現在、モバイルノートの画面サイズの主流である“13.3型ワイド”を生み出したVAIOが、新たな画面サイズに挑戦する。VAIOは2019年7月9日、12.5型のディスプレイを搭載したモバイルノート「VAIO SX12」を7月19日に発売すると発表した。ソニーから独立してから5周年を記念した「VAIO SX12|勝色特別仕様」も台数限定で販売する。市場想定価格は119,800円(税別)から。
12.5型のディスプレイを搭載するVAIO SX12。ナローベゼルで画面サイズを大きくし、本体左右までキーボードを広げてフルピッチのキーボードを実現した。写真は勝色特別仕様
同社によると、10型や11型の小型モバイルノート(サブノート)は一定の需要はあるが、仕事用としては画面サイズが小さく、キーボードのキーピッチが狭く、メインマシンとしては使いにくいと感じている人が多いという。
その課題を解決するために、開発したのが11.6型ディスプレイを搭載する「VAIO S11」の後継機種となるVAIO SX12だ。画面サイズを11.6型から12.5型に大型化しつつ、キーピッチを約16.95mmからフルピッチの約19.0mmまで広げている。
特にキーボードについては、静寂キーボード、キーボードバックライト、フッ素含有UV硬化塗装、英字キーボード選択可能など、ほかのモデルと同様、こだわりの仕様だ。タッチパッドも2ボタン仕様となっている。
12.5型のVAIO SX12(左)と11.6型のVAIO S11(右)。2台を比べるとベゼルの太さとキーボードの左右のスペースが違う
12.5型のVAIO SX12(左)と11.6型のVAIO S11(右)。キーボードを比べると、VAIO SX12はかなりサイズアップしているのがわかる
個人標準仕様モデルの本体サイズは約287.8(幅)×203.3(奥行き)×15.7〜18.0(高さ)mm、重量は約888g〜約897g。VAIO S11の本体サイズは約283.4(幅)××195.5(奥行)×15.0〜17.9(高さ)mmなので、少しだけ大きくなっている。重量も40gほど増えている。
画面サイズは約16%拡大しているのが、ナローベゼル(上16.11mm、左右4.97mm)で本体サイズの拡大を最小限に抑えている。堅ろう性については、UDカーボンを利用し、ナローベゼルであってもVAIO S11と同等以上の剛性を確保した。
ベゼルの太さは左右が4.97mm。上部はWebカメラがあるため左右よりは太い
また、本モデルはフルピッチキーボードを搭載するため、本体左右のいっぱいまでキーボードが配置されるため、コネクターと干渉して本体の厚みが増してしまうのが問題だった。そこで、基板に実装する部品を見直し、レイアウトを再設計。コネクター部品も厚みが出ないように、有線LANコネクターのドアの一部に穴を開けて、干渉を防ぐなど、細かい部分までこだわっている。
基板の部品は低背のものに変えたり、レイアウトを変更したりしている。有線LANコネクターのドアの一部に穴を開けているのも干渉を防ぐための工夫
スペックは、14型のディスプレイを備える「VAIO SX14」と同等のパフォーマンスを実現。CPUパフォーマンスをアップさせる独自の「VAIO TruePerformance」もサポートする。小型ボディで問題となる熱は、多くの風を基板の上に流せるように放熱の仕組みを再設計。基板の熱を拡散するためのアルミシートも、吸気と拡散面積のバランスがベストになるように、こちらも再設計している。
VAIO TruePerformanceのオン・オフの比較。Core i7モデルの場合は、オンにすると性能が約25%アップするという
個人標準仕様モデルの主なスペックと市場想定価格は以下の通り。
・VJS12190111B(ブラック):Core i7-8565U、8GB、512GB(NVMe)、LTE対応、Windows 10 Pro 64ビット、279,800(税別)〜
・VJS12190211T(ブラウン):Core i7-8565U、8GB、256GB(NVMe)、Windows 10 Home 64ビット、219,800円(税別)〜
・VJS12190311B(ブラック):Core i5-8265U、8GB、256GB(NVMe)、LTE対応、Windows 10 Pro 64ビット、224,800円(税別)〜
・VJS12190411B(ブラック)、VJS12190511T(ブラウン):Core i5-8265U、8GB,
256GB(SATA)、Windows 10 Home、194,800円(税別)〜
VAIOのモバイルノートといえば、外部インターフェイスが充実しているのが特徴だ。小型のVAIO SX12もその特徴を引き継いでいる。有線LANコネクター、HDMI出力、アナログRGB、USB 3.1、USB3.0×2、USB Type-C 3.1、SDメモリーカードスロット、ヘッドホン出力/マイク入力などを備える。
USB Type-Cは、USB3.1、DisplayPort 1.2、Power Delivery、5Vアシスト充電に対応。5Vアシスト充電は、スマホ用の充電器やモバイルバッテリーで充電できる、かゆいところに手が届く便利機能だ。バッテリー駆動時間は最長で14.5時間。LTE接続時の連続駆動時間は最長約7時間。
カラーバリエーションはブラック、シルバー、ブラウン、ピンクの4色。直販限定モデルでは、ロゴやオーナメント(ヒンジ部分)が黒色の「ALL BLACK EDITION」が選べる。同エディションにピッタリな無刻印キーボード(英語キー/日本語キー)も選択肢として用意されている。
カラーバリエーションはブラック、シルバー、ブラウン、ピンクの4色
VAIOがソニーから独立して今年で5年。新生VAIOの5周年を記念した「勝色特別仕様」を台数限定で販売する。勝色は、侍が縁起色として、武具に多く用いたとされる色。同社のコーポレートカラーでもある。
勝色特別仕様の天板は、UDカーボンの繊維目が透けて見える、光沢感のある仕上がり。指紋は目立つが、まぶしいほどの輝きだ。VAIOロゴとオーナメントは金色で、まさに武具のようなたたずまい。いっぽう、パームレストは自然の藍を含む有機染料を使い、一点一点異なる色合いに仕上げた。見る角度で、黒色に近かったり、紫に近かったたり、さまざまな表情を見せてくれる。
パッケージや付属品、クロスも勝色特別仕様というこだわり。なお、勝色特別仕様には、VAIO SX12のほか、14型のVAIO SX14もラインアップされる。VAIOファンならぜひ手にしたいモデルだ。
勝色特別仕様の価格は、VAIO SX12とVAIO SX14ともに216,800円(税別)から。
天板はUDカーボンの縦と横の繊維目が見える
自然の藍を含む有機染料を使ったパームレスト
同日開催された発表会では、VAIOの吉田秀俊社長が、働き方改革を追い風に法人向け市場が好調に推移していると説明。パソコン事業、EMS事業の2本柱で、新生VAIOの6年目の舵取りが注目される
パソコン関連を担当する双子の兄。守備範囲の広さ(浅いけど)が長所。最近、鉄道の魅力にハマりつつあります。