2009年に登場したWindows 7だが、いよいよ延長サポート終了へ向けたカウントダウンが始まっている。OSの移行作業は想像以上に手間がかかるので、直前になって慌てなくてもいいように、Windows 7ユーザーの方は今から準備を始めておきたい。
そこで、事前の準備やデータの移行、アップグレードの方法までを連載でお届けする。まずは、アップグレードの前に知っておきたい基本情報の確認からスタートしよう。
いよいよ、Windows 7の延長サポート終了が近づいてきた
マイクロソフトの製品は発売後、最低5年間の「メインストリームサポート」と、最低5年間の「延長サポート」が提供される。メインストリームサポートでは、新機能の追加や仕様変更も含めて幅広いサポートが提供されるが、延長サポートに入ると基本的に、セキュリティ関連の更新プログラムのみの提供となる。
つまり、延長サポートが終わるということは、セキュリティ更新プログラムが提供されなくなるということだ。パソコンが使えなくなるわけではないのだが、以下のような被害を受ける可能性が高まる。
・ウイルスへの感染
・フィッシング詐欺
・個人情報の漏えい
・パソコンの乗っ取り
「最近はパソコンを使う機会も少ないし、自分はこのままでもいいや」という方がいるかもしれないが、自分の問題だけでは済まないケースもあるので要注意。
ウイルスに感染すれば、アドレス帳に登録している人にウイルスがばらまかれるかもしれない。パソコンを乗っ取られてしまうと、自分のパソコンを経由して不正行為が行われることもある。これは、自分が加害者となってしまう、いわゆる「なりすまし」被害だ。
また、古いソフトウェアや周辺機器を使っている場合、OSのサポート終了に合わせて更新プログラムの提供が終わり、セキュリティの問題を抱えることになる。場合によっては、動作保証の対象外になることもあるだろう。
こうした問題点を回避するには、パソコンを使う限りにおいてはサポートが提供されるWindows 10へのアップグレードが必要になる。ちなみに、Windows 8.1はすでに延長サポートに入っており、2023年1月11日にサポート終了となる。
パソコンを安心して使うために、Windows 10へアップグレードしよう
Windows 7環境からWindows 10環境へ移行する方法は、下記の3つがある。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分に合ったアップグレード方法を選択しよう。
Windows 7環境にWindows 10を上書きする。インストール済みのソフトや保存しているデータがそのまま引き継がれるため、最も手軽な方法だ。後述するWindows 10のシステム要件を満たし、まだまだ現役で使えるパソコンならこの手はありだ。
ただし、Windows 10では動作しないソフトが削除されたり、アップデート後に起動できない、といったケースはあり得る。また、万一に備え、データのバックアップは必ず取っておきたい。
ハードディスクをいったん初期化するため、保存しているデータのバックアップと、アップデート後の復元が必要になる。ソフトや周辺機器のドライバーソフトも再インストールが必要だ。こちらも、現役で使えるパソコンが対象となる。
手間はかかるが、メリットは旧環境に引きずられることなく、Windows 10をクリーンにインストールできる点にある。また、大容量のハードディスク、あるいはSSDに換装することを検討するにもいいタイミングとなる。
予算的に余裕があれば、最も理想的な方法がこれだ。最新のパソコンを購入すれば、Windows 10をより快適に使えるようになる。この機に、パソコンの買い換えを検討するのもいいだろう。
デメリットとしては、データの移行、ソフトや周辺機器のドライバーソフトの再インストールに手間がかかる点だ。
なお、(2)と(3)のケースだが、市販の引っ越しソフトを使って比較的簡単にデータを移行する手段もある。そのあたりの詳細は今後、本連載の中で紹介する。
今使っているパソコンをWindows 10にアップグレードする場合は、パソコンがWindows 10へのアップグレードに必要なシステム要件を満たしているか確認しておく必要がある。Windows 10のシステム要件は、Windows 7とほぼ同等なので問題ないと思われるが、念のためだ。
●Windows 10のシステム要件
CPU:1GHz以上のプロセッサーまたはSoC
メモリー:64ビット版は2GB以上、32ビット版は1GB以上
HDD空き領域:64ビット版は20GB以上
32ビット版は16GB以上
グラフィックス:DirectX 9以上(WDDM 1.0ドライバー)
ディスプレイ:800×600以上
これらの情報は、「コンピューターの基本的な情報の表示」「システム情報」「DirectX 診断ツール」で調べることができる。
「コンピューターの基本的な情報の表示」を開くには、「コントロールパネル」から「システムとセキュリティ」→「システム」とクリックする。
画面が開いたら、「プロセッサ」でCPUの種類、「実装メモリ(RAM)」で搭載メモリー量がわかる。また、システムの種類では、パソコンが32ビットベースか64ビットベースか確認できる。
この画面で、CPUの種類、メモリーの搭載量、64ビット/32ビットのいずれかが調べられる
「システム情報」を開くには、「スタート」メニューから「すべてのプログラム」→「アクセサリ」→「システムツール」→「システム情報」とクリックする。
「システム情報」が開いたら、「コンポーネント」→「記憶域」→「ドライブ」とクリック。表示される画面の「C:」ドライブの「空き領域」が調べるハードディスクの空き容量だ。
この画面で、ハードディスクの空き容量がシステム要件を満たしているか調べる
続けて、「コンポーネント」の「ディスプレイ」をクリック。表示される画面の「解像度」の値がシステム要件の「800×600以上」であるか調べる。
解像度が「800×600以上」かどうかを調べる
「DirectX 診断ツール」を起動するには、「スタート」メニューを開き、検索ボックスに「dxdiag」と入力。検索結果に「dxdiag」が表示されるので、クリックして起動する。
起動したら、「システム」タブの「DirectX バージョン」をチェック。「DirectX 9以上」であればシステム要件を満たしている。
検索ボックスに「dxdiag」と入力して「DirectX 診断ツール」を起動する
「DirectX バージョン」でDirectXのバージョンを調べる。この画面で、プロセッサー(CPU)の種類やメモリー搭載量を調べることもできる
Windows 10へアップグレードする前に、もうひとつ調べておくべきことがある。それは、ソフトと周辺機器の互換性情報だ。つまり、今使っているソフトや周辺機器がWindows 10上で正常に動作するかどうかを調べる。
調べる方法のひとつは、マイクロソフトが公開している「最新OSへの移行準備をしましょう!」の活用だ。各メーカーのリンクをクリックすれば、情報ページが表示される。ただし、すべてのメーカーが掲載されているわけではないので、非掲載のメーカーの製品情報は、メーカーのWebサイトなどを利用することになる。
最新OSへの移行準備をしましょう!
互換性情報のほか、Windows 10の情報も閲覧できる
互換性のない(Windows 10では動作しない)ソフトや周辺機器が見つかったら、アップデータで対応できるのかチェック。数は少ないと思うが、その方法も提供されないのなら、代替ソフトを見つけるか、周辺機器は買い換えを検討する必要がある。
なお、「Office 2010」も延長サポートに入っており、2020年10月13日にサポートが終了する。サポート終了までは問題ないが、Windows 10へのアップグレードに合わせて「Office 365 Solo」などの最新版に移行することも考えておこう。
今回は、Windows 10へアップグレードする前に確認しておきたい内容を紹介した。アップグレード中、あるいはアップグレード後にトラブルに見舞われないよう、しっかりと準備をしておこう。
次回は、Windows 7パソコン上のデータをバックアップする方法について解説する。
パソコンからモバイルまで、ハード&ソフトのわかりやすい操作解説を心がける。趣味は山登りにクルマという、アウトドア志向のIT系フリーライター。