妻」だけが乗り換えられないことになってしまうのです。

ひとつの契約で複数枚のSIMカードが利用できる料金プランでは、すべてのSIMで名義が一致している必要があります(イオンモバイルのWebサイトより)

乗り換えの前後で名義が揃っていなければならないのは大手キャリアに乗り換える場合でも同じなのですが、大手キャリアでは回線の名義をほかの人に変更する譲渡の手続きができるので、転入してからでも名義を別の人に変えることが可能です。

しかし、一部の格安SIMでは、姓が変わった時しか名義変更ができません。この場合、変更できるのは名義人の「姓」のみで、名義人そのものをほかの人に変更する譲渡の手続きはできないことになります。

大手キャリアから格安SIMに乗り換えるなら、その前に回線の契約者名義を確認しておきましょう。格安SIMを契約する予定の人と名義が異なる場合は、乗り換え先で譲渡の手続きができない可能性も考えて、大手キャリアに留まっているうちに名義変更を済ませておくのをお忘れなく。

(2)格安SIMなのに2年縛りがある!?

次は、料金プランの自動更新契約、いわゆる「縛り」についてです。

大手キャリアでは2年単位で契約が更新される、いわゆる「2年縛り」のある料金プランが主に提供されています。2年ごとに設けられている「更新月」の期間以外に解約や乗り換えをするには、10,260円の契約解除料がかかります。

いっぽう格安SIMでは、音声通話SIMに対して半年〜1年程度の「最低利用期間」を設けていたり、契約から1年以内にMNP制度を利用する場合の「転出手数料」を割高に設定していたりするMVNOが多く、契約が自動更新されることはほとんどありません。大手キャリアのような縛りがないのは、格安SIMのメリットでもあります。

ところが、なかには大手キャリアのような縛りのある料金プランを提供しているケースもあります。

大手キャリアの“サブブランド”と呼ばれる「ワイモバイル」や「UQ mobile」では、スマホ向けの料金プランである「スマホプラン」(ワイモバイル)や「おしゃべりプラン」および「ぴったりプラン」(UQ mobile)において、2年単位の自動更新契約を採用しています。そのため、更新月以外のタイミングで解約または乗り換えをすると、大手キャリアと同額の契約解除料が請求されてしまいます。

赤枠で目立たせた部分に明記されているように、サブブランドでは契約が自動更新される料金プランを提供しています(ワイモバイルのWebサイトより、赤枠は筆者が追加)

契約が自動更新されるのか、それとも最低利用期間が明ければ契約解除料はかからないのか、といった情報は各社のWebサイトに記されていますが、契約の検討時にはデータ利用量や月額料金などに意識が集中してしまい、こうした条件は見落としてしまいがちです。「こんなはずではなかった」と後悔することがないように、新規契約の手続きをするときに「最低利用期間」か「契約期間の自動更新」なのかをしっかり把握しておきましょう。

なお、価格.comが毎月実施している通信速度調査(関連記事:格安SIM人気12回線の通信速度を比較 速い/遅いMVNOは?)でもまとめているように、サブブランドには一般的な格安SIMよりも通信品質が良いというメリットがあります。ひんぱんに乗り換えるつもりがないのであれば、通信品質と引き換えに縛りを受け入れるのもひとつの選択です。

(3)SIMロックを解除しても使えない!?

最後は、SIMロックの解除についての注意点です。

2015年5月以降にSIMロックをかけた状態でキャリアから発売されたスマホは、各キャリアが定めた条件を満たすことでSIMロックを解除することができます。アップルの「iPhone」シリーズで言えば、2015年9月に登場した「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」以降のモデルが該当します。

SIMロックを解除すると、スマホの購入元とは異なるキャリアのSIMカードをセットして使えるようになります。たとえば、NTTドコモで購入したスマホをau(KDDI)に持ち込んで使いたい場合、SIMロックを解除しなければなりません。また、事前にSIMロックを解除しておけば、海外渡航時に現地のプリペイドSIMなどを使うことができます。

大手キャリアのスマホを格安SIMで使う場合、端末を販売したのと同じキャリアのネットワークを使っていれば、原則としてSIMロックの解除は不要です。大多数の格安SIMはドコモのネットワークを借りてサービスを提供しているので、ドコモの中古スマホならほとんどの格安SIMで利用できることになります。

いっぽう、端末の購入元とは異なるキャリアのネットワークを使う格安SIMに乗り換えるには、SIMロックを解除しなければなりません。ここで注意したいのは、その端末が持つネットワークへの対応能力です。なぜかというと、大手キャリアが販売しているスマホの多くは、そのキャリアのネットワークに最適化されているからです。

特に、電波のつながりやすさに大きく影響する「プラチナバンド」と呼ばれる周波数帯については、ほとんどの機種が販売元のキャリアにしか対応していません。ほかのキャリアのプラチナバンドにまで対応しているのは、アップルのiPhoneシリーズなど一部の機種に限られています。

auが公開しているiPhoneシリーズの対応周波数帯一覧。灰色はauが使っていない周波数帯です。いわゆるプラチナバンドについては、au(LTEバンド18/26)だけでなくドコモ(LTEバンド19)やソフトバンク(LTEバンド8)にも対応していることがわかります(auのWebサイトより)

いっぽう、au独自の機種である「Qua phone」や「Qua tab」の場合、プラチナバンドはauのものにしか対応していません(auのWebサイトより)

プラチナバンドが使えないと、電波がつながりにくくなったり、場所によってはずっと圏外になってしまったりします。お目当ての格安SIMが本来対応しているネットワークとは異なる場合、SIMロックを解除しても満足に使えるとは限らないのです。

そこで、大手キャリアのスマホを格安SIMでも使い続けるつもりなら、MVNO各社がWebサイトで公開している「動作確認済み端末」のリストを必ずチェックしておきましょう。自分が使っている端末がリストに載っていなければ、残念ながらその格安SIMでは使えないということ。動作が確認されているほかの格安SIMを探したり、端末を買い換えたりすることも検討しましょう。

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

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