レビュー
4月の本格サービス開始を控えて登場したオリジナルスマホ

超小型スマホ「Rakuten Mini」で楽天モバイルの回線を使ってみた

今年4月のMNOサービス開始に備えて現在テスト運用中の楽天モバイル「無料サポータープログラム」を、同社オリジナルの超小型スマートフォン「Rakuten Mini」を使って試す機会を得た。端末とネットワークのそれぞれの面から、楽天モバイルのMNOサービスの実態を探ってみた。

超小型スマホ「Rakuten Mini」はユニークな存在だが、バッテリー持ちがネック

まずは端末、「Rakuten Mini」のスペックを見てみよう。Rakuten Miniは、720×1,280のHD表示に対応した約3.6インチの液晶ディスプレイを備えた楽天モバイルのオリジナルスマートフォン。その名前からわかるように、約53.4(幅)×106.2 (高さ)×8.6 (厚さ)mm、重量約79gというコンパクトなボディが特徴だ。このボディはIPX2等級の防滴とIP5X等級の防塵仕様に対応しているほか、FeliCaポートを備えており、おサイフケータイの諸サービスを利用できる。日本市場で求められる機能はきちんと備えていると言えるだろう。なお、指紋認証センサーは備えておらず、生体認証としてはフロントカメラを使った顔認証のみが利用できる。

SIMカードスロットを廃し、SIM情報を電子化したeSIMを使うのも本機の特徴だ。そのため、eSIMを扱っていない楽天モバイルのMVNOサービスには対応していない。また、LTEの対応バンドはB 1/3/18/19/26/28/41で、auとともにNTTドコモのプラチナバンドに対応しているが、VoLTEは楽天モバイルのみの対応となる。2020年2月初頭現在、購入できるのは全国6店舗の楽天モバイルショップのみで、実質的に無料サポータープログラム参加者専用端末となっている。価格は19,819円(税別)と、かなり安い。

実機はその小ささがやはり新鮮。代表的なコンパクトモデルである「Palm Phone」に迫るレベルだ。持ちやすさは抜群で、ポケットに入れても服の型崩れを心配する必要はないだろう。ホーム画面のユーザーインターフェイスは、視認性を考えて大きめのアイコンが配置されている。ただし、約3.6インチの画面はやはり小さく、文字入力のしにくさやディスプレイの視認性を考えるとメインで使うのは少々厳しいと思われる。

左が本機。約6.4インチのディスプレイを備えたシャープ「AQUOS zero2」を右に並べると、あまりのサイズの違いに驚く

複雑な反射を見せる背面デザイン。素材は樹脂のようで、擦過傷にはやや弱そうだ

複雑な反射を見せる背面デザイン。素材は樹脂のようで、擦過傷にはやや弱そうだ

ホーム画面は、アイコンが大きくデザインされており、小さな画面でも操作しやすいように配慮されたデザインになっている

右側面には電源とボリュームの各ボタンが配置される

右側面には電源とボリュームの各ボタンが配置される

ボディ下面に、USB Type-Cポートが配置される

ボディ下面に、USB Type-Cポートが配置される。なお、ヘッドホン端子は、同梱の変換アダプターを使って接続する

基本スペックとしては、クアルコム社のエントリー向けSoC「Snapdragon 439」に、3GBのメモリーと32GBのストレージを組み合わせる。OSはAndroid 9。もちろんGoogle Playに対応している。

実際の処理性能を「AnTuTuベンチマーク(Ver.8.2.2)」を使って計測したところ、総合スコアは88,396(内訳、CPU:40,260、GPU:9,355 、MEM:27,680、UX:11,101)となった。本機の直接のライバルとなるような端末がないので比較が難しいが、現在人気のスタンダードモデルであるシャープ「AQUOS sense3」やソニーモバイル「Xperia 8」の総合スコアが大体12万点くらいなので、処理性能としては、1年ほど前のスタンダードモデルレベルである。なお、ベンチマーク項目のひとつで、新しい3Dグラフィック用API「Vulkan」を使ったベンチマーク項目「Terra cotta」はメモリー不足のため動作しなかったこともあり、3Dグラフィック性能を示す「GPU」は1万点以下とふるわなかった。

AnTuTuベンチマークの計測結果。メモリー不足のためGPUの計測項目「Terra cotta」が動作しなかったこともあり、GPUのスコアは今ひとつだった

体感レスポンスは比較的スムーズだが、ストレージの容量が32GBと少なめなうえに、microSDカードによる増設もできないので、大きなアプリをインストールして使うのは厳しい。こうした面からも、本機はあくまでもライトな使用を前提とした端末であると言える。

なお、内蔵バッテリーの容量が1,250mAhとかなり少ないことが響き、バッテリーの持ちはあまりよくなかった。テザリングを随時併用しつつ1日に1時間程度の使用した場合に、24時間で2回程度の充電が必要となったこともあった。モバイルバッテリーか充電器の持ち歩きは必須となるだろう。

ミニマムな機能のカメラだが、意外と使える

本機は、約1,600万画素のメインカメラと、約500万画素のフロントカメラを備える。

約1,600万画素のイメージセンサーを備えたメインカメラ。水平画角は約68°、垂直画角は約54°となっている

約1,600万画素のイメージセンサーを備えたメインカメラ。水平画角は約68°、垂直画角は約54°となっている

フロントカメラは約500万画素で、画角は約70°

フロントカメラは約500万画素で、画角は約70°

以下に、本機のメインカメラを使って撮影した静止画の作例を掲載する。なお、いずれもカメラ任せのオートモードで撮影を行っている

大きな熊のオブジェ。陰影差の少ない日中の構図というカメラにとってやさしい構図なこともあり、色味も不自然なところがなく暗部のノイズも少ない

皇居の巽櫓。HDR撮影機能がないためか、南に面した部分のしっくいが白飛びしている

皇居の巽櫓。HDR撮影機能がないためか、南に面した部分のしっくいが白飛びしている

LED照明の店内で撮影した料理を接写気味に撮影。やや淡泊に見えるが、肉眼の印象もこれに近い。ホワイトバランスは適切に計測されたようだ

丸の内の夜景を手持ちで撮影。ISO4480という高感度撮影となり、ディテールがぼんやりしているが、ノイズは意外と少ない

フラッシュを切って夜の花壇を撮影。ISO6032という、今回の作例撮影では最高の感度となった。相当暗いシーンだったこともあり、光量不足が目立つ。カメラ性能の限界だろう

本機のカメラはレンズやセンサーが小さいこともあって、光量不足は否めない。高感度撮影は、全般にフォーカスが甘くなる。ただし、光量が少ない割に手ぶれは少なく、失敗写真は意外と少なかった。いっぽう、日中の撮影だが、HDR撮影機能がないため、明暗差の強い構図では、ハイライト部分の色飽和が起こりやすかった。ただ、思ったよりノイズが少なく、そこそこ使えるという印象だ。

注目の楽天モバイルMNOネットワークの品質は?

では、注目の楽天モバイル独自のネットワークについて確認してみよう。楽天モバイルは、従来のNTTドコモの回線を使ったMVNOネットワークとは別に、自社製のMNOネットワークを構築中だ。当初は、2019年10月に商用サービスを開始する予定だったが、2020年4月中の開始に延期されており、現在は運用テストを兼ねた「無料サポータープログラム」を実施している。

楽天MNOネットワーク(以下、自社回線)は、現在、1.7GHz帯(バンド3)を使ったLTEネットワークを、東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、神戸、京都の各都府県の一部でエリア展開している。これ以外のエリアは、KDDIのプラチナバンドである800MHz帯を使い、ローミングサービスとしてカバーしている(以下、KDDI回線)。なお、エリア展開の状況は楽天モバイルのサイト上にて公開されている。

実際に使ってみた印象だが、自社回線エリアで屋外なら比較的安定してつながる。いっぽう、建物の中や地下ではよほど条件が整わないと自社回線は届かず、KDDI回線に切り替わる。通信品質だが、現状はまだユーザー数が少ないこともあり、昼休みや夕方などでも自社回線エリアなら上り下りともに40Mbps前後の速度は維持され、極端に速度が低下することはなかった。

気になったのは、自社回線とKDDI回線の切り替えに多少時間がかかり、その間、音声通話が中断してしまうことがある点だ。また、自社回線エリアとKDDI回線エリアの狭間では、両方のネットワークを行ったり来たりすることがあり、そうした場合に安定性に難を感じることもあった。ただし、この問題は楽天モバイルも認識しており、4月に予定されている接続方式の変更で解消されるとしている。

もう1点、KDDI回線から自社回線への切り替えのタイミングで、まったくつながらなくなってしまったことがあった(場所は東京都千代田区大手町の大手町交差点付近)。後日、同じ場所で状況を再現してみたが症状は現われなかったので、一過性の現象だったようだが、細かなトラブルはまだ皆無とは言えないのが現実のようである。

現状、建物の中まで自社回線の電波が届かないことや不安定さもあるが、無料サポータープログラム実施中にこれらのトラブルをどれだけ解消できるかが勝負だろう。指摘される基地局数の少なさは、KDDI回線が下支えしているので、エリアについては既存キャリアとそん色はない。商用サービス開始後に今実現できている通信速度がどれだけ維持できるかが焦点となるだろう。

Ookla「Speedtest」を使った速度計測の結果、自社回線なら大体20〜40Mbps程度であることが多かった

Ookla「Speedtest」を使った速度計測の結果、自社回線なら大体20〜40Mbps程度であることが多かった

自社回線使用時の詳細通信速度の詳細。PINGは安定して31〜33msが多く、最速で22msを記録した。総じて遅延は少ない傾向だ

楽天モバイルのショップがある恵比寿駅付近の屋外におけるネットワークの様子。自社回線のL1800(1.7GHz帯)をつかんでいる。電波の強さを示すRSRP値は-84dBmで、なかなか良好だった

楽天MNOネットワークのエリア展開

こちらは首都圏近郊のエリアの様子。濃いピンクが自社回線、薄いピンクがKDDI回線となる。東京23区はもとより、神奈川件の川崎市や横浜市、埼玉県のさいたま市、千葉県の船橋市や千葉市の一部など湾岸沿いにエリアが広がっている

愛知県のエリア展開の様子。名古屋市を中心に周辺に広がっている

愛知県のエリア展開の様子。名古屋市を中心に周辺に広がっている

京都府のエリア展開の様子。上京、中京、下京の洛中を中心にエリア展開が進んでいる

京都府のエリア展開の様子。京都市の上京区、中京区、下京区の洛中を中心にエリア展開が進んでいる

大阪市を中心に、東大阪市、柏原市、堺市などの近隣都市にもエリアが広がっている

大阪市を中心に、東大阪市、柏原市、堺市などの近隣都市にもエリアが広がっている

サブ機としてならアリの「Rakuten Mini」。楽天MNO回線は、今の回線速度がどれだけ維持されるかがポイント

端末と回線とに分けて、楽天モバイルの現状をまとめてみた。

まずは端末「Rakuten Mini」だが、過去10年ほどの間に国内で登場したスマートフォンの中でもかなりの軽さで、久しぶりのコンパクトモデルとして注目している人も多いだろう。軽く持ちやすいそのボディは確かに魅力的で、かつて主流だった折りたたみスタイルのガラケーを思わせるフットワークだ。ただ、バッテリー容量が少なく、画面が小さいことによる視認性と操作性の悪さはネックとなる。処理性能やストレージ容量にも余裕があるとは言えないので、おサイフケータイをメインで使うようなSIMフリースマホのサブ機として使うのが適当だろう。

いっぽうの楽天MNOサービスだが、自社回線のエリアはまだまだ狭いが、建物の中や地下、地方や郊外などはKDDI回線のローミングがバックアップしているので、2020年1月現在で3,020局という少ない基地局ながら、エリアで困ると言うことはあまりない。安定性や、ローミング切り替えに少々時間がかかるなど問題はあるが、4月中に開始予定の本格サービスに向けて改善が進むことを期待したい。あとは、料金プラン次第だろう。また、ユーザーが殺到した場合、今の回線品質がどれだけ維持されるか、楽天モバイルの回線増強ポリシーが問われることにもなりそうだ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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