レビュー
ディスプレイ、カメラ、サウンドが強化された国産5Gスマホの最注目機

趣味を極めるための5Gスマホ、ソニー「Xperia 1 II」1週間使用レビュー

注目度の高い5Gスマートフォン、ソニーモバイルの「Xperia 1 II(エクスペリア ワン マークツー)」。2020年5月22日から発売されるau版「SOG01」の先行開発機を1週間ほど使ってわかった実力をレビューしよう。

Xperiaらしさに磨きをかけた旗艦モデル

一時期不調が伝えられたソニーモバイルの「Xperia」シリーズだが、昨年初夏に登場した「Xperia 1」、昨秋登場した「Xperia 5」と廉価モデル「Xperia 8」は販売も比較的好調のようだ。今回取り上げる「Xperia 1 II」は昨年夏に発売され好評を得たハイエンドモデル「Xperia 1」の後継機で、au版「SOG01」が5月22日に、NTTドコモ版「SO-51A」は5月下旬以降に発売される。その注目度は高く、価格.comの「スマートフォン」カテゴリーにおける人気ランキングでは、5G対応スマホでは最高の7位に位置しているほか、クチコミの件数も400件に迫る勢いだ(いずれも2020年5月19日時点)。

「Xperia 1 II」は、約72(幅)×166(高さ)×7.9(厚さ)mm、重量約181gのボディに、3,840×1,644の4K表示に対応する約6.51インチの有機ELディスプレイを搭載する。「Xperia Z」以来の伝統である板ガラスを思わせるボディは、約7.9mmという薄さで、このデザインだけでもXperiaファンの心をつかみそうだ。カラーバリエーションは、今回の検証機であるau版「SOG01」はブラックとホワイトの2色だが、NTTドコモ版「SO-51G」はブラック、ホワイト、パープルの3色展開となる。なお、前モデル同様、ボディはIPX5/8の防水・防塵仕様に対応している。

板ガラスを思わせる背面のデザイン。左上にメインカメラが配置される

板ガラスを思わせる背面のデザイン。左上にメインカメラが配置される

厚さは約7.9mm。8mmをわずかではあるが下回った

厚さは約7.9mm。8mmをわずかではあるが下回った。シャッターボタンも健在だ

ボディ側面に配置された指紋認証センサー兼電源ボタンが復活。「Xperia」シリーズにおいて廃止が惜しまれた機能のひとつだ

ボディ下面にはUSB Type-Cポートが配置される

ボディ下面にはUSB Type-Cポートが配置される

本機の有機ELディスプレイは、「Xperia 1」を継承しており、縦横比21:9、平面でノッチやパンチホールがないシンプルなものだ。画面のサイズは約6.5インチだが、横幅は約65mmにとどまっており、縦長のWebページなどは画面いっぱいに表示されるが、横幅に合わせて表示サイズの大きさが決まる電子書籍(コミック類)などのコンテンツは、意外と小さく表示される。画質は、有機ELディスプレイの特徴である高コントラストで鮮やかな色の表現が印象的ないっぽう、明るさもしっかり確保されており、全体的に画質は非常にいい。

なお、このディスプレイは、「Xperia 1」同様、HDR、BT.2020の色域、10bit入力のそれぞれに対応し、プロ用モニターの画質に近い画質チューニングが施された「クリエイターモード」が搭載される。「クリエイターモード」は特に映像コンテンツの再生においてその効果を発揮する表示モードで、「Netflix」などでの映像再生時には自動で切り替わる。

新機能として、残像低減技術が搭載された。リフレッシュレートは従来通りの60Hzのままだが、電圧制御を工夫することで残像感を90Hz(1.5倍速)相当に低減するというもの。タッチパネルの応答速度は倍速の120Hzに引き上げられており、アクションゲーム数種類をプレイしてみたところ、残像感が低減され操作のダイレクト感も高まっている。

有機ELディスプレイらしくコントラストが高く発色がよい。そのいっぽうで、液晶の頃からの特徴である、クリアな画質は受け継がれている

搭載される有機ELディスプレイは高いコントラスト比と自然な発色で画質は非常によい。ドットピッチも細かいので、文字も精細に表示される

サウンド機能では、ソニー・ミュージックエンタテインメントのエンジニアによる音質の監修を受け、音の定位感や空気感などクリエイターの意図をより忠実に再現するチューニングが施されている。ステレオスピーカーは、ディスプレイの左右(横位置時)に均等に配置されており、音の定位感向上にひと役買っている。加えて、AI技術を取り入れた新しい音質拡張技術「DSEE Ultimate」により、圧縮音源などでもハイレゾ相当の高音質に引き上げることができる。また、ヘッドホン端子が復活したこともうれしい変化だろう。このヘッドホン端子は、干渉(クロストーク)を「Xperia 1」の1/10となる20dbまで削減し、より高音質になっている。

このほか、FeliCaおよびNFCポート、ワイヤレス充電のQiポート(11Wまで対応)、フルセグ・ワンセグチューナーは「Xperia 1」から引き続き搭載する。なおフルセグ・ワンセグチューナーは、この春夏モデルの中では、録画も行える唯一の機種となっている。

ボディ上面に配置されたヘッドホン端子。「Xperia XZ1」以来の復活となる

ボディ上面に配置されたヘッドホン端子。「Xperia XZ1」以来の復活となる

ステレオスピーカーは、横向き時のディスプレイの左右に均等に配置される

ステレオスピーカーは、横向き時のディスプレイの左右に均等に配置される

AI技術を取り入れた新しい音質拡張技術「DSEE Ultimate」を搭載。「Dolby Atoms」との併用も可能だ

AI技術を取り入れた新しい音質拡張技術「DSEE Ultimate」を搭載。「Dolby Atoms」との併用も可能だ

最速SoC「Snapdragon 865 5G」を搭載するが、メモリーはやや少なめ

「Xperia 1 II」は、SoCに、競合する5Gスマホと同じ「Snapdragon 865 5G」を採用し、8GBのメモリーと128GBのストレージ、1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSはAndroid 10。「Snapdragon 865 5G」は、「Xperia 1」や「Xperia 5」などに搭載されていた「Snapdragon 855」と比較すると、一般処理性能とグラフィック性能のいずれもが25%向上しているという。

実際の処理性能を定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」と「GeekBench 5」を使って計測したところ、「AnTuTuベンチマーク」の総合スコアは534,780(内訳、CPU:180,265、GPU:203,882、MEM:79,315、UX:71,818)となった。これを価格.comマガジンで以前計測した「Xperia 5」 (AnTuTuベンチマークの仕様が変わったため、計測済みの「Xperia 1」のスコアが比較に適さないため、処理性能では同等の「Xperia 5」のスコアを使用した)のスコア406,998(CPU:133,301、GPU:171,175、MEM:47,292、UX:55,320)と比較すると約3割のスコアの向上になる。「GeekBench 5」の計測結果は、シングルコア:894、マルチコア:3,255で、本機と同じSoCを備えるサムスン「Galaxy S20 5G」のシングルコア:903、マルチコア:3,174と比較するとほぼ同レベルとなった。

「AnTuTuベンチマーク」の計測結果。左が本機、右は1世代前のモデルである「Xperia 5」のもの。総合スコアで約3割のスコアアップ。サブスコアもそれぞれ大幅に伸びている

「Geekbench 5」のスコア。左が本機、右が本機と同じSoCを備える「Galaxy S20 5G」のもの。同じSoCなので当然ではあるが、シングルコア、マルチコアともにほとんど同じスコアとなった

体感速度は、アプリの起動はもちろん、描画負荷の高いゲームなどでも全般的に高速で、昨年のハイエンドモデルとの違いもわずかに感じ取れるレベル。ただ、本機は搭載されるメモリーが8GBと、ハイエンド機としてはやや少ない。12GBのメモリーを搭載するシャープ「AQUOS R5G」やサムスン「Galaxy S20 5G」と比較した場合、いくつかのシーンで体感速度に多少の遅さが感じられた。

注目の5G通信機能だが、Sub-6のみの対応で、ミリ波には非対応だ。カタログスペックによると「SOG01」は、下り最大3.4Gbps、上り最大183Mbpsの通信が行えるが、今回の検証期間は、首都圏に緊急事態宣言が出ており、外出自粛が呼びかけられていたため、5G環境での検証は見送らせていただいた。

ZEISS監修レンズを採用したクアッドカメラと、専用の新アプリ「Photography Pro」で、専用機に肉薄する機能性を実現

本機のカメラ機能は、ハードウェアとソフトウェア両面で強化されている。メインカメラは約1,220万画素の超広角カメラ(焦点距離16mm)、約1,220万画素の標準カメラ(焦点距離24mm)、約1,220万画素の望遠カメラ(焦点距離70mm)、3D iToFセンサーという組み合わせのクアッドカメラだ。また、超広角、標準、望遠の各カメラについては、「T*(ティスター)コーティング」が施されたZEISS監修のレンズが採用される。イメージセンサーのサイズも「Xperia 1」や「Xperia 5」と比較すると超広角カメラでは1/3.4インチから1/2.6インチへ、標準カメラも1/2.6インチから1/1.7インチへ大型化された。また、望遠カメラの焦点距離が52mmから70mmに伸びたほか、これまで非対応だった超広角から標準の中間画角でのデジタルズームが可能になっている。

メインカメラは、超広角、標準、望遠、i ToFセンサーを組み合わせたクアッドカメラとなった

メインカメラは、超広角、標準、望遠、i ToFセンサーを組み合わせたクアッドカメラとなった

16mm、24mm、70mmという各カメラの焦点距離は、大三元レンズ(F2.8の広角・標準・望遠レンズのこと)を意識して選ばれたという

3D iToFセンサーは、撮影する範囲を43,200のメッシュに分割し、それぞれのメッシュが被写体との距離を計測することで、写真の奥行きを表現するのに使われる

ハードウェアと並んで注力されているのがソフトウェアだ。「Xperia 1 II」では、従来の標準カメラアプリのほかに、新しいカメラアプリ「Photography Pro」が用意された。「Photography Pro」では、ボディ側面に用意されたシャッターボタンを使った撮影や、AE/AF追従の毎秒20コマ連続撮影(シャッターボタン半押し時は毎秒60コマの内部演算)、人と動物に対応したリアルタイム瞳AFなど高速撮影などが行える。また、AIを使った被写体認識機能を搭載し、複雑な構図でも意図通りの撮影が簡単に行えるという。なお、「Photography Pro」は、発売時点ではプリインストールされず、発売後のアップデートで実装される見込みだ。(詳細は「デジタル一眼カメラ並みの機能性を実現。ソニー「Xperia 1 II」のカメラ機能の詳細が明らかに」を参照)

「Photography Pro」では、AE/AF追従の毎秒20コマ連続撮影や、人と動物に対応したリアルタイム瞳AFなど、カメラ専用機のような機能が利用できる

以下に、本機のメインカメラを使った静止画の作例を掲載する。いずれも「Photography Pro」ではなく、標準のカメラアプリを初期設定のまま使用している。なお、開発途中機であるため、製品版とは画質が異なる場合があることはご了承いただきたい。

超広角カメラで撮影

16mmというかなりの広角だ。超広角レンズで目立ちやすい周辺部分の画質の劣化は、皆無ではないがかなり抑えられている。曇天の屋外というカメラにとって有利な状況なこともあって、発色も肉眼の印象と変わらない

標準カメラで撮影

上と同じ構図を標準カメラで撮影。ゆがみが抑えられており、周辺まで画質が保たれている。試作機のためか、超広角・望遠カメラと比べるとややアンバーに寄った発色傾向だ

望遠カメラで撮影

望遠カメラに切り替えて撮影。70mmという望遠では同じ構図でも印象は大きく変わる。周辺部に至るまで解像感が高い

超広角カメラで撮影

薄雲におおわれた太陽を背景に、ビル街を逆光で撮影。T*コーティングのおかげもあってフレアやゴーストは抑えられている。逆光ながらコントラストが高く、印象的な仕上がりだ

標準カメラで撮影

上と同じ構図を標準カメラに切り替えて撮影した。こちらもフレアは抑えられ、解像感も保たれているが、構図中央あたりに円形のゴーストが見られた。こちらも発色が超広角・望遠カメラとはやや異なっている

望遠カメラで撮影

同じ構図を望遠カメラに切り替えた。構図左にひとつだけゴーストが現われている 。コントラストが低下しやすい構図だが、ビルの影部分も鮮明で、全般にクッキリとした写りだ

注目のZEISSレンズは、コントラストが高めで、何気ない風景が「作品」のように写る印象。16mm、24mm、70mmのズームも楽しい。超広角カメラは、周辺部分まで画質が良好で、素性のよさが感じられる。これらのハードウェアの実力をさらに生かす「Photography Pro」の登場が楽しみだ。

「アルバム」や「POBox Plus」は廃止。「Game enhancer」は機能強化

Xperiaシリーズは独自のアプリも魅力のひとつだが、本機では、独自のアプリは音楽再生アプリの「ミュージック」のみ、日本語入力アプリも従来の「POBox Plus」ではなくAndroid標準の「Gboard」に変更されている。これは「Xperia 5」以降のXperiaシリーズに共通する新しい方針に沿ったものだ。(2020年6月17日訂正:日本語入力アプリを「Google日本語入力」と記載していましたが、プリインストールされるものは「Gboard」です。以上、訂正しお詫び申し上げます。)

そのいっぽうで、ゲーム最適化機能「Game enhancer(ゲームエンハンサー)」は機能強化が行われている。新機能として、処理性能を3段階で選べるほか、発熱低減のためバッテリーを介さず電力を供給する「HSパワーコントロール」が追加されている。また、毎秒20コマ×30秒のスクリーンショット撮影機能も継承されており、SNSなどでの共有にも配慮されているのがユニークな点だ。

今回の検証機にインストールされるアプリ。Xperia独自の映像閲覧アプリ「アルバム」などがなくなった

今回の検証機にインストールされるアプリ。Xperia独自の映像閲覧アプリ「アルバム」などがなくなった

日本語入力アプリも「POBox Plus」から、Google純正の「Gboard」に変更されている

日本語入力アプリも「POBox Plus」から、Google純正の「Gboard」に変更されている

バッテリーを介さない給電を行う「HSパワーコントロール」は、発熱を抑えて処理性能の低下を防ぐ機能。スマホでゲームをやりこんでいる人向けの機能と言える

映像、サウンド、カメラ、ゲームなど「趣味を極めたい人」に向けた1台

本機の価格は、NTTドコモ版「SO-51A」が123,552円、au版「SOG01」が133,600円(いずれも税込価格)で、5Gスマホとしても一段高価な部類に入る。本機ともっとも競合するのはサムスン「Galaxy S20+ 5G」になるだろう。この両機を比較すると、本機は、映像、サウンド、カメラ、ゲームなどが強み。「Galaxy S20+ 5G」はミリ波対応、12GBのメモリーなど、基本性能で優位性がある。

「Xperia 1 II」は、以前のXperiaシリーズよりもコンセプトを先鋭化しており、映像、サウンド、カメラ、ゲームなどの「趣味を極めたい人」なら、その魅力が増して見えるだろう。しかし、これらの利用目的にさほど重きを置かない人には、割高に感じられるかもしれない。そうした特徴を理解したうえで、購入したほうがよさそうだ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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