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空飛ぶタクシーから走る椅子まで“車”の未来はこんなに面白い

5年で世界は激変する! Uberやセグウェイが挑む次世代モビリティ特集

筆者の個人的な考えですが、2020年代は世界を変えるイノベーションが乗り物(ビークル、モビリティ)の領域を中心に起きると思っています。過去を振り返ってみると、それぞれの時代においてイノベーションを牽引したハードウェアが存在しました。Windowsが広く一般に普及した1995年ごろからはパソコンの時代、iPhoneが登場した2007年からはスマホの時代といえば、その時代の空気感を知る方にはご理解いただけるはずです。

もちろん、それ以外にもたくさん生活を変えるハーウェアやサービスのジャンルは存在するでしょう。しかし、これからの時代に社会が変革していく象徴、そして生活が変わっていく実感を生む中心は乗り物になると思います。そんな次世代モビリティとも言えるジャンルの乗り物が、アメリカで行われたテクノロジーの祭典「CES 2020」に多数出展。乗り物の未来が垣間見える次世代モビリティの現地レポートをお届けします。

Uberと現代自動車が空飛ぶエアタクシーを開発

ライドシェアや食事の宅配サービスを提供するUberと、韓国の自動車メーカー大手、現代自動車(ヒュンダイ)は、空のモビリティの開発でパートナーシップを結ぶと発表。そのコンセプトモデルを「CES 2020」で展示しました。現在、開発が進められている機体は12のローターを備え、垂直離陸が可能な仕様で、最高速度は時速290km、最長飛行可能距離は100kmを実現することを目指しています。機体の製造は現代自動車が行い、サービスはUberが担う形で両社は2020年代後半に商業ベースでのサービス開始を目標とするとのことです。

アプリひとつで“エアタクシー”を予約して、ビルの屋上から屋上へと移動する未来はもはやサイエンスフィクションではなくなりつつあります。

会場では静音性をアピールしており「機内だけでなく、飛行ルートの下に住む人たちにも騒音を感じさせない」とのこと

動力は全て電気でまかない、垂直離陸が可能な「e-VTOL(Electric / Vertical Take-Off Landing)」に分類される機体です

ローターは離陸時には写真のように上を向き、高速飛行時には前方を向かせることで安定した垂直離陸と高速飛行を両立させることを目指した設計となっています

ヘリコプター大手のベルも空のモビリティに参入

超音速攻撃ヘリを描いた往年の名ドラマと言えば「エアーウルフ」ではないでしょうか。この作品に登場する主人公機のベースになったのは、ベルの「222」という機体でした。

そんなベルがCES 2020で展示したのは、電力駆動で垂直離陸が可能な機体のコンセプトモデル「Nexus 4EX」です。目指すところはUberと現代自動車が手がける“エアタクシー”と同じですが、ベルの機体の特徴はローターの数が4つのみという点です。

細かいスペックは明らかにされていませんが、取材の際に受けた説明によれば、この設計はミニチュアでのテストを繰り返した結果たどりついたもので、その蓄積をベースに作成した精密なCADデータから今回の展示用のモックアップを制作しているとのことでした。そのため、実際に飛行する機体もかなりこれに近いものになるとみられます。

「エアーウルフ」を彷彿とさせる白黒のカラーリング

「エアーウルフ」を彷彿とさせる白黒のカラーリング

4つのローターすべてが可動式。上方に向けて垂直に離陸した後、水平にして高速移動を開始するという仕様です

なお、こちらはUber、現代自動車よりも早い2020年代なかばにおける商用サービスの提供開始を目指すとのことです。

セグウェイ、走る椅子を作る

体重移動で操作する2輪の乗り物で次世代モビリティのパイオニアとなったSegway-Ninebot(セグウェイ-ナインボット)が、新たに車輪付きの椅子「S-Pod(エス-ポッド)」を発表しました。1人乗りで、時速40km程度での走行が可能です。

SF映画に出てきそうなデザインですが、それもそのはず。映画「ジェラシックパーク」に登場する恐竜園内を移動する乗り物にヒントを得て設計されたそうです

後部にある車輪に後部にある2つ並んだ車輪に、「i2」などと共通のセグウェイらしいデザインが感じられます

後部にある車輪に後部にある2つ並んだ車輪に、「i2」などと共通のセグウェイらしいデザインが感じられます

展示機の座席には滑り止めのラバーのようなものが付いているだけで、クッション性はあまりよくありませんでした

手元にあるスティックで車体をコントロールする仕組み。なお、現地では着席のみOKで操縦はNGだったため、実際の乗り心地は不明。価格や発売時期も記事作成時点では明らかにされていません。

なお、Segway-Ninebotは、スポーツバイクのような「Apex」というモデルを2019年末に発表していますが、こちらは「CES 2020」での展示はありませんでした。

トヨタの次世代モビリティ

トヨタは、実際に人が暮らす環境でMaasやロボットの実証実験を行う実験的都市「Woven City」を、2021年から東富士に建設すると「CES 2020」で発表しました。そのブースの一角にあったのが、下記写真のモビリティです。よく見ると、前輪とバッテリーは、異なるモデルでも形状が共通になっています。ハンドルや椅子の高さを変えて車椅子、シニアカー、三輪キックボードとして使用できるとのことです。

部品を共通化して、異なる車種にも対応させるというトヨタらしいデザイン

部品を共通化して、異なる車種にも対応させるというトヨタらしいデザイン

超高齢化が進む日本では、乗り物のあり方も大きく変わってくる可能性があります。その中で、実験の街から創り出しイノベーションに挑むトヨタの姿勢は「CES 2020」でも大きな注目を集めていました。それに加えて、筆者が強く印象に残っているのは「Woven City」の構想を発表する豊田章男社長が行った熱のこもったプレゼンテーションです。

CESで発表を行うCEOたちは、プロンプターに映し出された原稿を棒読みするケースが少なからずある中、豊田氏は(原稿こそあれ)「私はこれが本気でやりたいのだ」という意気込みを感じさせる力強い発表を英語で行っていました。もちろん、これだけを持って「成功する」というにはあまりに長い道のりですが、本気を見せてくれたトヨタが起こすイノベーションには期待せざるをえません。

未来の出前は人が運ばない

フランスを拠点とする自動車部品メーカーValeo(ヴァレオ)は、無人宅配・出前カーのデモを「CES 2020」で行いました。中国のMeituan-Dianpingと共同で開発を進めている車両は電動で、荷物のみを載せる無人走行が可能です。

社内にはミニチュア版のコインロッカーのようなボックスが並んでいます。このボックスには、1回の配送のみに使えるQRコードが割り振られ、出荷側は配送先にそのQRコードを送信します。車両が家の前に到着したら、受け取り側がカメラでQRコードを読み取とり、自分の荷物や出前の料理が入ったボックスを開けるという仕組みです。

写真の光学カメラのほかに、LIDARや超音波センサーを複数搭載し、周囲の状況を把握しながら自動で走行します

すでに4億人を突破していると言われるMeituan-Dianpingのユーザーに向けて、無人のデリバリーが始まる準備は着実に進められています。新しいテクノロジーを積極的に生み出す深センといった街がある中国では、無人の出前カーが走り回る日もそう遠くなさそうです。

スーツケース、ついに電動走行が可能に

CESの中でも比較的尖ったプロダクトが集まる「Sands Expo Convention Center」の小さなブースに展示されていた「Scoocase(スクーケース)」。ブースに人がおらず、調べてもあまり詳しいことがわからなかったのですが、公式サイトの情報によれば「ビルトイン電動モーターと革新的なステアリングシステムのおかげで、スーツケースはボタンをひと押しするだけで電動スクーターになります」と記載されています。

こういう個性派に出会えるのもCESの魅力。なお、筆者はこの製品の購入を推奨しているわけではありませんよ(笑)

世界で進む都市人口の増加や、懐疑派と肯定派で議論が巻き起こっているCO2温暖化、日本の超高齢化社会など、モビリティには重要な議論すべき事項を解決できる可能性が備わっています。そして、それらを乗り越えるために社会が必要とする変化を生むための技術もそろいつつあります。エネルギー密度の高いリチウムイオンバッテリーや高出力モーター、自律走行/飛行に必要なセンサー、膨大な情報を処理するためのAI、高速低遅延で独自に複数の車両を連携させられる5G通信などのテクノロジーが結集された、モビリティ革命は今がまさに発車寸前。お乗り遅れにご注意ください。

Mr.TATE(Masahira TATE)

Mr.TATE(Masahira TATE)

世界50カ国以上を旅したバックパッカー。週刊アスキー編集部などを経て、AppBankに入社。「バイヤーたてさん」として仕入れとYouTubeを活用したコンテンツコマースに取り組み、上場時は広報として企業PRを担当。現在はフリーランスで活動中。

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