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高額な解約金がなくなりキャリアを乗り換えやすくなったけど……

過剰な割引はなくなったが、今MNPをするとよいことはあるのか?

2019年は大手キャリアの料金プランに大きな動きがありました。10月に施行された改正電気通信事業法によって、通信サービスの提供と端末販売の分離が義務化されたとともに、ユーザーの乗り換えニーズをさまたげるような高額の解約金もなくなったのです。

大手キャリアでは2年ごとに契約が自動更新される、いわゆる「2年縛り」の料金プランが主流ですが、2019年10月からNTTドコモとauで提供が始まった料金プランでは、契約期間内に解約した際の解約金が1,000円(税別、以下同)しかかからなくなりました。

また、ソフトバンクが同年9月から提供を始めた料金プランでは契約期間そのものが廃止されたため、契約期間内の解約にともなう解約金も廃止されています。このように、解約金が1,000円(あるいは無料)しかかからなくなったことで、今まで以上にキャリアを乗り換えやすくなりました。

そんなキャリアの乗り換えに欠かせないのが、すっかりおなじみとなった「MNP(携帯電話・PHS番号ポータビリティー)」制度です。そこで今回は、MNP制度の内容を改めておさらいしようと思います!

そもそもMNPとはどんな制度?

MNP制度のMNPは「Mobile Number Portability」の略で、日本語では前述のように「携帯電話・PHS番号ポータビリティー」制度と呼ばれています。ひとことで言えば「携帯電話番号を乗り換え先のキャリアに引き継げる」制度です。

「A」というキャリアを契約している人が「B」というキャリアに乗り換えようとした場合、契約上は「キャリアAを解約して、キャリアBを新規契約する」ことになります。このときにMNP制度を利用すると、キャリアAで使っていた携帯電話番号を、キャリアBで新規契約した回線に移し替えることができるのです。

もしもMNP制度を利用しなければ、キャリアAで使っていた携帯電話番号は解約とともに使えなくなり、キャリアBでは新しい携帯電話番号を得ることになります。この場合、家族や友人をはじめ、会社、銀行、病院、ショッピングサイトなど、自分の携帯電話番号を知らせていた人々や組織に対して新しい携帯電話番号を周知しなければならず、ユーザーにとっては大きな負担です。

解約すると電話番号は失われてしまいますが、MNP制度を利用すれば乗り換え先に移し替えることができます

解約すると電話番号は失われてしまいますが、MNP制度を利用すれば乗り換え先に移し替えることができます

2006年10月にMNP制度が導入されたことで「携帯電話番号の再周知」という負担が消え、キャリア乗り換えのハードルがひとつ取り去られました。開始から13年が経った現在では、ごく当たり前に利用される制度となったのです。

どうすればMNPで乗り換えができる?

MNP制度を利用する際はどのような流れになるのでしょうか。前述の「キャリアAからキャリアBに乗り換える」場合で例えれば、以下のようになります。

MNP制度の利用イメージ

MNP制度の利用イメージ

1.キャリアAからMNP制度の利用に必要な「MNP予約番号」を発行してもらう

MNP制度を利用するには、乗り換え元となる契約中のキャリア(前述の例におけるキャリアA)から「MNP予約番号」を取得する必要があります。このMNP予約番号を乗り換え先のキャリア(同キャリアB)に伝えないと、MNP制度を利用することはできません。

大手キャリアの場合、MNP予約番号は各キャリアのショップ店頭で取得できるほかに、専用ページから申し込んでオンライン経由で取得することもできますし、電話窓口で発行してもらうことも可能です。

なお、MNP予約番号には、発行された日から15日間という期限が設けられています。期限が過ぎてしまうともう一度発行してもらわなければならなくなるので、なるべく乗り換え先のキャリアで手続きをする直前に取得するのがいいでしょう。

2.キャリアBにMNP予約番号を伝え、MNP制度を利用した乗り換え手続きを行う

乗り換え元のキャリアからMNP予約番号を取得したら、乗り換え先のキャリアで新規契約の手続きを行います。ここでMNP予約番号と引き継ぎたい携帯電話番号を伝えると、MNP制度を利用した乗り換え手続きが行われます。

なお、手続きそのものは乗り換えをせずに新規契約する場合とほとんど変わりませんが、MNP制度を利用する場合は乗り換えの前後で名義が揃っていなければなりません。

たとえば、「妻」が使っている回線をキャリアAでは「夫の名義」で契約していた場合、乗り換え先のキャリアBでも「夫の名義」で契約することになります。もしも乗り換え先では別の名義(「妻の名義」など)で契約したいという場合には、あらかじめ乗り換え元のキャリアで名義を変更してからMNP予約番号を取得するか、乗り換え先のキャリアを契約後に名義を変更することになります。

いずれにしても、MNP制度には「乗り換えの前後で名義をそろえる必要がある」という制約があることを承知しておきましょう。

3.キャリアBで乗り換え手続きが完了するとキャリアAは解約される

乗り換え先のキャリアで手続きを進めると、乗り換え元のキャリアとの間で携帯電話番号やMNP予約番号の照会などが行われて、携帯電話番号が引き継がれるのと同時に乗り換え元のキャリアは解約となります。これで、手続き上の乗り換えは完了です。

MNP制度を利用して大手キャリアから別のキャリアへ乗り換える際には、転出手数料として3,000円がかかります(※契約時期やプランによって異なる場合があります)。この手数料は乗り換え元のキャリアにおける最後の月額料金と合算して請求されます。乗り換え先も大手キャリアの場合は新規契約にともなう手数料3,000円が請求されるので、大手キャリア間を乗り換えるには6,000円の費用がかかることになります。

また、乗り換え元のキャリアでスマートフォンなどの分割払いが残っていた場合、解約後も分割払いが継続することがあります。回線契約の解約後も支払いが生じる場合はMNP予約番号の発行を受けるときに必ず説明されるので、しっかりと確認しておきましょう。

MNPするとよいことはあるの?

キャリアにとってのMNP制度は「他社のユーザーを自社に招き入れることができるチャンス」であるため、以前はMNP希望者に対して機種代金の大幅な値引きが提供されていました。ところが、冒頭でも触れた電気通信事業法の改正によって、こうしたMNP希望者に対する過剰な割引は抑制されることとなりました。

ただ、同法の改正前ほどではありませんが、改正後の現在でもMNP希望者向けの割引は提供されています。たとえばNTTドコモでは、MNP制度を利用して転入する際の機種代金を割り引く「端末購入割引」を提供しています。割引額は1万円または2万円で、機種により異なります。

また、他社の携帯電話(いわゆるガラケー)からNTTドコモのスマホにMNPで乗り換える場合に割引を受けられる「はじめてスマホ割」、60歳以上のユーザー向けの音声オプション割引サービス「おしゃべり割60」などもあります。

NTTドコモは乗り換え希望者の機種代金を割り引く「端末購入割引」を提供。2018年の「iPhone XS」なら2万円引きです

ソフトバンクはオンラインまたは電話にて乗り換え手続きを行うユーザー向けに、2万円相当のPayPayボーナスをプレゼントする「のりかえPayPayキャンペーン」を展開しています。auでは、auケータイ(4G LTE)を購入する乗り換え希望者に対して、機種代金を2万円割り引く「auケータイデビュー割」を提供しています。

このほかにも、乗り換え元のキャリアで使っていたスマホを乗り換え先のキャリアに下取りしてもらうことで、乗り換え時に購入するスマホの機種代金に対する割引を受けることも可能です。キャリアを変えずに機種変更するのと同じように、新しいスマホをお得に購入できます。

auは、乗り換え希望者のスマホを下取り、機種代金の値引きで還元する「下取りプログラム(乗り換え)」を提供しています

乗り換えの前に料金プランの変更をお忘れなく!

最後に、注意点をひとつ。キャリアの乗り換えを検討している人は、乗り換え元のキャリアが提供している新しい料金プランへの変更を忘れずに済ませておきましょう。

なぜかというと、解約金が1,000円または無料になるのは、改正電気通信事業法にあわせて提供が始まった新プランに限られるからです。それ以前の料金プランを契約している人が解約金の生じるタイミングでキャリアを乗り換える場合、以前の金額である9,500円が請求されてしまいます。

以前の料金プランから新しい料金プランへの変更はいつでも可能で、auとソフトバンクはすぐに新しい条件(auなら解約金1,000円、ソフトバンクなら解約金なし)が適用されます。

いっぽう、NTTドコモだけは事情が異なり、新しい料金プランに変更しても「直近の契約更新月が来るまで、解約金は9,500円のまま」となります。もしもNTTドコモからauやソフトバンクに乗り換えようと考えている人は、更新月までは解約金が高いままであることを憶えておきましょう。

ただし、乗り換えることで月額料金が大幅に安くなる場合は、解約金を支払ってでも乗り換えたほうがお得な場合もあります。

たとえば、ソフトバンクの「ウルトラギガモンスター+」を家族全員で契約する場合、人数に応じた割引を受けられます。各回線の割引額は2人なら500円(合計1,000円)、3人なら1,500円(合計4,500円)、4人以上なら2,000円(合計8,000円〜)です。もしも自分以外の家族2人がすでに「ウルトラギガモンスター+」を契約している場合、2か月分の割引額で解約金をほぼ取り戻せることになります。

新料金プランの登場で解約金が安く、あるいはかからなくなったことで、ますます利用しやすくなったMNP制度。各キャリアの料金プランやサービス内容を今一度チェックして、自分に合ったキャリアへ乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか。

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

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