レビュー
ドコモ5Gスポットで1Gbps超えを記録!

鬼スペックの5Gスマホは実はフレンドリー。シャープ「AQUOS R5G」レビュー

NTTドコモ、au、ソフトバンクの3大通信キャリア各社が3月下旬より5Gの通信サービスをスタートさせた。その対応端末としてその3大キャリアとも共通して採用しているのがシャープの「AQUOS R5G」だ。その特徴を解説しつつ、NTTドコモおよびソフトバンクの5Gの通信速度も計測した。

シャープ初の5Gスマホは、高性能・多機能のハイエンドモデル

シャープのハイエンドスマートフォン「AQUOS R5G」は、「AQUOS R」シリーズとしては4代目の製品だが5Gにちなんで「R5G」とネーミングされている。通信キャリア各社の5Gサービス開始を飾る第1号モデルとしてNTTドコモ版の「SH-51A」は3月25日に、au版「SHG01」とソフトバンク版「908SH」が3月27日にそれぞれ発売された(SHG01は5G開始翌日に発売)。

ボディサイズは約75(幅)×162(高さ)×8.9(厚さ)mmで、重量は約189g。ディスプレイは3,168×1,440のQHD+表示に対応する約6.5インチのPro IGZO液晶ディスプレイだ。ハイエンドスマートフォンのほとんどは有機ELディスプレイの採用に移行しているが、このPro IGZOは約10億色の色表現と1,000cd/m2の高輝度に対応しており、画質はかなり良好。特に最大輝度の高さは有機ELディスプレイに対する優位点だろう。

実機を手にしたところ、ボディもディスプレイも大きく感じた。ただし、側面を囲むフレームにへこみがつけられているなど、持ちやすくする工夫は施されている。指紋認証センサーは、従来通り、ディスプレイの下に搭載されている。

横幅は75mmで、厚みも8.9mmと比較的大きめなボディだ

横幅は75mmで、厚みも8.9mmと比較的大きめなボディだ

複雑な反射を見せる背面パネルは海外メーカー製のスマートフォンを思わせる

複雑な反射を見せる背面パネルは海外メーカー製のスマートフォンを思わせる

側面を囲むフレームにはへこみがつけられており、手にした際の引っかかりができるように工夫されている

側面を囲むフレームにはへこみがつけられており、手にした際の引っかかりができるように工夫されている

本機のボディは、IPX5/8等級の防水仕様と、IP6X等級の防塵仕様をクリアしている。FeliCa・NFCポート、フルセグ・ワンセグチューナー(録画非対応)に加えて、ヘッドホン端子も搭載されている。ワイヤレス充電には非対応。なお、今春のスマートフォンではテレビチューナーを搭載するものがさらに減少しているが、本機は「Xperia 1 II」とともにテレビを見られる数少ないスマートフォンとなった。

下面に備わるUSB Type-Cポートは、USB 3.1のデータ転送とUSB PD 3.0の急速充電に対応している

下面に備わるUSB Type-Cポートは、USB 3.1のデータ転送とUSB PD 3.0の急速充電に対応している

上面には、近ごろ省略されることも多いヘッドホン端子を搭載

上面には、近ごろ省略されることも多いヘッドホン端子を搭載

右側面にはボリュームと電源の各ボタンが配置される

右側面にはボリュームと電源の各ボタンが配置される

LEDインジケーターは、ボディ下面に配置されている

LEDインジケーターは、ボディ下面に配置されている

指紋認証センサーはディスプレイ下に搭載。設定でホームボタンを兼ねることもできる

指紋認証センサーはディスプレイ下に搭載。設定でホームボタンを兼ねることもできる

注目の5G通信機能。ドコモ版で下り1,176Mbpsを記録!

5G対応は本機の大きな注目ポイントだ。本機はSub-6と呼ばれる5Gとしては低周波数帯の電波に対応している。カタログスペック上の通信速度はキャリアごとに違いがあり、NTTドコモ版「SH-51A」では下り最大3.4Gbps/上り最大182Mbps、au版「SHG01」では下り最大3.4Gbps/上り最大183Mbps、ソフトバンク版「908SH」では下り最大2.0Gbps/上り最大103Mbpsとなっている。

このうちドコモ版の「SH-51A」を使い、5Gのサービスエリアとなっている東京・丸の内の「ドコモショップ丸の内店」の店内で通信速度を計測したところ、下り:1,176Mbps、上り:75.9Mbps、Ping:29msを記録した。また、ソフトバンク版「SH908」を使い、東京・銀座の「ソフトバンク銀座」前の路上で通信速度を計測したところ、下り:715Mbps、上り:13.4Mbps、Ping:9msとなった。なお、数寄屋橋のスクランブル交差点でも5Gのアンテナピクトが確認できるなど、ソフトバンクの銀座地区におけるエリア展開は多少進んでいるようである。ただし、ひとつひとつの通信エリアは狭いため、まとまった面積をカバーできるのはまだしばらく先になりそうだ。

「SH-51A」を使い、ドコモショップ・丸の内店内の屋根裏に設置された5Gアンテナの直下で計測。エリアとしては限られたスポットになるが、下りの実効速度が1Gbpsを超えた

「908SH」を使い、ソフトバンクショップ銀座の正面で計測、屋外にもかかわらず715Mbpsという下りの通信速度を計測した。1ケタmsというPingもかなり優秀

最速のSoCに加えて、高速・大容量のメモリーとストレージを搭載

本機は、最新世代のハイエンドSoC「Snapdragon 865」を搭載。このSoCは、前モデル「Snapdragon 855」と比較して約25%のパフォーマンス向上を実現している。なお、Snapdragon 865を搭載するスマートフォンは本機のほかにも、サムスン「Galaxy S20」と「Galaxy S20+」、ソニーモバイル「Xperia 1 II」、富士通「arrows 5G」、LG「V60 ThinQ」など数が多い。なお、本機は、12GBのLPDDR5メモリーや256GBのUFS3.0ストレージという、大容量かつ高速なデータ転送を行えるパーツを使っているため、競合製品よりも全体的なパフォーマンスは上だ。なお、microSDXCメモリーカードスロットの対応する容量の上限も、前モデル「AQUOS R3」の512GBから1TBへ強化されている。OSはAndroid 10だが、発売後2年間に最低2回のバージョンアップが予告されているので、Android 12の世代までは最新のソフトウェア環境で利用できるだろう。

実際の処理性能を、「AnTuTuベンチマーク」を使って計測した。その総合スコアは576,419(内訳、CPU:178,117、GPU:213,016、MEM:99,048、UX:86,228)となった。本機と同じSoCを搭載する5G対応モデル、サムスン「Galaxy S20 5G(SC-51A)」のスコアは、540,515(内訳、CPU:163,979、GPU:215,479、MEM:79,653、UX:81,404)で、これと比較しても本機のほうがスコアが高い。サブスコアを見ると、MEMの値が約2万ポイント高いが、MEMの計測項目のひとつ「ROMシーケンシャル書き込み」で3倍以上の大差となっていることが効いている。本機のストレージは「Write Booster」という、シーケンシャルデータの書き込みを高速化させる技術に対応しているためだ。CPUの値も本機のほうが少し高いが、この理由として熱処理の違いが考えられる。本機は熱処理にも注力されており、高負荷の状態を長く維持できるので、結果としてベンチマークテストのスコア向上に働いたものと思われる。

AnTuTuベンチマークの計測結果。左が本機、右が「Galaxy S20 5G」のもの。同じSoCを搭載しているのでCPUやGPUのスコアは近いが、MEMの差はかなり大きい

こちらもよく使われるベンチマークアプリ「GeekBench 5」の計測結果。左が本機でSingle-Core Scoreは915、Multi-Core Scoreは3,334。右が「Galaxy S20 5G」でSingle-Core Scoreは903、Multi-Core Scoreは3,174。こちらも本機のほうが少し良好な結果だった

8K動画を撮影可能なクアッドカメラ。全体的な画質は良好

本機のメインカメラは約4,800万画素の超広角カメラ(19mm)、約1,220万画素の標準カメラ(26mm)、約1,220万画素の望遠カメラ(52mm)、ToFカメラという組み合わせのクアッドカメラで、約2.7倍の光学ズーム撮影が可能だ。なお8Kの動画撮影機能も搭載している。また、画像の編集アプリとしてアドビの「Adobe Photoshop Express」がプリインストールされている点にも注目だろう。

メインカメラは左から、ToFカメラ、標準カメラ、超広角カメラ、望遠カメラという並び

メインカメラは左から、ToFカメラ、標準カメラ、超広角カメラ、望遠カメラという並び

フロントカメラは、前モデル「AQUOS R3」と同じく約1,640万画素となっている

フロントカメラは、前モデル「AQUOS R3」と同じく約1,640万画素となっている

以下に、本機のメインカメラを使った静止画の作例を掲載しよう。なお、いずれもカメラ任せのAIオートで撮影を行っている。

超広角カメラで撮影

日中の花壇を超広角カメラで撮影。もっとも解像度の高いイメージセンサーではあるが、等倍で確認したところ、特に解像感が高いというわけではない

標準カメラで撮影

上と同じ構図を標準カメラに切り替えて撮影した。超広角カメラよりも光量が増しており全般に鮮やかに映っている。等倍にした際の解像感もこちらのほうが良好

望遠カメラで撮影

同じ構図を望遠カメラに切り替えて撮影。超広角や標準カメラとは大きく印象が変わる。被写体にある程度寄れるのでマクロ撮影も行いやすい

超広角カメラで撮影

路地から見える東京スカイツリーにピントを合わせた

路地から見える東京スカイツリーにピントを合わせた

標準カメラで撮影

同じ構図を、標準カメラに切り替えて撮影。スカイツリーはまだハッキリと写っていない

同じ構図を、標準カメラに切り替えて撮影。スカイツリーはまだハッキリと写っていない

望遠カメラで撮影

同じ構図を望遠カメラに切り替えて撮影。スカイツリーの様子がハッキリわかるようになる

同じ構図を望遠カメラに切り替えて撮影。スカイツリーの様子がハッキリわかるようになる

16倍のデジタルズームで撮影

デジタルズームを最大の16倍まで高めて撮影。スカイツリーの展望台部分のディテールも比較的しっかり写っている

超広角カメラで撮影

夜の神田川を撮影。高感度撮影はあまり強くないようで、光量不足が目立つ。また、石垣や陰になっている部分のノイズも目立っている

標準カメラで撮影

上と同じ構図を標準カメラに切り替えて撮影。超広角カメラで目立った粗さやノイズが抑えられ、比較的クリアな夜景が撮れた

望遠カメラで撮影

同じ構図を望遠カメラに切り替えて撮影。こちらもノイズが少なく、光量も足りている

同じ構図を望遠カメラに切り替えて撮影。こちらもノイズが少なく、光量も足りている

AIを使い8K動画を自動でクローズアップする「フォーカス再生」

8Kで撮影した動画からAIが被写体を識別してズーム再生する「フォーカス再生」。高画質、高精細だけではない8Kの便利な使い方と言える

本機のメインカメラは、焦点距離を3段階で切り替えられるうえにToFカメラまで備えており、最近のハイエンドスマートフォンとしては一般的なものとなった。特に望遠撮影に対応したことは前モデル「AQUOS R3」と比較した大きな進化点で、バリエーションのある構図を楽しめる。またToFカメラは、構図を認識することで背景ぼかしに使うほか、5G時代に注目されるMR(Mixed Reality:複合現実)の精度向上にも有効と言われる。

画質だが、標準カメラや望遠カメラなら、気軽な撮影でも失敗写真は少なく済む。いっぽう超広角カメラは、8K動画撮影出使うため高精細に撮影できる。ただし、19mmという焦点距離は、競合製品では実現している15mm前後と比べるとややワイド感に欠けるうえに、ドットピッチが狭いため夜景撮影ではノイズが乗りやすくなる。

なお、注目の8K動画撮影機能だが、本機のディスプレイでは8Kを表示できないのでドットバイドットの再生には8K対応ディスプレイが必要だ。データが巨大になるうえに、スマートフォンではオーバースペックに感じられるが、本機に備わる「フォーカス再生」機能は、8K動画を自動でズームアップしてくれるため、何気なく撮った動画でも、見栄えがする映像として見られる。高精細とは違ったアプローチだが、本機の魅力を高めるポイントになっている。

5Gではバッテリー持ちが悪くなるがLTEなら2日は使える

本機は、3,730mAhのバッテリーを内蔵し、カタログスペックの連続待受時間はNTTドコモ版「SH-51A」では約380時間、au版「SHG01」では約430時間、ソフトバンク版「908SH」では約450時間となる。電池持ち時間は、「SH-51A」では約100時間(5G)/約125時間(LTE)、「SHG01」では約110時間(5G)/約120時間(LTE)となっており、前モデル「AQUOS R3」よりも数値上は少し落ちている(ソフトバンクは電池持ち時間を公表していない)。特に、5Gエリアでは電池持ちが少し悪化する傾向だ。今回の検証では、1日に3時間程度使った場合でもフル充電で36時間程度のバッテリーが持続したので、「AQUOS R3」などと比較して極端にバッテリーを消費するという印象はない。ただ、今はエリアのほとんどがLTEという背景があるので、今後5Gのエリア展開が進めば、電池持ちは多少悪くなるだろう。

鬼スペックだが扱いやすい。ガジェット好きではない人も満足できる5Gスマホ

本機はこの春発表された5Gスマートフォンの中でもかなりのハイスペック機となる。5G通信機能はもちろんだが、基本性能が高く、クアッドカメラや、ハイレベルの液晶ディスプレイなど性能面ではスキがない。カメラは8K動画撮影に対応しているが、AIを使い自動でクローズアップさせる「フォーカス再生」は、多くの人にとって8Kの利便性を実感できる技術と言える。

注目の5G通信機能だが、通信キャリアごとに多少の違いはあるものの、対応エリアはまだ局地的で、LTEのようなエリア化にはまだ時間がかかる。対応エリアにおける通信速度の速さは魅力だが、しばらくはLTE中心の利用と言うことになるだろう。

本機は今期屈指の高性能機ではあるが、使いやすさとのバランスがとられており扱いやすい1台だ。本体価格が11〜13万円レベルと高いのが気になるが、今5Gスマートフォンを選ぶなら、ジェット好きに限らず多くの人が満足できる製品と言える。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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