レビュー
「Xperia 5」と同じ比率の超縦長ディスプレイと光学2倍のカメラが魅力

3万円台で買えるお手軽スマホ「Xperia 8」を5日間使った

2019年10月25日より、au、ワイモバイル、UQモバイルから順次発売されているミドルクラスのスマートフォン「Xperia 8」。3万円台から買える安価な価格設定ながら、Xperiaの特徴が詰め込まれたモデルだ。同価格帯のライバルとの違いなどに注目しながらレビューを行った。

「Xperia 5」と同比率の超縦長ディスプレイを採用するミドルレンジスマホ

「Xperia 8」は、au、ワイモバイル、UQモバイルの各キャリア・MVNOで発売されている。実売価格は、auでは49,680円、ワイモバイルでは39,600円、UQモバイルでは35,640円(いずれも税別)と、各社でばらつきはあるが、ワイモバイルやUQモバイルなら3万円台で購入可能となっており、シャープ「AQUOS sense3」、OPPO「Reno A」などの人気モデルと価格的には競合する。

「Xperia 8」は、2,520×1,080のフルHD+表示に対応する約6.0インチの液晶ディスプレイを搭載する。このディスプレイは上位モデル「Xperia 1」や「Xperia 5」と同じ21:9の超縦長の縦横比となっている。ボディサイズは約69(幅)×158(高さ)×8.1(厚さ)mmで、重量は約170g。近ごろのAndroidスマートフォンとしては比較的コンパクトな部類に入る。本機のデザインは、Xperiaらしい上質なもので、機能面でもIPX5/8等級の防水仕様と、IP6X等級の防塵仕様に対応するなど上位モデルと比較して見劣りはしない。なお、FeliCa・NFCポートを備えるが、フルセグ・ワンセグチューナーは非搭載となっている。

6インチというスペック値からはかなりの大画面なように思われるが、ディスプレイは横幅が59.6mmで、従来の16:9の画面で考えると4.8インチのそれに近い。そのため、横幅を基準に表示サイズの決まるマンガなどのコンテンツは思いのほか小さく表示される。また、WebページやSNSの文字や画像もやや小さめに表示される。いっぽう、横画面にするとシネスコサイズの動画をほぼそのまま映し出すことができる。また、「LINE」や「Twitter」など縦方向にスクロールするコンテンツとの相性はよい。また、Androidの2画面表示機能も使いやすい。

フラットな背面のデザインは、「いかにもXperia!」といったシンプルかつスタイリッシュなもので、本機の魅力のひとつとなっている

縦横比21:9の液晶ディスプレイを搭載し、多くの情報を表示できる

縦横比21:9の液晶ディスプレイを搭載し、多くの情報を表示できる

「AQUOS sense3」(写真左)と横幅を比較したがほとんど同じ

「AQUOS sense3」(写真左)と横幅を比較したがほとんど同じ

ボディ上面には、ヘッドホン端子が配置される

ボディ上面には、ヘッドホン端子が配置される

ボディ下面には、USB Type-Cポートが配置される

ボディ下面には、USB Type-Cポートが配置される

画面の上部に動画を、下部にWebブラウザーを2画面表示させた。超縦長ディスプレイはこうした2画面表示でも便利だ

基本スペックを見てみよう。SoCは「Snapdragon 630」で、4GBのRAMと64GBのストレージ、512GBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットという組み合わせだ。OSは、Android 9をプリインストールする。この基本スペックは「AQUOS sense3」や2019年夏モデルとしてNTTドコモなどから発売された「Xperia Ace」と同じとなっている。

定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン8.X)」で計測したベンチマークテストの結果は、105,760(内訳、CPU:40,452、GPU:16,951、MEM:28,494、UX:19,863)だった。このスコアは価格.comマガジンで計測した「AQUOS sense3」の総合スコア114,802よりもやや劣るが、ほぼ同等といっていいだろう。スコアの内訳を見ると、画面解像度の点でAQUOS sense3よりも不利ではあるがグラフィック性能「GPU」はほぼ同じだ。なお、一部のゲームで従来の「Open GL」から移行が始まっている新しい3D描画用API「Vulkan」に対応しており、AnTuTuベンチマークのVulkanを使った計測項目「Terracotta」や「Coastline」も、重いものの動作はしていた。本機なら最新のゲームが動作対象外になるということはごく少数だろう。ただし描画設定は調整する必要はあるだろう。

AnTuTuベンチマークの計測結果。左が本機、右が「AQUOS sense3」のもの。両機とも基本スペックがほぼ同じということもあり、スコアは1割程度の違いにとどまっており、ほぼ同等と言える

2019年9月に登場した、比較的新しい世代のゲーム「スクスタ(ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS)」の画質設定は、「3D軽量」と判定された。動作はするが高い描画負荷には不向きというレベル

本機はXperiaシリーズの上位モデルと同じく、圧縮音源の補完を行う「DSEE HX」や、ハイレゾ音源をワイヤレスで再生可能にする「LDAC」に対応している。また、上述のようにヘッドホン端子も搭載されている

ただし、本機にプリインストールされるアプリの構成は、従来のXperiaとはかなり違う。本機は、「Google Photo」や「YouTubeMusic」など、Google純正アプリを基本的に使うようになっており、Xperia独自の音楽再生アプリや映像閲覧アプリなどはインストールされていない。また、日本語入力アプリもXperia独自の「POBox Plus」からGoogle純正の「Gboard」に変更されている。これらのアプリはGoogle Playで各自が必要に応じてダウンロードすることになるが、発売元の通信キャリアによってダウンロードが許可されたアプリが異なっているので注意が必要だ。総じて、Xperiaシリーズ独自のアプリは減っており、Androidスマートフォンの標準的な仕様により近づいていると言える。

今回検証したau版「SOV42」のプリインストールアプリ。通信キャリア専用のアプリはあるものの、Xperia独自のものは少ない

日本語入力アプリは、従来の「POBox Plus」から、Google純正の「Gboard」に変更されている

日本語入力アプリは、従来の「POBox Plus」から、Google純正の「Gboard」に変更されている

光学2倍の望遠撮影に対応するデュアルカメラを搭載

本機のメインカメラは、約1,200万画素の標準カメラ(27mm)と約800万画素の望遠カメラ(53mm)という組み合わせのデュアルカメラで、光学2倍のズーム撮影が行える。また電子式手ぶれ補正も搭載されている。最近は、エントリーモデルでも、デュアルカメラの搭載は珍しくないが、セカンドカメラには、望遠カメラよりも超広角カメラが選ばれることが多い。そんな中で望遠カメラを搭載していることは、本機の競合製品との差別化ポイントと言えよう。

なお、フロントカメラは約800万画素で焦点距離24mm。Xperia Aceのような超広角カメラではなく、こちらは一般的な焦点距離だ。背景ぼかしや、美肌、肌の明るさ、目の大きさ、輪郭補正の5種類の機能を備えた美顔撮影機能を利用できる。

メインカメラは、標準カメラと望遠カメラという組み合わせのデュアルカメラ。光学2倍のズーム撮影が行える

メインカメラは、標準カメラと望遠カメラという組み合わせのデュアルカメラ。光学2倍のズーム撮影が行える

フロントカメラは、焦点距離24mmのレンズを搭載。Xperia Aceのような超広角レンズではない

フロントカメラは、焦点距離24mmのレンズを搭載。Xperia Aceのような超広角レンズではない

以下にメインカメラで撮影した写真の作例を掲載する。初期設定のまま、カメラ任せのオートモードで撮影を行っている。

標準カメラで撮影

日中に屋外のクリスマスディスプレイを撮影。ISO125と低感度なこともあり、ノイズは少なく、ディテールもよく残っている

上と同じ構図で、望遠カメラに切り替えて撮影。カメラを切り替えたことによる画質の変化も最小限に抑えられている

標準カメラで撮影

紅葉した銀杏の木を逆光で撮影。HDRがよく効いており、ハイライト部分から陰となる幹の質感まで肉眼の印象に近い仕上がりとなった

望遠カメラで撮影

上と同じ構図を望遠カメラに切り替えて撮影。2倍のズームだが、幹の質感はよりわかりやすくなった。陰の幹の部分に露出を合わせたことで、構図が全般に明るくなっているが、発色全般の傾向に大きな違いはない

標準カメラで撮影

夜景を撮影。感度がISO800まで増感されたため、ノイズが出てきている。ただし、光量そのものは十分で手ぶれも抑えられている

望遠カメラで撮影

望遠カメラに切り替えて撮影。こちらも感度がISO800までアップしている。標準カメラよりもノイズは少なく、駅舎の天井など細部も残っている

標準カメラで撮影

夜の花壇を撮影。感度がISO2000までアップしている。中央の構図にピントを合わせたがディテールははっきりしない

望遠カメラで撮影

上と同じ構図を望遠カメラに切り替えて撮影。感度はISO800となっている。手前の花にピントを合わせたが、全体にぼんやりしており、性能の限界に近い

本機のカメラは、2倍のズーム性能53mmという焦点距離のため、構図の変化は楽しめるのが魅力だろう。また、標準カメラと望遠カメラは最短撮影距離がほとんど違わないので、マクロ撮影にも使える。夜景で接写撮影を行った場合には「Xperia 5」などの上位モデルとの性能差を感じたものの、ライバルの「AQUOS sense3」よりは、カメラ性能は高いといえる。本機のカメラは3万円台という価格を考えればかなり良好な性能と言えよう。

1日1時間程度の使用なら4日以上は持つバッテリー

本機の内蔵バッテリー容量は2,700mAhで、このサイズのスマートフォンとしては標準的な容量と言える。カタログに記載されているバッテリー持ちの指標を見ると、「電池持ち時間」は約100時間(au版SOV42)となっている。この数値は「AQUOS sense3」の約170時間と比べるとだいぶ見劣りするが、この100時間という値自体は、悪い部類ではない。今回の検証では、1日1時間ほど、WebコンテンツやSNSなどを主体に使ってみたが、ちょうど4日経過したところで、バッテリー残量が9%となった。「AQUOS sense3」は同じ条件なら1週間バッテリーが持ったので、本機はその7割ほどのバッテリー持ちと言えそうだ。

Xperiaらしいデザインや望遠カメラが特徴。3万円台ならかなり魅力的

本機が属する3万円台のスマートフォンは、シャープ「AQUOS sense3」やOPPO「Reno A」など強力なライバルが多い。これらの製品と比べた場合、本機の超縦長ディスプレイや、Xperiaらしい高品質なデザインが魅力となるだろう。また、このクラスでは比較的珍しい2倍の光学ズームに対応するメインカメラも特徴だ。

競合機種と比べたネックとなるのは、発売後のアップデートサポートだろう。「AQUOS sense3」は、発売後2年間に最低2回のバージョンアップを保証しており、Android 11世代までは最新のソフトウェア環境が維持される。いっぽう、本機はそうしたポリシーが公表されておらず、過去の同クラスのXperiaの実績からすると1回のバージョンアップがせいぜい、バージョンアップなしの可能性も十分ありえる。

冒頭に触れたように、本機の価格は販路によって幅があるが、ワイモバイルやUQモバイルの3万円台であれば性能的に言ってもかなり魅力的に感じられる。逆に、5万円近いau版はやや割高に感じられるかもしれない。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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