レビュー
同価格帯のライバルをしのぐ処理性能と高画質なディスプレイを搭載

速くて安いスマートフォンのダークホース、TCL「PLEX」レビュー

2019年12月末に発売されたSIMフリースマートフォン「PLEX」は、中国の家電メーカー、TCLの製品。税込み直販価格が29,800円という低価格モデルだが、価格.comにおけるユーザーレビューの満足度は4.57ポイント(投稿者数12名)で、人気ランキングは37位(2020年3月12日現在)となっており、国内ではほぼ無名の存在ながら比較的健闘している。その理由に迫った。

高品質な液晶ディスプレイと、ライバル機より高い処理性能が特徴

「PLEX」は、76.56(幅)×162.2(高さ)×7.99(厚さ)mm、重量約192gのボディに、2,340×1,080のフルHD+表示に対応する、約6.53インチの液晶ディスプレイを組み合わせた比較的大型のスマートフォンだ。ボディの背面素材は樹脂製で、複雑な反射の塗装が施されている。なお、防水・防塵には非対応だ。接続インターフェイスだが、、USB Type-Cポートを備えるほか、ヘッドホン端子も搭載する。FeliCaポートは非搭載(NFCポートは搭載)だ。操作ボタンは、通常の、電源とボリュームの各ボタンに加えて、1回押し、2回押し、長押しの3種類の動作を割り当てられる「カスタムキー」を備えている。

ボディ下面にはUSB Type-Cポートが配置される

ボディ下面にはUSB Type-Cポートが配置される

ボディ正面にはヘッドホン端子が配置される

ボディ正面にはヘッドホン端子が配置される

ボディ右側面にはボリュームおよび電源のボタンが配置される

ボディ右側面にはボリュームおよび電源のボタンが配置される

ボディ左側面には、機能を割り当てられる「カスタムキー」が配置される

ボディ左側面には、機能を割り当てられる「カスタムキー」が配置される

約6.53インチのディスプレイは画面占有率90%を誇り、ボディ前面全体がディスプレイで覆われているイメージだ。オーソドックスな平面ディスプレイだが、画面の切り欠きノッチはなくカメラ部分をくり抜いたパンチホールが設けられているのみとなる。TCLは、液晶テレビのメーカーでもあるためか、ディスプレイの画質を称賛する意見が価格.comのユーザーレビューでは目立つ。確かに画質はかなり良好で、特に液晶ディスプレイが苦手とする黒がしっかりと黒く見えるあたりに、質のよい液晶ディスプレイを使っていることが感じられる。近ごろのスマートフォンは低価格モデルでも有機ELディスプレイを採用するものが出てきているが、本機のディスプレイはそれらと比べても画質面では見劣りしない。

液晶ディスプレイはコントラスト比が高く、透明感のある画質。有機ELディスプレイと比較しても見劣りはしない。なお、HDR10に対応している

白の背景で電子書籍を表示させた、白の表現や活字の見やすさなども良好な部類だ。なお、「読書モード」にするとややアンバーに発色を寄せて、紙の発色に近づける

基本性能だが、SoCに「Snapdragon 675」を搭載し、6GBのメモリーと、128GBのストレージ、256GBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせている。OSは、Android 9をプリインストールするが、Android 10へのアップデートが告知されている。実際の処理性能を「AnTuTuベンチマーク」を使って計測したところ、総合スコアは214,408(内訳、CPU:86,208、GPU:33,341、MEM:49,278、UX:45,581)となった。本機と同価格帯のOPPO「A5 2020」の総合スコアは16万弱、シャープ「AQUOS sense3」は12万弱なので、本機の性能の高さが理解できるだろう。現状選ぶことのできる3万円前後のSIMフリースマホの中では、最速の1台と言っていい。

体感速度も確かにスムーズだ。これには6GBという大容量のメモリーが効いている。サイズの大きなアプリの起動もスムーズで、SNSやWebコンテンツ、カジュアルなゲームならば不満はないし、タスクの切り替えでもたつくことも少ない。また、ストレージ容量にも余裕があるうえに、microSDカードによる増設も可能なのも魅力だ。ただし、処理性能の高さの割に、グラフィック性能はさほど高くない。スペック要求の高いゲームを快適にプレイしたい場合は、GPUの性能に余裕のあるSnapdragon 700番台のSoCを備えた「Reno A」あたりのほうが適している。

AnTuTuベンチマークの計測結果。左が本機、右がOPPO「A5 2020」のもの。両機はほぼ同価格帯だが、処理性能では約3割という大きな差がついた

低照度対応動画専用カメラを備えるユニークなトリプルカメラを搭載

本機のメインカメラは、約4,800万画素の標準カメラ(焦点距離27mm)、約1,600万画素の超広角カメラ、約200万画素の動画撮影時の低照度カメラという組み合わせのトリプルカメラだ。フロントカメラは約2,400万画素となっている。中でも、低照度対応の動画用カメラを備えているのはユニークだ。

メインカメラは、左から超広角カメラ、動画撮影時の低照度カメラ、標準カメラという並びだ

メインカメラは、左から超広角カメラ、動画撮影時の低照度カメラ、標準カメラという並びだ

パンチホールの中に収まるフロントカメラは、約2,400万画素

パンチホールの中に収まるフロントカメラは、約2,400万画素

以下に、本機のメインカメラを使って撮影した、静止画と動画の作例を掲載する。なお、基本的に、カメラ任せのAIオートで撮影を行っている。

標準カメラで撮影

日中の菜の花畑を撮影、逆光だったため、構図左下にゴーストが現われている

日中の菜の花畑を撮影、逆光だったため、構図左下にゴーストが現われている

超広角カメラで撮影

上と同じ構図を超広角カメラで撮影。コントラストが甘くなり、構図左下に現われるゴーストもよりハッキリと浮かび上がっている

標準カメラで撮影

電球色のLED照明の室内を撮影。さほど暗いシーンではないがISO1156というかなりの高感度になった。手ブレは抑えられているが、細部を見ると少しざらついてくる

超広角カメラで撮影

上と同じシーンを超広角カメラで撮影。全般にシアンに寄ったホワイトバランスになった。光量も少なめで、暗い場所の撮影にはあまり強くないようだ

標準カメラで撮影

銀座の和光ビル。こちらは標準モードで撮影を行った。これでも十分キレイに見える

銀座の和光ビル。こちらは標準モードで撮影を行った。これでも十分キレイに見える

標準カメラ(スーパーナイトモード)で撮影

上と同じ構図をスーパーナイトモードで撮影。光量が全般に増え、より鮮明になった。細部を見ても、ビルの壁を照らす照明の階調がより自然になっている

標準カメラで撮影

夜の噴水。全般に暗いのは確かだが、肉眼の印象には近い

夜の噴水。全般に暗いのは確かだが、肉眼の印象には近い

超広角カメラで撮影

上と同じシーンを、超広角カメラに切り替えて撮影。光量が不足しているうえに、ホワイトバランスもシアンに寄っている。カメラの性能の限界なのだろう

本機の特徴である動画撮影用の低照度カメラはかなり鮮明で、競合モデルに対する本機のアドバンテージになっている。いっぽう、静止画撮影では、標準カメラではそれほど気にならないが、超広角カメラはシーンによってホワイトバランスの不自然さやゴーストなどが目立ちやすく、悪条件下での撮影は厳しい。尖った部分も見られるが、総じて価格相応のカメラ性能というところだ。

デュアルSIMスロットを搭載するがVoLTEには非対応。バッテリー持ちは上々

通信機能を見てみよう。本機はLTEのB1/3/5/7/8/19/20/28/38/40の各バンドに対応しており、NTTドコモ系およびソフトバンク系(ワイモバイル)のSIMカードとの相性がよい。SIMカードスロットは、nanoSIMカードのデュアルスロットで、DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)に対応しているが、VoLTEには非対応なので少し注意が必要だ。NTTドコモでは2026年3月、ソフトバンクでは2024年1月下旬にそれぞれ3Gサービスを終了する。3Gサービス終了でケータイが使えなくなると認識している人は多いが、スマートフォンでもVoLTE非対応の製品は音声通話が使えなくなる。まだしばらく先ではあるが、本機を4年以上使おうと考えている場合は注意したほうがよいだろう。

nanoSIMカードスロットを2機備えるが、VoLTEには非対応となる。長く使った場合に、3G停波の影響を受けることになる

なお、バッテリーについては、3,820mAhの容量となる。バッテリー持ちに関するスペックは公表されていないが、価格.comに寄せられるユーザーレビューに寄せられる評価項目「バッテリー」は4.63ポイント(カテゴリ平均3.63ポイント)と比較的好評だ。今回の検証は6日間行い、その間に行った充電は2回のみだった。前半4日間は待ち受け主体だったが、後半の2日間は1時間以上の音声通話を断続的に行うなど2日に約6時間程度使ってもバッテリーの残量は10%ほどの余裕があった。総じてバッテリーは持つほうだろう。なお、急速充電の規格であるQuick Charge 3.0に対応しており、32分で50%までの充電が可能だ。

3万円前後で買えるエントリーモデルとしては、高速な処理性能と高品質なディスプレイが魅力

本機を含む3万円前後で買えるエントリー向けスマートフォンは、各社が力を入れる激戦区になっている。本機のライバルは多く、いくつか名前をあげるだけでもOPPO「Reno A」および「A5 2020」、シャープ「AQUOS sense3」、モトローラ「moto g8 plus」などがある。
本機は国内では認知度はまだ高くないが、価格に対して処理性能が高く、速くて安いスマートフォンとしては候補の筆頭にあげてもよい製品だ。ディスプレイも価格を考えればかなりの高品質だし、バッテリーの持続性も十分だ。いっぽう、カメラ機能にはややクセがあるので、カメラ性能を優先しないのであれば、安くて速いスマートフォンとして悪くない選択だ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
ページトップへ戻る